フロイデンベルグ-NOK、摩擦を低減した自動車用シール「Levitex」を開発
プラットフォーム用エンジンに採用
フロイデンベルグ-NOKシーリングテクノロジーズは5日、ほぼ摩擦がない次世代自動車用シール「Levitex」を開発したことを発表した。このシールは、空気のクッションを持つ新しい機能によって、燃費の向上と、1キロメートル当たり約1グラムのCO2削減を実現しており、2017年にグローバルなプラットフォーム用エンジンに使用される。
Levitexシールは、最初にヨーロッパで生産されるが、同社は、顧客の需要の成長に合わせて、将来的には北米に製品を拡大する計画である。
空気のクッションで摩擦を低減
シールは、内燃機関において、オイルがエンジン内から漏れないようにするものであるため、エンジンとトランスミッションとの交接部分が重要なシーリングポイントとなる。一方、重要なトルクを熱エネルギーの損失に変換するエンジン回転では、かなり多くの摩擦を生成する。Levitexシールは、2つのリングで構成され、リングの1つは、わずか数マイクロメートルの深さの溝を有している。クランクシャフトが回転すると、空気が溝を囲むシールダムに対して引き出されるが、溝は閉じた先端に向け細くなっているので、囲まれた空気の袋小路をとなる。
これにより、1つのシール面を他のシール面と分離する空気のクッションを生成し、ほぼ摩擦のないシャフト用のシールとなるのだ。
量産のための準備として、シーリングリングの機能テストが実施され、マイナス40度から150度という極端な温度において、完璧な機能を実証。また「アリゾナダスト」のような試験用ダストや水の浸透も、シールの性能にマイナスの影響を与えることはなかった。
フロイデンベルグ・シーリングテクノロジーズ、戦略的製品開発のリーダーであるエーベルハルト・ボック博士は次のように言った。
「現時点では、安全で完全に摩擦がないクランクシャフトのシーリングを可能にする技術はありません。2020年に有効になる厳しいCO2削減目標に向けて、少しでも数値を向上させることが焦点となります。我々は、この革新的な技術で顧客を増やすことができると確信しています。」(プレスリリースより引用)
様々な技術でCO2削減に寄与
フロイデンベルグ-NOKは、次世代の車両におけるCO2削減のために様々な技術を提供している。革新的な素材「ACM 380」というゴム化合物に基づいた、低摩擦のSimmerringシールは、環境に優しい加硫促進剤を用いて製造されており、最大20%の摩擦を低減。
また、軸方向の位置にあるシールリップで汚れから保護しながら、クランクシャフトの摩擦を60%まで低減する、商用車用のカセットシール「CASCO」も提供している。現実的な動作条件下でのテストでは、CASCOシールは、160万キロメートルの走行に成功している。
最小限の摩擦で確実なシールという、本質的に矛盾する目標は、フロイデンベルグ-NOKのイノベーションによって、自動車業界のスタンダードになりつつある。同社は、軽量設計も含んだ、LESS(低排出ガスのシーリングソリューションズ)というイニシアチブで、持続可能なモビリティへ貢献している。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
Freudenberg Sealing Technologies News
https://www.fst.com