ヴァレオ

ヴァレオの企業情報

ヴァレオ(Valeo)は、自動車やトラック向けのパワートレインシステム、空調システム、先進運転支援システム、照明システムなどを扱う、フランスの自動車部品サプライヤーです。OEM(Original Equipment Manufacturer)とアフターマーケットに向け、自動車部品を設計開発・生産・販売しています。

ヴァレオは1923年に設立された自動車部品サプライヤーです。当時はSAFF(Societe Anonyme Francaise de Ferodo)という社名で、ブレーキ・ライニングやクラッチ・フェーシングを生産していました。
1960年代から空調機器やサーマルシステム、ワイパーシステム、電子部品などの事業展開を開始し、自動車部品の総合サプライヤーとして成長。1980年代後半から、海外企業の買収などによってグローバル展開を加速させました。
2008年にはリーマンショックの影響で最終損失を計上しましたが、リストラ策などを講じたことで、2010年に黒字化しています。

2014年末の時点では、世界29ヶ国(生産拠点133ヶ所、研究センター16ヶ所、開発センター34ヶ所、流通拠点15ヶ所)で事業を展開しており、約72,600人の従業員を抱えています。
また、以下の4部門により事業体制を構成しています。
・コンフォート&ドライビングアシスタンス(先進運転支援)システム
・パワートレインシステム
・サーマルシステム
・ビジビリティ(視認性)システム

現在は、ドライバーが目の動きで操作できるインフォテインメントシステムなど、「直感的なドライビング」に貢献する「先進運転支援システム」や、世界各地域の規制に対応するための「CO2排出量の削減」などに注力しています。

売上等の推移(直近3年間)

売上高推移

連結
  • 1,622,740百万円

2013年度

  • 1,705,150百万円

2014年度

  • 1,948,896百万円

2015年度

経常利益推移

連結
  • 78,792百万円

2013年度

  • 96,748百万円

2014年度

  • 117,920百万円

2015年度

単独
  • 78,792百万円

2013年度

  • 96,748百万円

2014年度

  • 117,920百万円

2015年度

  • ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。

従業員数推移

連結

2014年における売上高は、ドイツのランプメーカーであるオスラム(Osram)との合弁会社、ヴァレオシルヴァニア(Valeo Sylvania LLC)の完全子会社化などが影響し、127億2,500万ユーロ(前年比10億6,300万ユーロ増)となりました。
また、営業利益は8億6,200万ユーロで前年比9,600万ユーロ増、税引前利益は7億2,200万ユーロで前年比1億3,400万ユーロ増、当期純利益は5億9,300万ユーロで前年比1億2,400万ユーロ増となりました。

部門別の売上高は、

  • コンフォート&ドライビングアシスタンス(先進運転支援)システムが2億4,900万ユーロで前年比1,700万ユーロ増
  • パワートレインシステムが2億5,500万ユーロで前年比1,600万ユーロ増
  • サーマルシステムが1億7,800万ユーロで前年比4百万ユーロ増
  • ビジビリティ(視認性)システムが2億4,300万ユーロで前年比1,300万ユーロ増
  • その他が3,100万ユーロで前年比1,300万ユーロ増

となりました。

ヴァレオは2020年を目標年とする中期経営計画において、売上高200億ユーロ、営業利益率8~9%を目標として掲げています。

事業戦略

事業方針

ヴァレオは2015年3月に、2020年を最終目標年とする中期経営計画を発表しました。製品面に関しては、CO2排出量削減、車両性能改善、革新的技術(先進運転支援システム)の開発を成長戦略として掲げています。
各財務指標の具体的な数値目標は以下のとおりです。

・売上高

2017年に170億ユーロ、2020年に200億ユーロ

・営業利益率

2017年に8%、2020年に8~9%

・ROCE(総資本利益率)

2017年に32%超、2020年に35%超

・フリーキャッシュフロー

2015~2020年に30億ユーロ超

・フリーキャッシュフローEBITDA比率

2017年に28%、2020年に30%超

・研究開発費比率

2020年に、~5.6%

・CAPEX(投資支出)の対売上高比率

2020年に4.5~5.0%

ヴァレオは、上記の目標売上高200億ユーロのうち、35%をアジア事業により達成したい考えを示しています。
アジア事業拡大のほかには、M&A(企業の合併や買収)による事業強化、アフターマーケットの強化なども、中期経営計画の目標を達成するための方針として掲げています。アフターマーケットの2020年の目標売上高は23億ユーロです。

