<ホンダ>電動と内燃機関は各セグメントで最適なシステムを設定、運転支援システムは機能を向上
ホンダは2020年までに、自社の四輪車・二輪車・汎用機から排出されるCO₂の量を2000年比で30%削減する。さらに各国での排ガスや燃費規制への対応に向けて、高効率な電動パワートレインと内燃機関の開発強化とラインアップの拡充を進めている。
また、ホンダは将来的な交通事故ゼロや人間の自由な移動の実現を目指し、自動運転の研究を進めており、本田技術研究所のR&DセンターXを中心に他社と連携しながら、AIなどのコア技術の開発に注力している。
主な電動化技術戦略
ホンダは、世界各国の燃費規制や排ガス規制の厳格化に対応するため、HEVを中心にPHEV、EV、FCEVの電動パワートレインの開発、ラインアップの拡充を進めている。
HEVでは、先代のシステムでは、エンジンと変速機の間にモーターを搭載したシステムを幅広いセグメントで展開していたが、最新のHEVシステムでは1~3モーターの3つのシステムを設定し、各セグントで最適なシステムを搭載して、走りと燃費を追求している。小型向けの1モーターシステムは7速DCTと組み合わせたパラレル式を採用。コンパクト化を進めながらDCTによる高い動力伝達を利用し、従来の1モーター式と比べて30%効率を向上。
小型・中型車向けの2モーターシステムは、モーター駆動をメインとしたシリーズパラレル式を採用。モーターの高い加速性能と、高効率なアトキンソンサイクルエンジンによるバッテリー充電と高速巡航を組み合わせて、クラストップの燃費を達成する。
ホンダは2016年以降、モーター等を小型化し搭載車種の拡大を図っている。大型車向けの3モーターシステムは、1モーターパラレル式と左右独立駆動モーターによるトルクベクタリングを組み合わせ、走りと燃費を高次元で両立した。
ホンダはHEVのノウハウを活かし、PHEVやEVの開発を推進。PHEVでは高効率な2モーターHEVシステムをベースに電池容量の拡大等を進め、EV航続距離を伸ばして利便性を向上した。北米向けには2018年にClarity Plug-in Hybridとして市場投入し、今後日本にも投入される見通しである。
またEVでは、2017年夏に北米市場にClarity Electricとして投入。FCEVとPHEVを含めたClarityシリーズとして共通プラットフォームを採用するとともに、PHEVの一部コンポーネントを共有し、コストを削減した。ホンダは2018年以降中国や欧州にもEVを投入する方針で、地域の市場ニーズに最適な専用モデルを開発し、EV普及拡大を狙っている。
FCEVでは、2016年にClarity Fuel Cellを市場投入。高効率化を通じてスタック等を小型化、室内スペースを確保し、乗車定員を従来FCEVモデルの4人から5人に増員した。またホンダは、2020年頃の実用化に向けてGMと共同で第2世代のFCEVの開発を進めており、共同開発を通じてさらなる性能向上とコスト削減を目指している。
HEV
▽HEVシステムのラインアップ
ホンダは2018年時点で、走りと燃費を高次元で両立する新世代ハイブリッドシステムSport Hybrid(SH)シリーズを展開している。
ー SHシリーズが登場する2013年以前のホンダのHEVシステムは、エンジンとトランスミッションの間にモーターを配置したパラレル式システムを幅広い車種で採用していたが、2013年に実施したFitの全面改良を皮切りに、1モーター式、2モーター式、3モーター式の3タイプのシステムをセグメントに合わせて使い分ける方式に切り替えた。
ー ホンダはそれぞれのシステムを使い分け、各セグメントで燃費性能が高いHEVモデルのラインアップの拡充を進めており、既存HEVモデルの更新に加え、HEVモデルの新規投入や既存モデルでのHEV仕様の追加を図っている。
ー ホンダは、HEVの設定モデルの拡充を進め、コア部品の改良などを通じてHEVシステムの性能向上やコスト削減にも取り組んでいる。
▽1モーターHEVシステム(Sport Hybrid i-DCD)
1モーター式HEVシステムSport Hybrid i-DCD (Intelligent Dual Clutch Drive)は、7速のDCTに駆動モーターを組み合わせたパラレル式システムを採用。
