<Waymo>自動運転開発スタートアップが優勢、各社研究開発動向

2019.12.23
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自動運転でレベル4以上を実現するハードルは依然として高い。米国のWaymoや中国のPony.ai(小馬智行)などのスタートアップが公道走行試験で実績を残しているが、一部は活動を休止するなど再編も始まった。OEMはこれらのスタートアップや、イスラエル、インドなどのソフトウェア会社に自動運転開発の多くを依存している。 

米国California州DMV(車両管理局)が2019年2月に発行した自動運転車の試験状況報告(以下、レポート)によると、Waymoの結果は、安全のために人間のドライバーが介入することなく走行できる距離が約18,000kmと他社を圧倒している。

また2017年の同社の実績からも約2倍に飛躍しており、同社の開発力の高さが窺える。

GM子会社のGM Cruiseは、ペダルなどの操作装置を持たないレベル4の自動運転車Cruise AVを2018年1月に発表、同時に2019年内に市販する計画を示した。

同車両の公道走行を実現するため、NHTSA(米国道路交通安全局)に対し通常の自動車向けの安全基準の適用免除を申請しており、これが認められるかどうかに注目が集まる。2019年8月にはWaymoもこの申請を認めるよう要請する書簡をNHTSAに送付している。

自動運転システムを搭載する実車両の開発については、親会社または提携するOEMと協力して行うスタートアップが多いが、自動運転車両を独自に開発する企業もある。Nuroは荷物配送向け車両を、Zooxは無人タクシー向け車両をそれぞれ開発している。

一方で、業界淘汰の動きもある。レポートで2018年に10位に位置していたRoadstar.aiは、2019年6月時点で事実上解散状態と報じられている。

また時を同じくして、Stanford大学発のDrive.aiは資金難により廃業に追い込まれ、Appleが同社を買収。Appleは自動運転プロジェクトTitanにDrive.aiの人員を投入し、Apple Carの性能強化を図るとみられる。


自動運転車開発に大きく貢献する自動運転スタートアップ

▽Silicon Valleyで活発な自動運転スタートアップ

自動運転スタートアップの拠点は世界規模で見ても米国のSilicon Valleyに集中している。

  • Silicon Valley周辺では自動運転車の公道走行試験もさかんに実施されている。

California州DMV(車両管理局)は自動運転車開発企業による試験状況をまとめた「Autonomous Vehicle Disengagement Reports」を毎年発行している。

  • 自動運転車の走行中に、安全確保のためにシステムが手動運転へ切り替えたり、セーフティドライバーが介入操作を行ったりした頻度についてまとめられている。
  • 2019年2月に発表された2018年版レポートでは、2017年12月から2018年11月までに州内で行われ、企業から報告*された計28社467台分の公道試験についてまとめられている(下表)。

(* 実験条件や介入基準などは統一されていないため、厳密な比較はできない点に留意が必要である。)

<Autonomous Vehicle Disengagement Reports>(2018、抜粋)

順位 社名 1介入*
あたり

走行距離
(km)
1,000kmあたり
介入*数

(回)
車両台数
(台)
1 Waymo 17,846.8 0.06 111
2 GM Cruise 8,327.8 0.12 162
3 Zoox 3,076.4 0.33 10
4 Nuro 1,645.3 0.61 13
5 Pony.ai 1,635.6 0.61 6
6 日産 336.8 2.97 4
10 Roadstar.ai 280.5 3.56 2
27 Apple 1.8 544.78 62
28 Uber 0.6 1,630.29 29

※「介入」にはシステムが手動運転に切り替えるよう判断したケースも含む。

上位5位をスタートアップが占めており、5位のPony.ai(小馬智行)と6位の日産とでは大きく隔たりがあることがわかる。また、Waymoは介入なしで約18,000km走行できる計算であり、2位のGM Cruiseに対し約2倍の性能といえる。

試験車両数が20台を超えるのは、上位2社のWaymo、GM Cruiseと下位2社のUber、Appleのみで、両極端な結果となった。2018年版で報告されたすべての介入回数143,720回のうち、Appleが69,510回、Uberが70,165回を占めている。

