転職回数が多くても採用されるには、転職理由を正直に話すのがコツ

2019.09.27
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オートモーティブ・ジョブズの自動車業界採用アナリスト 関寺庸平が、キャリアに関するお悩みにお答えします。

【今回のお悩み】
今年35歳で、すでに4回の転職を経験しました。現在の会社で定年まで勤めるつもりだったのですが、残業時間が想定以上に多かったため再び転職を検討しています。転職回数が多いと採用に悪影響を与えてしまう可能性はあるのでしょうか?


編集部:
今回は、転職回数に関するお悩みです。

関寺:実際、転職回数の多さを不安に感じている方は少なくありません。この方は35歳で転職回数が4回ということですが、同年代と比べるとやや多めですね。30歳では3回以上、40歳では5回以上あると多めだと言えます。

編集部:やはり、転職回数の多さはハンデになってしまうのでしょうか?

関寺:いいえ、必ずしもそうではありません。転職回数が多くても、経験やスキルがマッチすればOKだと判断する企業は多数あるんです。とはいえ「採用してもすぐに辞めてしまうのでは」と思われてしまう可能性はあります。選考ではこの懸念を払拭するよう意識してください。

編集部:どのようなことに気をつければいいのでしょうか?

関寺:これまでに勤めた企業の転職理由を正直に伝えることです。

編集部:えっ!? 正直に伝えてしまっていいんですか!?

関寺:「転職理由は前向きなものを伝えましょう」とよく言われていますが、無理に取り繕っても見透かされてしまいます。正直に伝えて、それぞれの転職にきちんとした理由があると理解してもらうことが大切。きれい事を並べてしまうと「どうして転職を繰り返しているのか」という本心の部分が分からないままなので、「採用してもすぐに辞めてしまうのでは」と思われかねないんです。

編集部:でも、正直に言うと悪い印象を与えてしまいそうです。

関寺:もちろん、正直に伝えた結果不採用になる可能性もあります。例えば、「転勤が決まったため転職を決意した」と言うと、「将来的には転勤もありえるから、ウチの会社に合わない」と判断されるとか。ですが、仮に転勤が嫌という気持ちを隠して採用されたとしても、その後転勤になったら元も子もないですよね。転職理由を正直に伝えるのは、自分が応募先の会社に転職することで不満を解消できるかのジャッジにもつながるんです。

編集部:たしかに……。とはいえ、今回のお悩みのような「残業時間が長いから辞めたい」といった理由は言いづらいです。

関寺:残業時間を理由に転職したい場合は、現在の1カ月あたりの残業時間を伝えたうえで、プライベートの時間を確保したい理由を伝えるようにしましょう。三六協定が守られていないほど残業時間が長い場合は、その旨を伝えるだけでOKです。「人間関係がうまくいかなくて辞めたい」という方は、「意見を聞き入れてもらえなかった」「コミュニケーションの少ない職場だった」など、具体的な内容を伝えてください。パワハラだと認識されるほどの問題であれば納得してもらえる場合がほとんどです。正当な理由があると理解してもらうのが大切なんです。

編集部:正直に話すといっても、会社への不満をそのままぶつければいいというわけではないんですね。

関寺:短いスパンで転職を繰り返している方は、面接で1社1社の転職理由を聞かれる可能性もあるので、きちんと答えられるように準備をしておきましょう。職務経歴書を作るタイミングで「どうしてこの会社を辞めようと思ったのか」を改めて思い返しておくとスムーズです。

ゴールは「転職すること」ではなく「自分に合った場所で働くこと」。無理に取り繕おうとせず、ありのままの自分で挑んでみてください。

関寺 庸平
自動車業界専門の採用アナリスト。電気・機械・ソフト系技術者への転職支援で実績を築いており、エンジニアのキャリアに詳しい。
NHKや日本経済新聞に、自動車業界・製造業の転職市場についてコメントを提供している。前職では上場メーカーで技術営業をしていた。
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