<Daimler>次世代安全装備/ADAS搭載のコンセプトESF 2019を発表

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Daimlerは2019年5月に安全技術コンセプトカーM-Benz ESF (Experimental Safety Vehicle) 2019を発表した。将来のモビリティにおける安全技術の方向性を、実際に走行可能な車両に搭載する機能を通じて提示したものである。

最先端の研究開発の成果を反映し、未来技術から量産間近の装備・機能まで多岐にわたって搭載する。近年注目度が高まる各国・各地域のNCAPも想定し、次世代の自動車の安全装備・安全技術のベンチマークの一つとなり得る。

Daimlerが10年前に発表したESF 2009からは自動防眩機能付きハイビームなど、複数のESF搭載技術がその後量産化された実績がある。その意味で今回の発表も注目である。

Euro NCAPなどで要求される次世代の安全技術

▽次世代のモビリティにおいて変化する安全要件

電動化と自動運転技術の進展により、自動車の車内安全や運転支援システムの要件も変化している。

  • 例えば自動運転車では、より柔軟なシートポジションが確保される。そのため、衝突の際などにおける乗員保護の形態に、従来と異なる安全要件が生じてくる。

  • また、路上の潜在的な危険を初期段階で共有するなど、通信技術の進展が新たな安全技術の可能性を拡げることが想定される。


▽安全要件の標準化:NCAP(新車アセスメントプログラム)

自動車メーカー各社は、近年消費者側からも注目度が高まる米国NCAP、欧州Euro NCAP、中国C-NCAP、日本JNCAP等、各国・各地域で標準化される安全性能評価基準の対象項目を充足すべく、安全装備、ADASの搭載を進める。

Euro NCAPにおいて評価項目に追加され、各社の安全装備・安全機能の開発の焦点となる要件と導入予定年は以下の通り。

  • 2020年導入:サイクリスト対応緊急自動ブレーキ(AEB)、ファーサイド(衝突反対側)の乗員保護、前面オフセット衝突、後方歩行者対応AEB、むち打ち症対策/後端衝突保護

  • 2022年導入:合流点/交差点AEB、対向車正面AEB、自動緊急操舵、歩行者・サイクリスト保護のサブシステム改訂、緊急時の路肩寄せ・安全確保、子供の存在検知

  • 2024年導入:ドライバーモニタリング、V2X(車車間/路車間通信)

  • 2025年導入(AD=自動運転領域):自動運転機能の等級付け(初期アイディアのみをベースとする検討は2019年導入、全体評価前段階における更新の提案を2021年と2023年に予定)。

 

安全技術コンセプトカーM-Benz ESF 2019で量産を含む次世代の安全技術を提示

▽概要

Daimlerは2019年5月、安全技術コンセプトカーM-Benz ESF(Experimental Safety Vehicle*) 2019を発表。新型M-Benz GLEのPHEV仕様をベースとし、自動運転に対応。社内の安全技術分野の専門家が次世代向け安全技術を深掘りした研究開発の結果を搭載する。

  • ESF 2019は、次世代のモビリティを想定した安全技術を10以上搭載する(下図)。うち複数が量産車に実装間近のものである。

  • 2019年6月10~13日にオランダEindhovenで開催された安全技術会議ESV TecDay 2019に向けたもの。一般向けには2019年9月のFrankfurtモーターショー(IAA)で披露される。

M-Benz ESF 2019が目指した主要なテーマは、以下の通り。


①包括的な運転の安全
②車両周辺環境との協調コミュニケーション
③子供の安全
④アクシデント発生時の安全確保
⑤新PRE-SAFE機能(予測型統合パッシブセーフティ)
⑥リアの快適性と安全
⑦アクティブセーフティの機能拡張


▽ESFの経緯

DaimlerのESF開発は、1971年のESV安全技術会議での展示が発端。以降、計30台以上のESFを開発、うち4台は一般公開。クラッシュテストなど、安全技術の目標の可視化に取り組んできた。

  • 先代ESF 2009からは、自動防眩機能付きハイビームやシートベルト内蔵エアバッグなどがS-Class以下の量産車に採用された。

▽最先端安全技術のテスト・研究開発環境

Daimlerは2016年11月、Sindelfingen開発センターの一角に、TFS(Technology Centre for Vehicle Safety) を開設した。

