テネコ
テネコの企業情報
テネコ(Tenneco Inc.)は、乗用車・商用トラック・オフハイウェイ機器(建築車両や農業車両など)に排気ガスコントロール製品とライドコントロール製品を供給している、アメリカの自動車部品サプライヤーです。
1940年、Tennessee Gas and Transmission Companyとして設立されました。1994年から1996年にかけて、自動車部門と包装部門を除く全事業を売却。
1997年、モンローオートイクイップメントカンパニー(Monroe Auto Equipment Company)を買収し、テネコオートモーティブ(Tenneco Automotive)を設立しました。1999年には包装部門を切り離し、テネコオートモーティブがニューヨーク証券取引所に上場。
2000年代に入ってからは、フタバ産業やトキコ(現:日立オートモティブシステムズ)と提携を結ぶなど、他社との提携関係を強めました。
2005年に社名を現在のテネコに変更。
2000年代後半にはGruppo Marzocchiのサスペンション事業や、Combustion Components Associatesのモバイル排気ガス事業など、現在手がけている主要製品の強化につながる買収を実施しました。
2014年末の時点では、世界各地域に90ヶ所の製造拠点、10ヶ所以上の研究開発拠点を有しており、約29,000人の従業員を抱えています。
事業体制は、以下の2つの部門によって構成されています。
・エミッションコントロール
・ライドコントロール
売上高全体の約7割をエミッションコントロール部門の排気ガスコントロール製品が占めていますが、現在はライドコントロール部門のサスペンション開発などに注力しています。
- 01.売上等の推移(直近3年間)
- 02.事業戦略
- 03.部門構成・部門ごとの方針
- 04.テネコの報道ニュース一覧
- 05.会社概要
売上等の推移(直近3年間)
売上高推移
- ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。
従業員数推移
2014年における売上高は、北米、ヨーロッパ、中国での小型車の販売台数が増加したことと、ヨーロッパ、日本、中国での商用車向けエミッションコントロール製品の売上が伸びたことなどが寄与し、84億2千万ドルで前年比5.7%増となりました。
また、EBITは4億9,200万ドルで前年比16.0%増、純利益は2億7千万ドルで前年比21.6%増となりました。
売上高とEBITは、テネコ史上最高値を記録しています。
部門別の売上高は、
- エミッションコントロール部門が58億1,100万ドルで前年比6.7%増
- ライドコントロール部門が26億9百万ドルで前年比3.5%増
となりました。
事業戦略
事業方針
世界各国で排出ガス規制が厳しさを増すにつれ、テネコの排気ガスコントロール製品の需要は増加を続けています。売上高の増加に大きく貢献しているのが、中国で実施されている燃費規制への対応に伴う需要です。
現在、中国の各地域政府は、排出ガス規制基準をクリアしていない車両に後処理システムを装着させるなどの対策を採っています。これを受け、テネコは2014年、主に商用トラック向け製品の製造・研究開発を行う拠点を昆山市に設置。今後の需要増に対応することで、販売増を狙う考えを示しています。
また、2017年9月に施行される欧州排出ガス基準「Euro 6c」の達成に寄与するライトビークル(乗用車・小型商用車)向けディーゼル粒子フィルターを開発することが、2015年3月に発表されました。
ライドコントロール製品については、2015年3月にメキシコ工場の拡張を発表するなど、新興国での投資を積極的に行う方針を示しています。
また、高級車向けフルアクティブサスペンションの開発を推進しているほか、コンパクトカー向けの低コスト製品の普及も目指しています。
注力分野
売上高の約7割をエミッションコントロール部門が占めていますが、現在はライドコントロール部門に含まれるサスペンションの開発などに注力しています。
2015年のフランクフルトモーターショーでは、高級車・スポーツカー向けの連続可変セミアクティブサスペンションシステム「CVSA2」や、2つのサスペンションモードから選択可能な、小型・中型車向けアダプティブサスペンションシステム「Dual Mode」を展示。
2015年3月には、EUの出資で行われる「EVE:Innovative Engineering of Ground VEhicles with Integrated Active Chassis Systems(アクティブシャシーシステムを統合した地上車両の革新的エンジニアリング)」というプロジェクトへの参加を表明しました。安全性や快適性、燃費性を向上させる車両部品の開発を目指すプロジェクトで、アクティブシステムに関する開発も含まれています。
また、ショックアブソーバーの油圧ポンプが装備された、エネルギー消費量とコストを抑えたフルアクティブサスペンション「ACOCAR(Active Suspension System)」の開発も推進しています。
技術動向
2014年末時点で、テネコは世界各地域に10ヶ所以上の研究開発拠点を有しています。部門別の内訳は、エミッションコントロール部門が5ヶ所、ライドコントロール部門が7ヶ所です。
下記は、テネコの研究開発活動の一例です。
・「Focus RS」の2016年モデルが「Dual Mode」を採用
