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外国人整備士を採用するには?
在留資格の種類、メリット、注意点を解説

公開日

人材不足が慢性化している自動車整備業において、貴重な戦力として注目されているのが外国人整備士です。「どうやって採用するのか」「就労ビザって?」「外国人整備士のメリットは」そんな疑問を本記事でわかりやすく解説します。

外国人整備士の雇用が増えている

自動車整備業界で深刻化する人手不足を解消する重要な存在として、外国人整備士に注目が集まっています。すでに身近で外国人整備士採用の話題がある方も多いのではないでしょうか。

実際、この数年の間に、右肩上がりで外国人整備士の雇用は増加しています。まずこちらのグラフをご覧ください。

自動車整備業で働く外国人労働者数と雇用事業者数
自動車整備業で働く外国人労働者数と雇用事業者数

出典:厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』を基に整備士ジョブズで作成

グラフを見ていただくとわかるとおり、外国人整備士の数は、平成30年の1,849人から令和5年には4,805人と、6年間で2.5倍以上に増加しています。

同時に、外国人を受け入れている事業所も2倍以上に増えています(平成30年699事業所、令和5年1,563事業所)。

この数値から、数多くの事業所が外国人労働者の雇用をスタートさせていることがわかります。

自動車整備士不足は慢性化していて、解消の目処が立っていないことから、外国人整備士の採用は今後もますます増加すると予想されています。

外国人労働者を雇うには

外国人の労働者を募集するには、一般的に次のような方法があります。

  • ハローワークで求人する
  • 外国人向けの求人サイトに求人掲載する
  • 人材紹介会社に依頼する
  • 特定支援機関を介して

自動車整備士は外国人からも人気が高いため、求人掲載をすると思ったよりも早く応募があるかもしれません。外国人雇用に当たっては、求人を出す前に準備をしておく必要があります。

外国人の在留資格とは

外国人整備士を雇用するには、まず外国人労働者の在留資格を理解する必要があります。在留資格によって、雇用できる年数や仕事内容、事業所側での対応が異なるからです。

在留資格とは、外国人が日本に在留する間に、どんな身分で、どんな仕事ができるかを示す資格です。ちなみに、在留資格はビザとは異なります。簡単に説明すると、次の通りです。

■ビザ(査証)
入国時に必要になるもの
■在留資格
日本に在留するために必要なもの

実際は、在留資格のことを”就労ビザ”と呼んだりもするので、使い方は曖昧になっています。

外国人が整備士として就労するためには下記の在留資格があります。

  • 技能実習
  • 特定技能
  • 技術・人文知識・国際業務

ニュース等で聞いたことがあるものもあるかもしれませんね。

それぞれ、就労への制限があります。制限はそれぞれの在留資格で異なるため、何ができて何ができないのか、どこが異なるかを次章以降で詳しく説明します。

なお、下記の在留資格を持っている方については就労に制限がありません。

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

また、下記の在留資格では就労ができません。

  • 留学
  • 家族滞在
  • 短期滞在

※在留カードに「就労不可」と記載されている場合でも、カード裏面の「資格外活動許可欄」に条件付きで許可する旨が記載されている場合があります。

外国人整備士を雇用する際は、まず最初にこの在留資格を確認しましょう。

在留資格を確認する方法は

在留資格の確認は、外国人が持っている「在留カード」で行います。

在留カードは日本政府が発行したもので、本人の顔写真(16歳以上)、氏名、生年月日、国籍、在留地などが記載されています。3ヵ月以上の滞在を許可された外国人に交付されており、正式な在留であることの証明書となります。

記載事項の中に、「在留資格」と「就労制限の有無」の項目、さらに「在留期間(満了日)」があります。在留資格と就労条件はここで確認しましょう。

在留カードの有効期限日も記載されているので、あわせて確認することをおすすめします。

なお、在留カードには偽造防止用のICチップが搭載されています。法務省が配布するスマホアプリをインストールするとチェックが可能です。

参考:
在留カードとは?』(出入国在留管理庁のホームページ)
在留カード等読取アプリケーション サポートページ』(出入国在留管理庁のホームページ)

