5G対応C-V2X、自動運転化・コネクテッド化に向け世界各地で実証実験

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より高度な自動運転技術・コネクテッド環境の実現に向け、高速で大容量な通信が行える携帯基地局を利用したCellular-V2X(C-V2X)技術の開発が進んでいる。C- V2Xは、車車間通信(V2V)、路車間通信(V2I)に加え、歩行者との通信(V2P)、ネットワークとの通信(V2N)をも可能にする技術である。

既存の狭域通信であるDSRCより通信範囲が広く、高速通信の5GであればDSRCとほぼ同等の遅延速度(約1ミリ秒)が期待できること、自動運転やコネクテッドでは大容量通信が必須であることなどを背景に、5G領域拡大を望む通信業界の働きかけも積極的である。

欧州自動車メーカーやサプライヤー、通信企業を中心に5Gを利用したC-V2X技術の実装を推進する非営利団体5G Automotive Association(5GAA)が2016年9月に発足した。2018年3月時点で、GM、トヨタ、現代自グループを除く主要自動車メーカーが参加しており、ドイツを中心とした欧州、米国、韓国、中国、日本などで半導体メーカー、通信・インフラ会社と協力し、C-V2Xの実証実験を積極的に行っている。

ただし、C-V2Xの量産車への搭載は5G環境が整ってからの2020年以降となる。一方のDSRC技術も一部の国や地域で法制化の準備が進められ、VWが2019年からの全車標準搭載方針を打ち出すなど、標準化に向けた動きが活発化している。

【自動車業界、DSRC・C-V2Xの試験・実装計画】C-V2X関連の動向 3GPP、Release 14規格策定(~2017年)ドイツ、C-V2x実証実験(2015年~) 5GAA設立(2016年) 米国、C-V2xの実証実験開始(2017年~) 韓国、C-V2xの実証実験開始(2017年頭)、2018年:Qualcomm (QLCM). C-V2X 9150チップセットの商用サンプル出荷開始 欧州、C-V2x Direct 5.9GHz周波数帯を確定 日本·中国、C-V2xの実証実験を開始 2019年:QLCM、9150チップセット量産化 欧州自動車メーカー、4G LTE C-V2X実装開始、5G C-V2X実証開始 EU、5G C-V2x搭載義務化法案 2020年:欧州、5F C-V2X実証 2021年:欧州、5F C-V2X実証(可能性)、EU、5G V2X搭載義務化決定(可能性)2022年~:欧州自動車メーカー、5G V2X本格実装(2022年以降の可能性) EU、5G V2X搭載義務化(2023年の可能性)。DSRC関連の動向。~2017年:Audi、車載LTE/DSRC V2x(17MY~)Cadillac. DSRC V2V (17MY~) 米国、DSRC V2Xの法制化を立法案公告(2016年12月) 2018年:EU, V2Xセキュリティ/プライバシー関連法整備進展 2019年:5Gフェーズ1 (3GPP Release R15) VW Golf/Passat. DSRC V2X(19MY) 2021年:5Gフェーズ2(3GPP Release 16) 2022年:米国、V2V機器搭載義務化
(2021MYより搭載を開始, 2023MYにはすべての新車にDSRC搭載義務化を計画)。

C-V2X技術概要と関連団体

▽C-V2X

Cellular-Vehicle to Everything(C-V2X)は、自動車と他の自動車間(V2V)、自動車と道路設備間(V2I)、自動車と歩行者間(V2P)、自動車とネットワーク間(V2N)のコミュニケーションを実現する、自動車とあらゆるものを繋げる(V2X)コネクテッド技術である。

ー 従来の狭域通信(DSRC)と違い、ネットワークにも接続できるため、次世代通信規格である5Gなどの大容量で高速な通信環境で、モビリティ関連サービスなども同時に受けられる。

C2Xの4要素を表した図。Vehicle-to-Pedestrian Vehicle-to-Network Vehicle-to-Vehicle Vehicle-to-Infrastructure

電気通信関連の仕様を標準化するIEEE(米国電気電子学会)は、C-V2Xを含む5Gについて、ミリ波(Millimeter Waves)、携帯電話基地局(Small Cell)、次世代通信対応の大規模複数アンテナ(Massive MIMO)、ビームフォーミング(Beamforming)、単一チャンネルでの双方向同時通信(Full Duplex)の5つの技術要素が必要であるとしている。

5Gの5つの技術要素を説明するイラスト。Millimeter Waves、mall Cell、Massive MIMO、Beamforming、Full Duplex