また、他社との提携動向については以下のとおりです。

  • 以前から資本提携していた市光工業(日本の自動車部品メーカー)との協力体制を強め、欧米系自動車メーカーのアジア拠点向け事業を強化する方針を発表。市光工業はすでにヴァレオを通し、フォード・モーター(Ford Motor Company)がタイで生産する車両向けランプを受注。
  • 車載テレマティクスとモバイル接続ソリューションのサプライヤーであるドイツのパイカー(peiker)と技術提携を締結。新しいテレマティクスサービスの共同開発を行うほか、次世代LTE(4G+)以降に対応した製品を開発するため、両社のコネクティビティに関する研究結果を共有することで合意。車両の地理位置情報やモバイル接続に関する製品を拡充させる方針。
  • 衝突防止補助システムを手がけるオランダのモービルアイ(Mobileye)と技術提携を締結。モービルアイの技術を使ったフロントカメラやセンサーフュージョン製品の設計・量産を行う方針。
  • LED技術の開発を行うフランスのアレディア(Aledia)の株式10.5%を取得したと発表。この出資により、内装・外装向け自動車用ランプのラインナップを拡充させる方針。

なお、技術提携を結んだパイカーとモービルアイについては、自動運転技術の開発についても協力することで合意しています。

注力分野

ヴァレオは「先進運転支援システム」と「CO2排出量の削減」に注力しています。

○先進運転支援システム

特に「直感的なドライビング」に貢献する技術開発に注力しており、目の動きで操作可能なインフォテインメントシステムの開発を行っています。これは、ドライバーがダッシュボードやインストルメントクラスター(計器盤)に表示されるファンクションキーのうち、どれを見ているのかを判断し、操作する技術です。

このほか、ヴァレオが開発している主な先進運転支援システムとしては、自動で空き駐車場を発見し、自動で駐車するシステムが挙げられます。これは12の超音波センサー、4つのカメラ、レーザースキャナーを組み合わせた技術で、スマートフォンからの遠隔操作、車両から降りた状態での出入庫が可能とされています。

○CO2排出量の削減

世界の各地域では、CO2の排出規制が厳格化しています。以下に示すグラフは、各地域における現在のCO2レベルと、2020年のCO2排出目標です。

世界各地域のCO2排出規制に対応するため、ヴァレオはエンジン性能の向上や電気推進システムの採用、各システムのエネルギー消費量の低減、部品の軽量化などを図っています。
燃費低減を目的としたシステムの一例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 最大15%燃費を向上させるアイドリングストップシステム
  • 回生ブレーキによって発電した電気で数キロメートル走行できるシステム
  • 消費エネルギー量を抑制できるLED照明
  • 障害物検知や車両周辺の俯瞰機能などの先進運転支援システム

技術動向

2014年末時点で、ヴァレオは世界に50ヶ所の研究開発センター(研究センター16ヶ所、開発センター34ヶ所)を有しています。地域別の内訳は、ヨーロッパ・アフリカで27ヶ所、アジアで15ヶ所、北米で5ヶ所、南米で3ヶ所です。

下記は、ヴァレオの研究開発活動の一例です。

・「スマートキーInBlue」を発表

スマートフォンやスマートウォッチのBluetoothにより、ドアロックの解錠・施錠、エンジンの起動、遠隔でのタイヤ圧や燃料の残量確認などが可能なシステム。開発には、フランスの電子セキュリティ製品メーカーであるモルフフォ(Morpho)と、カーシェアリング会社のVulogが協力。2014年10月にパリ・モーターショーで発表。

・自動運転のプロトタイプ「Cruise4U」を公開

ドライバーは、手動で車を運転するか、「Cruise4U」に運転を任せるかを選択することが可能。レーザースキャナーが障害物を検知し、衝突を防止する機能も搭載。2015年1月、アメリカのラスベガスで開催された国際家電ショー「CES 2015」で公開。

・「サイトストリーム・カメラモニタリングシステム」を公開

サイドミラーやバックミラーの代わりに、カメラによって車両周辺を確認する側方・後方視認システム。サイドミラーが不要であるため、空気抵抗が低減し、デザイン自由度が向上。2015年1月、「オートモーティブワールド2015」で公開。

