【20年度中間結果】国内自動車メーカー売上高ランキング|コロナが与えた影響は?

2021.01.28
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新型コロナウイルスの流行で幕を開けた2020年度。自動車販売は世界各国で落ち込んでおり、国内自動車メーカーも大きな打撃を受けていると報道されています。

実際、各メーカーの業績は前年度からどの程度悪化しているのでしょうか。国内自動車メーカー8社が公表している2020年度上半期(2020年4月1日~9月30日)の決算資料をもとに、業績と販売台数の中間結果をまとめました。

【業績】最も悪化したのは三菱自動車

まずは、売上高と営業利益へのダメージが大きな企業からみていきましょう。

【20年度上半期】業績へのダメージが大きかった自動車メーカーラインキング。各社の発表資料をもとに作成。1位:三菱自動車 売上高前年比49.0%減。20年度上半期5749億円 営業利益(損失)20年度上半期マイナス826億円。2位:日産自動車 売上高前年比38.2%減、20年度上半期3兆927億円、営業利益(損失)マイナス1588億円。3位:マツダ 売上高前年比34.6%、20年度上半期1兆1158億円、営業利益(損失)マイナス529億円。4位:スズキ 売上高前年比27.6%減、20年度上半期1兆2702億円、営業利益(損失)前年比36.8%減、20年度上半期749億円。5位:トヨタ自動車 売上高前年比25.9%、20年度上半期11兆3752億円、営業利益(損失)前年比62.8%、20年度上半期5200億円。6位:本田技研工業 前年比25.2%、20年度上半期5兆775億円、営業利益(損失)前年比64.2%減、20年度上半期1693億円。7位:SUBARU 売上高前年比24.1%、20年度上半期1兆2184億円、営業利益(損失)前年比67.7%減、20年度上半期306億円。8位:いすず自動車 売上高前年比22.3%、20年度上半期 7929億円、営業利益(損失)前年比76.5%、20年度上半期168億円。前年度上半期と比べて特に売上高の減少率が高かったのは、三菱自動車、日産自動車、マツダの3社。いずれも減少率は30%を超えており、営業損失を計上して最終赤字に落ち込む結果となりました。

最も打撃が大きかった三菱自動車の20年度上半期売上高は5,749億円で、前年同期の1兆1,280億円から49.0%減少。主力市場のASEAN地域ではインドネシア・フィリピンで活動制限が続いており、ほかの地域と比べて自動車需要の回復が遅れている状況。売り上げの3割近くを稼ぐ地域だけに、業績全体へのダメージも大きくなっています。

次いで減少率が高かったのは、日産です。20年度上半期の売上高は3兆927億円で、前年同期と比べて38.2%減少。20年度から主要市場に位置づけた日本・中国・北米のうち、日本と北米での販売が伸び悩みました。
同社は新型コロナウイルスへの対応とともに構造改革にも着手しており、「特に在庫管理の徹底や生産能力の最適化による固定費の削減には一切の妥協なく取り組み、当社のコストベースを改善していきます」とテコ入れの手を止めない方針を示しています。

乗用車メーカーのなかで最も影響が小さかったのは、7位のSUBARUです。20年度上半期の売上高は1兆2,184億円で、前年同期から24.1%減少。第1四半期(4月~6月)は他社と同様大きく落ち込みましたが、第2四半期(7月~9月)は主力の北米が回復基調に入ったことから、上半期トータルでのダメージを小幅に抑えられました。

【販売台数】トヨタの減少率は小幅

続いて、販売台数への影響をみていきましょう。

【20年度上半期】販売ダイスへの影響が大きかった自動車メーカーランキング。各社の発表資料をもとに作成。1位:三菱自動車 販売台数:前年比40.7%減。20年度上半期35.1万台 前年度59.2万台。2位:日産自動車 販売台数前年比32.1%減。20年度上半期169.9万台、前年度250.1万台。3位:スズキ 販売台数前年比31.4%減、20年度上半期96.6万台、前年度140.8万台。4位:SUBARU 販売台数前年比 27.9%減、20年度上半期36.3万台、前年度上半期50.4万台。5位:いすず自動車 販売台数前年比 27.6%減、20年度上半期21.5万台、前年度上半期29.7万台。6位:マツダ 販売台数前年比 20.9%減、20年度上半期57.8万台、前年度上半期73.1万台。7位:本田技研工業 販売台数前年比 20.2%減、20年度上半期204.5万台、前年度上半期256.2万台。4位:SUBARU 販売台数前年比 27.9%減、20年度上半期36.3万台、前年度上半期50.4万台。8位:トヨタ自動車 販売台数前年比 20.0%減、20年度上半期436.6万台、前年度上半期545.4万台販売台数の減少率が高い企業1位と2位は三菱自動車と日産で、業績と同じ顔ぶれ。三菱自動車は前年同期比40.7%減、日産は同32.1%減となっています。

3位のスズキは、前年同期と比べて販売台数が31.4%減少。四輪車販売の5割近くを占める主戦場のインドがロックダウンとなったことが響きました。

販売台数の減少幅が最も小さかったのは、トヨタです。ダイハツ・日野自動車を含めたグループ総販売台数は、前年同期比20.0%減の436.6万台。20年度は4年連続で販売台数が世界トップだったVWを上回ると期待がかけられており、コロナ禍でも堅調に売り上げを伸ばしています。

【見通し】三菱自は前年度比34.8%減の予想

【20年度見通し】通年で業績が悪化する見込みの自動車メーカーラインキング。各社の発表資料をもとに作成。1位:三菱自動車 売上高:前年比34.8%減。20年度1兆4800億円 前年度2兆2703億円。2位:日産自動車 売上高前年比19.6%減。20年度7兆9400億円、前年度9兆8789億円。3位:マツダ 売上高前年比16.9% 20年度2兆8500億円、前年度3兆4303億円。4位:スズキ 売上高前年比14.0%減、20年度3兆円、前年度3兆4884億円。5位:いすず自動車 売上高前年比13.4%減、20年度1兆8000億円、前年度2兆799億円。6位:トヨタ自動車 売上高前年比12.9%減、20年度26兆円、前年度29兆8665億円。7位:本田技研工業 売上高前年比 12.6%減、20年度13兆500億円、前年度14兆9310億円。8位:SUBARU 売上高前年比 11.8%減、20年度2兆9500億円、前年度3兆3441億円。最後に、各社の20年度通期の業績見通し(第2四半期の決算を公表時点)をまとめました。

8社のなかで最も業績が悪化すると見込まれているのは、上半期の売上高・販売台数ともにダメージが大きかった三菱自動車。20年度の売上高は前年度比34.8%減の1兆4,800億円に落ち込む予想です。

ほかの7社は、前年度と比べて10~20%のマイナスとなる予想。減少率の大小こそあれ、どの企業にとっても苦戦を強いられる1年となることに変わりはないでしょう。

自動車市場は回復の兆しが見えつつあるものの、先行きは不透明な状態が続きます。この先しばらくは、影響を最小限に抑えつつ、電動化へと舵を切るための投資も求められる正念場となるでしょう。

(オートモーティブ・ジョブズ編集部)

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