<トヨタ>THSの特許公開でグローバル競争力を向上、新分野では開発提携強化

2019.10.10
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トヨタの主な技術戦略概要

トヨタ、主な技術戦略概要トヨタは、2050年に自動車のライフサイクルでのCO₂排出量を2010年比9割削減する目標を掲げ、HEV等の電動車普及を最重要視している。HEV技術をベースにPHEVやEV、FCEVの開発を引続き強化。

トヨタグループで2025年を目処に、全車種に電動パワートレイングレードを設定する方針を掲げ、さらに提携パートナー企業への電動化技術の供給、自社の電動化技術の特許実施権の一部無償提供を通じて、系列サプライヤービジネス環境を変え、電動車の普及を図る考えである。

▽全体戦略

トヨタは2050年までに自動車のライフサイクルでのCO₂排出量を、2010年比9割削減することを目標に掲げる。電動車普及、工場からのCO₂排出削減、部品リサイクル等を重要項目に位置づける。

2025年までにトヨタの全商品ラインアップに電動パワートレイン搭載グレードを設定する計画。

工場での再生可能エネルギーの活用や水素利用を促進し、生産過程でのCO₂排出量削減を図る。

低CO₂材料やリサイクル材料の採用を推進。

▽商品・プラットフォーム

燃費性能だけでなく、自動車本来の走る楽しさを追求することを目的にとした車両設計構想TNGA(Toyota New Global Architecture)を導入。低重心で高剛性なプラットフォームを設計し、その設計思想を主力車種全てに展開。

提携パートナーOEMと連携して商品や技術補完を行う。

▽電動車

新世代HEVシステムの搭載車種拡大やHEVをベースにEV、PHEV、FCEVを開発・投入する。

2030年に世界の電動車販売を550万台とする方針を掲げていたが、一部報道によると目標を5年前倒しで達成する模様である。

▽エンジン

主力モデルの全面改良や新規投入を機に、TNGAコンセプトを導入した直噴・高速燃焼を取り入れたDynamic Force Engineの導入を進めている。

コンベ車だけでなくHEV向けにも圧縮比の変更等で対応し、ラインアップ全体で燃費と走りの両立を追求する。

▽ADAS・自動運転

自社の安全運転支援パッケージToyota Safety Senseなどの機能拡充や性能の向上を継続的に実施。TRI(Toyota Research Institute)を中心に、自動運転技術の開発を推進。スタートアップや傘下企業との連携を進め、研究開発スピードを高める。

▽コネクテッド・モビリティサービス

米国Uberやソフトバンクとのモビリティサービス企業MONETへの出資を通じて、シェアサービスなどの提供と自社の車載通信機DCMの搭載数を増やす。

プラットフォーム・商品開発に関する主な戦略

トヨタは商品競争力強化を目指し、2015年の4代目Priusを皮切りに自社の主力モデルに燃費と走りの両立を追求するTNGA(Toyota New Global Architecture)構想を車両設計に順次導入。低重心・高剛性なプラットフォームを展開し、2018年末までにCセグメントから高級FRセグメントまで導入を拡大。

2019年以降、Aqua(海外名Prius-C)やVitz(海外名Yaris)などの主力モデルの全面改良により、BセグメントモデルでのTNGA導入が進む見通しである。

一方でトヨタは、TNGAの導入と合わせて、提携パートナーのOEMと商品や技術の相互供給を通じて、商品ラインアップ全体の競争力を高めている。

子会社のダイハツについては、日本の軽自動車受給やASEAN地域での小型戦略車の開発等で連携。スバルに対して、小型スポーツカーの共同開発を行う一方でスバルのPHEV向けにTHSの技術供与を行った。スズキについては、インドを中心に幅広い領域で協業。

2019年3月には、トヨタとスズキで車両とパワートレインの相互供給や車両開発で協業することで合意した。トヨタは、自社のTHSをスズキに供給する方針。加えてインドでのHEV普及に向け、スズキと協力して構成部品の現地調達化を進める方針である。

また、トヨタはスズキからインド向け車両を受給、さらに現地戦略車の共同開発を行うことで市場成長が見込めるインドで商品の競争力強化を狙っている。このほか、マツダやBMWとも電動車などの共同開発を実施している。

