[EV旋風]内燃機関がなくなった自動車業界の姿
内燃機関が無くなると
イメージ的に、ガソリンエンジン搭載の乗用車は約3万点の部品があると言われる。エンジン関係部品は約1万点であり、EVではこの部品が不要となる。当該部品メーカー自身が不要となる。完成車メーカーにおいても開発(設計~試験)・購買・生産(組立て)の工数も大幅に減少する。
ドイツでは内燃機関が禁止された場合、数十万人の雇用に関係するとの情報があり、日本でも同様の状況が予測されるが、現在、日本の自動車産業全体は550万人の雇用があると言われる。10年後は大幅に減る可能性もある。
EV専用部品では約2,000点が増える。部品メーカーにとって脱皮のチャンスでもある。早めに戦略と方策を考え、スタートするべきである。 船舶・建設機械・特殊車両・発電機・大型商用車には内燃機関が適している場合も多い。砂漠地帯や極寒冷地にも内燃機関が向いている。日本の自動車産業は協力して内燃機関技術の残し方戦略を立てる必要がある。
EVによりコモディティ化が進む
自動車の商品力は「走り」が半分ほど影響する。内燃機関では関係する多くの要素があり、これをシミュレーションで出力と排ガス・燃費を最適化し、実機で擦り合せ、ROMを書き変え、チューニングを行っていた。技術者の腕と誇りがあり、顧客に熱く伝わった時代もあった。
EVでは要素が少なく、最適化を行い、インバーター・ECUで出力特性を設定する。
現在では部品調達からチューニング完了までは短期である。つまり自動車後進国において比較的短期間でEVが出来上がる。中国以外でも同じ現象が起きる。数種類のパワーモジュールを販売するエンジニアリング会社も現れた。更に似たような「走り」になる。コモディティ化(商品の同質化)が起き、商品の差別化特性が減り活気のない商品市場となる。
(トヨタ自動車・日産・BYDのHPと発表資料、およびFOURINの月報などを参考に作成)
<FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社 転載許諾済み)>