マーレ、点火システムのパッシブMJIを既存エンジンに簡単に統合できる技術を開発

ハイエンドのパワートレインにジェット点火が採用
マーレは、マーレパワートレインのパッシブマーレジェットイグニッション(MJI)技術が、最終的な機械加工プロセスに最小限の変更を行うだけで、既存のエンジン設計に簡単に統合できるようになったことを発表した。

パッシブMJIは、M12スパークプラグなどを使用するエンジンに、プレスインユニットとして取り付けることができる。

パッシブMJIシステムは小型プレチャンバーを備えており、点火すると、一連のノズルから非常に高速で加熱されたジェットが放出される。これにより、主燃焼室内に複数の点火部分ができて、非常に安定した燃焼が迅速に提供され、ノック軽減特性が大幅に向上する。

同社によれば、これにより高い圧縮比が実現し、テストでは燃料消費量が最大10%削減されることが測定されている。

マーレパワートレイン、新技術およびデータ管理担当の責任者であるAdrian Cooper氏は、次のように述べた。
「自動車業界が、内燃エンジン、ジェット、またはプレチャンバーからの効率とパフォーマンス向上のメリットを引き出す方法を模索するにつれて、点火技術が注目されるようになる。マセラッティの最近のエンジンV6ネットゥーノのようなハイエンドのパワートレインに、ジェット点火が採用され始めている。」(Auto Car Professionalより引用)

Cooper氏は、MJIのメリットを最大化するためのポイントは、自動車メーカーの要件を理解し、それに応じて正しい燃焼戦略を開発することであると強調し、次のように説明した。
「これらのシステムを統合した経験から、我が社は、低コストのハイブリッドICEから、小型で高比のパワーエンジン、さらには大型ガスエンジンまで、様々なアプリケーションに合わせてMJIを調整することができる。MJIシステムを統合するためのエンジニアリング作業は簡素化されているが、最大のメリットを得るには、他のエンジンシステムをさらに最適化する必要がある。最適化する方法には、より高い圧縮比、改良されたインレットカムシャフトプロファイル、ブーストシステムの再マッチングなどがある。」(Auto Car Professionalより引用)


F1などと協力し、高度な点火技術を量産エンジンに適用
マーレパワートレインは、MJIプレチャンバー点火技術の開発に関して10年以上の経験があり、ポートもしくは直接燃料噴射システムでの使用に適した、パッシブとアクティブシステムのいずれかを使用して燃焼を可能にしている。

Cooper氏の説明によれば、同社は、自動車メーカーやF1などの最高峰のモータースポーツと協力して、この技術の統合に10年近く取り組んできた。そして、パッシブMJIに関する最近の取り組みにより、高効率のパワートレインの一部として、既存の設計に後付けする場合でも、量産されたエンジンで採用できるようになった。

また、新型コロナウィルスのパンデミックという機会を利用して、コールドスタートと排出量のパフォーマンスをさらに向上させた。徹底した開発により、2つ目の点火ポイントを必要とせずにこれらの条件下で動作するシステムを設計し、コストのかかる再設計を必要とせずにシステムを既存のシリンダーヘッドに適用することを実現している。

そして、MJIを備えたエンジンを、従来の火花点火と同等の触媒着火機能で、マイナス8度でも確実に始動、および動作、実行するように適合させた。

マーレパワートレインは現在、80kWから120kWのアプリケーションにおける技術の可能性を示すためのデモンストレーターエンジンの開発に取り組んでいる。

(画像はAuto Car Professionalより)


▼外部リンク

Auto Car Professional
https://www.autocarpro.in/

Garage Wire
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Car Scoops
https://www.carscoops.com/