自動車業界の面接マニュアル
- 01.自動車業界の面接の基本情報
- 02.面接でよく聞かれる質問と対策
- 03.自動車業界の面接想定質問集
- 04.外資系と日系で企業の面接傾向はどう違うのか
- 05.「何か質問はありますか?」と聞かれたら
- 06.まとめ
まずはじめに、自動車業界の面接の基本的な情報からお伝えします。
面接は2回(2日)程度が一般的
ほとんどの職種で、面接の回数はおよそ2回程度ということが多いです。但し、外資系企業の上級職採用(レポート先が直接海外となる部長職以上の採用など)では、海外の責任者との面接が組まれるため、3~4回以上になる場合も。
一方、規模の小さな企業などでは1回という場合もあり得ます。回数が多くなる場合も、1日で一次・二次面接を合わせて行い、別日に最終面接を行うなど、面接日程としては2日で完了することが多いです。
面接会場は本社か拠点(勤務予定地)
面接会場は基本的に本社で、一部のケースでは勤務予定地となる拠点で行われます。但し、海外や遠方に在住の場合は、電話面接が組まれる場合もあります。企業によっては二次面接以降の交通費を支給してくれる場合も。
基本は応募者1人・面接官1~複数人の個別面接
面接のスタイルは、あなた1人に対し、1人ないしは2~3人の面接官が質問する個別面接です。グループ面接が行われることはごく稀です。
面接官はどのような人物か、見られるポイントは?
面接官は、一次面接・二次(最終)面接で異なります。
外資系・日系を問わず、自動車業界の面接では、実務に詳しい現場の意向が採用判断に強く反映される傾向にあります。従って、面接では、まず入社後に直属の上司となる人物が採用したい人物を見極め、その採用判断に対してより上長の決裁を取るべく二次面接が組まれる、という図式になっています。
一次面接
将来直属の上司となる現場の責任者と人事が、面接官として登場。人事は同席するものの、基本的に面接は現場の直属の上司がメインで進行し、主に下記の2点を見極める
- 能力面(経験・実績および過去の業務上の工夫点などからこの仕事に適任かを判断)
- 人物面(キャラクターとマインドが現場の雰囲気と合致しているか)
二次(最終)面接
一次面接で面接官を務めた直属の上司の、さらに上の責任者や担当部門の役員が登場(規模が小さい会社の場合はいきなり社長というケースも)。一次面接での評価を再度確認し、採用すべきか否かの最終判断を行う。
現場の意見が尊重されるため、一次面接で高い評価なら、二次面接以降も「現場から高い評価を受けた人物」として扱われます。だからといって不採用にならないとは限りませんが、一次面接での印象が選考に大きく影響することは事実。また、一次面接と二次選考以降とで、面接官が変わっても、応募者に求められることは変わらないため、一次面接を攻略することがとても重要になります。
自動車業界の面接に限らず、面接では次の3つの質問が中心となる場合が多いでしょう。
- 略歴
- 志望動機
- 転職理由
それぞれの質問への対策に入る前に、3つ全てに共通して言える対策をお話しします。
求人を研究して求人に対する合致感を高める
管理職経験者を募集する面接で企業側が知りたいのは、管理職としてのあなたの実績と、非管理職時代のあなたの実績のどちらだと思いますか?答えは明白。あなたが自社の管理職に相応しい人物か推し量るためにも、管理職をしていたときのあなたの実績ですね。
どの質問に対しても共通して言えることは、あなたの応募した求人の内容を強く意識し、求人に対する合致感を高めること。企業が求めるものと、あなたの持ちうる経験・能力。両者の合致が1つでも多いほど、転職は有利になるでしょう。
合致感を高めるためには、企業研究はもちろん、求人情報をすみずみまで読み込む“求人研究”が欠かせません。職種にもよりますが、最低でも次の3つは把握しておくと良いでしょう。
- 好まれる人物像(どんな人柄・志向性か)
- 求められる経験・スキル(担当した製品部品や顧客、使用ツールは何か)
- 募集の背景
的確な回答をするために、面接対策はまずじっくり求人を理解することから始まります。
略歴の答え方
略歴は、特に求人と関係性の高い経験を中心に答えましょう。様々なプロジェクトや顧客を担当してきた経験豊富な方ほど、どう自身のキャリアを端的に伝えるべきか悩むところですが、思い切って求人に関係してこないことは省略してしまいましょう。
