【2019年版】世界自動車メーカー売上高ランキング ―トヨタは30兆円超えも、2位に後退

2019.05.31
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売上高が1兆円を超えている世界自動車メーカー24社の最新の業績を集計し、ランキングにまとめました。前回の売上高1位はトヨタ自動車でしたが、今回は僅差で首位の座を譲る結果となっています。

【売上高トップ5】トヨタは2位に後退

【2018年 世界自動車メーカー売上高トップ5】各社の決算資料をもとに作成 ※は売上高を公表通貨から日本円に換算レートは18年平均) 売上高・販売台数は連結決算のグループ企業を含む。%は前年比(公表通通貨ベース)1位:VW 売上高30.8兆円(前年比 2.7%増 販売台数 1083.4万台)2位:トヨタ 売上高30.2兆円(前年比 2.9%増 販売台数 897.7万台)3位:ダイムラー 売上高21.8兆円(前年比 2.0%増 販売台数 335.2万台)4位:フォード 売上高17.7兆円(前年比 2.3%増 販売台数 598.2万台)5位:GM 売上高16.2兆円(前年比 1.0%増 販売台数 838.4万台)

2018年に売上高トップとなったのは、VW(フォルクスワーゲン)です。公表通貨ベースで前年比2.7%増の30兆7547億円を売り上げ、僅差でトヨタ自動車を上回りました。VWは、アウディやシュコダなどを含めたグループ全体の販売台数が過去最高の1083万4012台を記録。世界最大市場の中国では419万6702台を販売しており、次ぐGMの364万5044台を50万台以上上回っています。

2位はトヨタで、売上高は30兆2257億円(前年比2.9%増)でした。VWに次ぐ結果となりましたが、3位以下のメーカーとは10兆円ほど差をつけています。アジア・欧州販売が伸びて販売台数は前年比0.1%増の897万7000台となった結果、日本企業初の売上高30兆円超えを達成しました。

3位はダイムラーです。売上高は前年比2.0%増の21兆8240億円で、3位をキープ。高価格帯のメルセデス・ベンツブランドが売り上げを支えており、販売台数は少ないながらも上位にランクインしています。

4位となったフォードの売上高は、17兆7013億円(前年比2.3%増)でした。増収ではあるものの、販売台数は598万2000台と前年から9.5%減少。米中貿易摩擦の影響を受けた中国は、販売台数が前年比39.8%減の73万1000台と特に落ち込みました。

5位はGM(ゼネラル・モーターズ)で、売上高は前年比1.0%増の16兆2342億円。欧州事業からの撤退が響き、グループ全体の販売台数は前年比12.7%減の838万4482台でしたが、単価が高いキャデラックブランドの販売増が牽引して2年ぶりの増収となりました。