▽プラットフォーム展開

トヨタは商品競争力強化を目指し、燃費と走りを両立するクルマづくりTNGAを導入し、TNGA構想のプラットフォーム、エンジン、変速機を導入。

2015年にトヨタが市場投入した、4代目Priusを皮切りに、2019年初旬までに、C-HR、Camry、Corolla Sports、Crown、RAV4、Lexus LS、Lexus ES、Lexus UXなどにTNGAの設計構想を取り入れた。

プラットフォームについては、高剛性・低重心化に重点を置いて、補強材の配置やフレームレイアウトを決定している。4代目Priusで導入を開始し、他のセグメントにも同様のコンセプトを用いたプラットフォーム、車両設計を導入。

Cセグメント向けTNGAのGA-C、Dセグメント向けのGA-K、大型FRセグメント向けのGA-Lを展開。2019年以降は、Aqua(Prius-C)やVitz(Yaris)の全面改良を控えており、新たにGA-Bプラットフォームが追加される可能性が高い。

TNGAの導入に合わせて、走りと燃費を両立するTNGA用エンジンやトランスミッションも合わせて開発・導入を進める。 

トヨタ、TNGAの展開イメージ図
▽商品開発戦略

トヨタはTNGAによる自社モデルの商品競争力強化だけにとどまらず、子会社のダイハツをはじめ、マツダやスズキ、スバルなどのビジネスパートナーとの協業を活用して、商品の相互補完や共同開発を行っている。

子会社であるダイハツとの協業については、日本国内において、軽自動車やAセグメントのリッターカーを中心に車両を受給。またインドネシアを中心としたASEAN向け小型戦略車の共同開発やモデル受給などを行っている。

トヨタがダイハツと共同開発する新興国戦略小型車AVANZAのイメージ図
スバルは小型FRスポーツカーの開発で連携。トヨタ86とスバルBRZを展開。生産はスバルが担当。次期モデルについても、スバルのスラットフォームを軸に開発を進める模様。一方でトヨタはスバル向けにTHSを技術供与。また日本向けにダイハツを通じて軽自動車やAセグメントの小型モデルを供給する。

マツダはEV開発コンソーシアムEV C.A. Spiritの立ち上げや規格開発で連携。また北米向け小型車YarisをOEM受給(メキシコ製Mazda 2:Demioのセダンとハッチバック)し、北米でコストを抑えてラインアップを確保している。

トヨタがメキシコで生産Mazda2SedanのOEM受給モデルYarisSedenのイメージ図
スズキはインドにおける商品補完や電動車普及で連携を強化する(詳細は別項目を参照)。

BMWと協業し、プレミアムFRスポーツカーSupraを開発。BMW Z4とプラットフォームやエンジン等を共通化。生産もZ4と同じMagna Steyrが担当する。また新世代FCEVの開発で連携する。

共有プラットフォームのToyotaSupra(左)とBMWZ4(右)のイメージ図
▽スズキとの協業による商品競争力強化

2019年3月、パワートレインや車両の相互供給を含めた協業に合意したと発表。

トヨタ、スズキの双方のノウハウ・強みを活かして、インドを中心とした新興国での開発・生産・販売の競争力強化を目指す。

トヨタ側は、スズキ側に対して、自社のハイブリッドシステムTHSを供給。欧州向けにRAV4やCorolla Wagonの電動車をスズキに供給する。

またスズキと連携して、インドでHEVシステムやエンジン、バッテリ等の現地調達化を進めて、現地でのHEV普及を目指す。
スズキ側は、インドでトヨタ向けにCiazやErtigaなどを供給。

スズキの高効率新エンジンをトヨタとデンソーが開発を支援。同エンジンをトヨタのポーランド工場で生産を行い、トヨタの小型車へ搭載する。

トヨタのアフリカ市場向けにスズキのインド製モデル(Baleon、Vitara Brezza、Ciaz、Ertiga)をOEM受給する。

トヨタとスズキでCセグメントMPVを共同開発し、両社で展開。開発に向けて、スズキのインドにおける車両開発ノウハウを活用する。

2022
年にトヨタのインド生産拠点Toyota Kirloskar MotorでスズキのCセグメントSUVモデルVitara Brezzaを受託生産する計画である。

トヨタはスズキとの提携を通じて、インドを含めてグローバルでHEVを中心とした電動車の普及を目指す。一方スズキ側は、コスト増加を抑えながら、HEVモデルの展開やラインアップの拡充、パワートレイン開発を行える。またトヨタへの車両OEM供給を通じて、インドでのスケールメリットの創出を狙っている。

