格差4倍!自動車メーカー 1台あたりの営業利益ランキング

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自動車メーカーは車を1台売るといくら儲かるのか?オートモーティブ・ジョブズが国内自動車メーカーの「1台あたりの営業利益」を算出したところ、トップと最下位には4倍の差があることが分かった。

トップはスバルで36万円

国内の自動車メーカー8社を対象に、2017年度の決算資料から1台あたりの営業利益(連結営業利益÷販売台数)を算出。トップはSUBARUで35.6万円だった。

【2017年 1台あたりの営業利益ランキング】各社の決算資料をもとに作成。1位 台あたり営業利益35.6万円(前年比2.9万円減 販売台数106.7万台 営業利益3794億円)2位トヨタ自動車 台あたり営業利益26.8万円(前年比4.5万円増 販売台数896.4万台 営業利益23999億円)うち日野自動車 台あたり営業利益43.0万円(前年比2.2万円増 販売台数18.7万台 営業利益803億円) 3位いすゞ自動車 台あたり営業利益26.7万円(前年比2.9万円増 販売台数62.5万台 営業利益1668億円) 4位本田技研工業 台あたり営業利益22.6万円(前年比0.2万円減 販売台数368.9万台 営業利益8336億円) 5位スズキ 台あたり営業利益11.6万円(前年比2.5万円増 販売台数322.4万台 営業利益3742億円)6位日産自動車 台あたり営業利益10.0万円(前年比3.2万円減 販売台数577.0万台 営業利益5748億円)7位マツダ 1台あたり営業利益9.0万円(前年比0.9万円増 販売台数163.1万台 営業利益1464億円)8位三菱自動車 1台あたり営業利益8.9万円(前年比8.4万円増 販売台数110.1万台 営業利益982億円)

2位は、販売台数や売上高では国内首位を独走するトヨタ自動車で26.8万円。3位はトラックなどの商用車を販売するいすゞ自動車(26.7万円)、4位には売上高国内2番手のホンダ(22.6万円)がランクイン。5位以下は10万円~1桁台で、最も低いのは三菱自動車の8.9万円という結果になった。

格差4倍 差を生み出す要因とは

首位のスバルは2位のトヨタに10万円近い差をつけているが、かつては低水準で推移しており、09年度はわずか4.9万円にとどまっていた。

その後軽自動車や軽トラックを縮小してSUV(スポーツ用多目的車)を強化し、主力市場の北米を中心に売り上げを伸ばした結果、15年度には59.0万円にまでアップ。16~17年度は販管費などの増加で連続の減収となったため、17年度はピーク時から20万円以上減少しているが、ダントツで1位の座を守っている。

【スバル 1台あたりの営業利益の09~17年度までの推移】スバルの決算資料をもとに作成。09年度販売台数56.3万台、1台あたりの営業利益が4.9万円と低水準であったスバルは、軽自動車や軽トラックを縮小してSUVを強化し、主力市場の北米を中心に売り上げを伸ばしていった。11年に販売台数64.0万台、台あたりの利益が6.9万円と一時的に落ち込むものの、その後は販売台数、台あたりの営業利益ともに順調に増加し、15年度には59.0万円にまでアップした。6~17年度は販管費などの増加で連続の減収となったため、17年度はピーク時から20万円以上減少しているが、それでも1台あたり35.6万円の営業利益を出し、ダントツで1位の座を守っている。

ランキング最下位の三菱自動車は、燃費不正問題から持ち直して前年から8.4万円増加。それでもスバルとの差は4倍にものぼる。

三菱自動車が主力とするのは、インドネシアやフィリピン、タイといった新興国市場。安さが重視されるため、稼ぐには原価を下げる必要がある。だが、三菱自動車の原価率は78.9%で、スバルの71.7%より7ポイント高い。この違いが、1台あたりの営業利益の差を生み出しているのだろう。

日野自動車はトヨタの連結決算に含まれるためランキングの対象外としたが、1台あたりの営業利益は43.0万円で1位のスバルを上回っている。商用車メーカーの日野やいすゞは、乗用車よりも高価格の大型トラックやバスがラインナップの中心。価格の高さが、1台あたりの営業利益を引き上げている可能性がある。

スバルは研究開発費率で最下位という側面も

スバルは「1台あたりの営業利益」ではダントツトップだが、研究開発費率の低さを無視することはできない。17年度のスバルの研究開発費率は3.6%で、今回調査対象とした国内自動車メーカーの中では最下位だった。

現在の自動車業界は、自動運転や電気自動車、コネクテッドカーなど新技術の発展が目覚ましく、需要に合った自動車を開発できないメーカーは淘汰されていく。スバルは21年にSUV「フォレスター」の電気自動車の発売を目指して研究開発を行っているが、18年度も研究開発費率は同水準にとどまる見込み。規模を拡大すれば開発が進むというわけではないが、将来の成長につなげるには、さらなる投資が求められる可能性もあるだろう。

(オートモーティブ・ジョブズ編集部 山岡結央)

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