【総合ランキング】自動車メーカー24社の売上高と純利益を一挙に

【2018年 世界自動車メーカー売上高ランキング】各社の発表資料をもとに、売上高・純利益を公開しているメーカーのうち売上高が1兆円以上の企業を集計して作成。  ▼売上高・純利益は18年平均レートで日本円に換算(※1…1ユーロ=130.4円、※2…1ドル=110.4円、※3…1元=16.7円、※4…1ウォン=0.1円、※5…1インドルピー=1.6円) ▼増減率・純利益率は公表通貨ベース。1位:VW(フォルクスワーゲン) 売上高307,547億円(前年比2.7%増 純利益15,422億円 前年比5.8%増 純利益率5.0%増)2位:トヨタ自動車 売上高302,257億円(前年比2.9%増 純利益18,829億円 前年比24.5%減 純利益率6.2%増)3位:ダイムラー 売上高218,240億円(前年比2.0%増 純利益9,887億円 前年比28.6%減 純利益率4.5%増)4位:フォード・モーター 売上高177,013億円(前年比2.3%増 純利益4,059億円 前年比52.4%減 純利益率2.3%増)5位:GM(ゼネラル・モーターズ) 売上高162,342億円(前年比1.0%増 純利益8,847億円 前年比307.4%増 純利益率5.4%増)6位:本田技研工業 売上高158,886億円(前年比3.4%増 純利益6,103億円 前年比42.4%減 純利益率3.8%増)7位:上海汽車 売上高150,666億円(前年比3.6%増 純利益6,014億円 前年比4.6%増 純利益率4.0%増)8位:FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ) 売上高143,977億円(前年比4.4%増 純利益4,736億円 前年比3.5%増 純利益率3.3%増)9位:BMW 売上高127,114億円(前年比0.8%減 純利益9,398億円 前年比16.9%減 純利益率7.4%増)10位:日産自動車 売上高115,742億円(前年比3.2%減 純利益3,191億円 前年比57.3%減 純利益率2.8%増)11位:現代自動車 売上高96,813億円(前年比0.5%増 純利益1,508億円 前年比62.6%減 純利益率1.6%増)12位:PSA 売上高96,531億円(前年比18.9%増 純利3,686益億円 前年比46.9%増 純利益率3.8%増)13位:ルノー 売上高74,874億円(前年比2.3%減 純利益4,500億円 前年比35.0%減 純利益率6.0%増)14位:起亜自動車 売上高54,170億円(前年比1.2%増 純利益1,156億円 前年比19,4%減 純利益率2.1%増)15位:タタ・モーターズ 売上高48,785億円(前年比2.9%増 純利益マイナス4,596億円 前年比416%減 純利益率9.4%減)16位:スズキ 売上高38,715億円(前年比3.0%増 純利益1,788億円 前年比17.1%減 純利益率4.6%増)17位:マツダ 売上35,647高億円(前年比2.6%増 純利益635億円 前年比43.4%減 純利益率1.8%増)18位:SUBARU 売上高31,615億円(前年比2.2%減 純利益1,478億円 前年比32.9%減 純利益率4.7%増)19位:三菱自動車 売上高25,146億円(前年比14.7%増 純利益1,329億円 前年比23.5%増 純利益率5.3%増)20位:テスラ 売上高23,693億円(前年比82.5%増 純利益マイナス1,078億円 前年比50.2%減 純利益率4.5%減)21位:BYD(比亜迪) 売上高20,339億円(前年比18.6%増 純利益464億円 前年比31.6%減 純利益率2.3%増)22位:吉利汽車 売上高17,801億円(前年比14.9%増 純利益2,096億円 前年比18.0%増 純利益率11.8%増)23位:長城汽車 売上高16,571億円(前年比1.9%減 純利益876億円 前年比4.1%増 純利益率5.3%増)24位:長安汽車 売上高11,072億円(前年比17.1%減 純利益114億円 純利益率90.5%減 純利益率1.0%増)

売上高は増えているものの、純利益は減少しているメーカーが多数見受けられます。国内メーカー7社のうち、増収増益だったのは三菱自動車のみ。三菱自動車はエクスパンダーの販売が好調で、売上高は前年比14.7%増の2兆5146億円、純利益は前年比23.5%増の1329億円となりました。

6位の本田技研工業は、北米・アジアの販売が好調で前年比3.4%増の15兆8886億円を売り上げましたが、純利益は前年比42.4%減の6103億円。欧州での四輪車生産の撤退に関する費用として、680億円を計上したことが響きました。

売上高が11兆5742億円で10位にランクインしている日産自動車は、国内メーカーのなかで唯一の減収減益となりました。北米の販売が振るわなかったことが影響し、販売台数は前年比4.4%減の551万6000台に。西川社長は5月の決算会見で「昨年はルノーとの関係などを含めて事業に集中できなかった期間があったことが、結果にあらわれてしまった。今後の2年から3年で元の日産に戻す」と説明しています。

ほかの国内メーカーもリコール関連費用や為替の影響で、2ケタ以上の大幅減益となっています。

24社のなかで特に順位を上げたのは、20位のテスラです。「モデル3」が牽引し、売上高は前年比82.5%増の2兆3693億円。しかし、生産体制の構築が難航したため純利益は1078億円の赤字でした。収益基盤には依然として課題が残っています。