ー 7速DCTの奇数速側に駆動モーターを接続。クラッチによりエンジンとの動力切り離しが可能であり、奇数速ではモーターのみのEV走行が可能であるほか、偶数速段でもモーターによるアシストを可能とした。ギアによる効率を動力伝達効率の高さを活用するほか、DCTによる変速時のトルクロスを低減して高効率化。従来の1モーターシステムと比べて30%以上高めた。
ー SH i-DCDはBセグメントの小型車での搭載が中心であり、Fitを中心にFreedやVezel、GRACEなどで採用されている。
ー 2016年の投入された新型Freedでは、重希土類フリー(別囲み参照)の磁石を採用した駆動モーターを採用した改良型システムとなった。
▽2モーターシステム(SH i-MMD)
ホンダはCからDセグメントクラスを中心に燃費性能を追求したシリーズパラレル式の2モーターシステムSport Hybrid i-MMD (Intelligent Multi Mode Drive)を設定し、搭載モデルを拡充。
ー アトキンソンサイクル(ミラーサイクル)を採用した専用エンジンと組み合わせる形で搭載。エンジン直結式クラッチを搭載した電気CVT。
ー エンジンは発電用モーターに接続してリチウムイオン電池を充電。クラッチを通じて駆動輪にもエンジンの動力を伝達。また、切り離しによりモーターのみの駆動を行う。
ー クラッチやモーター制御により3つの走行モードを設定。発進や市街地での低速巡航ではEVモードでの走行、急加速時は、エンジンを利用(高効率領域での運転)して発電しながらモーターで駆動。高速巡航時はクラッチをつないでエンジンで駆動。各走行モードでパワートレインの得意な部分を活用することで、クラストップレベルの燃費性能を実現する。
ー 2016年には小型・高性能化した駆動モーターを搭載した改良型システムとなり、ホンダは搭載車種の拡充を推進。Accordを皮切りに、これまでHEVの設定が無かった、OdysseyやCR-Vにも設定したほか、2018年に北米に投入するHEV専用モデルInsightの新型車に搭載する方針。
▽3モーターシステム(Sport Hybrid SH-AWD)
ホンダは大型クラスやスポーツカー向けのハイブリッドシステムとして、3モーターシステムSport Hybrid SH-AWD(Super Handling All Wheel Drive)を設定。
ー エンジン側にDCTと組み合わせた1モーターのパラレルシステムを搭載し、もう一方にトルクベクタリング機能を備えた左右独立駆動の2モーターユニット(ツインモーターユニット)を配置したシステム(フロント1モーター、リア2モーターシステム:ただし、ミッドシップエンジンのNSXについては配置が逆となる)。
ー 走行状況に応じて3つのモーターで駆動や回生を独立して制御。低速域でのEV走行をはじめ加速アシストなど幅広い領域でモーターを活用。
ー コーナリング時には、ツインモーターユニットの左右モーターを独立して制御。コーナーに対し、内側のモーターを回生に切り替える一方で、外側のモーターに駆動力を与えることでトルクベクタリングの機能を実現し、車両の旋回性を向上。モーター駆動による燃費性能の良さを合わせて走りと燃費を高い次元で両立する。
ー AcuraのフラッグシップセダンRLX(日本名Legend)をはじめ、SUVモデルのMDX、スーパースポーツのNSX(RLX等とモーター配置が前後逆)に3モーター式が搭載されている。
ー Acura MDX向けの最新仕様では、低抵抗化を図り小型高効率化したバッテリーパック(ホンダ名IPU:Intelligent-Power Unit)をほか、12VのDC-DCコンバータを統合してパワーコントロールユニット(PCU)を小型化。
IPUとPCUを合わせて、従来のシステムと比べて約4割小型化した。小型化により、両ユニットをキャビン下のフロアスペースに収納することで、室内スペースを確保した。
PHEV
▽Clarity Plug-in Hybrid
ホンダは米国市場において2018年より、PHEVモデルClarity Plug-in Hybridを本格的に展開。
ー 2016年に市場投入したClarity Fuel Cellと2017年4月に発表したEVモデルClarity Electricとプラットフォームを共通化し、Clarityシリーズの一角としてラインアップ。