ー ポータブルデバイスやスマートフォンの普及、ウェブサービスの拡大、自動運転・コネクテッドなどの需要対応により、現在使われている周波数3kHz~5GHz帯が混雑化し、通信速度が落ち込むことが予想されている。これを受け、モバイルでは使用されていない領域を開放する目的で、研究者たちが短波長帯30~300GHzでの通信を試験的に行っている。将来的に周波数が拡大されるとデバイス量・通信量が増えてもそれぞれの通信が高速でスムースに行える。

ー ミリ波は、高周波になるほど建物などの障害物を通り抜けることができず、また、木や雨などの自然物に吸収され易くなる特徴があるため、セルタワーと呼ばれる電波中継塔を各所に設置し、長距離通信を可能にしている。

しかし、電波中継塔だけではすべての通信をスムースに行えないため、スモールセル携帯基地局をいくつも配置し、障害物などに通信妨害されにくい環境を作る。

 

スモールセル携帯基地局と電波中継塔を設置することで障害物などに通信妨害されにくい環境になる、ということを表すイラスト。

ー 現行の4Gアンテナは1つの基地局につき12ポートであるが、Massive MIMO(Multiple Input Multiple Output)と呼ばれる大規模複数アンテナは1基地局につき100ポート装備できる。Massive MIMOを利用すると、全体で約22倍以上のキャパシティ拡大が可能。

一方で、ポートが複数集合することでそれぞれの通信シグナルが干渉する恐れがでてくる。これを緩和するのがビームフォーミングと呼ばれる技術要素である。受けたシグナルから、特殊なアルゴリズムにより通信デバイスの位置を特定。最も効率的な方向にそれぞれのシグナルを送り返しスムースな通信を行う。

Massive MIMOの構造を説明するイラスト。

通信シグナルの緩衝を緩和するための技術要素の説明イラスト。

ー 通信は基本、トランシーバーのように送信・受信のいずれか一方向にしか行うことができない。高速切り替えが可能なシリコントランジスタを利用し、双方向通信に対応したレシプロシティ(相互・往復)を可能にしたのがFull Duplexの技術要素である。

シリコントランジスタのイメージ図

▽5GAA

5Gを利用したC-V2Xを推進する5G Automotive Association (5GAA)は2017年12月、5.9GHz帯を使用した既存の狭域通信技術DSRCとワイヤレスネットワークであるC-V2Xの併用により、DSRC技術のみを使用したケースより、市場に利益をもたらすことを報告書としてまとめた。

ー 5GAAによると、2035年の欧州市場でDSRCのみの普及を想定した場合の経済効果が200億ユーロであるのに対し、混在シナリオでは最大で430億ユーロの経済効果が得られるとした。

ー 5GAAは、Audi、Daimler、BMW、Intel、Qualcomm、Ericsson、NOKIA、華為技術の8社が設立した自動車向け5G通信規格標準化を目指す非営利団体。2016年9月に発足した。

【5GAA参加企業・団体(2018年3月9日時点)】IEEE. 5GAAなどの公式サイト、 Qualcommを含む各社広報資料を基にFOURIN作成 自動車メーカー:vw. Audi. Daimler、BMW、 PSA. JLR. Ford、日産、ホンダ、上汽集団、北汽集団。サプライヤー:Bosch, Continental, ZF. Valeo, Infineon Ficosa. FEV、Intel. Qualcomm、デンソー、 日立、パナソニック、ローム、村田製作所、 住友電気工業、沖電気、Samsung, LGなど 通信系企業:AT&T. Verizon. T-Mobile. Telekom Austria, NOKIA. Ericsson. Vodafone. Softbank. NTTドコモ、KDDI、SK Telecom、KT、 華為技術、ZTE、中国聯通、中国移動など その他企業・団体:北京工業大学など 合計75企業

2017年4月、5GAAは移動通信の標準化団体3GPP(Third Generation Partnership Project)にMarket Representation Partnerとして参加。技術仕様決定に、市場ニーズを反映した要請ができる立ち位置を獲得した。

2017年2月、5GAAは、欧州自動車通信連合(EATA)との提携のため覚書合意書(MOU)を締結。V2X通信技術の標準化だけでなく、自動運転ソリューションでも協力していく。

▽3GPP

3GPPは2018年3月時点で、C-V2Xに関する直接通信とネットワーク通信2種類のモード定義(Release 14)や、5G NR(New Radio)の仕様策定に関するRelease 15(~2018年9月)、5G標準化フェーズに関するRelease 16(~2019年末頃)などを発表している。

