フォード・モーター

フォード・モーターのハイライト

フォード・モーター(Ford Motor Company)は、ゼネラル・モーターズ(GM:General Motors Company)、クライスラー(Chrysler)とともにアメリカの「ビッグスリー」のひとつに数えられる、アメリカのミシガン州に本社を構える完成車メーカーです。英語表記を略して「FoMoCo(フォモコ)」と呼ばれることもあります。

フォード・モーターは1903年、自動車王と呼ばれたヘンリー・フォードにより創設された完成車メーカーです。1922年にはリンカーン(Lincoln Motor Company)を買収して高級自動車部門に参入し、1935年にはマーキュリー(Mercury)を設立。1970年代後半から日本の完成車メーカーであるマツダに資本参加し、1990年代後半まで提携関係を強化していました。
1980年代から1999年までのあいだには、ヨーロッパの高級ブランドであるアストン・マーチン(Aston Martin)、ジャガー(Jaguar)、ボルボ・カーズ(Volvo Cars)、ランドローバー(Land Rover)の4社を買収し、プレミア・オートモーティブ・グループ(PAG:Premier Automotive Group)を設立。
2000年以降は、フォードブランドのエクスプローラー(Explorer)の事故やリコール問題、アメリカの景気後退などが影響して業績が悪化。2008年までにアストン・マーチン、ジャガー、ランドローバーを売却し、30%以上保有していたマツダの株式のほとんどを手放しました。2010年にはボルボ・カーズを売却し、マーキュリーブランドも廃止となりましたが、2008年から掲げた「ワンフォード(One Ford)戦略」により、現在は経営再建を果たしています。

2013年末時点では、18万人強の従業員を抱え、世界19ヶ国35拠点に生産拠点を有しています。2014年には、フォード史上最多となる24車種を世界で展開。ヨーロッパでは自動車販売台数第2位となり、本国アメリカでは5年連続で首位を維持しています。

フォード・モーターは現在、1,100社を超えるサプライヤーと取り引きしており、「アラインド・ビジネス・フレームワーク(ABF:Aligned Business Framework)」に基づき、一定水準の品質を満たすサプライヤーを評価しています。
アラインド・ビジネス・フレームワークとは、フォードの事業戦略(品質向上、技術開発、コスト削減、持続可能性など)を連携して行っていると認められたサプライヤー(あるいは、そうした戦略的サプライヤーを奨励するプログラム)のことです。

現在は、先進運転支援システムの搭載、燃費改善技術の開発・搭載、カーボンファイバー素材の開発などに注力しています。

売上等の推移(直近3年間)

売上高推移

連結
  • 17,791,648百万円

2013年度

  • 16,429,622百万円

2014年度

  • 17,008,486百万円

2015年度

経常利益推移

連結
  • 847,821百万円

2013年度

  • 149,314百万円

2014年度

  • 1,240,492百万円

2015年度

  • ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。

従業員数推移

連結

2013年における売上高は1,469億1,700万ドルで前年比133億5,800万ドル増、税引前利益は70億1百万ドルで前年比7億1,900万ドル減となりました。

部門別の売上高は、

  • 自動車部門が1,393億6,900万ドルで前年比128億2百万ドル増
  • 金融サービス部門が75億4,800万ドルで前年比5億5,600万ドル増

となりました。

フォード・モーターは今後の目標として、2020年までに自動車部門における営業利益率を8%に引き上げることを目指しています。

事業戦略

事業方針

フォード・モーターは2014年に、中期経営計画「Ford's 2020 Vision」を発表しました。これは、2008年の経営危機の際に掲げられた「ワンフォード(One Ford)戦略」をベースとしており、営業利益改善、収益力の地理的分散、販売強化を主な目的とした計画です。
具体的には、以下のような目標の達成を目指しています。

  • 2020年までに世界全体の年間自動車販売台数を45~55%増加させ、940万台とする。世界上位5社に入ることが目標。
  • 自動車業界における成長水準を販売量・売上高の双方で上回ることで、2020年までに自動車関連事業のキャッシュフローを黒字化する。
  • 2020年までに自動車事業における営業利益率8%を達成し、長期にわたり8~9%を維持する。
  • 税引前利益を依存している北米地域と、利益の少ないその他の地域のバランスを改善するため、特に中国・アジアを重視し、海外拠点を拡充する。
  • 中国市場の開拓・販売拡大によって、フォードの高級ブランド車「リンカーン(Lincoln)」事業を再建する。2016年までにリンカーン製品の新型4モデルを市場に投入する予定。50億ドルを投資し、2020年までに世界販売台数30万台を目標としている。

上記のうち、リンカーン事業については、将来的にフォードブランドにも採用される新型プラットフォームを開発する予定です。また、販売回復のためCUV(Crossover Utility Vehicle)の増産も予定しています。

