4月入社は「狙い目」ではない?かしこい転職活動の進め方を解説
2020.01.27オートモーティブ・ジョブズの自動車業界採用アナリスト 関寺庸平が、キャリアに関するお悩みにお答えします。
年が明けてから「今の会社は自分に合っているのか?」「もっとやりがいを感じられる仕事があるんじゃないか?」と転職を意識するようになりました。中途入社者が多い4月入社を目指せばほかの時期よりも内定が出やすそうなので、今から転職活動をはじめようかと思っています。まだ間に合うでしょうか?
編集部:今回は、今から転職活動をはじめようとしている方のお悩みです。
関寺:今から4月入社を目指すと、ややタイトなスケジュールになりますね。退職を申し出てから実際に辞めるまでに1カ月ほどかかるので、2月中には内定を獲得する必要があります。
編集部:そもそも転職活動にはどのくらいの期間が必要なのでしょうか。
関寺:求人チェックや応募書類の作成にも時間はかかるので、平均すると2カ月から3カ月ほどです。ピンとくる求人がなかなか見つからなかったり、選考が思うように進まなかったりすると、さらに長期化する可能性もありますよ。
編集部:そうなんですね…。4月入社を目指すと内定が出やすいというのは本当ですか?
関寺:たしかに、1月~2月は年度内に採用枠を埋めたい企業が中途採用を強化する時期です。この時期に内定が出ると4月入社になる場合が多いので、「4月入社を目指すと内定が出やすい」とお考えになるのも分かります。でも実は、転職しやすい時期とは言い切れないんです。
編集部:えっ、どうしてですか?
関寺:単純に、転職活動をする人が増える時期でもあるからです。中途採用が強化されるタイミングを狙う人や、キリがいい年度末の退職を想定してこの時期に選考を進める人…。比較対象となるライバルがいると、経験やスキルに自信がない方は特に転職の難易度が上がってしまいます。
編集部:では、転職に適したタイミングはいつなんでしょうか?
関寺:正直に言って、この時期がベストと言えるタイミングはありません。もちろん、年末に転職したら自分で確定申告をしなければならない可能性があるとか、ボーナスで損しないためには支給された直後に退職届を出したほうがいいとか、時期的な事情はあります。
編集部:それが現実なんですね…。
関寺:現在は1~2年前と比べて転職市場が落ち着いていることもあって、どの企業からどんな求人がいつ出るのかがわかりにくい状況です。「この時期に転職する」と決めるのではなく、長期的に求人をチェックして、いい求人と出会ったタイミングで応募するというのがベストな策。時期を優先していまいち納得できないところに転職するのは本末転倒ですからね。転職活動は焦らずじっくり進めてください。
関寺 庸平
NHKや日本経済新聞に、自動車業界・製造業の転職市場についてコメントを提供している。前職では上場メーカーで技術営業をしていた。