DSRC、LTE C-V2X、5G C-V2Xの特徴比較を表した表

半導体メーカー、最近の主なC-V2X/5G製品開発動向

▽Qualcomm

2017年9月、Qualcommは5G(4G・LTE)対応のC-V2X用チップセットQualcomm 9150 C-V2Xを発表。また、9150 C-V2Xに組み込まれるQualcomm C-V2X Reference Designも発表した。

ー 9150 C-V2Xは、3GPP Release 14の直接通信PC5仕様に準拠したチップセットで、携帯基地局経由通信Uuにも対応している。

ー C-V2X Reference Designは全球測位衛星システムGNSSに対応。高度交通道路システム(ITS)のV2Xスタックやハードウェアセキュリティモジュール(HSM)なども含まれる。

ー 2018年後期よりサンプル出荷開始予定。

Qualcommは、自社の提唱するC-V2Xが渋滞緩和や道路安全のほかにも、アクティブセーフティ、状況認識、自動運転機能を向上させるとしている。

ー 直接通信では、車速150km/h以上の高速走行時でも対向車と通信が可能。混雑時でも効率的な距離を保って追従走行ができる。また、デバイス同士が直接通信を行うため、携帯電話のようにSIMが不要。GNSS機能を使用するためネットワーク接続は不要。

ー デバイス間の直接通信有効距離はDSRCが150m前後に対し、C-V2Xでは約2倍の300mほどに拡大する。車速150km/hで走行中に渋滞の最後尾となっても、C-V2Xの直接通信のほうが有効距離が長いため、安全に停車できる可能性が高くなる。

ー 携帯基地局経由通信では、数km先の交通状況や通行止め、駐車場の空き状況などを確認できる。また、インフラなどから映像を受信し、交差点に差し掛かる前に道路状況をバードアイビューなどで確認することが可能となる。

【Qualcomm、C-V2xの概要】PC5インターフェース 直接通信:端末間通信のフレームワークを流用し、ハイ ドップラー、高密度環境、同期、低遅延を実現、802.11 pに比べて通信距離の拡大 セルラーのカバレッジ外での運用も可能 車車間通信に必要な低遅延をサポート 直接通信を用いた路側機。Uuインターフェース:携帯基地局経由通信 路側機としてLTE/ 5Gの基地局を流用 携帯電話ネットワークが提供する広いカバレッジ を利用したV2xサーバーへのアクセス EMBMSなどのネットワークからの同報通信機能を利用した車への情報提供 直接通信では届かない距離でも基地局を介して 通信(5Gのネットワークでは低遅延が実現)。

▽Intel

2018年2月、Intelは2020年東京オリンピックに向け、5Gコネクテッドカーを含むコネクティビティ、ネットワーク・インフラ整備などでNTTドコモと協力し、5Gサービスの提供を行うと発表した。

2017年11月、Intelは5Gに対応したチップセットのラインアップを発表。Intel XMM 8000シリーズは、パソコンや携帯だけでなく、車載チップとしても利用できる。

ー 周波数6Ghz未満の帯域と25GHz帯の新たなミリ波帯でも使用可能。Intel XMM 8000シリーズは、2019年後半に発売予定。

▽NOKIA

フィンランドに本拠地を置く通信インフラ設備を手がけるNOKIAは2018年2月、Qualcomm子会社Qualcomm Technologiesと相互運用性テストを終了したことを報告した。

ー 試験は既に商用化されているNOKIA製の無線アクセスソリューション基地局AirScaleとQualcomm製のプロトタイプデバイスを使用し、3GGP 5G NRのRelease 15に準拠した周波数3.5GHzと28Ghz帯で行われた。

ー フィンランドOuluにあるNOKIAの5Gセンターで2018年中に実地試験を開始する予定。

ー 2019年頃に5Gサービス提供を予定している。

2018年2月、NOKIAは開発したReefSharkをベースにC-V2X用に開発を進めていることを発表。信号処理やAIシステムのライセンシングを行っているCEVAと協力し、開発を進める。

ー ReefSharkは、2018年2月に4.9G~5 Gに対応したチップセットとして発表された。3GPPベースの5G NRに準拠しており、携帯やV2Xを含む自動運転向けの5G通信に対応する。ReefSharkのデータ送信速度(情報処理能力)は最大84ギガバイト/秒で、既存の28ギガバイト/秒の3倍の速度。消費電力を最大で従来の64%抑制した。

また、Massive MIMOに対応しており、アンテナのサイズを従来平均の半分程度に収めることが可能であるとしている。モバイル向けの通信実証実験は2018年第3四半期には終了し、さらなる開発を行うとしている。