▽中国の自動運転スタートアップ

上記のPony.aiのほか、Roadstar.ai(星行科技)、WeRide.ai(文遠知行)などが知られる。また、Silicon Valleyで創業したAutoXは香港にも拠点を置き、2019年8月には上海市で中国初となるロボタクシーの試験区を建設する計画を発表している。

レベル4の自動運転技術開発に取り組んでいたRoadstar.aiは、2019年6月時点で事実上解散状態と報じられている。

  • 2017年5月、深圳を拠点として百度の3人のエンジニア(佟顕喬、衡量、周光)によって設立された。周光は2019年1月に財務不正やデータ捏造、パワーハラスメントなどを理由に解雇された。他の2人も2019年6月時点で同社から離れており、オフィスにはスタッフ不在と報じられている。 
  • 2018年5月発表のプレスリリースでは以下の計画を掲げていた。

 
2020年の野心的な目標として、自動運転車へのドライバー介入率を走行1,000kmあたり1回にまで低減する。

 2019年までに複数の自動車メーカーと自動運転車200台を共同で生産する。2020年までに一級都市の中心部に配車サービス向けの自動運転EVを1,500台配置する。

 

  • California州DMVによる2018年の試験状況報告(左表)では28社中10位に位置していた。

▽欧州の自動運転スタートアップ

Oxford大学からスピンアウトしたOxbotica(英国)のほか、AImotive(ハンガリー)、FiveAI(英国)などが知られる。

自動運転スタートアップ、主な企業

【自動車運転スタートアップ、主な企業一覧】Waymo、創業年2016年 母体:Alphabet 提携OEM:FCA、JLR、Renault/日産、その他提携:Intel、Lyft、Walmartなど、目標:2020年までにシステム実用化。Cruise Automation/GM Cruise、創業年2013年 母体:GM 提携OEM:ホンダ、その他提携:DoorDash、目標:2019年末までにレベル4自動運転車の量産、公道走行を実現。Argo AI、創業年2017年 母体:Ford 提携OEM:VW、目標:2021年までにレベル4の自動運転車を量産。Aurora Innovation、創業年2016年 母体:(Google、Tesla、Carnegie Mellon大学) 提携OEM:現代/起亜、Byton、FCA、その他提携:Amazon、目標:2021年までにレベル4の自動運転車商品を開発。Nuro、創業年2016年 母体:(Waymo) その他提携:Kroger、Domino's Pizza、目標:2021年までに自動運転配送車のアップグレード版を5,000台投入。Zoox、創業年2014年 母体:(Stanford大学など)、目標:2020年に自動運転車配車サービスの商業展開。Drive.ai、創業年2015年 母体:Apple(Stanford大学)、その他提携:Lyft、Grab、目標:2021年までに無人自動運転の実現。Pony.ai、創業年2016年 母体:(百度) 提携OEM:トヨタ、広州汽車、目標:無人自動運転タクシーの実用化を目指す。Oxbotica、創業年2014年 母体:(Oxford大学)、その他提携:Addison Lee、目標:2021年までに自動運転タクシーサービス開始。

自動運転スタートアップ、会社概要および研究開発動向

<Waymo>

▽会社概要

2016年12月、Google(持株会社Alphabet)の自動運転開発部門から独立し設立された。California州Mountain Viewに拠点を置く。

  • Googleは2009年にSelf-Driving Carプロジェクトを立ち上げた。
  • 2016年5月、GoogleはFCAと提携。


2017年、Chrysler Pacifica Hybridをベースとする自動運転車を試験車両として100台導入。量産車ベースの車両構築は初めて。

2018年3月、Jaguar Land Roverと提携。

  • Jaguar I-PACEをベースとする自動運転車両を開発し、数年内に最大2万台を試験車両として導入する。

 
2018年5月、FCAとの提携を拡大。

  • 自動運転車のChrysler Pacifica Hybridを62,000台追加。

 
2018年7月、小売業Walmartなど、複数の企業と提携。

  • さまざまな事業種の顧客向けパイロットプログラムを実施する。

 
2019年5月、配車サービス企業Lyftと提携。
2019年6月、Renault/日産と無人モビリティサービスに関して独占契約を締結。フランスおよび日本でのサービス展開を検討する方針。

