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1級自動車整備士の資格
~種類・試験内容・難易度~

更新日

1級自動車整備士は、自動車整備士の国家資格の中で最もレベルが高い資格です。1級自動車整備士になれば、自動車の整備に関するあらゆる知識が身に付きます。

ここでは、1級自動車整備士の資格の種類や試験の内容、難易度について解説します。

1級自動車整備士の仕事内容と資格

1級自動車整備士は、自動車整備士の国家資格の中では最上位の資格で、一般的には「1級小型自動車整備士」のことを指します。1級自動車整備士には「1級大型自動車整備士」と「1級二輪自動車整備士」もありますが、これまでに試験が行われたことはありません。

1級小型自動車整備士とは、総重量8トン未満、最大積載量2トン以下、乗車定員10名以下の普通自動車と四輪・三輪の小型自動車、軽自動車が整備できる資格のこと。ガソリン・ジーゼル・シャシに分類されている2級・3級とは違い、1級はひとつの資格ですべての部分を整備できます。

1級自動車整備士になることで、電気自動車などの新技術が使われている車に関する知識も深まります。とはいえ、2級自動車整備士の資格があればほとんどの整備を担当できるのが現状。1級自動車整備士の資格を持っている人は、自動車整備士のうち3%ほどしかいません。

1級自動車整備士になるには

受験資格

1級自動車整備士の資格試験を受けるには、受験資格を満たす必要があります。自動車整備士の専門学校に通った場合と、通わなかった場合に分けて説明します。

自動車整備士の専門学校に通う場合

自動車整備士の専門学校では2級自動車整備士を目指すコースのほかに、1級自動車整備士を目指すコースもあります。独学で資格取得を目指す場合と専門学校に通った場合を比べると、専門学校に通った方が短期間で受験できたり、実技試験を免除できたりといったメリットがあります。

自動車整備専門学校に通う場合
高校卒業後に自動車整備専門学校に通う場合の資格取得までのフロー図。【2級自動車整備士コース】2年制。卒業すると2級自動車整備士の受験資格を得られる。2級自動車整備士の資格を保有し3年間の実務経験を積むと1級自動車整備士の受験資格を得られる。1級自動車整備士資格取得まで最短で5年。【1級自動車整備士コース】4年制。2年の時点で2級自動車整備士の受験資格を得られる。卒業すると1級自動車整備士の受験資格を得られる。1級自動車整備士資格取得まで最短で4年。
※実務経験…ディーラーや民間の整備工場、ガソリンスタンドなどで自動車整備の仕事をすること

自動車整備士の専門学校に通わない場合

自動車整備士の専門学校に通わなかった場合は、3級自動車整備士から順番に取得していくのが基本です。3級、2級の資格を取得した後に実務経験を積み、1級自動車整備士の資格取得を目指しましょう。

自動車整備専門学校に通わない場合
高校卒業後に自動車整備専門学校に通わない場合の資格取得までのフロー図。【高校が自動車科の場合】高校卒業の時点で3級自動車整備士の受験資格が得られる。3級自動車整備士の資格を保有し2年間の実務経験を積むと2級自動車整備士の受験資格が得られる。2級自動車整備士の資格を保有し3年間の事務経験を積むと1級自動車整備士の受験資格が得られる。【高校が機械科の場合】高校卒業後6ヶ月の実務経験を積むと3級自動車整備士の受験資格が得られる。3級自動車整備士の資格を保有し2年間の事務経験を積むと2級自動車整備士の受験資格が得られる。2級自動車整備士の資格を保有し3年間の事務経験を積むと1級自動車整備士の受験資格が得られる。【高校が自動車・機械科以外の場合】高校卒業後1年間の実務経験を積むと3級自動車整備士の受験資格が得られる。3級自動車整備士の資格を保有し3年間の実務経験を積むと2級自動車整備士の受験資格が得られる。2級自動車整備士の資格を保有し3年間の実務経験を積むと1級自動車整備士の受験資格が得られる。
※実務経験…ディーラーや民間の整備工場、ガソリンスタンドなどで自動車整備の仕事をすること

1級自動車整備士の資格試験の流れ

1級自動車整備士になるには、日本自動車整備振興会が実施する「自動車整備技能登録試験(登録試験)」を受験するのが一般的。登録試験に合格した後、2年以内に全免申請※をすれば自動車整備士の国家資格を取得できます。
なお、全免申請に必要な書類は卒業した学校などによって変わるため、都道府県の自動車整備振興会に問い合わせてください。

