ベバスト

ベバストの企業情報

ベバスト(Webasto SE)は、ヨーロッパにおけるルーフシステム最大手のドイツの自動車部品メーカーです。
乗用車、商用車、バス向けのルーフシステム、エアコン・ヒートシステムなどを手がけています。

1901年に設立されたEsslinger Draht und Eisenwarenfabrikがベバストの前身です。当初はメタルシート加工を行っており、後にさまざまな製品を手がけるメーカーとなりました。

1956年には世界で初めてスチール製スライドルーフを、1974年にはガラスサンルーフを開発。
同年、アメリカに子会社のWebasto Sunroofs Inc.を設置し、同社初となる海外進出を果たしました。

1992年、パーキングヒーターの製造を開始し、サーモ事業を設立。
2000年には、アメリカの合弁会社であるWebasto Roof Systemsのマグナインターナショナルが保有していた残りの株式を取得し、完全子会社化しました。

2009年、エドシャ(Edscha AG)のコンバーチブルルーフシステム事業を買収して内製部門と統合し、Webasto-Edscha Cabrioを設立。
2010年、Karmann North Americaを買収。
2012年、ルーフ事業とヒーティングシステム事業をそれぞれベバストルーフアンドコンポーネンツ(Webasto Roof & Components SE)とベバストサーモアンドコンフォート(Webasto Thermo & Comfort SE)に分離し、社名をWebasto AGからWebasto SEに変更。
2014年には、トルコの子会社であるWebasto SPMがGaspa Otomotiv Sogutmaを買収しました。

2014年末時点では、世界各地域に50ヶ所以上の拠点を有し、約10,400人の従業員を抱えています。

現在は投資を積極化させており、「国内拠点の拡張」や「海外拠点の買収や能力増強」などを実施しています。

売上等の推移(直近3年間)

売上高推移

連結
  • 1,504,552百万円

2013年度

  • 1,499,460百万円

2014年度

  • 1,483,246百万円

2015年度

従業員数推移

連結

2014年における売上高は、24億6,900万ユーロで前年比8.3%増となりました。
また、EBITは1億3,600万ユーロで前年比9.7%増となりました。

部門別の売上高は、

  • サンルーフ&コンポーネント事業が16億9千万ユーロで前年比11.5%増
  • サーモ&コンフォート事業が4億9,300万ユーロで前年比1.4%増
  • コンバーチブル事業が2億8,700万ユーロで前年比3.2%増

となりました。

事業戦略

事業方針

ベバストは、すべての事業部門で50%超のシェアを獲得する方針を示しています。

同社のM&Aや他社との提携に関する動向は以下のとおりです。

  • 2012年12月、Webasto Chinaが長城汽車股份有限公司(Great Wall Motor Co.,Ltd.)と戦略的提携契約を締結。この提携により、Webasto Chinaは長城汽車の「Haval」シリーズや乗用車モデルの開発をサポートする。
  • 2013年11月、トルコの子会社であるWebasto SPMがGaspa Otomotiv Sogutmaを買収することで合意したと発表。
    この買収により、納入先となる顧客はあらゆるヒーティングシステムとクーリングシステムを1つの企業から調達可能になる。
  • 2015年5月、アメリカの自動車部品メーカーであるインテバ(Inteva)が所有していたチェコのリベレツ工場を買収すると発表。
    なお、同拠点は「M-Benz Aクラス」向けにパノラマルーフを供給していた工場。

注力分野

現在、ベバストは投資を積極化させており、「海外拠点の買収や能力増強」だけでなく、「国内拠点の拡張」にも力を入れています。

○国内拠点の拡張の一例

ベバストはポリカーボネート部品事業の拡大を目的に、2013年における設備投資額1億4,700万ユーロのうち4,500万ユーロを投じて、本国ドイツのシーエルリングにあるプラスチック工場を拡張。これによって年間生産能力が100万ユニットに増加しました。
なお、同拠点ではあらゆる完成車メーカー向けの軽量パネルを生産しています。

技術動向

下記は、ベバストの研究開発活動の一例です。

・ダイムラーにコンバーチブルシステムを納入

同製品はダイムラー(Daimler)の「Mercedes-Benz SLS AMG Roadster」向けコンバーチブルシステム。
ボタンを押してから11秒でソフトトップが自動で開き、時速50kmまで走行中に操作できる。Z型に折れるためシート後部のソフトトップ収納スペースも削減。

