OA機器メーカーからの転職急増中 約半数が自動車業界に転職する理由とは
2018.10.19ペーパーレス化の影響で需要が先細っているOA機器メーカーから、自動車業界に転職する人が増加中。どうしてOA機器メーカーから自動車業界への転職が活発化しているのか、その理由を解説します。
先行きが不安なOA機器メーカーからの転職が増加中
世界的なペーパーレス化の進行で、複合機市場は頭打ちとなっています。ビジネス機械・情報システム産業協会の発表によると、17年度の国内主要メーカーの複写機・複合機の出荷額は8996億円(前年度比1.6%減)でした。リーマンショック後の09年度(7096億円)と比べると回復していますが、10年前の07年度(1兆590億円)からは1500億円以上縮小しています。
売り上げの8割近くを複合機関連事業が占めるリコーは、17年度に1157億円の営業赤字を計上。同年度にリストラも実施しており、従業員数は1年間で8000人近く減少しました。
こうしたことから、先の見通しが立たないOA機器メーカーの将来に不安を抱く人が増加しており、ほかの業界への転職が活発化しています。
転職先は自動車業界が半数 OA機器の技術を転用可能
株式会社クイックの転職サービスを利用して、2017年度にOA機器メーカーから転職した人の転職先を調べたところ、最も多かったのは自動車関連メーカーで48%でした。OA機器メーカー出身者の実に約半数が自動車業界を転職先に選んでいます。
これは、自動車の開発にOA機器メーカーで使われている技術が求められているからにほかなりません。
自動車業界は「100年に一度の大変革期」を迎えており、日々新たな技術の開発が行われています。現在の自動車は多くの部分が電子制御で動いており、巨大な電子機器と言えるほどの変化を遂げました。
これまでは機械工学系のエンジニアが中心に活躍していましたが、自動車の変化に伴って電気・ソフト系エンジニアのニーズが急増中。異業界からの中途採用が活発化しています。
なかでも、画像処理・画像認識の技術を持つエンジニアは、自動車の自動運転などで必要なセンシング技術の開発にスキルを転用できるため、自動車業界でのニーズが高まっています。
日本では車離れが進んでいると言われていますが、世界規模で見ると自動車の販売台数は右肩上がり。先行きが不安な業界から抜け出したいと考えている人にとって、日本の基幹産業でもある自動車業界は魅力的に映ります。
OA機器は既に速く美しく印刷できるようになっているため、革新的な技術が生まれる可能性は高くありません。このため、交通事故を減らす自動運転や、二酸化炭素を排出しない電気自動車といった最先端で社会的意義のある製品の開発に携われることも、OA機器メーカー出身者が自動車業界を転職先に選ぶ理由となっています。
(オートモーティブ・ジョブズ編集部 山岡結央)