職務経歴書の書き方
職務経歴書は、企業側が「あなたは何ができるのか」を推し量るための書類。裏を返せば、あなたの知識・スキルを最もアピールできる応募書類です。
どんなに良いキャリアが書かれていても、選考官の目に止まらなければ意味がありません。企業に届く大量の書類の中から「実際に会ってみたい」と思わせられる内容にするためには、長すぎず、要点がパッと目に飛び込んでくる内容になっていることが重要です。
- 分量はA4・2~3枚(どんなに職歴が多い人でも4枚以内におさめる)
- 枠線や箇条書きなどを用い、読みやすいレイアウトに
- 業務内容は詳しく具体的に記述する(数字や顧客名、素材名など)
- アピールしたい部分は太字で表記する
職務経歴書に書いたことは「できる」、書いてないことは「できない」と見なされる
書類選考の段階では、応募書類があなたを語るものの全てです。従って、企業から見た「あなたのできること」は、職務経歴書に書いてあることが全て。記載のないことは基本的に「できるとは思われない」ため、アピールになることは出し惜しみしない姿勢が求められます。
まず全ての職歴を書き出した上で企業ごとに作成する
出し惜しみせずに、とはいうものの、何もかも記述すれば良いわけではありません。
読みやすい職務経歴書は2~3枚。採用担当者は限られた時間の中でひとつひとつの書類に目を通すため、職務経歴書の内容が長くなればなるほど、要点の捉えづらい、訴求力のないものになってしまいます。
ですが、2~3枚という枚数は、ほとんどの人が何も意識せず職務経歴を記していれば、あっという間に到達してしまう程度の分量です。ですから、まずは分量を気にせずすべての職歴を出し切った上で、応募する求人・企業に合わせて削ったり、特定の部分に厚みを持たせるなど、調整を加えていくと良いでしょう。
職務経歴書で大切なのは募集内容との“一致感”
企業に合わせて内容を精査していく過程で意識したいのが、募集内容に対してあなたの経験・スキルがどの程度合っているか…“一致感”です。
職務経歴書とは、これまであなたが在籍した企業とそこで培った経験を書き出すもの。ですが、「どこの企業でどんな仕事をしていました」というだけでは、数ある自動車関連企業の中でのキャリアを説明するには不十分です。
セールスであれば「どんな顧客向けにどのような商品を売っていたか」、生産技術であれば「塗装のラインを担当していたのかプレス加工のラインを担当していたのか」など…メーカー名やフェイズ、材質といった具体的な部分まで書いて初めて、読んだ側はあなたの経験・スキルが募集している内容と合致するかがわかります。
年次が上がれば上がるほど“一致感”が大切に
外資系企業の場合は、英語力が必須になる分、若手であればそこまで厳密に一致していなくても、ポテンシャル採用となる余地がありますが、ベテラン層では、経験職種だけでなく、詳細な業務内容(機械設計なら板金なのか樹脂なのか、セールスなら担当していた完成車メーカー名など)まで一致していることが望まれます。募集内容と一致する部分を職務経歴書の中心に据え、逆にあまり関わらない部分は分量を減らす。そんなメリハリが大切になります。
それでは、実際に見本を元に、職務経歴書の書き方を見ていきましょう。
職務経歴書はパソコンで用紙をA4タテ、文字を横書きの設定で記していきます。本文の文字サイズは10~12pt(見出しを除く)程度が良いでしょう。
日付
日付は、元号(和暦)か西暦のどちらでもかまいません。ですが、職務経歴書全体を通して、どちらか一方には必ず統一して書きましょう。
職務要約
これまでに「どんな会社で」「どんな顧客に対し」「何を行ってきたのか」を明記します。経験職種と顧客を明確にすることに加え、「何を行ってきたのか」についても、仕事の幅や注力業務がわかるよう一歩踏み込んだ記述を。業務内容を伝える上では、あなたの職務経歴全体を要約することに加え、あなたの職歴の中で今回応募する求人で行う業務に近い業務があればそれを+αとして盛り込むと訴求力が高まります。+αの内容は、そこまで多く経験していなかったとしても、記載しておいた方が良いでしょう。
職務経歴
職務経歴は逆編年体で書く
職務経歴では、会社単位で詳しくあなたの経験を振り返っていきます。
編年体・逆編年体・キャリア式など…職務経歴を書くスタイルはいくつかありますが、直近の経験が重視される自動車業界では、職種問わず、最近の職歴から古い職歴へ順にさかのぼっていく“逆編年体”がオススメです。
逆編年体
最も最近に在籍した企業のことから順番に、新→古へと遡っていく書き方。経験・スキルを厳密に見られる自動車業界では、「直近何をしていたか」がまず見られる傾向にあるため、この書き方が適しています。
但し、新しいものから古いものに遡るのは、あくまで企業単位のみ。在籍企業の中で何をしていたか(業務内容やプロジェクト内容など)は、入社から退社(または現在)までを時系列で説明しましょう。その方が、「その企業の中であなたがどのような変遷を辿っていったか」がわかりやすいからです。
職務経歴を書く際のポイント
全職種共通のポイント
自分が担当していた製品が何で、顧客がどこだったのかをしっかりと書くこと。
ひとえに自動車部品の…と言っても特性が様々。会社名からだけでは何の製品かはわかりにくいからです。
今までいろんな会社・プロジェクトを経験した場合など、職務経歴が多い場合は、詳しく書くべき部分と、そうでない部分を明確にしておきましょう。但し、職務経歴欄のルールは、「これまで在籍した企業は全て書く」こと。今回応募する求人と直接関係のない企業経験も、省略することは禁じられています。