最近の主なパワートレイン技術・戦略

トヨタは2025年に全モデルで電動パワートレインを設定する方針である。主力乗用車モデルの全面改良や新規投入を機に、新世代型のHEVシステムへの切り替えを継続。

また北米向けピックアップや新興国戦略モデルなど、これまで電動車の設定が無かった車種にも新たにHEVなどを導入するため、2019年以降、各車種に適した新コンセプトシステムの開発が進む見通しである。

またトヨタは、HEVをベースに他の電動システムへ展開するxEV戦略を採用している。トヨタは2019年4月に、HEVで蓄積した電動化技術(モータ、PCU、システム制御)関する特許実施権約2.4万件を無償提供することを発表。これと合わせてトヨタの電動化システムを利用する場合の技術サポートを実施する方針である。

トヨタは電動化技術のシステムサプライヤーとして、他社(スズキ、スバル等)へのTHSの供給に加え、特許実施権の提供や開発時の技術サポートを通じ、系列サプライヤーを含めて、他社を巻き込んでグローバルでHEVを軸とした電動車の普及を進める考えである。

<電動車開発>

▽全体戦略概要

トヨタは2025年までに、全モデルに電動パワートレインを設定する方針で、HEVを中心に開発を推進。HEVで蓄積したノウハウをベースにEVやPHEV、FCEVを展開する方針である。

電動車普及を進める中国では2020年までに、EVやPHEVなどの電動車を10車種投入する方針で、バッテリ、インバータ、駆動ユニットを現地調達する体制を整備する。

<HEV/PHEV>

▽新世代システムへの刷新

トヨタは2015年の4代目Prius以降、2モータシステムTHS-II(以下(THS)の新世代型への更新を引き続き進めている。

平角線により巻線の占積率を高めた高効率モータの採用や動力伝達の高効率化を重点に置いて開発。FF式では、モータ配置の変更によるプラネタリーユニットの搭載数削減により動力伝達効率を向上。FRでは、4速ATとの組み合わせにより、エンジン・モータの回転数上昇を抑制し、高速巡航での燃費向上を推進。

セグメント別にモータの出力特性や制御を変更。2019年以降には、Bセグメント向けの新世代THSが投入される見通しである。

PHEVについてはPrius PHVを市場投入。Priusのシステムをベースに電池容量拡大と発電モータ部分にワンウェイクラッチを導入し、モータの駆動領域を拡大。

▽新コンセプトシステムの開発

トヨタは全車種に電動車を展開する方針で、これまで電動車の設定が無かった車種にも電動化技術を導入する方針である。2019年以降、北米向けのピックアップや新興国戦略車にもHEVなどを展開する方針で、1モータータイプや低コストシステム、MHEVなどの開発が進行するとみられる。

▽HEV普及に向けた技術提供

トヨタは2018年に、スバルXV Crosstrek HybridのPHEVシステム向けにTHSの技術供与を行った。スバル側はTHSをベースに水平対向4気筒エンジンとシンメトリカルAWD(機械式4WD)に対応させるため、ギアレイアウト等を変更。駆動モータについては、トヨタのCamry HEV向けの仕様を流用した。

2019年3月にスズキとの提携強化の中で、スズキ向けにTHSを供給すると発表。2019年4月、HEV開発で蓄積した電動車関連技術の特許実施権を無償で提供すると発表。

HEVのノウハウをベースにPHEVやEV、FCEVへフレキシブルに展開できる電動車のコア技術としてアピール。

特許実施権の無償提供の範囲は、モータ、PCU(パワーコントロールユニット)システム制御等が対象。

特許件数は約23,740件で期限は2030年末。

特許提供の内訳は、モータが約2,590件、PCUは約2,020件、HEV/PHEV/EVのシステム制御は約7,550件(うち充電器が約2,200件、トランスアクスルが約1,320件)。水素燃料電池車関連のシステム制御4,540件(うちFCスタックが2,840件、水素タンクが680件)については、特許実施権無償提供期限を2020年末から2030年末まで延期した。

バッテリについては今回の特許実施権提供の対象外となる。

トヨタは、特許実施件の無償提供と合わせて、トヨタが保有する電動化システムを使用(購入)する場合の技術サポートも行う方針である。車両の特性に応じた燃費性能や出力特性、静粛性等に関してシステム全体のチューニングについて助言する。

