ZF、WABCOと協力して商用トラックに安全アシストシステムを導入へ

EUで安全装置や高度運転支援システムが義務化
ZFは6月29日、同社のハイウェイドライビングアシスト(HDA)と、WABCOの回避行動アシスト(EMA)を、試作車「ZFイノベーショントラック2016」に初めて導入したことを発表した。

現代のトラックは、安全性能を向上させる装置や高度運転支援システムを装備して設計されており、EUの規制でも、新規登録のトラックには、エレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)、高度緊急ブレーキシステム(AEBS)と車線逸脱警報システム(LDW)を装備することが義務づけられている。

ZFは、乗用車の技術を商用車へより多く移行させれば、迅速かつ効果的に運転者や他の道路利用者を保護できるように安全性がより向上するとの考えから、今回の開発を行ったもの。

トラック運転手が道路の障害物を確認できなかったり、減速させるのに失敗したりした場合に、EMAシステムは、推論して、ZF電気ReAXのパワーステアリングの制御を行う。

もし、滑りやすい路面でブレーキが追突を防止することができなかった場合や、カーブや丘の頂上の後など見通しの悪い場面で交通渋滞が突然発生した場合も、EMAは、トラックを独自に安全にアシストし、空いている車線や路肩に向けて、運転者のハンドル操作によって右または左へ導く。

突然に手動で回避操作を行うと、運転者は、障害物を避けるために、軽くハンドルを切る傾向があり、オフセット衝突で深刻な事故を引き起こすことになる。その代わりに、運転者が急に大きくハンドルを切ると、トラックは、スピンや転倒、複数レーンの横断をして、他者を危険にさらすことになる。EMAは、こうしたケースを防止することができるように設計されている。

WABCOの高度制御システムと結合
ハイウェイドライビングアシスト(HAD)と組み合わせた回避行動アシスト(EMA)は、ZFの電気油圧式ReAXパワーステアリングシステムとWABCOの電子ブレーキシステム(EBS)、高度緊急ブレーキ、電子安定制御(ESC)、車両運動制御システムなど、業界をリードするZFとWABCOの技術を兼ね備えたものだ。

具体的には、まず、システムがディスプレイ上で音響と視覚的によりドライバーに警告し、次に、触覚的なシグナルを発信して、最大3.5メートルメートル毎秒毎秒で適度に車両を減速、さらに、安定限界まで緊急停止を開始して、車両を停止させる。

ZF TRWの商業ステアリングシステム、シニア・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるミーチャ・シュルツ氏は、次のように述べた。
「我が社の革新的な機能は、どんなスピードでも、またどんなタイプのセミトレーラートラックでも、危険回避・ブレーキング・安定化を、自動的に同時に行います。この機能は、追突事故を回避し、我々の優先目標である『ビジョンゼロ』に向かって一歩近づくことに役立ちます。」(プレスリリースより引用)

複数センサーで異常を検知
ZFのハイウェイドライビングアシストは、注意不足や数秒のマイクロ睡眠から生じる、非常に深刻な影響から身を守ることができるものだ。

システムは、トラクタートレーラートラックが意図せずにレーンから出ると、即時に車両が車線にとどまるように警告を行い、また、どんなスピードにおいても、止まったり発進したりする機能を含む他車両からの安全な距離を維持する。

これは、道路標識を正確に監視するフロントガラスに取り付けられたカメラセンサー(S-CAM)、距離を計測するレーダセンサー(AC1000)など、複数のセンサーの組み合わせによって実現したものだ。AC1000は、高速における長距離の検出とともに、低速でも広い視野を提供している。

さらに、ZFがネットワーキングで注力しているのは、ReAXステアリングシステム付きのPreVision GPS予測シフト戦略を含む、ハイブリッド自動トランスミッションシステム「TraXon」と、ブレーキを組み合わせることなどがある。

シュルツ氏は、「ZFは、HADについて、約2年間で大量生産する準備ができている。」と述べた。

(画像はプレスリリースより)


▼外部リンク

ZF Friedrichshafen Press Releases
http://www.zf.com