ラインメタル・オートモーティブ
ラインメタル・オートモーティブの企業情報
ラインメタル・オートモーティブは、エンジン部品や排気コントロール部品を扱うドイツの自動車部品メーカーです。
軍事防衛車両・機器を手がけているラインメタル(Rheinmetall AG)グループに属しています。
1998年、ラインメタル傘下だったピエルブルグ(Pierburg)とコルベンシュミット(Kolbenschmidt)が合併し、KSPGが発足。
ピエルブルグはEGR(Exhaust Gas Recirculation,排気再循環)バルブやオイルポンプなどを、コルベンシュミットはピストンやシリンダーヘッドなどを手がける自動車部品メーカーでした。
2000年代以降、イタリア、中国、チェコ、メキシコ、インドなどの国々へ積極的な海外展開を推進しました。
2016年9月、KSPGは市場シェアの拡大と成長を図るためラインメタルグループに統合され、社名をラインメタル・オートモーティブに変更しました。
世界各地域に53ヶ所の拠点を有しています。従業員数は約11,000人です(2016年12月時点)。
現在は、世界的に強化されている排ガス規制に対応した製品に関する取り組みに注力しているほか、地域別ではアジアでの展開を活発化させています。今後は駆動部品の電動化関連事業を強化する方針です。
- 01.売上等の推移(直近3年間)
- 02.事業戦略
- 03.部門構成・部門ごとの方針
- 04.ラインメタル・オートモーティブの報道ニュース一覧
- 05.会社概要
売上等の推移(直近3年間)
売上高推移
- ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。
従業員数推移
2016年における売上高は、3,559億400万円で前年比2.5%増となりました。
また、営業利益は289億4,400万円で前年比横ばいになりました。
部門別の売上高は、
- ハードパーツ(Hardparts)部門が1,122億543万円で前年比3.3%減
- メカトロニクス(Mechatronics)部門が1,860億3,441万円で前年比5.3%増
となりました。
事業戦略
事業方針
ラインメタル・オートモーティブ(Rheinmetall Automotive)は旧KSPG時代の2013年から戦略プログラム「Rheinmetall 2015」に取り組んでいます。
当時の戦略プログラムの具体的なテーマは以下のとおりです。
○グローバル化
- 国外では中国とインドを重視
- ヨーロッパを除く地域でのメカトロニクス部門の事業拡大
○製品イノベーション
- メカトロニクス部門での潜在的成長力の高い製品(ガソリンターボエンジン関連製品など)の実用化
○コスト効率
- ハードパーツ部門の競争力の強化
- 国内外拠点の最適化
なお、旧KSPGと現ラインメタル・オートモーティブのM&Aや他社との提携に関する動向は以下のとおりです。
- 2012年4月、KSPGグループ傘下のピエルブルグ・ポンプ・テクノロジー(Pierburg Pump Technology)と日本のミクニが、中国の上海に電動ウォーターポンプや可変オイルポンプの開発・生産・販売を行う合弁会社、Pierburg Mikuni Pump Technology (Shanghai) Corp.を設立すると発表。
- 2012年9月、イギリスのMechadyne International Limitedを完全子会社化したと発表。同社は可変バルブコントロールシステムなどを手がけていた独立系の開発会社。
- 2013年4月、ピエルブルグ・ポンプ・テクノロジーが、華域汽車(Huayu Automotive Systems)傘下の上海幸福摩托車(Shanghai Xingfu Motorcycle)と合弁会社を設立すると発表。
社名はPierburg Huayu Pump Technology Co., Ltd.(PHP)で、自動車用ポンプ(可変流量オイルポンプ、トランスミッション用の電動オイルポンプなど)の製造・販売を実施。 - 2015年4月、KSPGグループ傘下のKSコルベンシュミット(KS Kolbenschmidt GmbH)が、日本のリケンとパワーシリンダーシステムの開発・エンジニアリング・販売に関するグローバル戦略的提携を締結。
必要に応じて両社の販売・エンジニアリング・技術サポート機能を統合することで、共通のグローバル顧客に対して最適なパワーシリンダーシステムを提供する。
なお、両社は2015年9月に中国の湖北(こほく)省にあるリケンの工場を母体とする、ピストンリングの生産に関する合弁事業を行うことで合意。 - 2016年2月、KSPGグループ傘下のKS HUAYU AluTechが、ドイツのAlbert Hackerodt Maschinen- und Werkzeugbauの主な資産(従業員113名と全工場・設備)を買収すると発表。
またKS HUAYU AluTechは、Hackerodt の既存の供給契約について、自動車関連顧客と契約を締結する方針。
2016年12月には、新規事業が順調に成長していると発表。アルミダイキャスト部品の受注増加に伴い、工場の拡張を予定。 - 2017年10月、Rheinmetall Landsystemeに代表される同社のテクノロジーグループとドライブ・バイ・ワイヤ技術のマーケットリーダーであるParavanが、自動運転分野で提携したことをラインメタルが発表。
注力分野
ラインメタル・オートモーティブ(Rheinmetall Automotive)は「アジアにおける事業展開の活発化」だけでなく、「世界的に厳格化が進んでいる排ガス規制に対応した製品に関する取り組み」に注力しています。また今後の成長に向けては駆動部品の電動化関連産業を強化すべく注力をしています。