ー パワートレインは、2モーターシステムのSH i-MMDをベースに開発。エンジンを先代PHEVであるAccord Plug-in Hybridの2.0ℓから1.5ℓに変更。またリチウムイオンバッテリーの容量を先代の9.26kWhから17kWh に拡大。EVモードでの走行距離をクラストップの100kmとした(JC08モード)。
ー 2018年夏を目処に日本国内でも販売される見通しである。
EV
▽地域専用EVの開発
ホンダは、EVの普及を目指し、投入する市場のニーズに最適な地域専用EVを開発・投入する方針である。
ー 中国向けについては、現地の製販合弁会社である広汽本田と東風本田、現地研究開発拠点の本田技研科技(中国)の3社で連携して開発を進め、2018年4月に中国北京で開催される北京モーターショーで現地専用EVモデルのコンセプト理念EV Conceptを発表。
ー 欧州では、2019年に投入を計画しており、2017年に東京モーターショー等でデザインのコンセプトを公表した。
ー 米国では、PHEVとFCEVとプラットフォームを共通化したClarity Electricを2017年4月に発表し、2017年8月より展開を本格化。25.5kWhのリチウムイオン電池を搭載し、フル充電で約89マイル(EPA)走行が可能。
ー Clarity Electricのシステムはフロント1モーター(最大トルク221 lb.-ft)式。キャビン下(Clarity Plug-in Hybridと共通化)とリア駆動バッテリーパック(IPU)を配置した。
FCEV
▽Clarity Fuel Cell
ホンダは、2016年に自社初の量産FCEVモデルClarity Fuel Cellを市場投入(法人向けリース)。
ー セル構造の改良等により出力特性を向上させ、燃料電池スタックを先代のFCX Clarityと比べて33%小型化し、ボンネット内に収納。パワーコントロールユニットもモーターやギアボックスと一体化することで小型化。
ー システムの小型高効率化や70MPa(先代は35MPa)の高圧水素タンクにより航続距離を750km(JC08モード)。
ー システム小型化より室内スペースを確保し、乗車定員を先代モデルFCX Clarityの4名から5名に増員して利便性を高めた。
ホンダはFCEVの開発と並行しながら、水素インフラの拡充を目指し、自社の水素ステーションSHS(Smart Hydrogen Station)を開発し国内で納入を進めている。
ー FCEVの普及拡大に向けたインフラ整備だけにとどまらず、太陽光やバイオマス発電などの再生可能エネルギーを利用してCO₂排出を0にした水素ステーションとして地球環境に貢献する。
▽第二世代型の開発
ホンダは2020年ごろの実用化に向けた第二世代型のFCEVの開発をGMと共同で実施。協業を通じて性能向上やスケールメリットによるコスト削減を図り、FCEVの普及を後押しする。
電動部品の開発
▽駆動モーター向け重希土類フリー磁石
ホンダは2016年に、大同特殊鋼と共同で重希土類を使用しない熱間加工ネオジム磁石を世界で初めて実用化。
ー 入手が難しいジスプロシウムやテルビウムなどの重希土類の使用を減らすことで、モーター用磁石の安定的な調達とコスト削減を図っている。
ー 磁石の結晶粒組織を従来比約1/10に微細化するとともに、粒界相を厚くして保磁力を確保。また、大同特殊鋼の子会社ダイドー電子による新開発の熱間加工法用いて製造。熱間加工温度を従来よりも下げることで結晶の成長を抑制。微粒組織を維持し、結晶粒をナノレベルで配向。これにより、ジスプロシウムやテルビウムを使用せずに、磁石の耐熱性と保磁力を確保した。
ー 2016年に市場投入された新型Freed Hybridで駆動モーター用磁石として採用されたほか、2018年には北米で全面改良された新型Accord Hybridの駆動モーターにも採用された。
▽次世代電池開発
ホンダは一部報道によると、全個体電池の開発に着手した模様。
ー 電解質を固体化することで安全性を高めて保護ケースなどの省略を通じて電池のコンパクト化などにつなげる。
内燃機関・変速機技術戦略
ホンダはグローバルでの燃費・排ガス規制強化への対応に向けて、電動車だけでなく、内燃機関の開発も継続している。
ホンダは2018年4月時点で、1.0ℓ、1.5ℓ、2.0ℓのダウンサイズ直噴ターボエンジンVTEC TURBOを展開。各クラスのガソリンエンジン車でトップクラスの動力性能と燃費を実現するため、各クラスのエンジン燃焼コンセプトを共通化している。
