アウディ
アウディの企業情報
Audi(アウディ)は、Volkswagen(VW、フォルクスワーゲン)グループの高級車ブランド。拠点はドイツ・バイエルン州です。
2020年に販売20万台、高級ブランド車の販売数ナンバーワンという目標を掲げ、高級車ブランドで販売1位を獲得している中国をはじめ、好調が続くアメリカでの販売拡大に力を入れています。主なターゲットは若年層で、現在、新規の顧客にも購入しやすいモデルの投入を進めています。
Audi AG(アウディ)は、アウグスト・ホルヒが設立したアウディをはじめ、DKW、Horch(ホルヒ)、Wanderer(ヴァンダラー)の4社が1932年に統合して設立されました。
1966年にフォルクスワーゲンに買収され子会社となり、1969年、同じくフォルクスワーゲンに買収されたNSUと合併しAudi NSU Auto Union AG(アウディNSUアウトウニオン)が誕生。1985年に現在の社名となりました。
以降、フォルクスワーゲン・グループの高級車事業の収益拡大に貢献するほか、低燃費、高出力エンジンやモジュール技術の開発・推進などの重要な役割を果たしています。
2012年にはイタリアの高級二輪メーカー、Ducati(ドゥカティ)を買収。
海外事業では、1969年にアメリカ市場に進出。1980年代後半のリコール問題などで1990年代前半までは販売が低迷したものの、ディーラーとの提携強化とブランドイメージを向上させる取り組みが功を奏し、近年は好調が続いています。
一方、他の高級車メーカーに先駆けて進出した中国では、2007年に10万台、2010年に20万台を超える販売数を記録しています。
この中国での成功や他の海外事業の成長によって、1995年から2008年にかけて13年連続で売上高と世界販売台数で過去最高を更新。2013年には、「2015年世界販売台数150万台」という目標を前倒して達成し、新たに「2020年世界販売台数20万台」という目標を掲げ、取り組んでいます。
- 01.売上等の推移(直近3年間)
- 02.事業戦略
- 03.アウディの報道ニュース一覧
- 04.会社概要
売上等の推移(直近3年間)
売上高推移
経常利益推移
- ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。
従業員数推移
アウディの2014年度の実績は以下のとおりです。
- 販売台数 174万台(前年度比10.5%増)
- 営業利益 51億5,000万ユーロ(前年比2.4%増)
- 売上利益率 9.6%(前年度10.1%)
アウディは2014年度、世界のすべての地域で販売台数を伸ばし、当初の目標170万台を上回る174万台を記録しました。
また、世界的な生産拠点の拡大整備や、世界規模で規制が進むCO2問題に対応する新製品と技術開発に対し、前年比25%に上る過去最高額の45億ユーロの投資を行ったにも関わらず、営業売上利益率は9.6%と、8~10%に設定していた戦略的目標値を達成しています。
この目標値は、2015年も引き継がれます。
事業戦略
事業方針
○経営戦略
アウディが掲げる経営戦略は以下のとおりです。
・2020年までに世界販売200万台の実現
アウディは、2005年に掲げた「2015年世界販売台数150万台」の目標を、2013年に前倒しで達成したことを受けて、2020年に200万台達成という新たな目標を掲げた。この目標に向け、中国での生産能力の拡大やアメリカでの販売台数の拡大をはじめ、2016年にメキシコに新工場を開業する予定。
・商品ラインナップの拡充と新規顧客の獲得
商品ラインナップを、2020年までに現在の52モデルから60に増やす計画である。そのため、2019年までに製品・技術開発に240億ユーロを投資し、世界的に生産拠点ネットワークを拡大する。
また、若年層を主なターゲットに、新規顧客にも手に取りやすい価格や仕様の商品ラインナップを増やしている。2016年にはこうしたモデルのSUV「Q1」を発表する予定。
・コスト競争力の強化
車体の構造や部品を規格化し、そのさまざまな組み合わせによって違う商品を作るモジュールアーキテクチャー。この技術をベースに商品開発を進めることで、開発や調達コストの削減だけでなく、開発や生産の高効率化を目指す。
・環境・安全技術の革新
天然ガスと同成分で大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えないCO2ニュートラルな合成メタンガス(eガス)を自社で開発。このeガスとガソリンで走るバイフューエル車(同じエンジンで2種類の燃料を切り替えて使用できる)の「A3 Sportback g-tron」(スポーツバックgトロン)をはじめ、コンセントから直接バッテリーに充電できるプラグインハイブリッド車(PHEV)、「A3 Sportback e-tron」(スポーツバックeトロン)を2014年に発表。こうした環境に配慮した新しい燃料および新商品への取り組みを加速させている。
○新たな分野への参入
・Audi e-gasプラント本格稼働
再生可能エネルギーへのシフトが進むドイツで、再生可能な電力や水、二酸化炭素から合成ガスを作るしくみのpower-to-gasプラント、Audi e-gas(アウディeガス)プラントを、自動車メーカーでは世界で初めて2013年に始動させた。eガスは、CO2ニュートラルかつ、電力の需給バランスに対して調整が可能なことから、電力網の制御を手がけるTennet TSO社から認定を受けた。