トヨタはオープンポリシーを基本に、電動化技術のシステムサプライヤーとして、特許実施権無償提供や技術サポートを通じて、他社を含めた電動車の開発・普及を支援することで、HEVを中心に電動車の普及を促進し、CO₂排出削減効果を高める。

トヨタ電動化システムの概要
<EV>

▽EV投入戦略

トヨタは2019年4月の上海モーターショーにC-HRベースのEVを出展。HEVで蓄積したノウハウを活用し、C-HRとIZOAのEVを開発し、一汽トヨタ、広汽トヨタで展開する。トヨタは2020年代前半までに、中国に投入したC-HRのEVを含めて、グローバルで10車種以上のEVを展開する計画である。

2019年末までに、EV C.A. SpiritでのEVの規格開発を完了し、2020年よりトヨタを含めた参加メーカー(マツダ、スバル、スズキ他)各社で商品化に向けた開発を実施する方針である。

<FCEV>

▽FCEVの展開車種の拡大

トヨタは2014年にFCEVモデルMIRAIを、日米市場を中心に投入。2018年には、FCEVバスSORAを日本市場に投入した。

FCバスの開発に伴い、乗用車のMIRAIや主力HEVモデルのシステム部品や駆動部品を流用しコストを低減。2020年の東京五輪以降も活用することを前提にFCバスの普及を進める。中国ではマイクロバスCoasterにFCEVを設定することを検討している。

▽新世代FCEVの開発

トヨタは2020年を目処に、新世代のFCEVを開発し、市場投入する方針である。開発に伴い、BMWと連携して、システムのコスト削減や航続距離延長を目指した開発に取り組む方針である。

▽中国での水素関連事業

中国では2019年4月に、現地系の北京汽車とFCEV事業で提携すると発表。トヨタは北京汽車傘下の北汽福田汽車のバス向けに水素タンク等を供給する。トヨタは2019年4月、中国の清華大学と共同で清華大学-トヨタ連合研究院を設立した。

中国における水素の積極的な活用を含めて、中国におけるエネルギー問題の解決に向けて共同で研究を行う。

<部品開発>

▽バッテリ開発

トヨタは2019年1月、パナソニックと車載用電池事業に関する合弁会社を設立すると発表。

2020年末までに、車載用角型リチウムイオン電池や全固体電池を含む次世代電池の研究開発・生産技術・製造・調達・受注・管理を手掛ける合弁会社を設立する計画。

両社の車載用電池関連の開発や生産機能等を合弁会社へ集約。両社のノウハウを活用して、コストや性能面で業界トップクラスの電池を開発・生産し、トヨタだけでなく他のメーカーにも供給することを視野に入れている。

中国NEV対策向けのEV開発において、バッテリ分野で現地系専業と協業する可能性がある。

▽電子部品開発

2019年4月、電子部品事業を傘下サプライヤーのデンソーに集約することについて基本合意し、事業譲渡契約を締結することで合意したと発表した。

電動化や自動化、コネクテッドカーが普及するなか、迅速なニーズ対応や商品競争力強化を目指し、事業を集約。
両社で実施していた電子部品の開発と生産機能をデンソーに集約し、グループ内での重複業務を削減し、経営資源を有効活用する。2020年に生産部門と開発部門を集約。

<内燃機関・変速機>

▽内燃機関

トヨタはTNGA構想の下、燃費と走りを両立するDynamic Force  Engineを開発し、各セグメントの主力モデルに展開している。

マルチホールインジェクターによる直噴や、レーザークラッドバルブシートによるバルブ狭角拡大で、高タンブル化による高速燃焼を実施。同一の燃焼コンセプトを他のクラスでも共通化。2018年の最新仕様では、ピストンスカート部分のクロスハッチ溝によりフリクションを低減。2019年以降に、Bセグメント向けのDynamic Force Engineを投入する方針。

▽新世代CVT

トヨタが2018年に投入した新型Corolla Sportにギア駆動とCVTを組み合わせたDirect Shift CVTを搭載。

ロー領域は1段のギア駆動で行い、ハイ領域をベルト駆動が担う方式を採用。発進加速性のレスポンス向上と、プーリーのハイ側へのシフトによる変速比幅拡大(クラストップの7.5)を図った。2019年以降、同CVTをベースとしたBセグメント車向け新世代CVTを開発投入する方針。