製品面においては、小型トラックを世界全域に投入する方針です。
また、Ford's 2020 Vision発表時の販売水準を、すべてのセグメントで上回ることを目指しています。
さらに、2016年までに、全製品の99%を9つのプラットフォームで生産し、将来的には8つのプラットフォームに集約する考えです。

なお、2008年にワンフォード戦略を導入して以降、フォード・モーターの他社との提携関係は縮小傾向にあります。2012年にはアメリカ(フラットロック工場)におけるマツダとの合弁生産を解消、2014年にはタイ工場での自動車合弁生産を終了しました。ただし、ピックアップトラックの合弁生産は引き続き行う方針です。

注力分野

フォード・モーターは「先進運転支援システムの搭載」「燃費改善技術の開発・搭載」「ラピッド・マニュファクチュアリングによる製造工程効率化」「カーボンファイバー素材の開発」「非従来型の広告活動」に注力しています。


○先進運転支援システム

先進運転支援システムのなかでも、特に「歩行者検知機能付き衝突回避システム」の拡充を図っています。同システムは、衝突時の衝撃を緩和し、歩行者を巻き込む正面衝突の回避を目的としたものです。2015年のヨーロッパ向けフォード・モンデオ(Ford Mondeo)を皮切りに、順次、世界中のフォードブランドとリンカーン(Lincoln)ブランド製品に搭載する予定です。
歩行者検知機能付き衝突回避システムのほかにも、以下のような技術に注力しています。

  • レーン・キーピング・エイド付き車線逸脱防止支援システム(Lane Keeping System with Lane Keeping Aid)
  • クロス・トラフィック・アラート付き死角情報システム(BLIS)
  • アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)
  • ブレーキサポート付き追突警告システム(CWAB:Collision Warning with Auto Brake)
  • アクティブ・パーキング・アシスト(Active Park Assist)

○燃費改善技術の開発・搭載

フォードは、高強度アルミ車体製品を大量生産した世界初のメーカーです。今後も継続してラインナップを拡充させ、燃費向上を図る方針を示しています。
パワートレインに関しては、小型で低燃費の直噴ターボ・エコブースト(EcoBoost)エンジンが新型車に順次搭載される予定であるほか、ゼネラル・モーターズ(GM:General Motors Company)と共同開発の9速・10速ATなどを採用することで、さらなる燃費向上を図っています。
また、2017年までに、燃料節約につながる「スタート/ストップ(Start/Stop)」というシステムを、北米向けフォードブランド製品の70%以上に装着する方針です。スタート/ストップとは、停車時に自動でエンジンが停止する、フォードの自動アイドリングストップシステムです。

○カーボンファイバー素材の開発

剛性が高く軽量な、車両に適したカーボンファイバーを大量生産する技術開発を、トルコの繊維大手であるダウ・アクサ(DowAksa)と共同で行う方針を示しました。

○ラピッド・マニュファクチュアリングによる製造工程効率化

ラピッド・マニュファクチャリングとは、3Dプリンティング(アディティブ・マニュファクチャリング)により製品を製造する技術です。フォードはこれを活用し、試作品の製造工程の短時間化、低コスト化、柔軟性の向上を図っています。

○非従来型の広告活動

検索広告、ビデオ配信、SNSなどの媒体を利用した広告活動を展開し、若年層の取り込みを図っています。2013年には、自動車業界で最多となる14億2千万ドルを、非従来型の広告活動費に当てました。紙媒体やテレビCMといった従来型の広告媒体を合わせると、広告費はゼネラル・モーターズに次いで第2位。高級ブランド車であるリンカーン(Lincoln)の事業再建に向け、ファッション業界のブランド戦略も採用しています。

技術動向

フォード・モーターは、本国アメリカをはじめ、ドイツ、イギリス、トルコ、オーストラリア、中国などに研究開発拠点を設置しています。
2015年には、研究施設「リサーチ・アンド・イノベーションセンター・パロアルト」を新設しました。このほかの主要な開発拠点としては、下記2つがあります。

  • 先進電子工学、ヒューマンマシンインターフェース(HMI:Human Machine Interface)、材質科学、ビッグデータ分析を専門とする、ミシガン州ディアボーンのリサーチ・アンド・イノベーションセンター
  • 次世代パワートレイン、ドライバー支援技術、アクティブ・セーフティ・システムを専門とする、ドイツのリサーチセンター

また、アジア・オセアニア向け製品の開発に関しては、中国やオーストラリアの拠点もその役割を担っています。

なお、次世代環境技術の開発に関しては、以下に示すように、複数のメーカーと提携関係を構築しています。

  • ダイムラー(Daimler)、ルノー(Renault)・日産と燃料電池技術
  • ゼネラル・モーターズ(GM:General Motors Company)と低燃費型変速機
  • マグナインターナショナル(Magna)と電気自動車(EV:Electric Vehicle)・軽量小型車

