3年間で自動車業界の中途採用数3.4倍 自動車業界が「新卒採用主義」ではなくなったワケ
2018.11.02自動車業界はこれまで、採用のほとんどを新卒が占める「新卒採用主義」の業界だと言われてきた。
しかし、求められる技術の変化によって中途採用のニーズが増加。現在の自動車業界は、技術だけではなく採用の面でも「大変革期」を迎えている。
自動車業界への転職者数は3年間で3.4倍に
オートモーティブ・ジョブズ編集部が国内の自動車メーカー9社の新卒・中途採用人数(ともに大卒もしくは大学院卒の男女)をまとめたところ、中途採用人数は2009~2016年度の7年間で5倍に増加していることが分かった。
2009年度の新卒・中途を合わせた採用人数は4000人ほどで、全体のうち中途採用が占める割合は6%に過ぎなかった。リーマンショック後は新卒採用が減って合計の採用人数も半減したが、中途採用人数が徐々に増加したため全体として以前の水準に回復。2016年度の採用人数は4390人で、全体の約3割が中途採用となっている。
自動車メーカーに部品メーカーを加えた中途入社人数は、さらに右肩上がりだ。オートモーティブ・ジョブズのデータによると、2018年度の上期に自動車業界に転職した人は、3年前と比べて3.4倍に増加していた。
業界未経験やハイクラス…広がる中途採用の間口
自動車業界で中途採用の勢いが増しているのは、電気自動車や自動運転の開発で即戦力となる電気・ソフト系エンジニアのニーズが高まっているのに加え、新卒採用の苦戦から第二新卒の中途採用に力を入れているメーカーも少なくないからだ。
2018年度の自動車メーカーは、過去最高の3兆1220億円となる見込み。設備投資額もスバルを除く8社が2017年度を上回る予想で、自動車業界全体として開発に積極的な投資をする姿勢を崩さない。中途採用も活発な状態が続くだろう。
ニーズの高まりに伴い、採用の間口も広がっている。
経験が浅くても将来性を買って採用する「ポテンシャル採用」を行っている企業が増加。理系出身で自動車業界未経験の第二新卒を中心に中途採用をしている。
これまでは35歳が転職の限界だと言われていたが、40代や50代の中途採用者も増えてきている。日系自動車メーカーでマネジメント業務がメインになっていた50代のエンジニアが、外資系部品メーカーに転職して最前線の現場で活躍し続けるという希望を叶えたという事例も。
特に、自動運転やコネクテッドといった新しい技術に関するスキルを持っていれば、年齢を問わず転職しやすい状況となっている。
(オートモーティブ・ジョブズ編集部 山岡結央)