トヨタ ADAS・自動運転技術戦略レポート
ADAS自動運転技術戦略
トヨタは交通死亡事故の削減を目指すとともに、全ての人に移動の自由を提供するMobility Teammate Conceptの下、自動運転技術の開発を進める。
-ドライバーと自動運転システムが支え合うシステムをコンセプトに開発を推進。
-2020年の実用化を目標に高速道路での自動運転技術Highway Teammateの開発を推進。
-2020年代前半には一般道での自動運転技術Urban Teammateの導入を目指す。
自動運転技術の実用化の前段階として、自社の運転支援システム(Toyota Safety SenseやLexus Safety System+)の搭載車種拡充や支援機能の拡充や性能向上を推進する。
▽運転支援システム
トヨタは、事故回避に向けて、運転支援システムのToyota Safety SenseやLexus Safety System+の搭載車種拡大と運転支援機能・性能の向上を推進。
-最新安全技術を搭載する新型Lexus LSでは、これまでの運転支援システムに加えて、ハイビーム制御の高精度化、クルーズコントロール中の自動操舵支援、ドライバーの非常時(ステアリングの手放し状態)による緊急停止システムなどを設定し機能を充実。
▽自動運転技術開発目標
トヨタは、交通事故低減と全ての人に移動の自由を提供することを目的とした、自動運転技術Mobility Teammate Conceptを理念に開発を推進している。
-ドライバーと機械(システム)の異なる特性を活かしながら、ドライバーとシステムが支え合いながら、安全運転を実現する。
-短期的目標としては、2020年の東京五輪を視野に、高速道路での自動運転Highway Teammateを実用化するとともに、2020年代前半では、一般道路での自動運転技術であるUrban Teammateを実用化することを目指す。
▽自動運転開発体制強化 トヨタは2017年7月に、米国で人工知能(AI)等を研究する子会社Toyota Research Institute(TRI)を通じて、自動運転技術に関連するベンチャー企業への投資を目的としたファンドを設立すると発表。
-1億ドルを投じ、TRIがファンド運営会社Toyota AI Venturesを設立。AI技術、ロボティクス、自動運転・モビリティ、データ・クラウド技術の4分野を対象に、有望なベンチャー企業への投資を行う方針。
-ベンチャー企業への投資を通じて、企業の育成を支援するほか、将来的に優秀な人材の協力を得ることを狙っている。
***
2017年8月、AI開発強化に向けてAI開発会社Preferred Networksへ追加出資すると発表。
-トヨタは2015年にPreferred Networksへ約10億円を出資。開発強化を目的に第三者割当増資により約105億円を投じる。
-追加出資による連携強化を通じで、Preferred Networksのディープラーニングやビッグデータ処理技術ノウハウを活かして自動運転の開発強化を図る。
▽自動運転試験車両の改良
トヨタは2017年10月に、TRIにおいて、研究開発した技術を搭載する改良型の自動運転試験車両を公開し、研究成果を公表。
-新型LiDARによる外部認識精度の向上をはじめ、自動運転モードから、手動運転モードへの切り替え、ドライバーモニタリングとAIによる運転予測などの研究開発を実施。
-自動運転モードの開発では、ドライバーの運転を主軸とし、システムが事故回避に向けてサポートするガーディアンモードと、ドライバーが運転に関与しないショーファーモードの2つのモードも設定して研究を進めている。
▽自動運転技術搭載のコンセプトカー
トヨタは2017年秋開催の東京モーターショーに2020年を視野に入れた自動運転技術を搭載するコンセプトカーLexus LS+Conceptを出展。
-2020年の実用化を視野に入れている高速道路での自動運転技術であるHighway Teammate技術を導入。
-自動車専用道路の入口ランプから出口ランプまで自動で走行することを可能とした。 -カメラによる前方認識機能をはじめ、車両全方位のセンシング機能と、道路状況や周辺状況のビッグデータを用いて学習するAIを搭載。AIを通じて、合流や分岐、先行車両の追い越しの提案をクルマ側からドライバーへ提案する。
-クルマのデータセンターと接続して、OTA(Over The Air)によるソフトウェアのアップデート機能を搭載する。
-トヨタはLS+ Conceptで導入した自動運転技術を更に進化させ、2020年代前半の一般道路での自動運転技術の実用化を目指す方針。
(トヨタ広報資料、各種報道を基にFOURIN作成)
<FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社 転載許諾済み)>