イートン

イートンの企業情報

イートン(Eaton Corporation plc)は、アメリカに本社を置くパワーマネジメント製品メーカーです。
自動車関連部品の売上高が全体の約2割を占めており、スーパーチャージャーやエンジン関連部品などの製品に強みを持っています。

1911年に法人化されたTorbensen Gear and Axle Co.がイートンの前身です。
1971年に現在の社名に変更されました。

2001年、自動車用Vehicle SwitchおよびElectronics部門をデルファイ・オートモーティブ・システムズ (Delphi Automotive Systems)(現:デルファイ・オートモーティブ(Delphi Automotive PLC))に売却。
2003年にはキャタピラー(Caterpillar)との合弁会社、Intelligent Switchgear Organization LLCを設立。
2004年、中国の常州市盛士达汽车空调有限公司(Changzhou Senstar Automobile Air Conditioner Co. Ltd)との合弁で製造拠点を設置したほか、一汽解放汽車有限公司(FAW Jiefang Automotive Co.,Ltd.)と合弁会社を設立するなど、中国における事業拡大を推進しました。

2005年には、アメリカのTractech Holdings, Inc、メキシコのMorestana S.A. de C.V.、ブラジルのPigozzi S.A.を立て続けに買収しました。
2007年、サターン・エレクトロニクス&エンジニアリング(Saturn Electronics & Engineering, Inc.)を買収したほか、自社のミラーコントロール事業を売却。
2008年にはカーロスカー・オイル・エンジン(Kirloskar Oil Engines Ltd.)のエンジンバルブ事業を買収したほか、日本の日鍛バルブとの合弁でニッタン・グローバル・テックを設立。
同年、イギリスのIntegrated Hydraulics Ltd.の傘下に属すInteg Holdings Limitedを買収しました。

2014年末時点では、本国アメリカのほか、ヨーロッパやアジアなど、世界各地域に150ヶ所を超える拠点を有し、約102,000人の従業員を抱えています。
事業体制は、以下の5部門で構成されています。
・電気機器(Electrical Products)部門
・電気システム・サービス(Electrical Systems and Services)部門
・油圧(Hydraulics)部門
・航空宇宙(Aerospace)部門
・車両(Vehicle)部門

現在は、エンジン関連部品、オートマチック・トランスミッション(AT:Automatic Transmission)、中型商用車向け製品、他社との協業関係の強化などに注力しています。

売上等の推移(直近3年間)

売上高推移

連結
  • 2,523,455百万円

2015年度

  • 2,288,677百万円

2016年度

  • 2,507,652百万円

2017年度

経常利益推移

連結
  • 261,261百万円

2015年度

  • 246,519百万円

2016年度

  • 380,247百万円

2017年度

  • ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。

従業員数推移

連結

2014年における売上高は、北米やアジア太平洋地域における需要の増加が影響し、225億5,200万ドルで前年比2.3%増となりました。
また、営業利益は33億1,200万ドルで前年比4.2%増となりました。

部門別の売上高は、

  • 電気機器(Electrical Products)部門が72億5,400万ドルで前年比3.3%増
  • 電気システム・サービス(Electrical Systems and Services)部門が64億5,700万ドルで前年比0.4%増
  • 油圧(Hydraulics)部門が29億7,500万ドルで前年比0.2%減
  • 航空宇宙(Aerospace)部門が18億6千万ドルで前年比4.9%増
  • 車両(Vehicle)部門が40億6百万ドルで前年比4.5%増

となりました。

事業戦略

事業方針

イートンの他社との提携に関する動向は以下のとおりです。

  • 2014年2月、日本の日鍛バルブとの合弁会社、U.S. Engine Valve(USEV)がバルブの生産能力を強化するため、アメリカの2拠点に対して5年にわたり設備投資を行うと発表。
    対象はサウスカロライナ州のウェストミンスター工場とネブラスカ州のカーニー工場で、投資額はそれぞれ3,400万ドルと600万ドル。
  • 2014年5月、技術協力と資源共有の拡大に関し、中国の完成車メーカーである長城汽車(Great Wall Motors)との長期提携契約が枠組み合意に達したと発表。
    長城汽車とは2004年から取引関係にあり、イートンはこれまでディファレンシャルロックや燃料蒸発ガスバルブ、エンジンバルブ、バルブアクチュエーション部品などを納入。
  • 2014年7月、トランスミッション部品などを手がけている中国の自動車部品メーカー、陝西法士特歯輪(Shaanxi Fast Gear:SFGW)と合弁会社を設立すると発表。
    中国での商用車用クラッチの需要増に対応するのが目的で、同合弁会社は、中国商用車市場向けにクラッチとその関連製品の開発・生産・組立・テスト・販売・アフターサービスを担当。

上記のほか、アメリカのディーゼンルエンジンメーカー大手であるカミンズ(Cummins, Inc.)とも製品開発に関して協業関係にあります。

注力分野

イートンはエンジン関連部品やオートマチック・トランスミッション(AT:Automatic Transmission)、中型商用車向け製品に注力しています。

○エンジン関連部品

特に高性能バルブ(中空バルブや可変バルブ)、気筒休止システム、スーパーチャージャーなどに注力しています。

○オートマチック・トランスミッション

NAFTAの大型商用車市場におけるオートマチック・トランスミッションの需要が2018年までにマニュアル・トランスミッション(MT:Manual Transmission)を上回ると見込み、同製品の性能拡充に取り組んでいます。