フォード・モーター(Ford Motor Company)の「Focus RS」の2016年モデルに、標準モードとスポーツモードの切り替えが可能なテネコのサスペンションシステム「Dual Mode」を搭載。
・ゼネラル・モーターズ(GM:General Motors Company)の2015年モデル2車種にエミッションコントロール製品が採用
ゼネラル・モーターズの中型トラック「Chevrolet Colorado」と「GMC Canyon」のエンジンにテネコのコンバーターとマフラー、6気筒エンジンにレゾネーターが搭載。
・連続可変セミアクティブサスペンションシステム「CVSAe(Continuously Variable Semi-Active suspension system)」をルノー(Renault)とボルボ(Volvo)が採用
路面状況と運転状況に合わせ、4本のショックアブソーバーの減衰力を毎秒100回まで調整することによって、快適性・操縦性を向上させるシステム。ルノーの「Espace」とボルボの「XC90 First Edition」に搭載。
・フォード・モーターの「Focus」と「C-MAX」に「MTV(Multi-Tuned Valve)」が採用
MTVは従来品よりも衝撃吸収性能と耐久性が向上したほか、ボディーコントロールと快適性を両立させたテネコのツインチューブバルブシステム。
・乗用車・小型商用車向けガソリン粒子フィルターの開発を発表
2017年モデル向けのガソリン粒子フィルター。欧州排出ガス基準「Euro 6c」の達成に寄与するフィルターの開発が目標。
・「EVE:Innovative Engineering of Ground VEhicles with Integrated Active Chassis Systems(アクティブシャシーシステムを統合した地上車両の革新的エンジニアリング)」への参加を発表
同プロジェクトはEUの出資で行われる、安全性や燃費性能、快適性を高める新たな車両部品の開発を目的としたもの。オンロード/オフロードでのブレーキ、アクティブサスペンション、タイヤ空気圧制御システム向けハードウェアサブシステムの開発などが実施され、パートナー間での車両試験プログラムなども構築される予定。
・クライスラー(Chrysler)の「Ram Heavy Duty」シリーズにエミッションコントロールシステムが採用
採用されたのは、ディーゼル用酸化触媒、ディーゼル粒子フィルター(DPF:Diesel Particulate Filter)、選択触媒還元(SCR:Selective Catalytic Reduction)システムなどの後処理システム。
・「EPA Tier 3」対応の排気ガスコントロール製品を発表
アメリカで導入される排出ガス規制「EPA Tier 3」の基準クリアに寄与する、組み立て式マニホールドシステム、触媒コンバーターシステム、エアギャップパイプ、熱交換器などを発表。
・ALMMII(American Lightweight Materials Manufacturing Innovation Institute)で排気ガスコントロール製品の軽量化技術を発表
小型・軽量化した「電子制御バルブ」と「組み立て式マニホールドシステム」を発表。前者は車両の特性に合わせた気筒停止制御などが可能で、後者は触媒全体の効率を向上させた製品。
・電子サスペンションにデジタルバルブを採用
アナログ製品と比較すると反応速度が向上したほか、軽量化され、燃費性能も向上。電子サスペンションにデジタルバルブを採用したのは自動車部品業界でテネコが初。なお、Sturman Industriesから提供されていたデジタルバルブ技術のライセンスを2014年に取得。
グローバル展開
2014年末時点で、テネコは世界各地域に90ヶ所の製造拠点を有しています。また、アメリカ、ベルギー、ドイツ、ポーランド、アルゼンチン、ブラジル、日本、中国、オーストラリアに10ヶ所以上の研究開発拠点を保有しています。
○新興国をはじめとした海外における取り組み
- 2015年3月、900万ドルを投資し、ショックアブソーバーなどの生産を行っていたメキシコのセラヤ工場を拡張。北米の乗用車・小型商用車メーカーと、将来的に増加が予想されるメキシコやラテンアメリカ市場からの受注増加に対応するのが目的。
- 2014年9月、中国の昆山市にエミッションコントロール部門の製造・研究開発拠点を設置。主に商用トラック向けの排ガスコントロール製品を設計・開発・生産する拠点。中国だけでなく、アジア太平洋地域の商用トラックやオフハイウェイ機器(建築車両や農業車両など)向けの事業を支援する拠点としても機能。
部門構成・部門ごとの方針
2014年末の時点で、テネコの事業体制は以下の2部門で構成されています。
- エミッションコントロール部門(主要製品:マニホールド、触媒コンバーター、マフラー、レゾネーター、電子制御排気バルブなど)
- ライドコントロール部門(主要製品:ショックアブソーバー、サスペンションシステム/モジュール、トップマウントなど)
エミッションコントロール部門の製造拠点は61ヶ所、研究開発拠点は5ヶ所です。中国で排気ガスの後処理システムの生産を行うなど、排出ガス規制への対応による販売の増加を目指しています。
ライドコントロール部門の製造拠点は29ヶ所、研究開発拠点は7ヶ所です。現在は特にアクティブサスペンションの開発や、新興国への投資によるショックアブソーバーなどの生産能力の拡大を推進しています。
テネコの報道ニュース一覧
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