
TIオートモーティブ
TIオートモーティブの企業情報
TIオートモーティブ(TI Automotive Limited)は、プライベート・エクイティ・ファンドであるベインキャピタル(Bain Capital)の傘下に属す、イギリスの自動車部品メーカーです。
パイプ成形技術に強みを持ち、アメリカのクーパー・スタンダード(cooper-standard Holdings Inc.)と並ぶ燃料供給システム大手の1社に数えられています。
1919年にイギリス・バーミンガムの4つの鋼管メーカーが合併して誕生したチューブ・インベストメンツ(Tube Investments Ltd.)が、現在のTIオートモーティブの前身です。
1982年に社名をTI Groupに変更。
1988年にはBundy Groupを子会社化しました。
1999年、アメリカの気化器メーカーであるウォルブロー(Walbro)を買収。
2000年、イギリスの大手工業製品メーカーであるスミス・グループ(Smiths Group)に買収され、同社の自動車部品部門となり、ロンドン証券市場での上場を廃止。
2001年、自動車部品部門がTIオートモーティブとしてスミス・グループから分離独立しました。
2007年、オークツリー・キャピタル・マネジメント(Oaktree Capital Management LP)とデュケーヌ・キャピタル・マネジメント(Duquesne Capital Management LLC)が運営するファンドにより買収。
2010年、ミツバ・ウォルブロー(MWI:Mitsuba Walbro Inc.)を完全子会社化。
2015年、ベインキャピタル(Bain Capital)により買収されました。
2015年末時点では、世界29ヶ国に125ヶ所以上の拠点を有し、同年7月末時点では24,000人超の従業員を抱えています。
事業体制は以下6つの部門で構成されています。
・フルイド搬送システム(Fluid Carrying Systems)
・パワートレイン製品(Powertrain Components)
・タンクシステム(Tank Systems)
・ポンプ・モジュールシステム(Pump & Module Systems)
・HVACフルイドシステム(HVAC Fluid Systems)
・アフターマーケット(Aftermarket)
現在は、完成車メーカーからの軽量化部品の需要の増加に対応するべく、プラスチック燃料タンクなどの能力の強化に注力しています。
- 01.売上等の推移(直近3年間)
- 02.事業戦略
- 03.TIオートモーティブの報道ニュース一覧
- 04.会社概要
売上等の推移(直近3年間)
売上高推移
- ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。
従業員数推移
事業戦略
事業方針
2014年11月、スポーティーカー用アフターマーケット向け燃料ポンプのブランド名を「ウォルブロー(Walbro)」から「TIオートモーティブ(TI Automotive)」に変更すると発表しました。
TIオートモーティブのM&Aに関する動向は以下のとおりです。
- 2010年7月、日本の自動車部品メーカーであるミツバと運営していたミツバ・ウォルブロー(MWI:Mitsuba Walbro Inc.)の全株式を取得し、完全子会社化したと発表。
ミツバ・ウォルブローは燃料ポンプモーター用アーマチュアと燃料ポンプモジュールを手がけていた会社で、買収後はTI Automotive Japan(Gunma)に社名を変更。 - 2015年1月、アメリカのプライベート・エクイティ・ファンドであるベインキャピタル(Bain Capital)による買収に合意したと発表し、2015年6月に手続きが完了。
- 2016年2月、北米ライトビークル市場向けの燃料レールや燃料ラインなどを手がけていたアメリカの自動車部品メーカー、Millennium Industries Corporationを買収したと発表。
この買収によりTIオートモーティブは乗用車と小型トラック向けパワートレイン製品(ガソリン直噴エンジンライン、ディーゼル燃料ライン、ターボチャージャー冷却ラインなど)の製品ラインナップを広げる方針。
技術動向
下記は、TIオートモーティブの研究開発活動の一例です。
・「SIB(Ship In the Bottle)」システムを開発
バルブ、ライン、フィルターなど、これまでは燃料タンクの外部に取り付けられていた全部品をタンク内に設置することで、従来は6、7ヶ所必要だったタンク外壁の開口部を最大2つまで削減。
燃料タンクシステムからの排出ガスを大幅に削減するとされるシステム。
・排ガス処理用SCR(Selective Catalytic Reduction,選択触媒還元)式小型尿素ポンプモーターアッセンブリーを開発
同製品はディーゼル車と大型トラック向けの内蔵型アッセンブリーで、これまでの製品と比較して50%の軽量化に成功。
電子制御ブラシレスモーターにより、1時間あたり1~5リットルの噴射が可能。
・ハイブリッド車用プラスチック製燃料タンクの製造プロセスを開発