○中型商用車向け製品

クラス6~7向けの製品ポートフォリオの拡大に取り組んでおり、7速デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT:Dual Clutch Transmission)の「Procision」、6速マニュアル・トランスミッションの「ESO-6106」と「ESO-7106」を発表しています。

上記のほか、イートンは他社との協業関係の強化による事業拡大にも注力しており、アジア事業の強化(特に中国におけるプレゼンスの拡大)に取り組んでいます。

技術動向

下記は、イートンの研究開発活動の一例です。

・チェコに研究開発拠点を設置

2013年7月、チェコのロズトキで新たな研究開発拠点の建設を開始したと発表。
なお、この取り組みは、パワーマネジメントシステムの開発と、欧州市場の電気・油圧・航空・自動車産業の顧客に対して製品供給を行っていた、プラハの研究開発拠点「European Innovation Center」の拡張に関するもの。

・「Dual AC Level 2」を発売

同製品は、EV(Electric Vehicle,電気自動車)を2台同時に充電できる充電ステーション。
これまでのシステムと比較して充電速度が最大で3倍となるため、商用EV事業や住宅事業における費用効率が向上。

・「HyperCharger」を発売

同製品は、世界最大サイズの電気バス向けEV用急速充電システム。
200kW~1MWまでが充電範囲となっており、テストによれば8回の充電で240マイルの走行が可能。
すでにフロリダ州、マサチューセッツ州、カリフォルニア州の都市で設置。

  • 「Ward's 10 Best Engines 2014」に選出されたエンジンに製品が採用イートン製品を採用したエンジンを搭載したのは、以下の6モデル。
  • アウディ(Audi)「S5」
  • ゼネラル・モーターズ(GM:General Motors)「Chevrolet Corvette」
  • BMW「535d」
  • フォード・モーター(Ford Motor Company)「Fiesta」
  • ホンダ「Accord」
  • クライスラー(Chrysler)「Ram 1500 Crew Cab」

・「SmartAdvantage」の製品ラインを拡充

「SmartAdvantage」はイートンの自動トランスミッション「Fuller Advantage」と、協業関係にあるカミンズ(Cummins, Inc.)のエンジン「ISX15」を組み合わせたパワートレインパッケージで、これにディーゼルエンジン「ISX12」と「ISX15 SmartAdvantage」を追加。

・「ISX12 G」向けパワートレインを発表

同製品はカミンズ・ウェストポート(Cummins Westport)の天然ガスエンジン「ISX12 G」向けパワートレインで、イートンの自動トランスミッション「UltraShift PLUS」が組み合されたパッケージ。
カミンズ・ウェストポートはカミンズとウェストポート・イノベーションズ(Westport Innovations)の合弁会社。

・ボルボ・トラックがパワートレインを採用

同パッケージはイートンの自動トランスミッション「「Fuller Advantage」シリーズとカミンズの「SmartTorque2」付き「ISX15」エンジンを組み合わせたもので、ボルボ・トラック(Volvo Trucks)の「VNL Series」のすべてのモデルが採用。

・パッカーが「Fuller Advantage」を採用

「Fuller Advantage」はイートンの10速自動トランスミッションで、アメリカの大型トラックメーカーであるパッカー(PACCAR)がこれを採用。
同製品は、長距離輸送用トラックの燃費効率を最大化するとされるトランスミッション。

・中国に研究開発拠点を設置

2014年4月、乗用車・商用車向けパワーマネジメントソリューションを提供するアジア太平洋地区テクニカルセンターを上海に設置したと発表。
同拠点では、エンジンバルブ、バルブ駆動装置、スーパーチャージャー、トランスミッション、クラッチ、ハイブリッド動力系統などに関する技術を提供。

・カミンズの「Top Supplier」に選出

カミンズとピータービルト(Peterbilt Motors)と実施している「SuperTruck」プロジェクトや、イートンの自動トランスミッションとカミンズのエンジンを組み合わせた「SmartAdvantage」の開発に関する技術貢献が評価されて選出。
なお、「SuperTruck」は高効率クリーンディーゼルエンジンや排熱回収システム、リチウムイオン電池の補助動力装置などの開発・テストを行うプログラム。

・7速デュアル・クラッチ・トランスミッション「Procision」を発表

同製品はクラス6~7の中型車向けデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT:Dual Clutch Transmission)で、トルクコンバーター式オートマチック・トランスミッション(AT:Automatic Transmission)と比較し、8~10%燃費が向上。

・6速マニュアル・トランスミッション「ESO-6106」と「ESO-7106」を発表

他のマニュアル・トランスミッション(MT:Manual Transmission)と比較してトルクが600~700Nm向上しており、重量も軽量化。
また、長さも685mmと商用車(6~13t)向けとしては最小クラス。

・ボルボがツインボルテックス・スーパーチャージャーを採用

ボルボ(Volvo)の「T6 Drive-E」パワートレインにイートンの「TVS R-410」スーパーチャージャーが採用。これにより、高排気量エンジンに匹敵する性能を実現。

・「Coiltronics HCMA」シリーズを発表

同製品は、自動車用製品に必要な温度・衝撃耐性を持った自動車用高電流パワーインダクタ。 先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistant System)、ボディ制御、ランプ、インフォテインメントシステム、クラスターコントロール、冷暖房システム、シャシーなどに用いる電子部品の信頼性向上に寄与。

イートンの報道ニュース一覧

会社概要

社名 イートン株式会社
設立年 1978年12月5日
本社所在地 〒107-0052 東京都港区赤坂8丁目11番37号 常和乃木坂ビル4F
代表取締役 木全 紀之
資本金 50百万円

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