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整備士が転職するときの選択肢の1つである「アジャスター」。
この記事では、技術アジャスターのくわしい業務内容や平均給与、休日などを解説。実際の求人例をもとに、企業ごとの条件の違いも紹介します。
そもそも「アジャスター」とは?
自動車事故の原因を調査し、損害額を算出する仕事
アジャスターとは、自動車事故の原因を調査し、損害見積もり額を算出する仕事を行う人のこと。正式には、一般社団法人日本損害保険協会(損保協会)が行う試験に合格し、アジャスターとして登録された人のことを指します。
主な業務内容は、
です。
アジャスターになるには、資格の取得が必須
アジャスターとして働くには、損保協会が行うアジャスター試験の資格が必須になります。はじめに受ける「見習」試験に合格することで、アジャスターに新規登録されます。
ちなみに、「見習」試験の合格ラインは100点満点中60点以上で、2023年度の平均合格率は24.2%です。出題のレベルは、3級自動車整備士資格試験および自動車車体整備士資格試験程度となっています。
資格の技能ランクと試験内容
アジャスター試験には「技術アジャスター」と「特殊車アジャスター」の2種類があります。
「技術アジャスター」試験には、「見習」「初級」「3級」「2級」「1級」の5つの技能ランクが存在していますが、1級の試験はこれまで行なわれたことがないため、持っている人はいません。「見習」に続いて、初級→3級→2級の順にランクアップします。資格取得後は、研修センターにて5~10日間の基礎研修を受ける必要があります。
また、「特殊車アジャスター」試験に合格すると、「特殊車両(建設機械等の特殊な構造を有する自動車、特種な用途に使用する自動車等)」の物損事故についても技術アジャスターと同様の業務を行うことができるようになります。
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技能ランク 試験内容 開催回数 見習技術
※新規登録筆記(1時間) 年5回 初級技術 筆記(1時間) 年5回 3級技術 筆記(2時間)
見積もり(1時間半)年1回 2級技術 筆記(2時間)
見積もり(乗用車/貨物車それぞれ1時間半)年1回 特殊車
※新規登録筆記(1時間半)
見積もり(1時間半)年1回
アジャスターには2種類の働き方がある
アジャスターには、損害保険会社に所属する「専属アジャスター」とフリーランスで活躍する「乗合アジャスター」の2種類があります。
専属アジャスターは保険会社に所属しているため、保険会社のいち社員として被保険者とのやり取りなどの業務も行いますが、乗合アジャスターは調査業務のみを行うのが基本。専属アジャスターとして損害保険会社で業務経験を積んだ後、乗合アジャスターとして独立し、キャリアアップを目指す人が多いようです。
- 専属アジャスターの1日のスケジュール(例)
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アジャスターの年収・休日・残業は?
ここでは、損保協会に加盟する保険会社の求人をもとに、年収や休日などの応募条件について解説します。
初年度の年収408万円、完全週休2日制が基本
損保協会に加盟する保険会社6社の「技術アジャスター」求人をもとに平均値を算出すると、転職時の最初の月給は25万5500円、初年度の年収は408万9400円(※)。給料は年齢に比例して高くなる傾向があるため、初年度の年収が420万円以上ということもありえるでしょう。ちなみに、自動車整備士の平均年収は417万2800円(平均年齢47.2歳、2023年度)。このことからも、アジャスターの給料が比較的に高いことがわかります。
また、すべての求人が完全週休2日制(土日休み)でした。エリアごとに採用している企業もありますが、全国に拠点を持っている会社がほとんどのため、「全国転勤あり」の求人が多いようです。
※年収は、月給12ヵ月分+賞与(月給2ヵ月分)2回分をもとに推定値を算出。
※整備士の給料については詳しくはこちら
企業によってアジャスターの募集要項はさまざま
アジャスターの募集要項は、損害保険会社によってさまざまです。実際の求人例をもとに、見るべきポイントを確認していきましょう。
- 求人例 01:未経験OK
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- 月給
- 22万4000円~
- 年収例
- 393万円/入社3年目
594万円/入社7年目(技術アジャスター資格2級取得)
- 交通費
