転職で「嫁ブロック」発動。意見を聞き入れるべき?説得すべき?
2019.11.27オートモーティブ・ジョブズの自動車業界採用アナリスト 関寺庸平が、キャリアに関するお悩みにお答えします。
なんとなく見ていた転職サイトでいい求人を見つけて応募したところ、最終選考まで進みました。そこで妻に転職したいと打ち明けたら、「子どもがいるのに転職なんてあり得ない」と大反対。それからはまともに口もきいてもらえません。転職を諦めたほうがいいのでしょうか?
編集部:今回は、転職を家族に反対されている方からのお悩みです。
関寺:いわゆる「嫁ブロック」ですね。オートモーティブ・ジョブズにご相談に来る方のなかにも「妻が納得してくれない」と悩んでいる方がいらっしゃいます。
編集部:そもそも、どんな理由で反対されるのでしょうか?
関寺:一番多いのは収入面への不安です。転職すると年収が下がる可能性もあるので、「生活スタイルが変化してしまうのでは?」と反対されてしまうんです。特にローンやお子様の学費などが不安要素になりやすいですね。
編集部:今の会社よりも規模の小さい会社への転職だと、より不安に思われそうです。
関寺:そうですね。ほかに多いのは、「残業が増えそう」「転勤があり得る」「良くない噂を聞いた」といった理由です。帰りは何時くらいになるのか、職場の人間関係は良好なのか。実際に働いてみないと分からないことも多いので、「今の職場の方がいいんじゃない?」と思われるんです。
編集部:一度反対されると、説得できる気がしません…。
関寺:本音を言うと、転職活動を始める前に相談するのがベストです。今の会社がどんな状況なのか、どんなところに不満があるのか。悩んでいる段階できちんと伝えておくと、「それなら転職した方がいいね」と受け入れてもらえる可能性が高まります。
編集部:相談者のように、すでに転職活動をはじめてしまっている場合はどうすればいいんでしょうか。
関寺:一番大切なのは、しっかりと話し合うことです。まず、どうして転職に反対しているのかを聞いてみてください。その理由が収入に関することであれば、提示された条件をもとに年収や月々の手取りがいくらになるのか、今の収入からどのくらい変化するのかを具体的に伝えましょう。収入がアップする場合は安心ですが、ダウンする場合はその差額をどうやってカバーするのかも考えておきたいですね。
細かい条件はさておき、「転職自体が不安」という方もいます。こうした方に対しても、大切なのは具体的な話。転職後の生活がどうなるのかがイメージができるよう丁寧に伝えると、安心感につながります。
編集部:具体的な話をするためには、自分自身が条件を把握しておく必要がありますね。
関寺:もちろんです。面接や転職エージェントとの面談できちんと確認しておきましょう。
立ち向かおうとするのではなく、話し合う姿勢が大切です。「やりたかった仕事に転職できたとしても残業が増えたら体力的にキツいのではないか」「通勤時間が長くなったら趣味の時間が取れなくなるのではないか」。家族は転職する本人を心配して反対している場合も多いんです。家族の言うことが正論だと感じたら、転職を辞めるという選択ももちろんあり得ます。
転職後は慣れない環境で働くことになるので、家族の支えをありがたく感じるものです。双方が納得できる結論が出せるよう、きちんと話し合ってみてください。
関寺 庸平
NHKや日本経済新聞に、自動車業界・製造業の転職市場についてコメントを提供している。前職では上場メーカーで技術営業をしていた。