サプライヤーから自動車メーカーへの転職で注意すべきポイントとは│8月の自動車業界転職市場

2019.08.01
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自動車業界全体の求人件数は前月比4%減、前年同月比19%増

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最新のオートモーティブ・ジョブズのデータによると、自動車業界全体の求人件数は前月比4%減、前年同月比19%増でした。

前月と比べて「生産技術」(3%増)、「研究開発」(2%増)の求人件数は増加しているものの、ほかの職種は軒並み減少。特に「SCM・生産管理」(15%減)、「実験・評価・解析」(12%減)、「アプリケーションエンジニア・プロジェクトマネージャー」(11%減)の下がり幅が大きくなっています。

求人件数が減少したのは、世界経済の不透明さから中途採用を縮小している企業が増えたことに加え、4~6月中に新しく出た求人のなかで募集を終えるものが出てきたことが理由として挙げられます。

サプライヤーから自動車メーカーへの転職は、仕事内容が変わる可能性も

今月は、自動車部品メーカーから自動車メーカーへの転職事情についてお話しします。

現在の自動車市場は、世界最大市場の中国と2番手の米国で販売が減少しています。自動車メーカーは自動車市場の動向によって業績が左右されるため、なかには中途採用に慎重な姿勢を見せているところも。一方、長期的には自動車市場が復活すると見込み、引き続き中途採用に力を入れている自動車メーカーもあります。

自動車メーカーの中途採用の注力度は各社によって異なりますが、共通しているのは自動運転などの新技術に関わるポジションのニーズが高いこと。自動車メーカー内で新技術に知見があるエンジニアはまだまだ足りていないため、自動車部品メーカーでこうした経験がある方の採用が活発になっています。

特に、画像認識技術や自動走行制御機能など、実際に新技術の開発に携わっていた方は引っ張りだこの状態。メーカーのなかには特定の経験を応募条件として定めず、組み込みやアプリケーション開発の経験がある方を幅広く募っているところもあります。

自動車部品メーカーから自動車メーカーへの転職での注意点は、仕事内容がガラッと変わってしまう可能性があること。他社との共同開発を統括するプロジェクトマネージャーのポジションや、部品の価格交渉を担当するポジションに就けば、実際の開発業務からは離れてしまいます。

自動車メーカーに転職すると年収などの条件面がよくなる可能性は高いですが、自分が転職で条件アップを叶えたいのか、プレイヤーとして現場で手を動かし続けたいのかをきちんと考えたうえで検討するのが大切です。

関寺 庸平
自動車業界専門の採用アナリスト。電気・機械・ソフト系技術者への転職支援で実績を築いており、エンジニアのキャリアに詳しい。
NHKや日本経済新聞に、自動車業界・製造業の転職市場についてコメントを提供している。前職では上場メーカーで技術営業をしていた。
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