2020年までのシステム実用化を目指す。

▽質・量とも他を圧倒する試験走行実績

2018年10月までに、米国25都市の公道で延べ1,000万マイル以上のテストを実施。
California州DMVのレポートにおける1介入あたりの走行距離は、2017年の約9,000kmから2018年に約2倍に延伸。

▽世界初ロボタクシーを実用化(2018年12月)

2018年12月、Arizona州Phoenixで旅客輸送の許可を取得。世界初となるロボタクシーサービス「Waymo One」を開始した。

  • 対象地域の一般市民が無料で利用可能。セーフティドライバーが搭乗する。
  • Lyftとの提携により、2019年6月からPhoenixにおいて、Lyftのアプリを通じてWaymoのロボタクシーを呼び出せるようになった。特定のエリア内で乗降する場合のみ利用可能。ユーザーはアプリ上で通常の車両かロボタクシーかを選択でき、ロボタクシーを利用する場合、料金は無料となる。

2019年7月、California州公益事業委員会(CPUC)から旅客輸送サービスのテスト許可を取得。2022年7月までの3年間有効。

  • Arizona州と同様に、無償とすること、セーフティドライバーが搭乗することなどの条件がある。
  • CPUCが旅客輸送許可を発行するのはWaymoで4社目(他3社はZoox、Pony.ai、AutoX)。

<Cruise Automation/GM Cruise>

▽会社概要

2013年10月、エンジニアのKyle Vogtと起業家のDan Kanによって設立された。California州San Franciscoに拠点を置く。

  • 創業当初はADAS機能の後付けキットの開発に注力。


2016年3月、GMが買収を発表。

  • GMが新設したAutonomous Vehicle Development Teamに統合。
  • GMの自動運転技術の開発強化と自動運転車(EV)のシェアリングサービス実現につなげるねらい。

2018年10月、GMとホンダが無人ライドシェアサービス用車両の開発で提携すると発表。

  • ホンダはGM Cruiseに対し、向こう12年間の事業資金約20億ドルを含む計27.5億ドルを支出する予定。
  • 無人ライドシェアサービス専用車の共同開発を行い、無人ライドシェアサービス事業のグローバル展開を目指す。

2019年1月、配達サービス企業DoorDashと提携。

  • 同3月よりSan Franciscoで配達サービスのパイロットを開始。
     

2019年3月、自動運転車の開発人員を倍増させると発表。

  • 2018年末時点で1,100人であったが、2,000人規模に増やす。

2019年7月、Softbankグループによる22.5億ドルの出資が米国当局に承認された。

  • Softbankグループが中国のライドシェア企業などにも投資することから、米国当局は技術流出の懸念などを審査していた。

2019年7月、自社開発の自動運転車によるオンデマンドライドシェアサービスの延期を発表。

  • 2017年11月に、2019年内に自動運転車をライドシェアサービスに投入するとの見込みを示していた。
  • 安全面の懸念からテストを続ける必要があると判断したとみられる。延期後の目標時期は明らかにしていない。

 

▽操作装置をもたない車両を開発、2019年内発売を計画

2018年1月、ステアリングやペダルなどの操作装置を搭載しないレベル4相当の自動運転EV「Cruise AV」を2019年に市販する計画を発表した。

  • GMにとって第4世代の自動運転車で、初の量産モデル。
  • 同月、GMはNHTSA(米国道路交通安全局)に対し、無人運転車に不要な安全基準の適用一時免除を申請。
  • GMの申請を受けNHTSAは2019年3月、自動運転車に不要な安全基準の撤廃について意見公募を実施すると表明。

同8月、WaymoがNHTSAに規制の撤廃を求める書簡を送付。 

CruiseAVの車内イメージ画像

<Argo AI>

▽会社概要

2016年にWaymoの元ハードウェア開発ディレクターBryan Saleskyと、Uberの元エンジニアリング責任者Peter Randerが創業した。Pennsylvania州Pittsburghに拠点を置く。

