世界の”新エネ車”戦略ー世界は一斉にEVに向かうのか?ー
中国EVメーカーの進歩
第12次・第13次五ヵ年計画(2011~2020年)によって、電動車(EV,HEV,PHEV,FCEV)は世界でも実績を上げ、バスなど商用車を含む新エネ車は計画を達成しつつある。
ただし多くの余剰も出てきた。中国は膨大な生産能力があり、電動車を増産すると見られる。
中国製EVのモータールームを見ると、2010年代前半はまだ各機器が個別に装着されている。配管・配線が多く組み立ての手間がかかる。その後、徐々にまとまり一体化(モジュール化)する。
新型日産LEAF
2016年に世界で最も多く売れた(51,882台)EVである。PRIUSが第4世代まで腕を磨いたように、LEAFもレベルアップしてきた。2017年新型LEAFは初めてのフルモデルチェンジに合わせ、機能・性能面の改良があった。
新型ではモーター駆動電流を増加、プロセッサーの制御を見直し、約1.3倍のトルク・出力を増大した。これまで動力系の改善は2012年、2015年に行っている。
エアコンはEVでは課題の一つだが、2012年改良でPTCヒーターに加え、家庭用に近いヒートポンプ式エアコンを追加している。今回、自動運転機能を進め、EVとしてスマホを使った遠隔操作など便利な機能が採用された。
EVの特徴技術や商品差別化
現在日本国内には、7,200基以上の急速充電器が設置され、普通充電器を合わせると28,000基以上である(日産広報資料)。急速充電のためのステーションには高電流が必要で、そのための送電/変電設備は大規模になる。そのバッファとしてリユースLIBを使えないか。
日本の技術を発揮してほしい。回生方法はドライバーの意図により、より細かくかつ大幅に回生発電したい。高速走行で航続距離を増やすには走行状況に適した簡易な自動2段変速は望ましい。太陽電池では初期PRIUS(2009年)用(56W)は12V電池の補充充電と換気システム用であった。
現PRIUSの太陽電池は、結晶シリコン基板とアモルファスシリコン膜を組み合わせた構造で、高い変換効率と耐熱性が特長である。1日平均発電量180W(パナソニックデータ)でLIBの充電を行う。太陽電池の性能確保に優先度を上げたスタイリングや可動式パネルなどを考えてほしい。電力源が石炭火力ではEVの存在意味は減る。
中国は新エネ車
世界は一斉にEVに向かうか?確かに大都市で考えればEVが良い。しかし、中国の戦略はEVではなく、新エネ車である。電力事情もある。実際、PHEVの開発も急速に進めており、新規のガソリンエンジン開発も進めている。世界の新エネ車の販売ランキングを見ると、PHEVの中国車が上位にいる。
(トヨタ自動車・日産・BYDのHPと発表資料、およびFOURINの月報などを参考に作成)
<FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社 転載許諾済み)>