▽華為技術

2018年1月、華為技術はContinentalとともに中国上海にあるコネクテッドカー試験場でC-V2Xの実証実験を行ったことを発表した。

ー 通信の確実性・遅延などを検証。華為技術のプロトタイプのC-V2Xモジュールとインフラを使用し、試験を行った。

ー 共同試験では、緊急ブレーキライトや停止車両警告などのユースケースを想定。試験結果では、平均遅延11ミリ秒、単一のイベントメッセージの遅延時間8ミリ秒を達成した。また、試験全体でパケット受信率はほぼ100%であったと報告している。

ー 華為技術の無線ネットワーク開発ディレクターLu Xiaofeng氏は、C-V2Xへの投資継続を表明している。

その他、華為技術は2018年2月に、3GPP 5G NRに準拠した5GチップHuawei Balong 5G01を発表。発表時点では携帯電話向けをメインとしたが、今後C-V2Xにも利用する模様である。

主要自動車メーカー・サプライヤー、C-V2X・5G関連技術の主な採用・試験状況

▽Audi

2017年2月、Audiは華為技術とVodafoneとともにスペインBarcelonaでC-V2Xのデモンストレーションを行った。

ー デモンストレーション内容は4つのシナリオで構成。先行車両からの映像で前方を確認するシースルー、信号が赤に変わるタイミングをドライバーにアラートで知らせるトラフィックライト警告、モバイル通信を介した歩行者検知アラート、周囲のコネクテッドカーのブレーキ状況や車線変更状況をアルゴリズムで解析し緊急停車する緊急ブレーキを実演した。

▽BMW

2017年2月、BMWはEricssonと韓国のSK Telecomとともに韓国永宗島で5Gコネクテッドカートライアルを行い、その結果を一部報告した。

ー 車速170km/h時に、最大で3.6ギガバイト/秒の通信速度を記録。25GHz帯での5Gネットワークを利用した。

ー 高速走行時でも安定した通信を行うための試験が目的。

その他、BMWとVodafoneが自動運転向けの5G実装を目指し協力していることを一部報道が伝えている(2017年10月)。

▽PSAグループ

PSAグループは2018年2月、Qualcommと協力し、フランスRennesでC-V2Xの通信トライアルを行うことを発表した。

ー トライアルは、3GPPの5.9GHz帯とITSを利用。Qualcomm 9150 C-V2XのチップセットとReference Platformを搭載したPSAのデモカーで行われる。

ー 直接通信を含むC-V2Xを利用したADAS技術のデモンストレーションが目的。車の加減速により、インフラやC-V2X非対応を含めた周囲の車がどのようにコミュニケーションするかを検証する。このトライアルを通し、2020年からのC-V2X実装を目指す。

ー 2018年3月に開催されるイベントIn & Out Digital MobilityでC-V2Xのトライアルを行う。フランス初の試みとなる。

▽Ford

2017年10月、FordはQualcomm、AT&T、Nokiaとともに、米国California州San DiegoでC-V2Xの実験を開始することを発表。試験場はSan Diego Regional Providing Groundで、ITSプロバイダーMcCainやSan Diego Association of Governments、Chula Vista市、California州DOT(運輸省)などが協力する。

ー 同実験では、より安全な走行、自動運転、交通効率などを含め、C-V2Xの直接通信を含む技術の可能性を検証する。また、自動車メーカーや道路インフラに関わるオペレーターに、C-V2X導入によるコスト効率の面からもアピールする計画である。

ー Ford車両にQualcomm 9150 C-V2Xを搭載し、AT&Tの4G LTEネットワークとNOKIAの技術を採用したITSプラットフォームを使用して検証する。McCainは、これらの通信が効率よく行われるよう、既存の信号機を制御するインフラを提供。

ー AT&TのセルラーネットワークとNOKIAのクラウドインフラで、リアルタイムマッピングアップデートやルート上のイベント情報通知などの検証も行われる。C-V2Xの直接通信は5.9HGz帯で行う。

ー Fordは2018年1月、米国Nevada州Las Vegasで開催されたCES 2018でC-V2Xを使用したスマートシティ化のプラットフォームを発表。Qualcommとは今後も密に連携していく意向を示した。