・BMWにソフトトップを納入

手動もしくはセミオートマチックで開閉する「MINI Roadster」向けソフトトップを開発。
スロバキアの工場で生産しており、そこからMINIのイギリス・オックスフォード拠点に納入。

・PSA・プジョー・シトロエンから「Core Supplier」賞を受賞

ベバストは、フランスの拠点でPSA・プジョー・シトロエン(PSA Peugeot Citroen)向けにサンルーフなどの開発・生産を実施しており、これまでに多数の製品を納入した実績を持つ。

・フォルクスワーゲンにソフトトップを納入

同製品はフォルクスワーゲン(VW:Volkswagen)の「Beetle Convertible」向けソフトトップ。ボタンを押してから9.5秒以内にルーフが開き、時速50kmまで走行中の操作が可能。
電動駆動式である同製品は、これまでの油圧駆動式と比較して20%以上の軽量化を実現。

・管理部門と開発部門が入居した新建屋の上棟式を実施

コンバーチブルルーフの開発効率化を目的に、本国ドイツのヘンガースベルクに新建屋を設置。
これによって同拠点だけで開発・試作品製作・テストを行うことが可能になった。

・ジャガーにソフトトップを納入

同製品はジャガー(Jaguar)のスポーツカー「F-Type」向けソフトトップ。ボタンを押してから12秒以内にソフトトップが自動で開き、時速50kmまで走行中の操作が可能。
ベバスト・エドシャ(Webasto-Edscha)の本社で開発され、組み立てはイギリスの拠点で実施。

・BMWが3分割リトラクタブルハードトップを採用

BMW「4 Series」コンバーチブル向け製品。ボタンを押してから23秒以内にトランクに格納可能で、時速18kmまで走行中の操作ができる。
同製品の組み立ては、BMWの拠点に設置されているベバスト・エドシャのコンバーチブルルーフ工場で実施。

・フォード・モーターから「World Excellence Award」の金賞を受賞

本国ドイツのシーエルリング工場が2013年の実績を評価され同賞を受賞。
同拠点では、フォード・モーター(Ford Motor Company)に対してポリカーボネートパネル、ルーフ、軽量安全ガラス「Webasto Glas ProTec」、ソーラールーフ、ポリウレタン複合素材生の軽量スライディングヘッドライナーなどを生産。
なお、同工場は2014年にも金賞を受賞。

・ダイムラー向け固定式パノラマルーフを生産

第3世代のダイムラー「smart fortwo」向けに生産されている、ガラス素材と比較して最大50%軽量化するとされる製品。
生産しているのは、本国ドイツのシーエルリングにある軽量技術能力センター。

・アウディがソフトトップを搭載

第3世代のアウディ(Audi)「TT Roadster」がベバスト・エドシャ製のソフトトップを搭載。
マグネシウム、アルミニウム、プラスチックなどの軽量素材が組み合わせられた全自動開閉のソフトトップで、ボタンを押してから10秒以内にコンパートメントに収納でき、時速50km以下まで走行中の操作が可能。

・BMWにルーフを納入

同製品はBMW「2 Series Convertible」向けの油圧式ルーフ。
ボタンを押してコンバーチブルトップコンパートメントが開くと20秒以内にトランクに収納され、時速50kmまで操作できる。

・フォードにコンバーチブルソフトトップを納入

同製品はフォード「Mustang」向けコンバーチブルソフトトップ。
2つの電動モーターが10秒以内に開閉を行う。これまでの油圧駆動式と比較して開閉時間を6秒短縮することに成功。

・新たなルーフコンセプト「マルチオプショナルルーフ(MOR:Multi Optional Roof)」を発表

1つの車体にさまざまなタイプのルーフを装備できることから、開発・生産コストの削減に寄与するとされるコンセプト。
製品には大型開閉式パノラマルーフや安全ガラス「Glas ProTec」ルーフ、軽量ポリカーボネート製パノラマルーフ、ポリウレタン複合素材製軽量ルーフ、折り畳み式ルーフ、発電機付きソーラールーフなどが含まれる。

・ルーフトップ型エアコン「Cool Top RTC」を開発

これまで最も冷却能力が高かった製品は小型・中型バス向けの「Santana L/XL」(最大18kw)だったが、「Cool Top RTC」は冷却能力が最大36kwで、暖房能力は最大35kwまで向上。
また、モジュラー型の「Cool Top RTC 250」「300」「360」モデルによって、バス向けラインアップも拡大。

