【独立系自動車部品・年収比較】トップ住友電工は788万円
2017.04.26クルマづくりに欠かすことのできない自動車部品。大手完成車メーカーのグループに属する企業がある一方で、どのメーカーの系列にも属さないメーカーも数多く存在します。
そんな「独立系自動車部品メーカー」の年収事情はどうなっているのでしょうか。有価証券報告書のデータを調べてみました。
同じ分野でも年収にはバラつき
トップとなったのは、ワイヤーハーネス世界最大手の住友電機工業。平均年収は788.0万円(平均年齢41.9歳)でした。2位はベアリング国内最大手の日本精工で768.9万円(41.2歳)。シートが主力で懸架ばねも手がける、ばね国内最大手のニッパツが709.3万円(40.1歳)で3位となりました。 最も平均年収が低かったのは、ワイパーなどの電装品を製造するミツバ。平均年収は559.9万円(40.6歳)で、集計対象企業の中で唯一600万円を下回りました。トップの住友電工とは230万円の差があります。
トップと最下位が電装品メーカーであることからも分かる通り、同じ分野のメーカーの間でも平均年収にはバラつきがあります。完成車メーカー系列の企業も含めた年収ランキングではエンジンパーツメーカーが上位を占めていますが、それ以外では「この分野の部品を製造しているメーカーは年収が高い」といった傾向は見られませんでした。
伸び率トップは18%アップのミツバ
5年前の2010年度と比べると、各社の年収はどれくらい増減したのでしょうか。
下のグラフは、横軸を10~15年度の5年間の平均年収のアップ率、縦軸を15年度の平均年齢とし、円の大きさで15年度の各社の平均年収を表したものです。 最もアップ率が高かったのは、平均年収では最下位だったミツバ。5年間で18.1%、額にすると85.7万円増えました。売り上げの約半数を占めるホンダの生産台数は堅調に推移しており、最近では北米で好調なスバル向けも増加。売上高はこの5年で2081億円から3332億円まで拡大しました。
次いでアップ率が高かったのが17.2%のアルプス電気です。子会社アルパインで手がけるカーナビ・カーオーディオは、新車販売台数の増加で純正品を中心に売り上げが増加。カーナビ・カーオーディオよりも事業規模の大きい電子部品も、車載向けを中心に好調です。
アップ率3位は年収ランキング2位の日本精工で13.3%。4位はサスペンションを製造するKYB(12.5%増)でした。
販売台数の増加が追い風となる中で年収がダウンしたのは2社。1.5%ダウンとなったユニプレスは、売り上げの約9割を占める日産が急激に生産台数を減らした影響で2012年度に業績が落ち込み、翌13年度は年収も大幅ダウン。その後は上昇を続けていますが、5年前の水準にはまだ戻っていません。
マイナス7.4%で最もダウン率が大きかった曙ブレーキは、東日本大震災の影響で業績・年収とも落ち込み、まだ回復途上です。
エアバッグのリコール問題に揺れるタカタは7.1%アップ。リコール対象が一気に拡大した15年度も年収は横ばいを維持しました。しかし、自動車メーカーが肩代わりしているリコール費用を一斉に請求されれば債務超過に陥ると言われており、給与もどうなるかわかりません。
自動車部品メーカーと完成車メーカーは切っても切れない関係。年収ダウンとなったユニプレスのように、特定の完成車メーカーに依存している部品メーカーは、減産の影響が直撃するリスクはあります。転職を考える際は取引先の状況にも目を向けることが大切です。