【動画で解説】自動車業界で終身雇用が崩壊?生き残るためのポイントとは│7月の自動車業界転職市場
2019.07.17自動車業界全体の求人件数は前月比2%減、前年同月比26%増
最新のオートモーティブ・ジョブズのデータによると、自動車業界全体の求人件数は前月比2%減、前年同月比26%増となりました。
「アプリケーションエンジニア・プロジェクトマネージャー」(前月比5%増)や「実験・評価・解析」(同7%増)など5職種は増加しましたが、「購買・調達」(同11%減)や「生産技術」(同10%減)、「SCM・生産管理」(同10%減)など7職種は減少しています。とはいえ大幅な増減はなく、全体的に前月からほぼ横ばいという結果になりました。
リストラや事業の縮小…避けるには情報収集が大切
トヨタ自動車・豊田章男社長の「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」という発言が話題になりました。今月は、自動車業界の終身雇用の実態と、業界の変化に対応し生き残っていくためのポイントについてお話しします。
ほかの業界と比べて雇用が安定しているイメージがある自動車業界ですが、ここ数年で上司や同僚の離職が増えたと感じている方も少なくないのではないでしょうか。
かつての自動車業界は「新卒採用主義」と言われており、終身雇用が基本でした。しかし、リーマンショックをきっかけに状況は変化。リストラや新卒採用の大幅縮小に踏み切る企業が相次ぎました。この結果、必要なタイミングに合わせて実施できる中途採用を強化する企業が増加。景気が回復した後も新卒採用の苦戦やソフト系エンジニアのニーズ増などが相まって、多くの企業が中途採用に力を入れ続けています。
外資系に転職経験者が多いのはもちろんですが、日系大手自動車メーカー・サプライヤーでも転職経験者が社員全体の3割以上を占めているところが大半だと言われています。メーカーによっては転職経験者が半数を超えているところも。自動車業界ではすでに転職が一般化しており、終身雇用が崩壊していると言っても過言ではないでしょう。豊田社長の発言は、こうした状況の変化を改めて表明したものだと考えられます。
すでに終身雇用は保証されなくなっている時代。自動車業界を取り巻く環境は日々変わり続けているため、マーケットの変化によっては業績が悪化してリストラに遭う…ということにもなりかねません。リストラされない場合でも、望まないポストに出向になってしまったり担当する仕事が変わってしまったり、ボーナスが減額してしまったりすることもあります。
こうした状況に陥らないためには、日々の情報収集が大切です。勤務先や競合の動向だけではなく、業界全体の流れを把握して、自分の経験がどんな仕事・企業に生かせるのかを知っておきましょう。現時点のスキルだと先行きが厳しそうであれば、これからどんな技術や知識を身に付けていかなければならないのかを、今のうちから考えておく必要があります。
関寺 庸平
NHKや日本経済新聞に、自動車業界・製造業の転職市場についてコメントを提供している。前職では上場メーカーで技術営業をしていた。