技能実習、特定技能、技人国の在留資格について説明

3つの在留資格について説明していきましょう。

在留資格 技能実習 特定技能(1号) 技人国
在留期間 最長5年 最長5年 5年(更新可)
できること 1号/点検整備
2号/分解整備
3号/故障診断
定期点検整備、分解整備(3級自動車整備士資格と同等) 2級以上の自動車整備士資格で行う業務
雇用形態 直接雇用 直接雇用 多数の雇用形態に対応

技能実習とは

【技能実習とは】

  • 在留期間

    最長5年

  • できること

    点検整備、分解整備、故障診断(年数によって異なる)

技能実習(外国人技能実習制度)とは、先進国である日本の国際貢献として、技能や技術、知識を開発途上国へ伝えて、経済を発展させるための人づくりに協力することを目的とした制度です。

在留期限は5年間(最長)です。

この制度は、技能実習生の失踪や人権侵害などが問題となり、廃止する方向で決定されました。

今後は「育成就労制度」と名称を変更し、その目的も、国際貢献から「外国人材の確保と育成」に変更されます。より課題解決に即した制度になるようです。

技能実習生は、日常点検整備や定期点検整備、分解整備、車検整備などを行います。これは必須業務であり、関連する業務とともに修得を目的としているので、必ず行うことになります。

必須業務は、技能実習の区分(第1号から第3号まで)によって異なります。簡単にいうと、次のようになります。

■第1号技能実習生
入国から1年目。自動車の点検整備作業について修得する
■第2号技能実習生
入国から2~3年目。自動車の分解整備作業について修得する
■第3号技能実習生
入国から4~5年目。自動車の故障診断作業について修得する

自動車整備の技能実習の内容については、こちらの資料にくわしく記載されていますのでご案内しますね。

参考:
自動車整備技能実習ガイドライン』(外国人技能実習制度自動車整備事業協議会の資料)

なお、技能実習の在留資格では、転職はできません

特定技能とは

【特定技能とは】

※特定技能1号の場合
  • 在留期間

    5年(最長)

  • できること

    日常点検整備、定期点検整備、分解整備(3級自動車整備士の業務と同等)

特定技能は、国内での人材確保が難しい産業で、一定レベルの専門技能を持つ外国人を受け入れることを目的とした在留資格です。2019年に制度が施行され、受け入れが始まりました。自動車整備も受け入れ分野の1つです。

在留期限は5年間(最長)です。特定整備は、技能実習2号を修了してからは特定技能1号に在留資格の変更が可能なので、合計すると最長で10年間の就労が可能となります。

特定技能でできる業務はこちらです。

  • 日常点検整備
  • 定期点検整備
  • 分解整備

3級自動車整備士資格でできる業務内容と同等と考えればOKです。なお、上記に関連する業務(部品販売、清掃など)もできます。

特定技能の在留資格を得る条件として、技能面と日本語能力で、それぞれ満たすべき基準があります。技能実習と違い、特定技能は即戦力として活躍できる前提があるので、上記の業務を一人で行える技能水準と日本語能力が必要になるわけです。

特定技能外国人を受け入れる企業側にも多数の準備が必要です。特定技能で外国人を採用するためには、膨大な資料が必要になりますし、また特定技能外国人を支援するためのコストがかかるので、その点を考慮して、受け入れができるかを検討しましょう。

なお、2023年6月には、特定技能2号にも自動車整備が加わりました。特定技能2号は「長年実務に携わって熟練した技能を持ち、高度に専門的な業務ができる」在留資格になります。

特定技能について、詳しい内容をお知りになりたい場合は、法務省の事業者向けパンフレットがWeb公開されていますので、そちらをご案内します。

参考:
特定技能ガイドブック』(法務省)

なお、特定技能の外国人は、派遣社員としての雇用は認められていません。

技術・人文知識・国際業務とは

【技術・人文知識・国際業務(技人国)とは】

  • 在留期間

    5年(更新可能)

  • できること

    点検、診断、整備など専門的な業務

  • できないこと

    単純労働にあたる業務

技術・人文知識・国際業務の在留資格は、専門的な知識や技能を持つ外国人を受け入れ、日本の経済発展に役立てるという目的があります。3つの単語の頭文字をとって「技人国」「技人国ビザ」などと略して呼ばれることもあります。