下記は、フォード・モーターの研究開発活動の一例です。

・「フォード・スマート・モビリティ計画」を発表

世界中で行われる25件(北米で8件、ヨーロッパとアフリカで9件、アジアで7件、南米で1件)の実験を通し、顧客が将来の交通システムに「何を求め、必要とするのか」を予測することを目的とした計画。

具体的には、

  • 人々の運転パターンを分析・把握し、車両パフォーマンスを最適化するための実験
  • アプリによる都市内の空き駐車場の検索を容易にするための実験
  • 運転者の行動データを一定期間蓄積し、より正確な自動車保険料を計算するための実験などを実施する予定。

・自動運転技術の商品化に向けた取り組み

自動運転技術を搭載した試作車のテストを実施。アメリカのマサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学と共同で自動運転技術の研究を行い、2017年から2025年のあいだに半自動運転機能を、2025年頃までに完全自動運転機能を搭載した製品の商品化を計画。

・GMと変速機を共同で開発

ゼネラル・モーターズ(GM:General Motors Company)と共同で、前輪駆動と後輪駆動を対象とした9速・10速ATの開発を実施。従来の6速と比較し、5%ほど燃費性能が向上する予定。両社の乗用車、SUV(Sport Utility Vehicle,スポーツ用多目的車)、ピックアップトラックに搭載する計画だが、ATを制御するソフトウェアはそれぞれが独自に開発する予定。

・「Sync3」の搭載を発表

次世代車載情報システム「Sync3」の新型車への搭載を発表。従来品に比べ、ドライバーの指示に対する反応速度が向上したほか、ユーザーが直感的に使用できるメニュー画面(その切り替え)となり、カーナビ検索機能が改善され、スマートフォンアプリとも連動。

・ACEEEがフォードC-MAXを「環境にやさしい車」として認定

2015年、米国エネルギー効率経済協議会(ACEEE)がフォードC-MAXを「環境に優しい車」と認定。フォードC-MAXハイブリッドには、エコガイド(EcoGuide)デュアルディスプレイ搭載のスマート・ゲージ(SmartGauge)が採用されており、車両の燃費情報をリアルタイムで確認することが可能。

・3Dプリンティングによる試作品の製造を実施

プリンティング研究所において、熱溶式解積層法(FDM:Fused Deposition Modeling)や選択式レーザー焼結法(Selective Laser Sintering)での鋳造を使用。4~5ヶ月で50万ドルを要していた試作が、3Dプリンティングにより数日に短縮され、コストも数千ドルに削減。

・「歩行者検知機能付き衝突回避システム」の信頼性試験を実施

非公開のテストトラックおよび世界各国の路上で、システムの信頼性試験を実施。歩行者検知機能付き衝突回避システムとは、カメラとレーダーで車両前方を監視し、衝突の危険性を検知した場合はドライバーに通知し、ドライバーからの反応がなければ車両を自動的に停止させ、衝突時の衝撃軽減・衝突自体を回避するシステム。

グローバル展開

フォードは、中期経営計画「Ford's 2020 Vision」で掲げるリンカーン(Lincoln)ブランド再建に向け、中国における販売拡大で世界販売台数を増加させる考えを示しています。中国事業展開を強化すべく、2016年までに50都市で60店舗の販売体制を整え、新規4モデルを投入する方針です。
中国市場向けリンカーン製品の生産は北米拠点で行われる予定ですが、中国での生産能力の増強も推進しており、すでに完成車工場やエンジン工場、変速機工場を設置しています。

また、「Ford's 2020 Vision」の目標達成に向け、中国だけでなく中東やアフリカ事業を強化する考えも明らかにしています。2016年までに最低でも25車種、中東・アフリカ市場に投入する方針です。


○新興国をはじめとした海外における取り組み

■ASEANでの取り組み
  • 2013年、インドのチェンナイ工場の生産能力を15万台から20万台に増強。
  • インドのサナンドで、2014年に完成車工場を、2015年にエンジン工場を開業。
  • 2014年、タイのラヨーン工場で、フォードブランドのエコスポーツ(Eco Sport)の生産を開始。
  • コスト削減の一環で2008年に中止していたマレーシアでの生産を、2014年に再開。
■オーストラリアでの取り組み
  • ビクトリア州に設置されている2つの工場を、2016年までに閉鎖すると発表。
  • メルボルンにある設計開発部門を強化することを発表。工場閉鎖により生産は終了するが、増員を予定。
■カナダでの取り組み
  • 2014年、オークビル工場での新型エッジ(Edge)生産に向けた増員計画を発表。2015年に生産を開始。
■ブラジルでの取り組み
  • 2014年、カマサリにあるエンジン工場を稼働。年間の生産能力は21万基。

会社概要

社名 フォード・ジャパン・リミテッド
設立年 1999年7月
本社所在地 〒105-0001 東京都港区虎ノ門4丁目3番13号 ヒューリック神谷町ビル8F
代表取締役 森田 俊生

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