その転職、見直した方がいいかも?自動車業界の採用アナリストが教える3つの意外な転職NGパターン
2019.01.23自動車業界で働くエンジニアにとって、転職は当たり前の選択となりつつある。とはいえ、転職が人生を左右することに変わりはないため、失敗するのは避けたいところ。オートモーティブ・ジョブズの自動車業界採用アナリスト 関寺庸平に、陥りがちな3つの転職NGパターンについて話を聞いた。
NGパターン1 1社しか応募せずに転職する
1つ目のNGパターンは「1社しか応募せずに転職する」。むしろ1社に絞って応募した方がスムーズなのではないでしょうか?
関寺:確かに応募社数を絞った方が転職にかかる期間は短くなりますが、1社の応募では自分の市場価値を把握しづらいのです。自動車業界の中途採用は、持っているスキルによって待遇が大きく変化します。自分の経験でどんな仕事ができるのか、どのくらい年収がもらえるのか…こうしたことは、複数の会社に応募しないと分かりません。働きながらの転職活動はタイトなスケジュールになってしまいますが、2社以上の内定を目指して複数の会社に応募するのが理想です。
たくさんの求人情報を見て、一番良いと思った1社だけに応募するのではダメなのでしょうか?
関寺:実際に選考を受けてみないと分からない部分がほとんどなので、求人情報を見るだけでは不十分です。仕事内容は経験に合わせて決まることもあるため、面接を通してほかのポジションを提案される場合もあります。職場の雰囲気も、求人情報や会社のサイトから掴み取るのは難しい。会社に足を運んで面接を受ければ具体的な仕事内容を聞けますし、職場の雰囲気を体感することもできます。
NGパターン2 早期退職に応募してから転職活動をはじめる
2つ目のNGパターンは「早期退職に応募してから転職活動をはじめる」。
昨年の10月末には、ゼネラル・モーターズが1万8000人の早期退職を募集すると発表し、話題になりました。早期退職は自動車業界で働くエンジニアにとっても他人事ではなくなっていますが、どうして早期退職に応募してから転職活動をはじめるのがNGなのでしょうか?
関寺:早期退職に応募してから転職活動をはじめる場合、転職先が決まる前に退職となってしまう可能性が高いからです。早期退職は一般的に応募から2カ月ほどで退職を迎えますが、働きながらの転職活動はそれ以上の期間がかかります。離職状態だと経済的な不安も抱えてしまうので、早期退職に応募してから転職活動をはじめるのはおすすめしません。
とはいえ、早期退職が発表される前から転職活動を始めるのは難しい気がします…
関寺:早期退職は、公式発表の前に社内で噂が流れることも少なくありません。こうした噂を耳にした段階で転職活動を始めると、退職前に転職先を決められる可能性が高まります。早期退職が実施されるかどうかに関わらず、転職を検討しはじめた段階で求人探しをしてみるなど、早め早めに行動するのがおすすめです。
NGパターン3 「この人が苦手だから辞めたい…」という理由で転職する
3つ目のNGパターンは「『この人が苦手だから辞めたい…』という理由で転職する」。苦手な人から離れるために転職に踏み切る人は、少なくないと感じています。どうしてNGなのでしょうか?
関寺:人間関係が理由で転職した人は、「転職しない方が良かった」と後悔するケースが多いからです。早く辞めるために焦って転職先を決めると、仕事内容や年収などを冷静に吟味できず、別の不満がうまれてしまうことも。職場の人間関係は実際に働いてみないと分からないので、転職先で同じ悩みを抱えてしまう可能性もあります。
では、どうすれば後悔せずに済むのでしょうか?
関寺:まず、仕事のやりがいや給料など、さまざまな条件の中で人間関係の優先度がどのくらい高いのかをじっくりと考えましょう。人間関係よりも優先度が高い条件がある方は要注意。なぜなら、人間関係を最重要視して転職先を探してしまうと、ほかの条件がダウンしてしまう可能性があるからです。苦手な人と関わらないチームへの異動を申し出るなどして、今の会社に留まった方がいいかもしれません。
もちろん、心身に不調を来すほど悩んでいる場合は転職すべき。自分の状況に合わせて判断するようにしましょう。
(オートモーティブ・ジョブズ編集部 山岡結央)
関寺 庸平
NHKや日本経済新聞に、自動車業界・製造業の転職市場についてコメントを提供している。前職では上場メーカーで技術営業をしていた。