Ford、C-V2Xを含むスマートシティ構想イメージ図

▽日産

日産は2018年1月、Continental、Qualcomm、Ericsson、NTTドコモ、沖電気と日本でC-V2Xの実証実験を行うことを明らかにした。

ー 実証実験用の日産車両に、Qualcomm 9150 C-V2X Reference Designを用いたコネクテッドカー向けシステムをContinentalが構築。日産は車両提供のほか、技術を評価するためのテストシナリオ構築、V2Xのユースケース選定を行う。沖電気はV2Iによる各種アプリケーションの適用可能性を検証、Ericssonは基地局のインフラやV2Nユースケースの検討、NTTドコモはLTE Advanced (LTE-A)ネットワークとV2Nアプリケーションを提供する。

ー 直接通信では5GHz帯の通信距離や信頼性、低遅延特性の評価、LTE-Aネットワークとの通信相互補完の効果を検証予定。

ー 2018年1月時点では、2018年中の実証実験に向けて準備を進めており、V2V、V2I、V2PにはC-V2Xの直接通信技術、V2NについてはLTE-Aを用いて実験を行うことを検討している。

ー 今までは、ETCなどの5.8GHz帯を使用したDSRCが主流であったため、携帯基地局C-V2Xの実証実験は日本で初の試み。

ー 2019年にサービスが開始される5G NRを想定した実証実験。

▽Bosch

2018年3月、Boschは華為技術とVodafoneともにドイツBayernにあるA9高速道路で行っていた実証実験が完了したと発表した。3社は、アダプティブクルーズコントロール(ACC)などのADAS機能と5Gを介したC-V2Xのリアルタイム活用は、より効率的で安全なドライビングを提供すると結論づけた。

ー 3社が2018年1月より行っていた実験で、2017年仕様のBoschのACCと5Gネットワークを使用。

ー Boschは、ACCと直接通信を含むC-V2Xを組み合せることで、リアルタイムの周囲の車両情報から、ドライバーへの警告だけでなく、ACCの加減速を自動で最適化したと報告した。ネットワークへの接続がなくても、300m先の交通状況や車両後方状況などに関する情報をリアルタイムでドライバーや車両に伝えられるC-V2X技術は、道路交通全体の効率化に貢献すると述べた。

▽その他

SWARCO(オーストリア)は2018年2月、Qualcomm技術を採用したコネクテッド向けC-V2Xインフラソリューションのデモンストレーションを行い、早ければ2019年に実現するC-V2X実装に向けて自社のITS技術をアピールした。

ー デモンストレーションには、米国子会社McCainのSignal Phase and Timing(Spat)などのリアルタイムトラフィックデータを使用し、路側インフラRoadside Unitを介してQualcomm 9150 C-V2Xとどのように通信を行い、交通を最適化するかなどを盛り込んだ。

ー 2016年8月、SWARCOは米国McCainを買収した。

2018年3月、中国の通信モジュールを手がけるQuectel Wireless Solutionsは、Qualcomm Technologiesと協力し、中国での5GのC-V2X対応のモジュールを開発することを発表した。今後も自動車セクターに積極的に投資を行う姿勢も明らかにしている。

その他、2018年2月、中国のテレコミュニケーションシステム会社ZTE Mobile DevicesがQualcomm 9150 C-V2XチップをベースにしたC-V2Xモジュールを開発し、市場投入する計画を発表した。

【参考】主要自動車メーカー、DSRC実装に関する動き

▽VW

VWは2017年6月、自社のDSRC技術pWLANを実装したモデルの市場投入を2019年から開始することを明らかにした。

ー pWLANは、V2V・V2IをDSCRで繋ぎ、交通事故減少を目的とする技術。2019年以降には、リアルタイムの交通状況や事故情報、その他関連情報を車両間で共有可能にする計画。

▽GM

2017年5月、GMはCadillac CTSに搭載したDSRCベースのV2V技術の公道デモンストレーションが成功したことを報告した。

ー 測位にGPSを使用し、車両から1,000フィート(約305m)離れたところから毎秒1,000メッセージを処理できるDSRCを採用。

ー 北米向け2017 Cadillac CTSセダンに同V2V技術を標準搭載。

▽トヨタ

2017年9月、トヨタはDSRCを支持する旨を記した白書を公開。

ー 2013年から推進されているDSRC向けの5GHz通信の実装に向け取り組んできた実績や、各国のマーケットリーダーであるトヨタ、VW、GMがDSRC技術実装の開始もしくは具体的な実装計画を発表していることなどを挙げ、今後もDSRC技術実装を進めていく方向性を示した。

▽ホンダ

2017年11月、米国Ohio州ColumbusでDSRC技術の実験を行うことを発表。Smart City Challengeの一環として行う。

ー 2018年にインフラ敷設後、実験を開始する予定。

FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社 転載許諾済み)>

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