  • 創業者の2人はともにCarnegie Mellon大学の自動運転・ロボティクス技術などの研究組織National Robotics Engineering Centerに所属していた。


2017年2月、FordがArgo AIと完全自動運転技術を共同開発していくと発表。Fordは2021年までに、レベル4の自動運転車両を量産する計画。

  • FordはArgo AIの主要株主となる。Argo AIはFordの自動運転車の開発と生産を支援するが、将来的にはFord以外にも自社技術のライセンス提供を進める方針。
  • Fordは2018年7月、自動運転開発を加速させるため担当技術部門を独立させ、新会社Ford Autonomous Vehiclesを設立。Argo AIと連携して開発を進める。Fordは自動運転開発に2023年までに総額40億ドル投じる計画で、うち10億ドルはArgo AIに対する出資。

 

2019年7月、FordとVWは自動運転およびEV分野における提携拡大を発表。VWはArgo AIに計31億ドルを投資(うち5億ドルはArgo AIの株式取得に充てFordとVWのArgo AI株式保有率を対等とする)。

▽米国内実証実験拠点を拡大中

Argo AIは2019年6月、米国Michigan州Detroitで第3世代の自動運転車両を用いた公道試験を開始したと発表。Pittsburg、Palo Alto、Miami、Washington D.C.に続き5都市目。

  • 第3世代となる自動運転車両のベースモデルはセダンタイプのFusion Hybrid。カメラやレーダーの性能を向上させたほか、コンピュータユニットに冷却ユニットを追加し、座席の発熱の問題を解消した。ただし、Fordが投入を計画する自動運転車はライドシェアから宅配まで広範囲に利用可能な小型バンとみられている。

 

<Aurora Innovation>

▽会社概要

2016年、3人の自動運転エンジニアによって設立された。拠点はCalifornia州Palo Alto。Chris Urmson(現CEO)はGoogleの自動運転プロジェクトの元責任者。
Drew Bagnell(現CTO)はCarnegie Mellon大学ロボティクス研究所の教員であり、Uberの自動運転車向け認識アーキテクチャ開発などに関わった。Sterling Anderson(現CPO)はTeslaのAutoPilot技術の元開発責任者。

2019年2月、Amazonなどを含む投資家グループから 5.3億ドルを調達。Auroraの評価額は25億ドル超となった。

  • Amazonにとっては自社 E コマース事業への自動運転車活用のねらいがあるとみられる。
  • Auroraは事業規模拡大、物流ノウハウ等で恩恵を受ける。


Auroraは自動運転プラットフォーム「Aurora Driver」を開発。

▽独立企業として存在しながら複数OEMと提携

Auroraは中立的な開発をビジョンとして掲げ、OEMとの独占取引等を行わない独立企業である。

  • 2018年8月頃、提携先であったVWが買収を打診したが、Auroraが拒否した模様。

2018年1月、VWおよび現代/起亜との提携を発表。

  • VWとは2019年6月のプロジェクト完了をもって提携を解消。VWは新たにArgo AIと提携。
  • 現代/起亜は2021年までにレベル4の自動運転ロボタクシーを用いたパイロットプログラムを開始するとしている。

 
2018年2月、Byton(中国)と提携。

  • 2019年末までにレベル2の自動運転電動SUV「M-Byte」を量産開始し、中国で販売する目標を掲げる。2020年半ばには欧米でも販売する予定。将来的にはレベル4の電動セダン「K-Byte」を発売するとしている。

 
2019年6月、FCAと提携。

  • 自動運転商用車の開発および運用について協力する。RamブランドにAuroraの自動運転技術を適用する。

 

<Nuro>

▽会社概要

2016年9月、Waymoの2人のエンジニア(自動運転車プロジェクトのスタートメンバーであったJiajun Zhuと同プロジェクトの元ソフトウェア開発リーダーDave Ferguson)によって設立された。California州Mountain Viewに拠点を置く。

