不可逆になりつつある電動化、2030年に向けて拡大する電動車製品投入
2018.02.05世界の自動車各社が2017年に電動車戦略を明確にした最大の要因はリチウムイオンバッテリー価格の低下にあった。
2016年末に米国で発売されたGMのChevrolet Boltが採用したバッテリーセル価格は150ドル/kWh。
その後の努力により、2020年代には100ドル/kWh、2025年以降に100ドル/kWhを下回ることが可能、との見通しの下、自動車メーカー各社は2030年までの電気自動車(BEV)投入計画を明確にしつつある。
2017年12月には、量産型BEVに対する明確な戦略を示してこなかったトヨタが、ついにBEV投入計画を発表。
2020年代前半までに、中国に続いて、日本、インド、米国、欧州にトヨタとLexusで合計10車種以上のBEVを投入する計画である。
また、これまでBEVは小型車に限定して投入し、中型車以上は燃料電池車(FCEV)で対応する、としてきた分業戦略を見直し、乗用BEVは軽自動車から高級車まで、商用BEVは小型トラックから大型バス・トラックまでラインナップを拡大する計画である。
これにより、トヨタは2030年までにBEV/FCEVの販売をその時点の世界販売の10%に相当する100万台以上とする計画である。
但し、BEVとFCEVだけでは世界のZEV規制に対応できても、燃費規制には対応できないとの考えから、HEV比率を現状の3倍近くになる40%、450万台以上に引き上げることを表明した。
このためハイブリッド分野では、従来のHEVにPHEVを加えて全体として燃費改善を図る必要がある。
世界のBEV投入の動きを見ると、2016年末にGMが第2世代BEVとなるChevrolet Boltを発売したのに続き、2017年3月にはTeslaがModel 3を発売。
同年11月には日産がLEAFをモデルチェンジした。2010年代前半に投入された普及型BEVが20~30kWh程度にとどまっていた電池容量を拡大(Boltは60kWh、Model3は80kWh、Leafは40kWh)して航続距離を250~400kmに延長し製品魅力の向上を図った。
さらに、2020年代前半には世界の自動車メーカーが、第3世代のBEVを市場投入する計画で、投入モデル数を各社が発表するとともに、2019~2021年に生産開始されるBEVの主要部品・システムサプライヤーが決定されつつある。
目標達成に向け準備する中、自動車メーカー各社はBEVシフトの決意を固め、各社が2020年代前半から2030年に向けてBEV投入計画を積み増ししている。
<FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社 転載許諾済み)>