希望退職への応募に「待った」!割り増し退職金に隠れた落とし穴
2020.09.28オートモーティブ・ジョブズの自動車業界採用アナリスト 関寺庸平が、キャリアに関するお悩みにお答えします。
早期・希望退職者を募集する会社が増えてきている気がします。ウチの会社で実施するという噂は耳にしていませんが、いざ募集が始まったらどう動けばいいのかと、今から不安です。
編集部:自動車業界を問わず、早期・希望退職者を募集する企業をよく目にします。希望退職をきっかけに転職活動を始める方は多いのでしょうか?
関寺:現状は、そこまで多くありません。ですが、ニュースを見て漠然とした不安を抱え、転職活動を始める方は増えてきています。新型コロナウイルスの流行前と比べて、「この会社・業界に留まり続けていいのか」と悩んでいる方は多くなっていますよ。
編集部:そうした心境で希望退職者の募集が始まれば、「このタイミングで職場を変えてみようかな」と手を上げる方もいそうです。退職金も多くもらえますし。
関寺:応募したほうがいいのかな、と心が揺れるお気持ちは分かります。でも、実は希望退職に応募してから転職活動を始めるのはリスクが高いので、おすすめしていません。
編集部:それは、どうしてですか?
関寺:希望退職に応募すれば、退職日が決まってしまうからです。応募した後、実際に退職するまでの期間は約2カ月。この間に求人をチェックして、応募書類を作って、面接に行って、内定を獲得しなければなりません。「◯日までに転職しなければ」と締め切りがあるからこそ、焦りが生まれて転職先を吟味しきれないこともあります。
編集部:なるほど……。もし、退職日までに転職先が決まらなかったら、どうなるのでしょうか?
関寺:離職期間が生まれてしまうので、転職活動で不利になる可能性があるんです。特別な事情がない限り、転職活動は仕事と並行して行うのがセオリー。会社都合の希望退職といえど、ブランクはマイナス材料になってしまいます。
編集部:では、どう動くのが正解なんですか?
関寺:自分が携わっている事業の先行きが、1年先になっても厳しいと感じるようであれば、希望退職の募集が始まる前に転職活動を始めてください。応募まではしなくとも、キャリアの棚卸しをしたり、自分に合った求人探しをしたりするだけで、転職を決意したときの初速は変わります。
希望退職に左右されず、自分の進みたい道を見つけるのが大切ですよ。
関寺 庸平
NHKや日本経済新聞に、自動車業界・製造業の転職市場についてコメントを提供している。前職では上場メーカーで技術営業をしていた。