例えば、トヨタを担当する求人なら、自分がもっと実績のある担当顧客が他にあったとしてもまずはトヨタを担当した際の話を中心に回答を組み立てた上で、他にアピールできる話を付け加えると良いでしょう。板金と樹脂成形の両方を経験した方が板金を扱う求人に応募したなら板金の話に絞ってアピールする。使用していたツールの種類も求人に合わせて答える。など…論点を絞って、いかに自分がその求人に相応しい人物かをしっかり伝えることが大切です。
面接本番、もし取り留めなく話してしまった場合も、最後に求人と合致する部分を明確に伝えるだけで、あなたへの印象はがらりと変わります。とにかく求人と合致性の高い経験を強く伝えるということを、意識しましょう。
直接関係するものがない場合も、何か結びつけられることがないか、自身のキャリアを振り返ってみると良いでしょう。
転職理由の答え方
転職理由の答え方で大切なのは、ちゃんと面接を受ける会社で描けるキャリアパスを示せるかどうか。例えば、10~20人規模の企業を相手に「多人数のマネジメントをやりたくて転職しました」とするのはどう考えてもアンマッチ。企業側が任せたいこととあなたのやりたいことがきちんと一致していることが重要ですから、独りよがりな答えにならないようじゅうぶんに注意しましょう。
ピントのずれた回答にならないためには、求人情報から募集背景や組織構成を紐解き、その会社でできること・任されることの範囲を理解しておきましょう。
志望動機の答え方
志望動機は、いわば転職理由をもっと細かく深く切り込んだ質問です。「英語が使いたいから」「プロマネを目指したくて」など、どこの企業にも当てはまりそうな回答をしていると、「当社への志望度は低い」と見なされてしまう可能性があります。
なぜその会社でなければならないのか。なぜ、あなたの転職理由を叶えるには、その企業でないとダメだと思うのか。その企業に対して特別な愛着がある場合は、思い入れを語るのが手です。そこまでの思い入れがない場合は、企業研究をしっかりし、面接を受ける企業と競合との明確な違い、独自性のある技術、業界内でのポジションなど…その企業特有の強みに触れることが肝心です。
企業の強みに魅力を感じていることと、魅力を感じる理由を力説するとともに、その企業がこれから目指す方向性に対しても、あなた自身の描きたいキャリアパスがこう合致している…そこまで説明できればパーフェクトです。
自分のやりたいことが、まさにその企業だからこそできる。その理由をはっきりと伝えましょう。
略歴・転職理由・志望動機はどの企業でも聞かれるものでした。ここでは、企業ごとに個性が分かれる、自動車業界ならではの質問をご紹介します。果たして質問のバリエーションはどのようなものがあり、何を準備していけばよいのか…。
実際に自動車業界の企業が面接で行っている質問内容と、その質問から何を読み取ろうとしているのか…企業側の狙いについて解説します。
特に多い質問
a.「自分の良い点、悪い点はどこだと思いますか?」
「あなたは他人からどんな人間だと評価されることが多いですか?」
あなたが自分自身をしっかりと客観的に捉えられているか、およびあなたという人間の人物理解のために聞かれる質問です。基本的には性格面の話で答えれば良いですが、例えば「几帳面な性格で、それが今の仕事でミスを減らすことに役立っている」など、仕事や技術の話に結びつけられるとなお良いでしょう。
b.「今までの経験で上手くいったことと失敗したこと、ならびにその理由は?」
職務経歴書を読んだだけではわからない、担当プロジェクトの中であなたが具体的にどのような役割で、どんな仕事をしたのかを明らかにするために、投げかけられることの多い質問です。どれだけタフな環境を経験したのかという耐性と、追い詰められた状況からいかに工夫をして脱したかという柔軟性および突破力も見られます。
c.「入社後はこの職種のプロフェッショナルになりたいですか? それともマネジメント側に進みたいですか?」
あなたの志向性を見定めるとともに、具体的なキャリアプランを持てているかを判断するために行われる質問です。会社の規模が小さかったり本国の力が強かったり…企業によっては、あなたが描くキャリアパスに叶うポジションやチャンスを与えることが困難な場合があります。お互いのミスマッチが起こらないように問われている側面もあるため、正直に話しましょう。