プライオリティが低い職歴に関しては、記載はするが内容を2~3行に留めるなど、分量で調整するように心がけましょう。
なお、会社名や部署名は、略さずに全て正式名称で表記することがルールです。
<例> ××オートモーティブ(株)→××オートモーティブ・ジャパン株式会社
セールス・購買・生産管理などの場合
セールスや購買、生産管理のような文系職種の場合、数値で表せる実績をしっかり明記することが大切です。例えばセールスなら「予算達成率○%」、「当初○億円規模だったビジネスを×年で○○億円に拡大させた」、購買ならば「○%コストを削減した」生産管理ならば「通常○ヶ月だった納期を×ヶ月に短縮した」「不具合の発生率を○%削減した」など。
また、「これまで取引の無かった完成車メーカーから自分が主担当として受注をもらい、取引がスタートした」など、数字化できること以外にも、あなたの存在価値が伝わりやすいエピソードがあれば必ず盛り込みましょう。
外資系企業で日本法人としての売上目標を持っていないケースなど、
数字で表すことが難しい場合は、このようなトピックスを多めに書くとよいでしょう。
開発・設計・プロジェクトマネージャー・品質管理・商品企画などの場合
品質管理や商品企画は「歩留まり率を○○%改善することに成功」など数字で見せられることもありますが、なかなか定量的な実績を個人として示しにくいのが技術系の職種。数字で何かを示すというより、できることの範囲を厳密かつ明確にすることが大切です。
職務経歴書作成のポイントである“一致感”という意味では、「この素材で作る場合、これくらいの耐久性がある」という素材ごとの特性を理解しているか…といった点まで見られます。従って、扱っていた部品を書くだけでなく、「どんな材質でできていたのか」までしっかりと明記するが重要になります。あなたが「樹脂成形だけわかる人」なのか、「樹脂も板金も鋳造もわかる人」なのか、企業側がどこまでわかる人なのかイメージできるようにしておくことです。
また、何ができるかを伝える上で忘れてはならないのは、使用していたツールが何かを伝えること。ソフトウェアは何を使用していたか、バージョンは何であったか。ソフトウェアエンジニアなら言語は何を使っていたか、テストエンジニアなら試験設備の概要や、ノギスをはじめとするアナログのツールも書いておいた方が無難です。
また、技術者としてのスタイルも評価が分かれるポイントです。外資系企業に応募する場合、客先での仕様打ち合わせが頻繁に発生するため、そうした業務経験のある人は、社内に閉じこもって作業していただけ…と誤解されないよう、職務経歴内にしっかり記載しておきましょう。
保有資格・スキル
まず保有資格として、あなたが持っている資格や免許を、取得した順に正式名称で書きます。特にない場合は「特になし」で構いません。スキルとしては、「何を使えるか」というイメージで、「PCスキル(wordやexcelといった一般的なもの)」と「ツール」とに分けて記載していきましょう。
ツールには、職務経歴欄の各所で触れたものも含め、これまでに使用経験のあるツールを全て記し、見た相手がパッと見て何の使用に慣れている人なのかがわかるようにすると良いでしょう。
語学
TOEICスコア等の、語学力を証明できる資格や点数を書くだけでなく、その下に「実務経験」として、英語を使用してどのような業務を行っていたのかを明記しましょう。
なぜなら、TOEIC等の点数はあくまで目安で、例えばTOEIC600点未満でも、英語を活かしてどんな仕事をしてきたかによっては、採用に至るケースもあるからです。
職務経歴欄が職務面での一致を見られるように、語学欄は、語学力そのものというより、英語を使って行ってきた業務の経験と、応募企業で英語を使うシーンの一致を見られます。
自己PR
募集内容と一致する経験・スキルを絞り出す
文章力に自信がなくても、しっかり応募先企業の業務と親和性の高い経験・スキルを中心にアピールされていれば問題ありません。募集内容に対して直結しない内容には触れず、直接関係する内容のアピールに力を注ぎましょう。
応募する前から会社のこと全てを把握して書くのは難しいですが、仕事内容ならある程度わかるはずです。パッと見て自分のスキルの何が募集内容に一致しているかわからない場合も、求人情報をじっくり読み込みながらキャリアの棚卸しをしましょう。
例えばトヨタ自動車を担当する外資系自動車部品メーカーのセールス職に応募するのに、海外の完成車メーカーを担当していたことをアピールしても「わかってないな」と思われてしまうだけでしょう。できることならトヨタ自動車の担当をした実績を書き、担当経験がない場合も、他の日系企業や志望部門と似た部品を担当していたこと、いろいろな完成車メーカーを担当していたことなど…他の切り口でアピールできることがないかを探ること。応募する求人の業務に直結する、または活かしやすい実績を書くことが重要です。「この人はウチの部門を受けたがっているな」と見た相手が直感的に思うような内容を心がけましょう。
分量は4~5行以内。長くなる場合は2つに分ける
アピールに熱が入るとついつい長文になってしまいがち。ですが、職務経歴書を見るのは採用担当者や現場の部門長といった、多忙な人たちです。ざっと読んで要点が掴めるよう、自己PRは4~5行以内に収めること。もしもそれ以上になる場合は、見本のように4~5行ごとに見出しを付け、項目を分けるようにしましょう。このとき、見出しはその項目で一番伝えたいことを要約して付けると、読み手は一目見てあなたの強みを理解できるでしょう。