天然ゴム資源の簡易病害診断技術を確立 ブリヂストン

タイヤ生産に影響を及ぼしかねない「根白腐病」とは
ブリヂストンは11月30日、天然ゴム資源の採取源である「パラゴムノキ」に生じる病害の一つ、「根白腐病」の簡易病害診断技術を確立したと発表した。

根白腐病は、パラゴムノキ根白腐病菌(ネッタイスルメタケ)が根に感染し組織を腐敗させることで、樹木が枯死してしまう病気を指す。感染部位には、菌糸束および子実体(キノコ)が出現するのが特徴だ。

自動車等のタイヤ生産に必要な天然ゴム資源の多くがこのパラゴムノキに由来するなか、その栽培面積の9割以上がインドネシアをはじめとする東南アジアに集中しており、現地では根白腐病への対策が重要視されている。

根白腐病の早期発見を、簡易かつ正確な方法で可能に
ブリヂストンでは2010年よりインドネシア技術評価応用庁や複数の大学と共同で技術開発を進め、病害の早期診断を実現するべく取り組みを進めてきた。その同社が今回新たに確立したのが、栄研化学が開発した遺伝子増幅法「LAMP法」を用いた診断技術だ。

この技術においては、病原菌の遺伝子配列情報をもとに開発した試薬キットを利用。土壌中の病原菌に特異的なDNA配列を増幅・検出するLAMP法の特長を生かしつつも、特別な装置や知識、経験を必要としない、病害菌の簡易な確認が可能となっている。

これまで根白腐病の診断は目視に頼っていたため検出精度が低く、また発見の遅れや誤診が生じる場合もあったが、今回開発した技術ではこれらの改善に成功し、根白腐病の早期発見が実現した。

タイヤ原材料の「サステナブルマテリアル」化に向けて
モータリゼーションの拡大等によりタイヤ需要が世界的に拡大しつつあるなか、ブリヂストンでは2050年を一つの目安として、タイヤの原材料の100%を継続的かつ長期的に利用可能で環境・社会への影響を抑えた「サステナブルマテリアル」とすることを目指し、原材料の研究開発などを進めている。簡易病害診断技術のような、天然ゴムの生産性を向上させる技術の開発もその一環だ。

今回開発した簡易病害診断技術についてブリヂストンでは、根白腐病の早期発見ならびに感染拡大の抑制、さらには農園管理の面でも効果的であるとして期待を寄せている。同社は今後、各大学との連携を深めてさらなる開発を進めるとともに、パラゴムノキの保護と天然ゴムの安定供給につながる同技術の普及に努める考えだ。

(画像はニュースリリースより)


▼外部リンク

ブリヂストン ニュースリリース
http://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/