【研究開発費ランキング】トップは売上高・販売台数1位のVW

研究開発費は、ニーズが高まっている電気自動車や自動運転機能を搭載した自動車を開発するために必要不可欠。自動車業界が100年に一度の大変革期を迎えている現在は、「どれだけ研究開発に投資できるか」が将来の命運を握っているといっても過言ではありません。

総合ランキングで調査対象とした自動車メーカー24社のうち、研究開発費を公開しているメーカー20社をランキングにまとめました。

【2018年 世界自動車メーカー研究開発費ランキング】各社の発表資料をもとに、売上高・純利益を公開しているメーカーのうち売上高が1兆円以上の企業を集計して作成。  ▼売上高・純利益は18年平均レートで日本円に換算(※1…1ユーロ=130.4円、※2…1ドル=110.4円、※3…1元=16.7円、※4…1ウォン=0.1円、※5…1インドルピー=1.6円) ▼増減率・純利益率は公表通貨ベース。1位:VW(フォルクスワーゲン) 研究開発費17,787億円(前年比3.8%増 研究開発費率5.8%増)2位:ダイムラー 研究開発費11,876億円(前年比4.5%増 研究開発費率5.4%増)3位:トヨタ自動車 研究開発費10,488億円(前年比1.4%減 研究開発費率3.5%増)4位:フォード・モーター 研究開発費9,053億円(前年比2.5%増 研究開発費率5.1%増)5位:GM(ゼネラル・モーターズ) 研究開発費8,611億円(前年比6.8%増 研究開発費率5.3%増)6位:本田技研工業 研究開発費8,200億円(前年比12.2%増 研究開発費率5.2%増)7位:BMW 研究開発費6,937億円(前年比8.1%増 研究開発費率5.5%増)8位:日産自動車 研究開発費5,231億円(前年比5.5%増 研究開発費率4.5%増)9位:FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ) 研究開発費3,979億円(前年比5.1%増 研究開発費率2.8%増)10位:ルノー 研究開発費3,388億円(前年比0.3%増 研究開発費率4.5%増)11位:PSA 研究開発費3,237億円(前年比15.3%増 研究開発費率3.4%増)12位:現代自動車 研究開発費2,742億円(前年比10.2%増 研究開発費率2.8%増)13位:上海汽車 研究開発費2,569億円(前年比39.1%増 研究開発費率1.7%増)14位:テスラ 研究開発費1,612億円(前年比6.0%増 研究開発費率6.8%増)15位:スズキ 研究開発費1,581億円(前年比13.4%増 研究開発費率4.1%増)16位:マツダ 研究開発費1,347億円(前年比1.0%減 研究開発費率3.8%増)17位:SUBARU 研究開発費1,211億円(前年比17.9%増 研究開発費率3.8%増)18位:三菱自動車 研究開発費1,025億円(前年比17.5%減 研究開発費率4.1%増)19位:BYD(比亜迪) 研究開発費833億円(前年比33.4%増 研究開発費率4.1%増)20位:長城汽車 研究開発費291億円(前年比48.2%減 研究開発費率1.8%増)

研究開発費のトップは、売上高・販売台数でも1位のVWでした。研究開発費は前年比3.8%増の1兆7787億円で、2位にランクインしたダイムラーの1.5倍。研究開発費率は5.8%で、トップクラスの水準となっています。

トヨタの研究開発費は、前年比1.4%減の1兆488億円でした。国内メーカーでは唯一の1兆円超えですが、ダイムラーに次ぐ3位という結果になっています。

中国メーカーの上海汽車と長城汽車は、研究開発費率が1%台とほかの国のメーカーに比べて低め。しかし、上海汽車は前年から39.1%増えており、研究開発が強化されています。これまで中国メーカーは外国のメーカーが開発した自動車を販売することが大半でしたが、今後は自社開発にも力を入れていく様子です。

(オートモーティブ・ジョブズ編集部 山岡結央)

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