○排ガス規制に対応した製品に関する取り組み
- 2014年2月、ヨーロッパと北米の複数の完成車メーカーから、総額335億円で小型EGR(Exhaust Gas Recirculation,排気再循環)バルブを受注したと発表。
発表時点ではすでにドイツの完成車メーカーの高級モデルに標準搭載。搭載されるエンジンは排出ガス基準「Euro6」に対応したもの。
なお、同製品は本国ドイツのほか、チェコ、スペイン、アメリカ、インド、中国でも生産されている。 - 2015年12月、大手完成車メーカーからスチールピストンASSYを2019年までの契約期間で追加受注したと発表。
受注総額は201億円で、ピストン、ピストンピン、リテーニングリング、ピストンリング、シリンダーで構成されるASSYが対象。 - 2016年2月、インドの完成車メーカーからミッドサイズの商用車用エンジン向け電動EGRシステムを数千万ユーロ規模で受注。
エンジンはインドの排出ガス基準である「BS-4」に対応。
○駆動部品の電動化関連産業を強化
- 2017年5月、KS HUAYU AluTechは中国で電動モーター用ハウジングをドイツ自動車メーカーから受注したと発表。受注先は未公表。2024年まで中国の生産拠点に納入する。
- 2017年6月、2020年までに駆動部品の電動化関連事業について、売上高全体の50%にする方針を発表。
- 2018年半ばまでに、傘下のKolbenschmidt Pierburg Shanghai Nonferrous Componentsが電動車向けのアルミ製のモーターハウジングの生産を開始すると発表。主に中国でOEM生産される電動車向けに供給される。
技術動向
2016年12月時点で、 ラインメタル・オートモーティブ(Rheinmetall Automotive)は世界各地域に1,091人の研究開発人員を有しています。
下記は、同時点における ラインメタル・オートモーティブの新製品の一例です。
- 商用車向け大容量ディーゼルエンジン用のセンサー付きEGRフラップバルブ「FlexVent」。初期調査によると、このバルブによって1%の燃料消費を削減できる。
- NEDC(新欧州ドライビングサイクル)ベースで、既存製品に比べてCO2排出量を1g-CO2/km低減する電動バキュームポンプを新開発。必要時のみ作動することで排出削減を実現し、エンジン潤滑システムの使用負荷も低減。
- ガスタンクから燃料蒸気を抽出した後、ターボチャージャー付きガソリンエンジンにガスを送り、より多くの燃料が燃焼されるようにする電動燃料蒸気ポンプを開発。不燃焼炭化水素の排出低減に貢献。
- 可変バルブコントロールシステムの新製品「UpValve」。高速性能および反応性能が最適化されており、必要に応じてシリンダーの休止が可能。試験データでは、ターボチャージ付きガソリンエンジンで5%の燃費節約を実現。
下記はラインメタル・オートモーティブの研究開発活動の一例です。
・「Ward's 10 Best Engines」に選出された7つのエンジンにKSPG社製品が採用
2014年1月、同賞を受賞した以下の完成車メーカーおよびモデルのエンジンに自社製品が搭載されたと発表。
- アウディ(Audi)「S5」
- BMW「535d」
- ゼネラル・モーターズ(General Motors)「Chevrolet Cruze」
- フィアット(Fiat)「500e」
- フォード・モーター(Ford Motor Company)「Fiesta」
- ポルシェ(Porsche)「Cayman」
- フォルクスワーゲン(VW:Volkswagen)「Jetta」
・フォード・モーターから「Ford Q1」を受賞
同賞はフォード・モーターによる品質認証。2014年11月に、本国ドイツのザクセン州にあるピエルブルグ(Pierburg)のポンプ工場が同賞を受賞したと発表。
・電子制御スロットルボディを発表
ドライバーの要求によってトルクを調整し、アイドリング回転数を調整できるとされる製品。従来型のディーゼルエンジンとガソリンエンジンの吸気マネジメントに使用可能。
なお、EGR(Exhaust Gas Recirculation,排気再循環)バルブの駆動といった排気ガス再処理分野にも利用できるとされる。
・90kW電動ドライブと新型バッテリーパックを国際モーターショー(IAA)に出展
高電圧90kWモーターは、現在小型車向けに調整されているが、小型車以上の大きさの様々な出力トルクの車両に対応することができる。
新型バッテリーパックは、アルミニウム製で、顧客それぞれのバッテリーモジュールに対応することが可能。
また、冷却システムを備えており、ラインメタルグループの関連会社が開発した複合素材によって保護されている。
・新開発の二次空気ブロアーとスピードコントローラーをセットで供給すると発表
より広範なエンジンマップでの二次空気噴射が可能になり、コンバーターの加熱促進に必要な大量の空気を排気システムに的確に噴射する。二次エアポンプを通して、触媒コンバーターの加熱を促進だけでなく、電気エネルギー消費と排出ガスも削減。EU「6.2」や米国の「極超低公害車(SULEV)」、中国の「国6」といった排ガス基準達成に貢献するとしている。
グローバル展開
ラインメタル・オートモーティブ(Rheinmetall Automotive)は本国ドイツのほか、イギリス、イタリア、スペイン、フランス、チェコ、トルコ、中国、インド、日本、アメリカ、メキシコ、ブラジルに生産拠点を有しています。