※全免申請…自動車整備士技能検定試験(検定試験)の免除申請のこと。自動車整備士の試験には日本自動車整備振興会が実施する「登録試験」と、国が実施する「検定試験」がある。自動車整備士の資格は国家資格のため国が実施する試験に合格する必要があるが、現在の検定試験は試験を実施する資格や地域が限定的なため、登録試験に合格して検定試験の免除申請をするのが一般的になっている。

1.都道府県の自動車整備振興会で申請する
■申請時に必要なもの
  • 登録試験受験申請書
  • 受験手数料
  • 縦6.0cm、横4.5cmの証明写真
  • 郵便はがき(学科試験のみ:2枚、学科・実技試験:4枚)
  • 受験資格を証明するもの(卒業証書、実務経験証明書など)
2.自動車整備技能登録試験を受験する
■学科試験
2級・3級は筆記試験、1級は筆記試験と口述試験
■実技試験
資格によっては、実技試験が行われていない場合もある。一種養成施設※の専門学校や高校・大学を卒業したり、自動車整備振興会技術講習を受けたりして免除するのが一般的。
3.都道府県の自動車整備振興会で手続き(全免申請)
■申請時に必要なもの

(例)神奈川県自動車整備振興会

  • 検定申請書
  • 学科試験合格証書または学科試験合格通知はがき
  • 整備技能講習修了証書または一種養成施設卒業証書
  • 郵便はがき 2枚
  • 3級整備士合格証書(2級を受験した場合)
  • 2級整備士合格証書(1級を受験した場合)
  • 実務経験が短縮になる方は、その卒業証書
  • 実務経験証明書もしくは検定申請書
  • 印鑑
  • 申請料

4.自動車整備士の合格証明書が届く

※一種養成施設…国土交通省の認定を受けた自動車整備士の専門学校、自動車大学校、高校、職業技術専門校のこと

試験の概要

1級自動車整備士の登録試験は1年に1回のみ。筆記試験は3月、口述試験は5月、実技試験は8月です。

  学科試験 実技試験
  筆記試験 口述試験
試験日 3月 5月 8月
受験料 6,200円 12,000円
試験時間 100分 10分 40分
出題数 50問 2問 4問
試験内容
  • 構造・機能と取り扱い方法
  • 点検・修理・調整と完成検査の方法
  • 整備用機械に関する初等知識
  • 整備用の試験機・計量器と工具の構造・
    機能と取り扱い方法
  • 材料と燃料油脂の性質と用法
  • 図面の一般知識
  • 保安基準その他の自動車の整備に関する法規
  • 基本工作
  • 点検・分解・組み立て、調整と完成検査
  • 修理
  • 整備用の試験機、計量器と工具の取り扱い

1級自動車整備士試験の難易度

1級自動車整備士の登録試験の学科試験を受験した人数と合格者数をまとめました。学科試験は筆記試験と口述試験の2つで、筆記試験の合格者が口述試験を受験します。2018年度の合格率は、筆記試験が49.3%口述試験が95.2%でした。

14年度 15年度 16年度 17年度 18年度
筆記 受験者数 3,216人 3,376人 3,318人 3,563人 3,403人
合格率 31.6% 37.7% 22.4% 23.1% 49.3%
口述 受験者数 1,044人 1,316人 785人 843人 1,682人
合格率 96.0% 96.4% 97.2% 98.6% 95.2%

日本自動車整備振興会連合会の発表をもとに作成

1級自動車整備士の給料事情

1級自動車整備士の給料は、2級自動車整備士の給料と変わらないことがほとんど。給料アップを狙って1級自動車整備士を目指す方は、会社から資格手当が出るのかを確認し、その手当が資格を取るためにかかる費用や勉強にかける時間に見合うのかを見極めるのが大切です。

1級自動車整備士は自動車整備士の国家資格の中で最もレベルが高い資格ですが、2級自動車整備士の資格があればほとんどの仕事を担当できるのが現状です。しかし、電気自動車や自動運転車などの新技術が使われている車の整備に対応するために、ニーズが高まっていく可能性も。自分がどんなスキルを身に付けたいのかを考えたうえで、1級自動車整備士の資格を取るのかを判断するのがいいでしょう。

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