- 全額支給
- 残業手当
- あり
- 賞与
- 年2回
- 昇給
- 年1回
- 条件
- 高卒以上
未経験OK
- 勤務地
- 東京都渋谷区
※生活本拠地配属を考慮し拠点を決定しますが、全国のいずれかの拠点配属となる場合もあります
- 勤務時間
- 9:00~17:00(休憩1時間を含む)
- 休日
- 完全土日休み
整備士資格を持ってなくても応募できる求人です。応募者が多くなる傾向があり、倍率は上がりますが、整備士資格があることや、自動車整備経験が有利に働く可能性はあるでしょう。勤務先も限定されており、基本的には生活本拠地配属を考慮し拠点が決まるようです。
- 求人例 02:契約社員からスタート
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- 月給
- 22万9000円~
- 年収例
- 500万円/入社4年目(技術アジャスター資格3級取得)
- 交通費
- 全額支給
- 雇用形態
- 入社後1年は契約社員、資格取得状況を考慮し正社員への転換
- 残業手当
- あり
- 賞与
- 年2回
- 昇給
- 年1回
- 条件
- 高卒以上
整備士資格3級以上
- 勤務地
- 全国
- 勤務時間
- 9:00~17:00(休憩1時間を含む)
- 休日
- 完全週休2日制
入社後1年間は契約社員として雇用され、アジャスター資格の取得状況によって正社員としての本採用が決まる求人です。最悪の場合、契約終了となり職を失ってしまう場合もあるので、条件面の確認は必須でしょう。
- 求人例 03:月給30万以上
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- 月給
- 33万7160円~(みなし労働手当を含む)
- 交通費
- あり
- 残業手当
- あり
- 賞与
- 年2回
- 昇給
- 年1回
- 条件
- 高卒以上
整備士資格
- 勤務地
- 全国
- 勤務時間
- 9:00~17:00(休憩1時間を含む)
- 休日
- 完全土日休み
年次有給休暇最大24日
月給33万7000円以上でかなり条件のいい求人ですが、みなし労働手当を含んでおり、残業が多い職場の可能性もあります。年次有給休暇も多いので、平日と休日はしっかりと切り替えたいという人向きの求人です。
乗合アジャスターなら実力次第で稼げる
乗合アジャスターは、乗合アジャスターの全国組織である「全国アジャスター協会(JAA)」を通して、損害保険会社や共済より調査依頼を請け負います。また、土日・祝日でも対応できるため、担当する物損事故の件数によっては、企業に雇用されるよりも稼ぐことができます。
ただし、企業に雇用されないため、会社員であれば受けられる社会保障がない点や、月によって収入が不安定な点には注意しましょう。確定申告などの税処理も、自分自身で行う必要があります。
整備士からアジャスターへの転職に向いている人って?
整備士とアジャスターでは、業務内容や顧客となる人も異なります。どのような人が整備士からアジャスターへの転職に向いているのか、アジャスターに求められる力とともに確認していきましょう。
- アジャスターに求められる力
専門知識取得のために学び続けられる
アジャスター試験には、自動車工学だけではなく、賠償に関する法律の知識や道路交通法の問題も出題されます。出題内容が難しくなる上位資格を取得していくためにも、専門知識を学び続けられる人が向いているでしょう。また、日常的に、電気自動車など新しい規格の車体に関する情報などをキャッチアップできるかどうかも大切になります。
書類作成業務に苦手意識がない
見積もりや調査報告書などの資料作成業務もアジャスターの仕事の1つ。整備でも車検証の交付手続きに関する書類作成や修理箇所の見積作成をするので、もともとそのような書類作成業務が苦手でない人は問題ありません。慣れてくると効率化を図れる業務ではあるので、正確にこなしていく力も求められます。
冷静で論理的な対応ができる
事故によっては、保険金詐欺を目的としたものや、修理工場によって不当にねつ造されたものもあるため、先入観にとらわれずに冷静な対応がとれることが重要です。また、弁護士指導のもと、アジャスターが実際に事故にあった人と示談交渉を行うこともあるので、論理的で落ち着いたコミュニケーションが取れる人が向いているでしょう。
整備士経験を生かせる職種はアジャスターだけではない
整備士としての経験は、アジャスターだけではなく、ほかにもさまざまな職種に生かすことができます。「自動車整備士を辞めたい人必見!おすすめの職種と異業種への転職体験談」も参考に、整備士に転職先として選ばれている職種を確認しましょう。