在留期間は5年(最長)。更新も可能です。

正社員として外国人整備士を雇用したい場合は、この技人国の在留資格になります。

自動車整備士として技人国ビザを取得するには、次のような条件があります。

  • 日本の自動車整備学校を卒業し、2級自動車整備士以上の資格を有している
  • 整備主任者への着任が予定されていること

事業所のほうにも次のような条件がつきます。

  • 自動車整備士として専門的な知識を必要とする仕事があること
  • 日本人と同等以上の給与を支払うこと

注意しなければいけないのは、洗車や簡単な点検などの単純労働ができないことです。

これは、技人国ビザが「専門学校等で学んだ専門的知識を活かす仕事をする」という条件があるためです。ただし、仕事を覚えるために一定期間内であれば単純労働に従事することは認められています。

外国人整備士を採用するメリットは?

外国人整備士の採用にあたっては、次のようなメリットがあります。

【外国人整備士採用のメリット】

  • 人材の確保がしやすい
  • 優秀な人材を確保できる
  • 新たな客層の開拓

それぞれ説明していきましょう。

人材の確保がしやすい

外国人を受け入れることで、人材確保がしやすくなるメリットがあります。

整備士募集の求人を出してもなかなか集まらない…そんなご経験をお持ちの採用担当者も多いのではないでしょうか。

外国人を受け入れるというのは、求職者を増やすことと同義です。しかも、外国人にとって自動車整備は人気の職業です。これまで人材の確保に苦戦していたのが解消する可能性もあります。

優秀な人材を確保できる

在留資格で説明したように、特定技能と技人国の場合は即戦力の人材になります。

外国人労働者の評判として、「勤勉」「真面目」「意欲的」「日本人にはない着眼点や発想力を持つ」など、とても優秀であることがわかっています。

外国人整備士は、「日本人が集まらないための穴埋め」などでは決してなく、採用する価値が高い優秀な人材と言ってもいいでしょう。

新たな客層の開拓

外国人整備士の採用によって、外国人客の開拓が可能になるかもしれません。

国内には約320万人(令和5年6月時点)の外国人が在留しています。民間の調査会社のリサーチによると、在留外国人の約25%が自動車を保有しているとのことなので、80万人程度が自動車を保有していると考えられます。

出身国の言語や英語などを話せる外国人整備士は、外国人のお客さんの対応も可能になるので、在日外国人の客層の確保につながる可能性も大いにあります。

外国人整備士の採用で注意すべき点は

社内で受け入れ態勢を作る

外国人を採用する際は、社員に対して事前説明を行い、受け入れ態勢を作りましょう。

社員一人ひとりにも、外国人労働者に対する考え方があり、不安や疑問を持っています。それらをできる限り払拭するためには、事前のしっかりした説明や話し合いが大切になります。

そこを怠って外国人の採用をすると、採用した外国人整備士が社内で孤立したり、先輩社員から不安や不満が噴出することもあります。

なぜ外国人を採用することにしたのか、採用後はどんな組織にしていくのかなど、しっかり方針を伝えて理解してもらいましょう。

コミュニケーションが不可欠

外国人整備士が即戦力として活躍できるためにも、社内のコミュニケーションは不可欠です。

文化や風習、宗教などが異なった外国人の場合は、そういった面に対して理解をし、受け入れなければいけません。言葉の問題をまず考えがちですが、それよりもこちらに配慮すべきでしょう。意図せず差別的な言動になってしまうこともあります。

外国人労働者にとって、日本の企業にある「タテ型社会」や「体育会系」の風土は馴染みが薄いものです。

業務上の指導や教育においても、先輩社員からすれば常識的な範囲の言動が、外国人労働者からすると「悪口を言われた」「理不尽に叱られた」と誤って伝わることもあります。

「ここは日本だから日本式の常識に従ってもらおう」ではなく、お互いの文化的背景を踏まえた関係性を構築しなければいけません。

せっかく採用したのに、「合わない」と辞めてしまうのは非常にもったないことです。

まとめ

外国人労働者は採用のメリットも大きく、会社の発展にも貢献してくれる重要な人材です。

議場実習や特定技能を受け入れる場合など、企業の方でも入念な受け入れ準備やコストが必要になりますし、何よりこれまで働いている先輩社員たちと摩擦が起きないよう、説明や理解を促して、しっかり受け入れ態勢を整えた上で、外国人整備士を採用しましょう。

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