【2019年版】世界自動車メーカー販売台数ランキング ―トップは3年連続のVW
2019.06.14世界の自動車メーカー20社を対象に最新の販売台数を調査し、ランキングにまとめました。トップは3年連続のVWで、2位はルノー・日産・三菱自動車連合。前年と比べて順位にはほとんど変動がありませんでしたが、販売台数には政治・経済の影響があらわれています。
【トップ5】1位は3年連続VW、4位GMのみ前年割れ
2018年のトップはVW(フォルクスワーゲン)でした。販売台数は前年比0.9%増の1083.4万台で、3年連続首位をキープ。ロシアやブラジルで販売が伸びたほか、主力の中国でも堅調にシェアを拡大しています。
今後は中国で2019年に導入されたNEV規制(新エネルギー車の生産・販売を一定の割合で義務づけるもの)に対応するため、中国向けのラインナップをすべて電動化する計画。年内に14モデルの新エネルギー車を投入すると発表しています。
2位はルノー・日産・三菱自動車連合で、販売台数は1075.7万台でした。カルロス・ゴーン氏の逮捕で揺れた日産自動車は販売台数が減少しましたが、ルノーと三菱自動車の販売は伸びたため、全体では前年から1.4%増加。内訳は、ルノーが388.4万台、日産自動車が565.4万台、三菱自動車が121.9万台と、日産自動車が半数以上を占める形となっています。
3位はトヨタ自動車で、販売台数は前年比1.6%増の1060.3万台でした。主力市場の国内と米国は苦戦したものの、中国をはじめとしたアジアで販売が増加。2019年度も国内と米国での販売は減少する見込みですが、アジアと欧州が伸びて販売台数は1074万台(2018年度比1.3%増)となる予想です。
4位はGM(ゼネラルモーターズ)で販売台数は前年比12.7%減の838.4万台でした。上位5社のなかでは唯一のマイナスで、前年から120万台以上減っています。オペル・ボクスホールブランドの売却で、前年には70万台ほどあった欧州販売が3673台にまで減少したことが響きました。
5位は現代自動車グループで、販売台数は739.9万台(前年比2.0%増)でした。現代自動車、起亜自動車ともに増加しましたが、年初に目標として掲げた755万台には未達。今後は米国・中国販売の回復に注力する方針で、2019年は760万台の販売を目指しています。
【総合ランキング】米中貿易摩擦が販売台数にも影響
フォード・モーターは前年同様の7位ですが、販売台数は前年から9.5%減少して598.2万台に。新車ニーズが下がりつつある北米や、米中貿易摩擦の影響を受けた中国での販売が振るいませんでした。
本田技研工業の販売台数は532.3万台で、8位にランクイン。新型のクライダーとインスパイアを発売した中国が好調に伸び、前年から2.4%増加しました。しかし、2019年度の販売台数予想は516万台と国内メーカーで唯一の前年割れとなる見込み。英国での生産撤退や北米販売の不振が響く見通しです。
9位のFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の販売台数は、前年比2.2%増の484.2万台でした。ルノーとの経営統合が実現すれば日産・三菱自と合わせて販売台数1500万台超えの巨大アライアンスが誕生することになりましたが、仏政府の関与を理由に統合は白紙に戻っています。
特に販売台数が増加したのは、20位のテスラです。生産効率が高まった「モデル3」が牽引し、前年比142.1%増の24.5万台を販売しました。
一方、販売台数が大幅に減少したのは、14位の長安汽車です。フォードとの合弁事業が振るわなかったことが響き、販売台数は前年比25.6%減の213.8万台となりました。
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現在の自動車業界は、米中の報復関税や英国のEU離脱問題などから大きな影響を受けています。これまで右肩上がりに拡大していた中国市場は2018年末から成長が鈍化しており、今後は「どの地域に注力するか」がよりいっそう重要となってくるでしょう。2020年のランキングがどう着地するのか読めなくなっているのが現状です。
(オートモーティブ・ジョブズ編集部 山岡結央)