グローバル展開

2014年末時点で、ベバストは世界各地域に拠点を有しています。
地域別の拠点数の内訳は、ヨーロッパが38ヶ所、米州が15ヶ所、アジア太平洋地域が29ヶ所、アフリカが1ヶ所です。

○新興国をはじめとした海外における取り組み

■中国での取り組み
  • 2012年4月、ベバストジャパンが湖北(こほく)省襄陽(じょうよう)市にサンルーフの生産工場を新設すると発表。
    また、広東(かんとん)省の広州(こうしゅう)工場の移転・拡張も発表。
  • 2013年11月、重慶(じゅうけい)にパノラマルーフとサンルーフを生産する工場を設置したと発表。投資額は6,400万ユーロで、敷地面積は1万6千平方メートル。
    当初の発表によれば、2016年までにサンルーフの年間生産能力を70万ユニットに増強する計画。
  • 2014年7月、遼寧(りょうねい)省瀋陽(しんよう)市に中国で10ヶ所目となる工場を設置。ルーフシステムの生産工場で、投資額は4,400万ユーロ。
    なお、同年5月には2,200万ユーロを投じて湖北省武漢(ぶかん)市にもルーフ工場を設置している。
■スロバキアでの取り組み
  • 2014年1月、Velky Meder拠点に新工場を設置し、同国における生産能力を拡大。
    既存のコンバーチブルルーフ事業部門の工場2ヶ所を統合したことで、1拠点で試作から組み立てまでが可能となった。
    投資額は600万ユーロ。従来から8,800平方メートル拡張し、生産スペースは1万6,300平方メートルとなった。
■日本での取り組み
  • 2013年7月、ベバストサーモアンドコンフォートジャパンが電気自動車(EV:Electric Vehicle)などの暖房用ヒーターの市場に参入すると発表。
    日系完成車メーカーに同社の高効率タイプのヒーターを売り込み、将来的には日系メーカー向けの製品設計を日本で行うことも検討。
  • 2014年3月、ベバストサーモアンドコンフォートジャパンが、日系完成車メーカーに対して省電力の電動車用温水式ヒーターの受注活動を強化する方針を発表。
    同社製品がハイブリッド自動車(HV:Hybrid Car)の燃費改善、電気自動車の航続距離延長に寄与するものであることを訴求する。
■ルーマニアでの取り組み
  • 2015年6月、サンルーフとパノラマルーフを生産していたアラドの生産拠点を拡張したと発表。
    投資額は6,500万ユーロで、拡張後の総面積は2万6千平方メートル。

部門構成・部門ごとの方針

ベバストの事業体制は以下3つ事業を担当する、独立した事業会社により構成されています。

  • サンルーフ&コンポーネント事業(事業会社:ベバストルーフアンドコンポーネンツ(Webasto Roof & Components SE))
    サンルーフとその関連製品の開発・製造・販売を行っています。
  • サーモ&コンフォート事業(事業会社:ベバストサーモアンドコンフォート(Webasto Thermo & Comfort SE))
    ヒーターなどの開発・製造・販売を行っています。
  • コンバーチブル事業(ベバスト・エドシャのカブリオ事業(Webasto-Edscha Cabrio))
    コンバーチブルシステム開発・製造・販売を行っています。

2014年8月、コンバーチブル事業を担当するベバスト・エドシャが、第7世代のゼネラル・モーターズ(GM:General Motors)向けにソフトトップを独占供給すると発表しました。
なお、同製品は本国ドイツのヘンガースベルク工場とアメリカ・ミシガン州のプリマス工場のエンジニアリングチームが開発したものです。

また、ベバストサーモアンドコンフォートはプラグインハイブリッド自動車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)向け電気式補助ヒーターの提案を強化する方針です。
同社は加熱用の高電圧電流の制御、車両と連携する電子制御ユニットの開発と納入、完成車メーカーからの小型化や軽量化などの要求に応じた開発なども行っています。

ベバストの報道ニュース一覧

会社概要

社名 ベバストジャパン株式会社
設立年 1978年5月20日
本社所在地 〒739-0038 広島県東広島市田口研究団地5番10号
代表取締役 小林 雄司
資本金 310百万円

組織構成や技術開発状況など、ネットに掲載されていない情報 が聞ける。転職についても相談できる。

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