  • TFSは、数百億ユーロを投資した世界最先端のクラッシュテストセンターである。約70種の異なる設定で、電動車も含めた車対車のクラッシュテスト、自動運転機能の評価などが可能である。

  • TFSにおけるESF 2019の開発は、2017年に始まった。


▽その他の開発データ

ESF 2019がベースモデルのGLEに追加搭載したLEDの数は、センサハウジング内が228個、フロントパネルが49,152個である。

合計重量約7kgの部品が3Dプリンティングで成形された。

M-Benz ESF 2019 搭載の安全技術の項目の説明

安全技術コンセプトカーM-Benz ESF 2019が搭載する主な次世代安全技術

<包括的な運転の安全>

まずは乗員のパッシブセーフティを向上させる。ESF 2019は衝突と反対側の乗員保護のためのインテグラルサイドバッグを運転席と助手席それぞれに搭載。

左右で展開して上半身を包み込む方式で、隣の乗員との衝突による負傷も防ぐ。ドライバー空間には、より広範囲に展開可能な新エアバッグを搭載。ダッシュボード上部に格納され、三次元形状でハンドルに覆い被さる形で展開する。

ステアリングホイールの形状を新設計し、より良好なインパネ視界、エアバッグ拡張のための空間、十分な脚周り空間を確保した。ペダルにも新しいコンセプトを導入した。

自動運転モード時にペダルがフロアに格納されることで、運転手が衝突事故時にペダルに足をぶつけて負傷するリスクを低減する。

▽インテグラルサイドバッグ

容量約40Lの翼型エアバッグを運転席と助手席のサイドボルスターから両側に展開し、乗員の肩、胸部、腕、頭を包み込む。

  • 背もたれに統合されているため、保護効果がシート位置と背もたれ角度に影響されないことが特長の一つ。

  • Euro NCAPが2020年に導入予定のファーサイド(衝突反対側)の乗員保護に対応。隣の乗員との衝突を防ぐ。


センサは既存のエアバッグセンサを用いる。

▽運転席エアバッグ、ステアリングホイール、ペダルコンセプト

容量約120Lの運転席エアバッグを、既存の助手席エアバッグと同じようにダッシュボード上部に統合。起動した場合には、ハンドルに覆い被さる形で展開する。

  • 新しい展開コンセプトと三次元形状により、既存のステアリングホイール格納型運転エアバッグよりも広い範囲を覆う。乗員の着座位置に応じて異なるエアバッグの深さとすることも可能。

  • これらはステアリングホイールとドライバーの位置が変化する自動運転モードを想定したもの。自動運転モードではステアリングホイールはパーキングポジションにあり、回転しない。

  • エアバッグ起動の際にはステアリングホイールが数ミリ秒以内に100mm下方に引き込まれる。

既存のクラッシュセンサを使用する。

運転席エアバッグ、ステアリングホイール、ペダルコンセプトについての説明。
▽シート統合型シートベルト、電子ベルトテンショナー

電子アクチュエータ付きの逆巻き可能なシート統合型シートベルトにより、PRE-SAFE(統合安全)機能の完全サポートを実現する。

  • 電子式ベルトテンショナーが環境センサに反応して実際の衝突の前に作動。クリティカルな運転状況でベルトの拘束力を増し締める。現行テンショナーの数倍もの拘束力を発揮可能。

  • 運転状況が再び安全とみなされると張りが解除され、ベルトシステムが標準運転モードに戻る。

  • ベルトテンショナーは慣性リールの一部としてバックレストに統合。自動運転モードで乗員がリラックスしている場面も含めて、全ての着座位置で乗員の身体にフィットする。

  • 室内センサと乗員分類により、例えば体重50kgの女性と100kgの男性とで拘束力を変えるなどアダプティブな作動も可能。


センサはABS、環境センサ、クラッシュセンサを用いる。

▽覚醒インテリア照明

自然光を再現したインテリアLED照明が、ドライバーの体内時計に働きかけて生物学的リズムを活性化する。眠気や疲労感を軽減する。特に日が短い冬季の朝・夕刻での活用を想定したもの。

