ボッシュ、ドレスデンで最先端ウェハ製造工場の建設を開始
IoTと未来のモビリティに不可欠な半導体
ボッシュは、ザクセン州ドレスデンにおいて、最先端のウェハ製造工場の建設するための起工式を行ったことを発表した。この工場はおよそ10億ユーロをかけて建設され、2019年後半に完成、2020年に操業を開始する予定である。
起工式において、ロバート・ボッシュ社の取締役会メンバー、Dirk Hoheisel氏は、次のように述べた。
「この工場は、人々の生活の質と道路の安全性を向上させるための基礎となります。半導体は、モノのインターネットと未来のモビリティにとって重要な技術です。例えば、車のコントロールユニットに取り付けられた場合、車は、自動で効率的な走行が可能となり、乗員を最大限に保護します。」(プレスリリースより引用)
また、ドイツの経済大臣であるPeter Altmaier氏は、挨拶の中で、ボッシュの投資の中心的な重要性を強調し、次のように述べた。
「我々は今日、工業地帯としてのドイツの将来の競争力を確保するために重要な一歩を踏み出しました。ドイツとヨーロッパの研究コミュニティは優れていますが、その栄誉に甘んじる余裕はありません。マイクロエレクトロニクスの分野では、ドイツとヨーロッパにおいて、エンジニアリング技術とノウハウ、特に工業規模の製造とアプリケーションが必要です。」(プレスリリースより引用)
高度なマイクロエレクトロニクス技術が集結
ドレスデンの新工場は、ボッシュグループにとって、ロイトリンゲンに次ぐ、ドイツで2番目のウェハ工場である。この工場により、同社は製造能力を拡大し、世界市場での競争力を高めることを目指している。新工場は、サッカー場約14個分となる約10万平方メートルの敷地に、約7万2,000平方メートルの複数階建てのオフィスと生産スペースが設けられる。高度に自動化されたチップ製造プロセスで、最大700人の従業員が、生産の計画と管理、および監視を行うこととなる。
ドレスデンは、優れたマイクロエレクトロニクス技術が集結した場所であり、自動車サプライヤーやサービスプロバイダー、技術的専門知識を提供する大学などがある。さらに、ドレスデンはインフラも優れていて、交通機関の接続も良好である。
ザクセン州のMichael Kretschmer知事は、次のようにコメントした。
「新工場の建設により多くの雇用が創出されるとともに、テクノロジーとビジネスの場所としてのザクセンの名声が強化され、ドイツとヨーロッパにも良い結果をもたらすでしょう。このプロジェクトは、将来の技術におけるヨーロッパの産業全体のために、主導的役割を果たすことが期待されます。このような大規模なプロジェクトへの投資は、ザクセンと住民、ここに設立された研究および産業ネットワーク、そしてその革新性に対する自信の表れです。」(プレスリリースより引用)
最先端の半導体工場
半導体チップの製造では、ウェハの直径が大きければ大きいほど、製造サイクルごとに製造できるチップが多くなることから、ボッシュの新工場では300mmウェハの製造に注力する。従来の150mmおよび200mmウェハファブと比較して、300mmウェハ技術は、より大きな規模の経済を提供することとなる。半導体は、マイクロメータの単位で測定される構造を有する極小の集積回路であり、製造するには、数週間にわたって数百の個別ステップからなる高度に自動化された複雑なプロセスが必要である。周囲の空気中にある最も小さな粒子でさえ繊細な回路を損傷する可能性があるため、クリーンルーム条件が必要となる。
半導体のチップ製造では膨大なデータが生成されるが、ドレスデンの新工場では、人工知能を使用してプロセスを最適化するために自分のデータを分析することで、チップの品質は上昇し、製造コストは下がる。
さらに、プロセスエンジニア・数学者・ソフトウェア開発者などウェハ技術の専門家は、いつでもこの生産データにアクセスして、新しいウェハ製品の開発を加速し、製造プロセスの早い段階で許容誤差を最小限に抑えることができる。
(画像はプレスリリースより)
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