燃料の揺れ防止機能を高める同プロセスは「タンク・アドバンスト・プロセス・テクノロジー(TAPT:Tank Advanced Process Technology)」と呼ばれるもので、中空成形技術の一種。
チューブ状の材料が成形金型に入った時点でタンク内に設置する各構造材を挿入し、空気圧でタンクを整形するもの。
さまざまなパワートレイン向けに、1種類のブロー成形で複数タイプの燃料タンクの製造が可能となる。
なお、2013年にドイツで開催されたtank.tech国際会議で同プロセスを発表し、2014年には「2014 Automotive News PACE Award」を受賞。
・ヨーロッパ仕様車向け新型ブラシレス燃料供給モジュールを発売
フランジにECU(Electronic Control Unit)を統合し、それぞれの車両のパワートレインプログラムに沿ったポンプモーター制御を最適化することで省スペースを実現。
ECUはエンジンに電力を供給するほか、アイドリングストップモードでは燃料供給を停止することにより、ブラシレス燃料ポンプの効率性を高める。
・2014年北米国際自動車ショーの展示モデルの約3分の2に同社製品が採用
下記に示す完成車メーカーおよびモデルが、TIオートモーティブの樹脂製燃料タンクや供給システムなどのフルイド搬送製品を搭載。
- アウディ(Audi)「Q3」
- BMW「i3」「2 series」「M3」「M4」
- ゼネラル・モーターズ(GM:General Motors)「Cadillac CTS」「Cadillac ATS Coupe」「Chevrolet ◯Corvette Z06」「GMC Canyon」
- クライスラー(Chrysler)「200」
- 現代自動車「Genesis」
- ダイムラー(Daimler)「Mercedes-Benz C-Class」「Mercedes-Benz S-Class」
グローバル展開
2015年末時点で、TIオートモーティブは世界29ヶ国に125ヶ所以上の拠点を有しています。
このうち海外事業拠点数の国・地域別の内訳は、メキシコが4ヶ所、カナダが2ヶ所、ドイツが9ヶ所、ベルギーが3ヶ所、スウェーデンが1カ所、イタリアが4ヶ所、フランスが5ヶ所、スペインが2ヶ所、中東欧が15ヶ所、南米が9箇所、南アフリカが4ヶ所、日本が3ヶ所、韓国が7ヶ所、中国が12ヶ所、ASEANが4ヶ所、インドが5ヶ所、オーストラリアが2ヶ所です。
○新興国をはじめとした海外における取り組み
■メキシコでの取り組み
- 2010年、サン・ルイス・ポトシに樹脂製燃料タンクや燃料ポンプおよびモジュールを生産する工場を設置。同拠点はメキシコで6番目となる工場で、同国に燃料タンク工場を設置したのはこれが初めて。納入先は日産自動車。
■インドでの取り組み
- 2011年10月、乗用車向けフルイド伝達ラインの生産工場をバンガロールに、燃料タンクシステムの生産工場をチェンナイに、それぞれ新設したと発表。前者は敷地面積1万2,500平方フィートで、後者は7万3,000平方メートル。
- 2012年11月、インドで5ヶ所目の生産拠点となる燃料タンク工場を設置。同社がインドに燃料タンク工場を設置するのはこれが初めて。 日産自動車がインドで生産する車両向けに、同工場が製品を納入。
■中国での取り組み
- 2014年3月、広東(かんとん)省広州(こうしゅう)市に燃料タンクの生産工場を設置。同社にとって中国2ヶ所目の拠点。
日産自動車やトヨタ自動車、プジョー・シトロエン(Peugeot Citroen)、クオロス(Qoros)などにブロー成形の樹脂製燃料タンクを納入。
■チェコでの取り組み
- 2012年6月、チェコで4ヶ所目となる工場をリベレツに新設したと発表。面積は6万3,700平方フィート。
同工場では、フォルクスワーゲン(VW:Volkswagen)、シュコダ(Skoda)、アウディ(Audi)向け樹脂製フューエルフィラーパイプの生産と、シトロエン(Citroen)、プジョー(Peugeot)、トヨタ自動車、シュコダ向けに燃料タンクシステムの組み立てを実施。
TIオートモーティブの報道ニュース一覧
- 2020.07.29 TIオートモーティブ、ロンドン証券取引所のグリーンエコノミーマークを取得
-
年間総売上の50%以上をグリーンエコノミーに投資TIFluidSystems(旧:TIオートモーティブ)は、ロンドン証券取引所から「グリーンエコノミーマーク」の...[もっと見る]
- 2020.03.09 TIオートモーティブ、フォード新型EVに熱管理システムを供給
- 2019.04.30 TI オートモーティブ、軽量と耐久を両立した燃料タンクを開発
- 2019.01.25 TIオートモーティブ、プラスチック製のダブルモールドタンクをカルマ社に提供
- 2017.04.11 TIオートモーティブ、2017 PACEアワードで革新的パートナーシップ賞に選定
会社概要
他の完成車メーカー・部品メーカー情報
外資系自動車部品メーカー
- アメリカン・アクスル&マニュファクチャリング
- イリノイ・ツール・ワークス
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