フロントガラスの光センサが周囲の光の状態を感知する。薄暮やトンネル内では照明を薄暗くして、眩惑を防ぐ。
 

<車両周辺環境との協調コミュニケーション>

大型フロントパネル、LED(ルーフ上のセンサユニット、ドアミラーのインジケーター点滅、3段目のブレーキランプ)、リアウインドウの光信号やアニメーションを用い、車や歩行者、サイクリストなど他の交通参加者とコミュニケーションし、ときに警告する。

光信号やデジタルアニメーションを用い、360°全方位で他の交通参加者とのコミュニケーションや警告を行う。

  • ①大型フロントパネル、②LED(ルーフ上のセンサユニット、ドアミラーのインジケーター点滅、3段目のブレーキランプ)、③リアウインドウへの投影を、伝達手段に用いる。

  • リアウインドウには標識やテキストのみならず、フロントカメラで取得中の映像の投影も可能。後続に前方の道路状況を伝達する。


車両周辺環境との協調コミュニケーション技術の説明。センサーユニットのターコイズ色の光信号で自動運転モードを表現。また他の交通参加者とのコミュニケーションを行う。駐車時や充電中にも光信号とフロントパネルのアニメーションにより、他の交通参加者への情報提供や警告が可能。リアウインドウ投影により、前方の道路状況などを後続車両に伝えている。
▽高速道路、自動車専用道路

①合流車両の存在の周知と自動減速、②緊急車両通行時の路肩寄せと周知、③渋滞警告、④路面危険情報の共有などを行う。

センサシステムを包括的に利用。さらに、クラウドと常時ネットワーク接続し、路面危険情報の共有などに運用する。

▽都市内:歩行者とサイクリストへの警告、およびそれらとの対話

ESF 2019は、充電ステーションで充電・駐車中も警戒状態を保ち、周囲で起こりうる事故の危険性を検知し続けることが可能。

  • 路上で歩行者やサイクリストなど他の交通参加者が互いに衝突する危険がある場合に、必要に応じてESF 2019が警告を行う。


センサユニットのLEDで歩行者が横断する際などに対話を図る。

▽デジタルライト

ヘッドランプ1ユニットあたり100万個超のマイクロリフレクタチップを搭載。ガイド線や標識、ACC安全距離等の路上投影が可能。

  • カメラやセンサシステムで交通参加者を検知。ナビデータも用いてソフトウェアが数ミリ秒内に評価を行い、状況に応じた最適な投影コマンドをヘッドランプに送る。

 

<子供の安全(PRE-SAFE Child)>

PRE-SAFEをチャイルドシートにも採用して子供をより安全に保護する。リアに座っている子供の生体情報や映像を各種生体センサやシート脇ユニットに内蔵するカメラで取得して、ディスプレイに表示することで、子供の動態を運転席に居ながら見守ることができる。

▽PRE-SAFE機能付きコネクテッドチャイルドシート

衝突が差し迫ったときに、チャイルドシートのシートベルトが予防的により強く締まる(PRE-SAFEシステム)。

  • シート側面ドア側に衝撃保護エレメントを内蔵する。手動でシートに押し込むことでプリテンションがかかる。

  • PRE-SAFEのアルゴリズムが衝突の危険を認識すると、無線信号がチャイルドシートに送信され、数ミリ秒以内に5点ベルトシステムと衝撃保護エレメントの機械的プリテンションが、ソレノイドスイッチにより電気的に解放される。

  • 緊急ブレーキなどでPRE-SAFE起動の閾値に達すると、衝撃保護エレメントが伸びてドアとシートの間隔を埋め、シートの固定力を高める。衝撃の際に子供の頭や首にかかる負荷も軽減する。

  • 電力はシート内蔵の長寿命バッテリーから供給される。

  • チャイルドシート大手Britax Römer(ドイツ)共同開発とみられる。

▽子供のための安全装置の設置補助機能とカメラ

シート内蔵カメラにより子供の動態を前席で確認することが可能。

  • 右脇に配したカメラ内蔵表示ユニット上の8種類の記号により、安全装置が正しく取り付けられているかが一目で判るよう設計。

▽回転可能なチャイルドシート

チャイルドシートは子供を載せる前に横に90°回転させることで、ベルトテンショナーのスプリングにプリテンションがかかる設計。回転機構により、子供を載せることも容易となった。

▽MBUXメディアディスプレイ上への情報表示

乗車中に、MBUX(M-Benz User Experience)メディアディスプレイ上の3Dアニメーション表示によって子供の状態を確認できる。チャイルドシートが正しく設置されているかどうかの確認も可能。