吸気ポートやピストン形状の改良による筒内での高タンブル化やマルチホールインジェクターによる噴射燃料微粒化を通じて燃料と混合を促進。これに加えて各クラスに最適なフリクション軽減や、熱マネジメントによる早期暖機、構成部品の軽量化を追求した。
また、HEVやPHEVと組み合わせるエンジンは、高効率でポンピングロスが少ないミラーサイクル(アトキンソンサイクル)エンジンを採用。2.0ℓの最新仕様では、部品の鏡面加工によるフリクション低減や熱マネジメントを徹底して40.6%の熱効率を実現した。
内燃機関
▽主なエンジン戦略
ホンダは2013年にダウンサイズ直噴ターボエンジンVTEC TURBOを発表し、以降主力モデルの全面改良を機に、エンジン車グレードを対象に、VTEC TURBOへの切り替えを進めている。
ー 1.0ℓ、1.5ℓ、2.0ℓの3タイプを設定し、車格に合わせて使い分けている。
主力モデルのハイブリッド車のエンジンについては、FitやAccordなどの主力モデルのエンジンにミラーサイクル(ホンダ呼称アトキンソンサイクル)の高効率エンジンを搭載し、高い燃費性能を追求する。
欧州やインドにおいて、ディーゼルエンジンを設定。
▽VTEC TURBO
ホンダはガソリンエンジン車を対象に、ダウンサイズターボエンジンを設定。3種類のVTEC TURBOで燃焼コンセプトを共通化し、ホンダの商品ラインアップ全体で、燃費と走りを両立する。
ー シリンダー内での燃料と空気の混合を促進するため、マルチホールインジェクターの採用をはじめ、高タンブル吸気ポート導入、ピストンヘッド形状の変更、吸排気VTC(Valve Timing Control)を導入。このほか、各機械部品でのフリクション低減、ターボでは電動ウェイストゲートにより、動力性能とポンピングロス低減を実現しながら、ターボラグを低減してドライバビリティを追求。
CからBセグメントクラスのモデルを対象としたダウンサイズエンジンとして1.0ℓ仕様の直噴ターボエンジンを開発し、2017年に欧州のCivic向けに採用。
ー 可変容量オイルポンプや電子制御サーモスタットによる熱マネジメント等を通じてフリクションを軽減。
ー 欧州モードでの燃費は従来比26%向上。
ホンダはCセグメントクラスを中心に、1.5ℓ仕様の直噴ターボエンジンを設定。
ー 2.0~2.5ℓエンジンからの置き換えとして、新型Civic(2015年:日本では2017年投入)や新型CR-V(2017年投入)、STEPWGNなどの主力モデルで全面改良を機に設定された。
ー 給排気VTCをはじめ、高タンブル吸気ポートやマルチホールインジェクターなどで筒内混合促進のほか、電動ウェイストゲートなどのターボラグ解消技術を導入。このほか、クランクシャフトジャーナルの研磨によるフリクション軽減、水冷排気マニホールドやナトリウム封入バルブなどを通じて冷却性能を向上。
ホンダは、ハイスペックスポーツモデルやDセグメント以上の中・大型クラス向けのダウンサイズエンジンとして2.0ℓ直噴ターボエンジンを設定。
ー 2.0ℓターボエンジンは、Civicハイスペック仕様Type-Rや3.5ℓV6エンジンからの置き換えを想定。2017年に北米市場に投入された新型Accordにも搭載された。
ー 1.0/1.5ℓで採用された筒内混合促進技術やターボ技術を採用。
ー ボアよりもストロークが短いショートストローク化により、エンジンのレスポンス性能を高めたほか、高出力化に向け回転運動や往復運動部品の軽量化、水冷シリンダーヘッドによる冷却効率の向上を推進。
▽ディーゼルエンジン
ホンダは欧州やインドでディーゼルエンジンを展開。欧州では2013年以降従来の2.2ℓ仕様からダウンサイズとしてCivicやCR-Vに展開。
ー オープンデッキ構造のアルミシリンダーブロックの採用による軽量化や、高圧側と低圧側にそれぞれタービンを配置しレスポンスを向上。2018年2月に投入した改良型では、シリンダーボアでのフリクション軽減を図り、燃費性能を向上させた。
ー インド向けには、欧州向けの1.6ℓをベースに現地の優遇政策に合わせて1.5ℓ化した。
▽ハイブリッド向けエンジン