2018年6月、スーパーマーケットチェーンKrogerと提携。

2019年2月、Softbankグループから9.4億ドルの資金を調達。

2019年3月、GMと同様に無人運転車に不要な安全基準の適用免除をNHTSAに申請。

▽オンデマンド無人配送サービス向け車両を開発

2018年1月、最初の無人配送小型EV「R1」を発表。

  • 荷物の運搬用に設計されており、運転席やエアバッグ等の装備を搭載せず、積荷スペースを最大化した。
  • 集配所から配達先までのラストワンマイルの配送を想定。高速走行向けの高価なセンサー等が不要なため、コストダウンに成功。
  • 車幅をセダンの半分程度とし、軽量材料を使用することで車両重量を約680kgとした。
  • 最高速度40km/hの自動走行を実現。
  • 2018年8月、Arizona州ScottsdaleのFry’s Food Stores(Krogerグループ)でトヨタPriusを改造した自動運転車による食品配送実験を実施。実験車両にはセーフティドライバーが乗車。
  • 2018年12月、Arizona州Scottsdaleでの配送実験においてPrius改造車に代わり投入。セーフティドライバーは搭乗しない。2019年4月からTexas州でも実験開始。


2019年6月、第2世代車両「R2」を用いた実験を開始。 

Nuroの開発車両のイメージ画像

  • Texas州Houstonの公道を走行するDomino’s Pizzaの配達実験に使用。

 
2021年までにアップグレード版車両「R2X」を5,000台投入する。

<Zoox>

▽会社概要

2014年に、Stanford大学で自動運転技術を研究していたJesse LevinsonとオーストラリアのデザイナーTim Kentley-Klayによって設立された。拠点はCalifornia州Foster City。

  • 2018年8月、Tim Kentley-Klay(当時CEO)が電撃解任された。


2018年7月のシリーズBで5億ドルを調達し、累積調達額は8億ドル、企業価値は32億ドルとなった。
約100人のTesla出身者が在籍。

  • 2019年3月、Teslaは複数の元従業員が機密情報を持ち出してZooxに入社したとして、Zooxおよび元従業員を相手に訴訟を起こした。

 
2020年に配車サービスによる自動運転車の商業展開を計画。

▽ロボタクシー市場向けに独自に車両開発

Zooxは自動運転車両を独自に開発している。

  • 車両は電動車で、従来の車両デザインとは大きく異なり、ステアリングやダッシュボードがなく、座席としてベンチシートを配置。
  • 独自開発の車両は公道走行の許可が得られていないため、トヨタHighlanderに自動運転システムを搭載し、San Franciscoの金融街などで試験走行を実施している。

Zooxの開発車両のイメージ画像

▽California州で初の旅客輸送許可を取得

2018年12月、自動運転車による旅客輸送サービスの試験についてCPUCの許可を取得。

  • CPUCが自動運転車による旅客輸送の許可証を発行するのはこれが初めて。許可は2021年12月まで有効。
  • 許可されたパイロットプログラムでは、セーフティドライバーが同乗したうえでの旅客輸送を実施。旅客への課金はしない。

<Drive.ai>

▽会社概要

2015年、AI研究者のAndrew NgがSilicon Valleyで創業。Stanford大学のAI研究所の研究者たちを擁する。

創業当初は、自動運転ソフトウェア・システムおよびインテリジェント・コミュニケーション・システムに特化。後にディープラーニング・ソフトウェアおよび後付け用自動運転キットのハードウェア開発へとビジネスモデルを転換。

2021年までに無人自動運転の実現を目標に掲げた。
2017年9月、配車サービス大手Lyftと提携。

  • San Franciscoでレベル3の自動運転技術のテストを行う計画を示した。

 

2017年9月、東南アジアを中心に配車サービスを手掛けるGrab(シンガポール)から1,500万ドルの資金を調達。企業価値は2億ドルに達した。

  • Drive.aiはGrabの協力を得てシンガポールに拠点を開設する計画を示した。


2019年6月、資金難により廃業。同月、Appleが買収した。

  • 従業員90名のうち、数十人のエンジニアやデザイナーがAppleに移籍している模様。Appleの自動運転プロジェクト「Project Titan」に加わるとみられる。Project Titanに関しては2019年初に約200人を解雇したが、Appleは縮小方向ではなく主要要素の開発に集中するためとする声明を発表していた。