アウディはこの他にもCO2ニュートラルな燃料の開発を続けており、2015年初めにはドイツのsunfire(サンファイアー)とスイスのClimeworks(クライムワークス)と共同で研究した合成ディーゼル燃料、e-diesel(eディーゼル)の製造をスタートした。さらに、フランスのGlobal Bioenergies(グローバル・バイオエナジーズ)とともに、e-gasoline(eガソリン)の合成製造に関する共同開発や、アメリカのJoule Unlimited(ジュールアンリミテッド)とともに、微生物を使ってe-ディーゼルおよびe-ethanol(eエタノール)を製造する研究も行っている。
注力分野
アウディは、技術力強化やブランドイメージ向上のため、モータースポーツへの取り組みやアンテナショップの立ち上げなども行っています。
・アウディスポーツ
創業以来、スポーツイベントなどで活躍を続けてきたアウディは、1999年から各国の耐久レースに参戦。ル・マン24時間レースでは通算13度の総合優勝を獲得するなど華々しい成績を収めている。2015年度も引き続き、DTMツーリングカーシリーズとル・マン24時間レースなどを含むFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦。さらに、DTMのサポートレースとして、アウディスポーツTTカップを新設し、若年層のモータースポーツへの参加を後押しする。
また、2014年にはドイツにモータースポーツファン向けのテストコースやレースカー開発センターを新設した。
・先進の情報技術を使ったショールーム「Audi City」(アウディシティ)開業
ストア内の巨大なスクリーン上で、アウディブランド製品のバーチャルカスタマイズが可能なほか、エンジンや軽量化技術などアウディの先進技術の解説を見ることができる。
アウディはこのアンテナショップを、イギリス・ロンドン、中国・北京、ドイツ・ベルリンなど、世界中で20店舗以上オープンする予定。
技術動向
世界ナンバーワンのプレミアムメーカーを目指すアウディは、低燃費の実現や軽量化技術の採用による製品力の強化をはじめ、環境保護に向けた革新的な技術の開発を行っています。
・自動運転技術の実用化に向けた活動
自社開発の自動運転システムを、「A8」の次世代モデルに搭載すると発表。新型「A8」の投入時期はまだ公表されていないが、すでに実際の道路で自動運転の実験を行っており、センサーシステムやデータ処理、車両制御、安定化のための技術といった自動運転の技術を生産モデルに適用する上で必要な知識やノウハウを蓄えている。
・軽量化技術の進化
アルミニウムと高張力スチールの併用によって、軽量かつ高剛性のアルミハイブリッドボディを実現したテクノロジー、Audi ultra(アウディ ウルトラ)。ドア、ボンネットなどにはアルミ素材を多用することで、従来のスチール製に比べて格段の軽量化を達成した。
・走行性能・安全性の向上
アウディが独自に開発したフルタイム4WDシステム、quattro(クワトロ)。1982年に発表された「アウディ80」を皮切りに、さまざまなモデルに搭載。4輪の力強いトラクション性能を活かし、路面や走行の状況に合わせた素早い反応とともに、エンジンのパワーをタイヤに伝える配分を細かくコントロールすることで走行性能を高めている。
また、カメラで対向車や前方を走る車を察知し、ライトを部分的にロービームやハイビームに切り替える構造のマトリクスLEDヘッドライトをはじめ、追突を防止するためのシステムや、車線維持を助けるサイドアシスト、車線変更時の危険を減らすアクティブレーンアシストなどを導入。
・エネルギー効率化の追求
燃料の噴射や点火のタイミングの最適化、スーパーチャージャーのコンパクト化、摩擦抵抗によるエネルギー損失の低減など、徹底的に高効率を追求したエンジンシステム、FSI (Fuel Stratified Injection、直噴ガソリンエンジン)とTFSI(Turbo Fuel Stratified Injection、FSIのターボ仕様)。これらを搭載した新モデルも次々と発表している。
・再生可能エネルギーの開発
2013年にアウディが開設したeガスプラントで、グリーン電力と、水、二酸化炭素を元に、天然ガスに代わる環境にやさしい化学合成メタンガス、Audi e-gas(eガス)を精製。このeガスを使用する「A3 Sportback g-tron」で、CO2ニュートラルな走行を可能にしている。
グローバル展開
アウディの各国における取り組みは以下のとおりです。
- 中国では、2012年以降の数年間で30億ユーロを投資し、現地での生産能力を増強する計画だ。長春工場での生産台数を35万台から50万台に引き上げるほか、佛山工場の生産能力を、2017年までに70万台に引き上げる予定。
- メキシコでは2016年に新工場を開業し、アメリカでの量販モデルである「Q5」の生産をスタートさせる予定。メキシコ工場隣接地には、部品を供給するサプライヤーが集まるサプライヤーパークの建設も進んでいる。
- ブラジルでの高級車市場シェア1位を目指し、現地生産を再開。フォルクスワーゲンの現地工場にアウディ車の生産ラインを設け、2015年から「A3」と「Q3」を生産する。2020年までにブラジル国内での販売網を倍増する予定。
- インドネシアでは「A4」などの組み立て生産を現地企業へ委託したほか、2013年に組立工場を新設した。
アウディの報道ニュース一覧
- 2018.07.23 アウディ・オーストラリア、「Q5」や「A3」などをリコール タカタ製エアバッグで
-
■タカタ製エアバッグが原因で 「Q5」など新たにリコールを実施大手自動車メーカーのアウディ、そのグループ会社であるアウディ・オーストラリアが、タカタ製エアバッグ...[もっと見る]
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