主力モデルに搭載される1モーターシステムや2モーターシステムと組み合わせるガソリンエンジンとしてアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)エンジンを採用。
ー ハイブリッド車用エンジンとして、1.5ℓと2.0ℓを設定。バルブ制御を通じたミラーサイクルにより、ポンピングロスを低減。2.0ℓ仕様の最新仕様では、カムシャフトやクランクシャフトでの鏡面加工のほか、バランスシャフトでのオイル撹拌抵抗の低減をはじめ、サーモスタットの改良による早期暖機等により熱効率を40.6%に高めた。
変速機
▽主な変速機技術動向
ホンダは主力モデルを対象にCVTの搭載とATの多段化を進めている。
ー CVTは軽自動車からCセグメントの小型車までをカバー、多段ATはCセグメント以上のモデルで燃費や走行性能向上を目的に搭載。
ー ホンダは2017年に新型Accordのガソリンエンジンモデルに10速ATを搭載。ギア比のカバーレシオの拡大を通じて、加速性能と巡航時のエンジン回転数上昇を抑制。また4速単位の飛ばし変速の導入により再加速時のレスポンスを高めた。
ADAS・自動運転戦略
ホンダは2020年に高速道路での自動運転の実用化を目指している。ホンダは自動運転の準備段階として、自社の運転支援システムHonda SENSINGの高機能化を推進。2018年のLegendに搭載された最新型では、加減速とステアリング操作を同時に制御し渋滞走行支援機能を新たに設定した。
また自動運転の実用化に向けてAIの開発を強化。オープンイノベーションを通じて、日本だけでなく中国や米国でスタートアップ企業等と連携し、開発のスピードアップを狙っている。
▽運転支援システムの最近の動向
ホンダは2018年3月時点で、自社の運転支援パッケージHonda SENSINGを展開し、搭載車種の拡充を進めており、2017年以降に投入する日本の全主力モデルに標準設定する方針。
軽自動車のNシリーズからフラッグシップのLegendまでHonda SENSINGを設定。北米のAcuraモデルでもAcura Watchの名称で展開中。
ー 単眼カメラによる画像認識と、ミリ波レーダーによる距離検知を利用し、追従式クルースコントロールや緊急自動ブレーキ、車線逸脱防止機能を設定。
ー ホンダは支援システムの搭載車種拡充とともに支援機能向上に注力。2018年2月に日本国内で市場投入したLegendのマイナーチェンジモデルでは、新たに0-65km/hの車速域内で、アクセル、ブレーキ、ステアリングを自動制御し、車線を維持しながら先行車を追従する渋滞運転支援機能をホンダとして初めて設定。
ホンダは日本国内においてAccordや新型Freedに光ビーコンによる通信を活用した運転支援技術を設定。
ー 信号情報の事前通知による赤信号での車両侵入の防止や最適な運転方法を通知することで、ドライバーの運転を支援する。
ー ホンダは将来的に、Honda SENSINGなど運転支援技術を活用しながらV2Xを通じて、周囲の車やインフラと連携しながら、スムーズな交通環境の実現を目指す。
▽自動運転戦略
ホンダは2020年に高速道路での自動運転実用化に向けて、高速道路での入口ランプから、出口ランプまでの自動運転の実証実験を実施している。
ー 試験車両のシステムは、ステレオカメラにより白線や路肩等を認識、このほか遠距離と中距離のミリ波レーダー、LiDARによる車両全方位の障害物を高精度に検知。これに高精度マップやGNSSなどを組み合わせた。
▽自動運転開発体制強化
ホンダは自動運転の開発強化に向け、そのコア技術である人工知能(AI)の開発体制を強化。2017年に立ち上げた本田技術研究所R&DセンターXを中心開発に取り組むほか、オープンイノベーションを通じて、他社とも連携しながら開発を推進。
ー 2018年3月までに、日本国内で京都大学大学院とAIの共同開発を実施しているほか、中国では、現地IT企業SenseTimeと自動運転向けAIの共同開発に合意。また、米国では、Honda R&D Innovationsを通じて、自動運転やHMIに関するスタートアップ企業との連携を強化する体制を整えた。
ー スタートアップ企業との連携開発では、AIだけでなく高精度マップ分野やドライバーのセンシング分野などの研究開発も強化している。
<FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社 転載許諾済み)>