<BoschとBentelerが共同開発>EV専用プラットフォーム、中国などに向け量産間近
2019.10.16EV専用プラットフォームの開発では、VWのMEBが先行しており、2019年末にはMEBをベースとする第1号モデルID.3を生産開始予定である。日系の自動車メーカー(OEM)では、2019年に入りトヨタがe-TNGA、ホンダがHonda e向けの専用プラットフォームを発表した。
欧州では、サプライヤー間でもEV専用プラットフォームを共同で開発する動きが出てきた。例えば、BoschとBentelerが2019年4月に、共同開発計画を発表した。Boschが電動アクスルと電子制御システム、電動パワーステアリング、ブレーキシステム、ソフトウェア開発、システム統合を、Bentelerがシャシ全般の開発を担当する。
両社は、このEV専用プラットフォームを主に中国の新興OEMに売り込む計画である。2019年4月には、上海モーターショーに試作品(BEDS 2.0)を出展した。
BEDS 2.0は、B~Eまでの幅広いセグメントに対応する可変性を特徴とする。床下に搭載する電池の衝突安全を高めるため、アルミ押出材のボディフレームを採用し、フロントには衝撃吸収システムを配置している。
フレームの接合には溶接を極力用いず、接着剤と機械的締結(リベット)のコールドジョイントを基本とした。サブフレームの組み付けや電動アクスルのマウントにはラバーブッシュを多用し、NVH(騒音・振動・ハーシュネス)にも配慮している。
電池と電動アクスルの周辺を循環する冷却サーキットも備える。2輪駆動と4輪駆動のいずれにも対応し、ワイヤレス(非接触)充電も可能である。
システムサプライヤーのBoschにとってBentelerとの共同開発は、電動関連の多彩な製品群をパッケージとして売り込むチャンスをもたらすものである。
EV専用プラットフォームとEVコンポーネント、サプライヤーを取り巻くビジネス環境
▽OEMのEV専用プラットフォーム開発
VWのMEBに代表されるように、一部のOEMはEV専用プラットフォームを開発している。最近ではトヨタ(e-TNGA)やホンダ(Honda e)などの日系OEMも開発計画を発表した。
一方で、専用プラットフォーム開発に消極的なOEMもある。BMWが代表的で、コンベ車からEVまでの共通化を目指している。
▽サプライヤーのEV専用プラットフォーム開発
電動パワートレインサプライヤーの多くは、モーターとギア、インバーターの機電一体化に取り組んでいる。
BoschとBentelerのように、互いの欠落分野を補完して、EV専用プラットフォームとしてパッケージ化する動きも出てきた。利幅の取れる新興OEMに売り込む計画である。
BoschとBenteler、EV専用プラットフォームの共同開発計画を発表
▽BoschとBentelerのEV専用プラットフォーム共同開発計画
2019年4月、Bosch(ドイツ)とBenteler(ドイツ)は、EV専用プラットフォームの共同開発計画を発表した。
・中国の新興EVメーカーなどを主な売り込み先として想定。Bentelerは同月開催の上海モーターショー(Auto Shanghai)にEV専用プラットフォームのプロトタイプを出展した。
Boschが電動アクスル(Eアクスル)と電子制御システム、電動パワーステアリング、ブレーキシステム、ソフトウェア開発、システム統合を担当する。
Bentelerがシャシ全般の開発を担当する。
・Bentelerは1876年にドイツで設立された。シャシ、車体骨格、車体構造部品、排気系を専門とする部品メーカーである。2010年に持株会社制に移行。その際に本拠地をオーストリアSalzburgに移転したが、自動車事業の本部はドイツPaderbornに引き続き置き、開発・製造拠点もほぼドイツに集中している。
▽Vibracousticも共同開発に参加
同月、BentelerはVibracoustic(ドイツ)ともEV専用プラットフォームの共同開発で提携すると発表した。
・Vibracousticはマウントシステムや緩衝材などNVH対策関連を専門とする部品メーカーである。Freudenberg(ドイツ)とTrelleborg(スウェーデン)の合弁会社TrelleborgVibracousticとして2012年に設立。2016年にTrelleborgが出資を引き上げたため、現在はFreudenbergの100%子会社となっている。
BentelerのEV専用プラットフォーム、Benteler Electric Drive System(BEDS) 2.0
Bentelerは開発中のEV専用プラットフォームをBenteler Electric Drive System(BEDS) 2.0と呼んでいる。BEDS 2.0はB~Eまで幅広いセグメントに対応する。
アルミの単体使用、もしくはアルミとスチールを複合するマルチマテリアルのいずれにも対応する。
それ以外のBEDS 2.0の特徴は以下のとおりである。
・可変性の高いモジュール設計を基本とする軽量構造
・衝突安全性能の徹底
・搭載する電池容量を問わない可変性
・熱管理(サーマルマネジメント)の徹底
・電子制御シャシへの対応
・2輪駆動と4輪駆動のいずれにも対応
・ワイヤレス(非接触充電)への対応
BEDS 2.0の開発段階は量産直前のところまで来ている。
▽フレックスフレーム構造
BEDS 2.0はフレックスフレームと呼ばれる可変性(フレキシビリティとスケーラビリティ)の高いシャシフレームを持つ。
・外枠にはアルミ押出材を用い軽量化した。
・溶接を極力使用せず、プレフィックス構造と、接着剤やリベット(機械的締結)によるコールドジョイントを基本とする。
ねじり剛性が高く、衝突安全性能も高い。自動車メーカー(OEM)ごとに異なる車体開発戦略にフレキシブルに応えるため、Bentelerのフレックスフレームが提供するのは主としてバッテリートレイとロワーシルである。
・アッパーシルやドアフランジなどはOEMが用意する。
▽電池トレイ
フレックスフレームの中央に位置する電池トレイは、アルミ押出材による高剛性を特徴とする。
・衝突安全性能だけでなく、電池の温度管理にも配慮した。
・前方衝突あるいは前方オフセット衝突を考慮し、フロントエリアには衝撃吸収システムを設置した。
・アルミとスチールのマルチマテリアル構造である。
▽Eシャシ
シャシシステムには電動アクスル(Eアクスル)を統合し、B~Cセグメント向けとC~Eセグメント向けの2種類を用意する。
・サブフレームにより前後左右の長さは変えられる。
・各サブフレームにはラバーブッシュを挟みNVHを抑えた。さらに、このブッシュ統合サブフレームの上にブッシュを挟んでEアクスルを搭載することで、NVH対策を徹底した。
▽熱管理(サーマルマネジメント)、その他
BentelerはフロントのラジエータグリルからEアクスルと電池トレイを循環する冷却サーキットも開発した。
・電池トレイには電池冷却プレートを被せ、電池の温度を最適に保つ。電池と電子デバイスの製品寿命も延ばす。
充電と出力などの電気制御は、VCU(Vehicle Control Unit)によってCAN BUSを通じて中央制御する。
FOURIN世界自動車技術調査月報
(FOURIN社転載許諾済み)