最近の主なADAS・自動運転・コネクテッドサービス関連動向

トヨタは、自社の安全運転支援システムToyota Safety Sense/Lexus Safety System+の性能・機能向上に向けた開発を進めている。2018年に車線維持機能やドライバー状態検知などを含む第2世代型を投入。2019年以降、搭載車種の拡大が本格化する見通しである。

さらにトヨタは、2018年末に後付け式の誤発進誤後退抑制システムを開発・投入した。ADAS機能が搭載されていない旧型モデルへの装着を通じて、既存車種を含めたトヨタ車全体で安全性向上を目指している。

トヨタは2018年に通信機DCM(Data Communication Module)を搭載するコネクテッドカーを市場投入。オペレータサービスや車両挙動型保険などを提供する。またトヨタはモビリティサービス企業との連携を推進。カーシェアなどのモビリティサービスの提供に加えて、提携によるDCMの搭載数増加を通じて、自社のコネクテッドサービスの向上を目指したデータ収集を進めている。

<ADAS・自動運転>

▽ADAS

トヨタは引き続き、自社の安全運転支援パッケージToyota Safety Sense/Lexus Safety System+の主力モデルへの標準装備化と性能・機能の向上を目指した開発を継続している。

2018年にはレーントレースなどの操舵支援やドライバー異常検等を含めた第2世代システムを市場投入し、2019年より本格的な展開がスタートする。

トヨタはADASの普及を目指し、2018年12月に後付式誤発進・誤後退抑制システムを市場投入。

後付の超音波センサーとコントローラ、車載表示器を設定。ADAS機能の設定がない、PriusやAquaの一部モデルに対応。2019年以降に対応車種拡大を図り、既存モデルを含めたトヨタ車全体での安全性向上を目指す。

▽自動運転関連

米国でAIなどの研究開発を行うTRI(Toyota Research Institute)を中心に自動運転技術の開発を推進。自動運転開発に向けて、試験設備の拡充や、グループ内外の企業との連携を積極的に行っている。

完全自動運転によるショーファーと、ドライバーの運転を補助して危険を回避するガーディアの2つのアプローチで開発を推進。

2018年10月には、TRI専用の自動運転のテストコースを開設。公道で想定される危険なシーンを安全な環境で再現。占有コースとすることで開発のスピードアップを狙う。

2019年には最新の自動運転テスト車両を公開。センサーを追加いし、車外の状況認識精度を向上。

トヨタは2018年3月にデンソーとアイシンと連携して自動運転の開発会社TRI-AD(Toyota Research Institute AdvancedDevelopment)を日本で立ち上げ、自動運転関連のソフトウェアやデータハンドリング等を研究する。

2019年3月には、TRI-ADを通じて米国のCARMERAと連携して車載カメラを利用した自動運転向け高精度地図生成に関する実証実験を行うことで合意。東京都内のデータ収集を行う。

2019年3月にNVIDIAとの自動運転開発で協業を強化すると発表。AIやシミュレーション、車載コンピュータでNVIDIAのDRIVE AGX XavierやDRIVE AGX Pegasusを活用。シミュレーション分野ではTRI-ADが一部でNVIDIA DRIVE Constellationを使用する。

<コネクテッド>

トヨタは2018年より、専用車載器DCM(Data Communication Module)を搭載したコネクテッドサービスを開始。

最新ナビデータへの更新をはじめ、ホテルやレストラン、国内航空券の予約、緊急時のオペレータ対応サービスなど、運転挙動連動型の保険プランの提供を行う。

トヨタは2018年に市場投入したCrownやCorolla Sportを皮切りにコネクテッドサービス機能の設定車種拡大を目指す。

<モビリティサービス>

トヨタはカーシェアを始めとしたモビリティサービス企業やIT企業との連携を進めている。

2018年にはソフトバンクとの合弁会社MONETを設立し、多様なモビリティサービスについて検討をする。また米国大手配車Uberや東南アジアでの配車サービス企業Grabへ資本参加した。

2019年にはUberの研究開発部門にAdvanced Technologies Groupにデンソー、ソフトバンクグループと共同で10億ドル出資し、自動運転を活用したライドシェアの研究開発を強化する。

トヨタは新たな顧客層開拓に向けて、2019年2月にサブスプリクションサービス会社KINTOを立ち上げ、車両の乗り継ぎサービスを提供する。

FOURIN世界自動車技術調査月報(FOURIN社転載許諾済み)

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