 

▽Texas州で配車サービスパイロットプログラム実施

2018年7月、Texas州Friscoで自動運転車による配車サービスパイロットプログラムの第1弾を開始。

  • 対象地区の住民や従業員ら1万人以上をユーザーとし、オフィス街と商業施設の間を結ぶ。専用アプリから自動運転車を呼び出すことができる。乗降地点は決められた場所のみ。
  • オレンジ色に塗装した日産のライトバンNV200を使用。LiDARやセンサーなどを搭載し、車両の前部および側面には歩行車に情報提示できるモニターを設置。セーフティドライバーが搭乗する。

 

2018年10月までに、Texas州Arlingtonで自動運転走行のパイロットプログラムの第2弾を開始。

  • 第1弾と同様の車両を使用し、レストランやオフィスなどの主要地点を結び周回する。

 

Friscoのプログラムは2019年3月末で終了。Arlingtonのプログラムは同10月まで継続予定であったが早期終了したとみられる。

<Pony.ai (小馬智行)>

▽会社概要

2016年12月、百度の米国拠点で自動運転の開発などを手がけていた楼天城と彭軍が独立し創業した。中国広東省広州と米国California州Fremontに拠点を置く。

  • 彭軍(現CEO)はGoogleから百度に移籍。自動運転およびビッグデータ関連の研究開発に携わった。
  • 楼天城(現CTO)は百度およびWaymoで自動運転の研究開発に携わった。
  • 百度のほか、WaymoやUberなどの出身者を採用。

 

2018年9月、中国初となる市販向けの自動運転システム「Pony Alpha」をリリース。

2019年4月までに総額約3億ドルの資金を調達。企業評価額は17億ドルとされる。

  • 2018年2月、広州汽車集団と自動運転技術やモビリティ関連分野で協力するため提携することを発表。
  • 2019年8月、共同開発したレベル4自動運転車Aion LXを発表。
  • 2019年末までにレベル4の自動運転車を商用化する計画を掲げていた。


2019年8月、トヨタと自動運転パイロットで提携すると発表。

  • 同9月より、Pony.aiの自動運転システムを搭載したトヨタのLexus RXで北京および上海において公道実証実験を行う計画。

 

▽ロボタクシーパイロットプログラムを実施

2019年4月、中国初となるロボタクシーのパイロットプログラム「PonyPilot」を正式発表した。

  • 従業員や関係者のみをユーザーとし、セーフティドライバーが同乗する。広州市南沙区の試験区域(約50km2)で、乗降地点はあらかじめ決められている。
  • 2018年12月にユーザー向けの配車アプリをリリース済み。
  • 2019年内に車両数を100台まで増やす予定。

 

2019年6月、米国California州における旅客輸送許可をZooxに続き取得。中国企業では初めて*。(* AutoXも同時に取得。)

<Oxbotica>

▽会社概要

2014 年、Oxford大学からスピンアウトしてPaul NewmanとIngmar Posnerによって設立された。

2017年、英国の自動運転プロジェクトGATEwayの一環で、自動運転シャトルバス7台の試験走行や英国初の食料品の自動配送実験などを実施。

2018年、Uber欧州の元責任者Fraser Robinsonを役員に任命。

2018年9月、1,830万ドルの資金調達。

▽学習型自動運転ソフトウェアを開発

人間の運転者の実際の運転挙動から運転技術を学習し自動運転アルゴリズムを構築するソフトフェア「Selenium」を開発。

  • Seleniumは既存の自動車にも適用可能。カメラやセンサーを搭載したうえで運転挙動を学習させることで、自動運転車化することができる。

 

▽英国で2021年にも自動運転タクシーサービス開始

2018年10月、英国Londonの最大手タクシー会社Addison Leeと戦略的パートナーシップを結んだ。

  • 2021年までに自動運転車によるタクシーサービスを開始することを目指している。

FOURIN世界自動車技術調査月報
(FOURIN社転載許諾済み)

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