  • 後部座席の子供の存在や生体情報をセンサで検知。体温、心拍、呼吸、覚醒/睡眠状態や着席時間をモニタリングできる。

  • 停車時や信号待ちの際に、メディアディスプレイをチャイルドシートからのライブ映像に一時的に切り替えることもできる。この目的のために、シートはUSB経由の12V車載電源を利用可能。


センサはPRE-SAFE車載センサ、設置モニタリングセンサ、子供の生体情報を測定する統合センサ、シート内蔵カメラを搭載する。

メディアディスプレイ上への情報表示。シート脇ユニットで安全装置の設定状態が一目で判る。
<アクシデント発生時の安全確保(スマート三角表示板)>

事故や故障が起きた際の二次被害を防止するべく、三角表示板を自走式にした。所定の位置まで自走し、三角表示板を設置する際の人災も減らす。

▽自走式三角表示板

ESF 2019は、事故や故障が起きた際の二次災害を防止するために、小型ロボットタイプの三角表示板を採用した。

  • 自動展開機能により三角表示板を設置する際の人災を減らす。また、ドライバーレス自動運転への活用も想定した。

  • 内蔵ビデオカメラにより、車線や防護壁を認識する。また、GPS情報、赤外線LEDにより車両へ自ら戻ることができる。

▽ルーフ三角表示板

事故や故障が起きて自走式三角表示板が車両を離れると、ルーフ上の三角表示板が自動展開する。インテリアのスイッチによるマニュアル展開方式も併用。

  • あらゆる方向からよく目立つ設置場所とすることで、他の交通参加者に向けて非常事態をより効果的に伝達できる。

 
ルーフ三角表示板の説明写真。

<新PRE-SAFE機能(予測型統合パッシブセーフティ)>

既存のPRE-SAFE機能を拡張した。速度センサとナビの地図データを組み合わせ、カーブ走行時にシートベルトの拘束力を高めるなどの機能が加わった。渋滞時に後続からの追突を回避もしくは被害軽減するための自動加速・停止機能も追加した。

▽カーブにおける統合安全機能(PRE-SAFE Curve)

逆巻き取り可能な電子ベルトテンショナーにより、予測される横方向の加速度に応じて、ベルトの拘束力を予防的に高める。

  • ドライバーのカーブに対する油断を防止し、ブレーキをかけるための時間を与える。

ホイールスピードセンサ、ナビの地図データを用いる。

  • 地図データによりカーブが迫っていることを車両が認識。コントロールユニットのソフトウェアアルゴリズムが車速と曲げ半径を計測し、横加速度が安全閾値を超えるかどうかを評価する。

  • 横方向加速が閾値の約2.5秒前に到達すると、シートベルトが予め締め付けられる。曲がりに差しかかる際にはベルトはロックを保ち、その後、ゆるやかに拘束力が弱まる。

  • ハードウェアは、既にPRE-SAFE搭載量産車に実装済みのものである。コントロールユニットに追加のアルゴリズムを搭載することで拡張機能が利用可能となる。

カーブにおける統合安全機能について説明する図。①カーブに差しかかることを加速度センサとナビの地図データ、GPSにより検知。②カーブの頂点を過ぎると、シートベルトが緩まる。
▽PRE-SAFE Impulse Rear

静止状態にあるESF 2019が後続車に追突される前に、前方の車との間にある間隔に向かって自動加速する。停止するまでブレーキがかけられる。

  • これにより、車両の制動距離がより長くなり、衝突を回避する。

  • シートバックレストやヘッドレストと乗員との接触も改善、衝突の潜在負荷を軽減可能。とりわけ、むち打ち症のリスクを軽減できる。

カメラ、LiDAR、超音波ソナー、レーダーを用いて車両周辺環境をモニタリングする。

電動車の急加速特性、停止状態からの大トルク発揮により実現。

PRE-SAFE Impulse Rearを説明する図。渋滞時に後続車両から追突リスクを検知すると、システムにより自動加速。前方車両との間隔を埋めた後、自動ブレーキがかかる・後続者に対してより長い制動距離を与えて衝突を回避する。
▽PRE-SAFE Side Lightning