2016年12月時点では、地域別売上高の約70%をヨーロッパが占めていますが、Rheinmetall Automotivはアジア(特に中国とインド)における事業展開を活発化させる方針を示しています。
○新興国をはじめとした海外における取り組み
■中国での取り組み
- 2012年12月、上海市の浦東(ほとう)新区に中国本社のKSPG Houseを設置。
同拠点は中国における ラインメタル・オートモーティブグループのすべての完全子会社にとって、事業拡大に向けた戦略的本拠地となる。 - 2013年3月、ラインメタル・オートモーティブ傘下のPierburg Chinaが、江蘇(こうそ)省昆山(こんざん)市に空圧敷EGR(Exhaust Gas Recirculation,排気再循環)バルブ、電動スロットルバルブ、ソレノイドバルブの生産工場を設置。
- 2016年4月、ラインメタル・オートモーティブ傘下のピエルブルグ(Pierburg)が中国の完成車メーカーからコントロールバルブ、インテークマニホールド向けアクチュエーター、電動切り替えバルブを受注。
同製品の一部は2018年から江蘇省昆山市の工場で生産される予定(その他は本国ドイツのベルリン工場で生産)。 - 2016年12月、ラインメタル・オートモーティブ傘下のピエルブルグ(Pierburg)は、中国のZhejiang Yinlun Machineryと排ガス再循環(EGR)クーラー事業を手がける合弁会社「Yinlun Emission Technology」を上海に設立することで合意。EGRクーラーの開発から生産・販売・アフターサービスを行う。
- 2017年5月、ラインメタル・オートモーティブ傘下のKSコルベンシュミット(KS Kolbenschmidt GmbH)は、中国ZYNP CorporationとKSコルベンシュミット(KS Kolbenschmidt GmbH)ブランドの製造・販売委託をすることで合意。新生産設備への投資額は数千万ユーロとなる見込み。
■メキシコでの取り組み
- 2013年6月、アメリカの複数の完成車メーカーからメカトロニクスを大口受注。
対象に含まれるピエルブルグ・ポンプ・テクノロジー(Pierburg Pump Technology)製のオイルポンプとバキュームポンプの一体型製品は、セラヤの工場で量産される。 - 2017年3月、92億4,000万円規模の商用車向けスチールピストンを受注。
2019年第4四半期から6年間にわたってNAFTA市場向けに部品を供給する。部品の生産はセラヤ工場で行われる。
■チェコでの取り組み
- 2016年3月、KSPGグループ傘下のKSコルベンシュミット(KS Kolbenschmidt)がアメリカの大手完成車メーカーからピストンモジュールを受注。
これに伴い、2019年からウースチー・ナド・ラベムで同製品の生産が開始される予定。 - 2016年11月、乗用車ディーゼルエンジン用スチールピストンを受注。
受注額は60億3,000万円超となり、2019年から6年にわたってウースチー・ナド・ラベム工場で生産が行われる。
■その他海外での取り組み
- 2015年9月、ヨーロッパとアメリカの大手完成車メーカー2社から排気コントロール部品を大口受注。
ヨーロッパの完成車メーカーからは排ガスフラップを受注し、当初予定では2017年からチェコで生産を開始。
なお、アメリカの完成車メーカーからはEGR(Exhaust Gas Recirculation,排気再循環)モジュールを受注し、2017年からインドで生産を開始する予定。 - 2017年3月、アメリカの完成車メーカーからNAFTA市場向けのクーラントバルブを受注。
2019年から量産を開始し、約5年にわたって部品供給を行う予定。
部門構成・部門ごとの方針
ラインメタル・オートモーティブ(Rheinmetall Automotive)はKSPGに敷いていた事業体制を一部再編しました。
現在は、以下の3部門で構成されています。
・ハードパーツ(Hardparts)部門
ピストン、アルミニウムエンジンブロック、滑り軸受などを扱う部門で、事業ユニットにはKS Kolbenschmidtが含まれています。
・メカトロニクス(Mechatronics)部門
ターボチャージャー、アクチュエーター、排気コントロール、ソレノイドバルブ、可変バルブトレイン、ポンプなどを扱う部門で、事業ユニットにはPierburgが含まれています。
・アフターマーケット(Aftermarket)部門
事業ユニットにはMS Motorserviceが含まれています。
ラインメタル・オートモーティブの報道ニュース一覧
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市場投入から2年で10億ユーロ超えRheinmetallAutomotiveは、タンクシステム用に新しく開発された電気ガスポンプである電気蒸気ポンプ(EVAP)...[もっと見る]
- 2020.10.13 Rheinmetall、ドイツ政府の燃料電池駆動研究開発プロジェクトに参加
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- 2020.10.01 Rheinmetall Automotive、鉛不使用のすべり軸受ソリューションを提供
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会社概要
他の完成車メーカー・部品メーカー情報
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