外資系企業に多い質問
d.「海外と日本との間の調整で困難だったことは?」
外資系企業を受けた際によく聞かれる質問です。こちらもbと同様に、上手くいったことではなく失敗したこと、およびその背景を聞き出すことで、本国との調整・折衝を行う際の課題および解決能力を見ようとしています。英語力だけでは測れない、海外とのコミュニケーション力が問われます。
e.「当社はどんな会社ですか? 説明して下さい」
外資系企業の多くは日本での知名度が低いことを自覚しているため、このような質問を投げかけることがあります。ここで問われるのは、事前にどれだけその企業のことを理解して応募しているか。単に「外資系だから応募している」というだけの方を除外し、より志望度の高い人材に絞り込もうという狙いがあります。あまり知られていない企業に応募する場合ほど、その企業のことは綿密に研究しておきましょう。
技術系職種に多い質問
f.「○○の意味を答えて下さい」
技術系の職種では、その職種ならではの基礎知識を知っているかどうか判断するため、学校のテストのように、専門用語の意味を答えさせられる場合があります。
g.「池に岩を載せたボートが浮かんでいます。ボートから岩を水中に落とすと、水位はどの様に変化するでしょうか?」
基礎的な素養をチェックするために尋ねられるのは、専門用語ばかりとは限りません。このような物理の問題が出題される場合も。
技術系職種では、他にも「これを組み立ててみて下さい」といきなり複数の部品を手渡されるなど、通常の面接だけでは推し量れないスキルや知識をテストされる場合があります。とはいえ、経験者であればそこまで難しい問題にぶつかることは稀ですので、安心して臨みましょう。
その他の質問
h.「あなたを雇用する、雇用側のモチベーションを教えてください」
現職や過去に在籍していた会社は、なぜあなたのことを雇用し続けていたと思うか。あなたの強みや売りをより客観的な観点から尋ねているだけですが、主語が雇用主に変わるとたちまち自信や確信が持てなくなり、答えづらくなるものです。面接官はあなたがどう答えるか…質問の内容もさることながら、柔軟性や対応力に目を光らせています。慌てず、即戦力として応募先の企業で活かせるスキルを中心に伝えましょう。
i.「もしもあなたが今お勤めの企業の社長だったら、まず何を行いたいと思いますか?」
「現在在籍されている企業の課題は何だと思いますか?」
管理職クラスや階級が高いポジションの面接では、このような質問をされることがあります。問われるのは、あなたのビジネス感覚や経営視点。前職に対する愚痴にならないよう、伝え方にじゅうぶん注意しましょう。
j.「業績が悪いが大丈夫ですか?」
「仕事が厳しい(残業が多い、ノルマがある)が大丈夫ですか?」
「近年で拡大・増員させた未完成な組織だが、抵抗は無いですか?」
条件だけで選んでいないか、本当に志望度が高いかを判断するために行われる質問です。「それでも入社したいと言ってくるか否か」…あなたの入社覚悟の最終確認と言えるでしょう。また、ストレス耐性をチェックする目的で聞かれるケースもあるため、実際には残業が多くない、業績が悪くないにもかかわらず、あえてこのような質問をしてくる場合も。事前にその企業の経営状況や就業状況などは下調べしていれば、動じず、落ち着いて答えられるはずです。
自動車業界の日系企業と外資系企業は、環境や社風が大きく異なると言われています。それらの違いは、入社後だけでなく、面接をはじめ転職活動中にも影響する場合があります。
例えば、ひとえに「コミュニケーション力」という言葉ひとつ取っても、例えば日系老舗企業では部署間の調整力が重視される傾向にありますが、外資系企業では時として自分の意見を押し通すようなリーダーシップ型の対応力が求められる場合も。外資系と日系とでは、求められるものが微妙に違うものです。
ここでは、
- 外資系から外資系に転職する場合
- 日系から外資系に転職する場合
- 日系に転職する場合
それぞれのケースで、面接時に特に気をつけなければならない点をお伝えします。
外資系から外資系に転職する場合
外資系企業から外資系企業に行く場合は、日系から外資に行く場合のような環境の違いを危惧されることが少なく、純粋に経験や能力を中心に評価される場合が多い傾向にあります。
