三菱重工、小型ガソリンエンジン向けに強み、ガソリン可変容量や電動2ステージも開発
2018.01.23▽三菱重工のターボ事業
・船舶や航空機向けの過給器で長い実績を持つが、車載向けにはいち早く小型ターボシリーズを手がけ、欧州メーカーをはじめ世界の自動車メーカーに供給している。
-660ccの軽自動車ガソリンエンジン向けから、2.0~3.5ℓの大型乗用車、さらにトラック・バスなどの大型商用車まで幅広く対応する製品ラインアップを展開している。
・三菱重工は、三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス(M-FET)の傘下に、エンジンおよびターボチャージャーを扱う事業会社として、三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)を設立し、2016年7月に営業を開始した。
・日本、オランダ、中国、タイ、米国に生産拠点を持つ。
・2017年度の世界でのターボ生産を前年度比17%増の1,050万基に引き上げる。
-このうち中国では同20%増の340万基を生産予定。
-2018年度からターボの中核部品の一つであるカートリッジを中国で生産する。また、日本とタイの拠点にも追加投資する。
▽可変容量ターボ
・主力製品の多くはウェイストゲートバルブ制御式であるが、ディーゼルエンジン向けには可変容量式を2001年に発売。
2009年には第3世代に移行した。
・ガソリンエンジン向けの可変容量ターボを実用化する方針で、2016年には自動車メーカー向けのサンプル出荷を開始した。
2019年までに量産化する方針。 -950℃への対応を想定し開発を進めている。
▽電動化対応
・通常のターボに電動コンプレッサーを加えたシステムを電動2ステージターボシステムとして開発し、2015年に日欧の自動車メーカー5社にサンプル出荷を開始した。
2020年頃までに量産化する方針である。
-使用電源は基本的に従来の12Vを想定。
-電動コンプレッサーは、高効率モーターにインバーターを一体化したシステムとして開発している。
-モーターはValeoのSRモーターやBorgWarnerのブラシレスDCモーターとは異なり、表面磁石型モーター(SPM)を採用。
SPMはローター構造が他と異なりシンプルで、イナーシャが低い。磁石の冷却も容易である。
-冷却のための別置きファンや冷却装置を使用しない設計とすることでシステム全体の低価格化を図る。
<FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社 転載許諾済み)>