・サフラン(Safran)との共同研究成果を発表

2015年3月、先進運転支援システムと自動運転車両の研究についてパートナーシップを結んでいるサフラン(防衛、航空、通信分野のフランスの複合企業体)との研究成果を発表。
具体的には、
サフランの顔認識システムのヴァレオ製品への適用、
両社の接続システム分野における専門技術の一体化、
悪天候での視認性を確保するセンサーの開発、
ヴァレオの軍事車両向け「360°Vue」カメラに関連する製品開発、
サフランの自動車用慣性航法システムに関連する製品開発、
実験的な高度自動運転システム「Drive4U」に関する研究開発
などを発表。

・水冷式の電動スーパーチャージャーを公開

タービンを駆動させるモーターを効率的に冷却する水冷式インタークーラーを採用した電動スーパーチャージャー(過給器)。従来の空冷式と比較し、効率的な冷却が可能。

・「リモートクリーン4U」を公開

スマートフォンのアプリを使用し、遠隔操作でフロントガラスの霜取りや虫汚れの洗浄が可能なシステム。2015年9月、「フランクフルト国際自動車ショー」で公開。

グローバル展開

ヴァレオは世界29ヶ国で事業を展開しています。生産拠点133ヶ所の地域別の内訳は、アジアで50ヶ所、西ヨーロッパで38ヶ所、東ヨーロッパで16ヶ所、北米で16ヶ所、南米で8ヶ所、アフリカで5ヶ所。研究開発拠点50ヶ所の内訳は、ヨーロッパ・アフリカで27ヶ所、アジアで15ヶ所、北米で5ヶ所、南米で3ヶ所です。

ヴァレオは、2020年を目標年とする中期経営計画で示した目標売上高200億ユーロのうち、35%をアジア事業で達成させたい考えです。アジア地域では特に中国を重視しており、同国での売上高を全体の20%強に引き上げる計画を示しています。また、売上高に占めるアジアメーカー比率も3割以上に引き上げる方針です。
また、アジアだけでなく、自動車市場の成長が著しい南アメリカ、トルコ、ロシアでの事業展開も強化しています。

○中国での取り組み

  • 2014年4月、中国の子会社である上海法雷奥汽車電器系統有限公司(Shanghai Valeo Automotive Electrical Systems)の新工場が完成。年間生産能力は1,000万台超。工場が竣工した時点では、自動車用電装部品メーカーとして中国国内最大規模。
  • 2015年6月、中国の深圳工場の第2期工事が完了。工場完成後、生産能力を拡大させ、自動車パワートレイン電子部品のグローバル研究開発センターも建設する予定。
  • 2015年9月、中国でドライブトレインシステムの生産を行う南京工場の第3期建設工事に着工。完成後は年間1,700万セットの摩擦材の生産が可能となり、ゼネラル・モーターズ(GM:General Motors)、フォルクスワーゲン(VW:Volkswagen)、フォード・モーター(Ford Motor Company)、トヨタなどの完成車メーカーに製品が供給される予定。

部門構成・部門ごとの方針

ヴァレオの事業体制は、以下の4つの部門から構成されています。

○コンフォート&ドライビングアシスタンス(先進運転支援)システム

快適性と安全性を向上させるため、ドライバーと車両、周辺環境とのインターフェース・システムを開発する部門です。
同部門は、以下の製品グループに分類されます。

  • インテリアコントロール
  • 運転支援
  • インテリアエレクトロニクス

○パワートレインシステム

燃費向上やCO2排出量の低減を目指し、内燃機関の最適化、車両の電動化を行う部門です。アイドリングストップシステムや電気自動車(EV:Electric Vehicle)などの製品を扱っています。
同部門は、以下の製品グループに分類されます。

  • 電子システム
  • トランスミッションシステム
  • 燃焼機関システム
  • 電子部品

○サーマルシステム

パワートレインの熱エネルギーを管理するとともに、乗員の快適性を向上させるシステムやモジュールの開発・製造を行う部門です。
同部門は、以下の製品グループに分類されます。

  • 空調制御
  • パワートレイン・サーマルシステム
  • 空調用コンプレッサー
  • フロントエンドモジュール

○ビジビリティ(視認性)システム

乗員の安全性向上を目指し、ドライバーの視野を確保するためのシステムを開発・製造する部門です。
同部門は、以下の製品グループに分類されます。

  • 照明システム
  • ワイパーシステム

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会社概要

社名 株式会社ヴァレオジャパン
設立年 1937年5月5日
本社所在地 〒151-0062 東京都渋谷区元代々木町30-13、グラスシティ元代々木4階
代表取締役 船橋 博隆 秋山 勝司
資本金 9,100百万円

組織構成や技術開発状況など、ネットに掲載されていない情報 が聞ける。転職についても相談できる。

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