交差点で横方向の衝突が差し迫った場合に、車両側面の照明ストリップがアクティブ状態となり、交差点からの視認性を高める。

  • エレクトロルミネセンス*塗料技術を採用。ボディ側面に統合した。

LiDAR、ミリ波レーダー、カメラ、ナビデータ、V2Xを用いる。

※電気をへらすことによ発行する塗料、EL塗料。

<リアの快適性と安全>

今後、標準化される後席エアバッグを搭載。圧縮ガスで円筒形のチューブを鳥が翼を広げるように膨らませる方式である。Euro NCAPで2020年に導入予定のむち打ち症対策や後端衝突保護の要件を満たす。

▽リアエアバッグ

まずは円筒形のチューブが圧縮ガスで膨張し、外周の翼状の枠組みを形成する。さらに、枠組みの間のエアバッグが特許取得の特殊なバルブを通じて周囲の空気により膨張、展開される。

  • 特殊バルブは乗員が埋もれた際に空気が逃げないように設計。

  • エアバッグセンサ、乗員の存在や数を認識する座席占有率検知センサを利用する。


Euro NCAPで2020年に導入予定のむち打ち、後端衝突保護に対応。正面衝突時の頭頸部椎骨への負荷を最大30%低減する。 

リアエアバックを説明する図。シートベルトにはヒーター内臓やイルミネーションUSBソケット設置なそ装着を促すための各種機能を盛り込んだ。リア専用エアバックはチューブ状の枠組みと大容量により、フロントシートとの衝突から乗員を効果的に保護する。

<アクティブセーフティの機能拡張>

ミリ波レーダーやカメラ、LiDAR等の機能向上と、これらのセンサフュージョンにより、同一方向に動く複数の対象や静止している対象を検知できるようにした。歩行者やサイクリスト等との衝突リスクをさらに低減した。

▽アクティブブレーキアシストの機能拡張

既存のアクティブレーキアシストの機能を拡張。平行して同一方向に動く複数の歩行者、サイクリストなどの交通弱者も検知できるようにした。

  • 車両が転回している途中に道路を横切る交通弱者との衝突が差し迫っている場合に、ドライバーは視覚的・聴覚的警告を受ける。さらに、必要に応じて自動ブレーキが介入する仕組み。

  • ドライバーは、インストルメントクラスター内に表示される事前の視覚的警告により、危険な状況を認識することができる。

  • 追加の視聴覚警告がドライバーに与えられることで、自動ブレーキ起動前の短時間、ドライバーの反応が促される。

  • それでもドライバーが反応しない場合、また事故が不可避となったその瞬間に、ブレーキのロックにより発進が妨げられるか、または衝突を防ぐために加速が制限される。

  • 右折(日本や英国における左折)時の死角に存在するサイクリストに対しても同様に作動可能。

  • 必要な場合には、車両を停止させるために自動ブレーキが介入する。歩行者と同じ車速からの作動が可能で、衝突を回避する。


ミリ波レーダーや前方(フロントアシスト)カメラ、LiDARなど、車両前側の各種センサを用いる。

Euro NCAPが2022年導入予定の合流点/交差点AEBに対応。

アクティブブレーキアシストの機能拡張を説明する図。

▽360°歩行者保護

カメラからのデータをベースとするセンサフュージョンにより、車両周囲360°の監視精度を向上。歩行者やサイクリストなどの対象が静止している場合にも検知できるようにした。

  • 従来は超音波センサが移動物に反応し警告する方式であった。

  • 広角カメラからのデータがソフトウェアにより超音波センサからの情報と統合されて、車両周囲の領域モデルが形成される。

  • 駐車中や操縦中に、歩行者やサイクリストとの衝突を回避する。

  • 運転手が警告に気付かない場合には自動ブレーキがかかる。手動運転モード中にも作動させることができる。

  • 自動緊急ブレーキは前進時と後退時の両方で、また歩行者が車両の横にいる場合にも作動する。

 

超音波センサ(フロント/リアバンパーに各6個)、360°カメラ(ドアミラー筐体の各1個を含み、フロントとリアに計4個)を使用する。

Euro NCAPが2022年に導入予定の、歩行者・サイクリスト保護のサブシステム改訂の要件を満たす。

360°カメラにより歩行者保護が可能になることを説明する図。

 FOURIN世界自動車技術調査月報
(FOURIN社転載許諾済み)

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