その一方、日系から外資に行く場合は「英語力を活かしたい」という動機が想像できる反面、既に外資で働いている場合は、「なぜ当社で働きたいと思っているのだろうか」という点は腑に落ちる説明が重要に。この会社でしかできないことや、会社への思い入れを語るなど、特に納得感のある志望動機説明を心がけましょう。
日系から外資系に転職する場合
日系企業から外資系企業に転職する場合、社風や雰囲気の違いを含め、「本当にこの人は外資系企業に転職するということを理解して応募しているだろうか」とシビアに見られる場合が多いです。
多くの方が志望動機として最初に抱きやすいのは、「英語力を活かしたい」というものですが、「海外で働きたい」というのはNGワードです。なぜなら外資系自動車部品メーカーの日本法人は、日本の完成車メーカーとより深く取引をするための場所。海外よりもまず国内にしっかりと目を向けてくれる方をこそ採用したいと考えているからです。
また、外資系企業の中には、雑談をベースとした気さくな雰囲気で面接を行う面接官もいます。雰囲気の違いを感じても、動じず応対しましょう。
外資系企業の場合、一次または二次面接が英語で行われるケースも
外資系企業では、面接が英語で行われる場合があります。外国籍の人が面接官を務める場合だけでなく、日本人同士の面接だったとしても、英語力を測る目的から、英語の質問に英語で答えることを求められます。外資系企業に応募する場合は、一次か二次のいずれかで一度は英語での面接が行われるものと心得ておきましょう。
日系企業に転職する場合
日系企業から日系企業へ転職する場合はそれほど注意点がないものの、日系企業から外資系に一度転職した方が、外資の環境が合わず再び日系企業へ転職する場合、転職理由の伝え方には工夫が必要です。
「外資系企業の環境が合わなくて」「外資系企業は人の出入りが多くて落ち着かなくて」などとストレートに伝えてしまうと、「そんな当たり前のことも想定せずに転職していたのか」と、驚かれてしまうでしょう。ウソは厳禁ですが、ポジティブな別の理由をあらかじめ考えておくことが望まれます。
また、日系企業は服装や清潔感を気にされることが多いもの。外資系企業では許された多少のラフさも通用しないことがあります。スーツのシワやネクタイの曲がりはもちろん、髭や髪型など…ビジュアル面にはいつも以上に気を配りましょう。
面接の最後に「何か質問はありますか?」と逆に質問されることがあります。気になることがあれば聞けば良いですが、もしも何もない場合は? 原則として「ありません」はNG。次のような質問をすると良いでしょう。
あなたがその会社で働いている姿をイメージさせる質問を
あなたが今からすぐにその会社で働くことになったとしたら、どんなことが気になりますか?「レポートラインはどんな人だろう?」「仕事の具体的な進め方はどうなっているのかな?」「どれくらいの期間で管理職になれるんだろう」など…。「もし仮に入社できたら」という前置きをした上で、思ったことを率直に聞いてみましょう。突っ込んだ質問をすることで、より相手にあなたを採用した後のことをイメージしてもらいやすくなります。
但し、組織構成や踏み込んだ技術の話を質問する際は、機密事項に触れてしまう可能性もあります。グレーな質問に関しては、「可能な範囲で教えて頂けますか」と付け加える配慮をお忘れなく。
お金に関する質問はNG
「何か質問は?」と振られた以上、何を聞いてもよさそうなものですが、「給料はいくらくらいになるのか」は聞かない方が無難です。他にも、賞与は出ているのか、休みがどれくらい取りやすいか、など…条件だけで応募したのではないかと思われる内容や、意欲を疑われかねない質問は避けましょう。
面接でのポイントは、求人との合致感の高い回答をして、「この人なら仕事を任せられる」と相手を安心させること。そして、「この人は本当にウチに魅力を感じて入社を切望しているんだな」という印象を与えること、の2点です。
多少、受け答えに失敗することがあったとしても、合致感の高さと志望度の高さ、どちらも満たしていると相手に映ればチャンスはあります。それくらい、この2点が重要視されますから、的確かつ気持ちの籠もった受け答えができるよう、企業研究に加え求人研究をしっかり行ってから面接に臨みましょう。
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