GKN

GKN のハイライト

GKN Plc(以下、GKN)は、イギリスに本社を置く、ドライブライン部品の大手自動車部品メーカーです。等速ジョイント(CVJ:Constant Velocity Joint)、サイドシャフト、四輪駆動(AWD:All-Wheel Drive)システムなどを手がけています。ドライブラインのほかには粉末冶金事業、農・建機事業、航空事業を展開しています。GKNによれば、同社は等速ジョイントの世界シェアトップのメーカーです。売上高の過半数を自動車関連売上高が占めています。

1900年、Guest & Co.とThe Patent Nut & Bolt Co.が合併して設立されたGuest Keen & Co.が、現在のGKNの前身です。1902年にスクリュー&ワイヤ製造会社を買収し、Guest, Keen & Nettlefolds, PLCに社名が変更されました。
2001年にはIndustrial Services事業を分離させてBrambles Industries plcに統合。自動車部品部門と航空宇宙部門の2部門となりました。
2011年、大手トランスミッションメーカーであるゲトラグ(Getrag)のアクスル事業を買収。
2014年には大手総合自動車部品メーカーであるコンチネンタル(Continental AG)との合弁会社、エミテック(Emitec)の株式をコンチネンタルに売却しました。

2014年末時点では、世界30ヶ国以上に拠点を有し、約51,400人の従業員を抱えています。
事業体制は以下4つの部門で構成されています。
・ドライブライン(Driveline)
・粉末冶金(Powder Metallurgy)
・航空宇宙(Aerospace)
・ランドシステム(オフハイウェイ)(Land Systems)

現在は、ドライブライン事業の強化に注力しており、特に四輪駆動(AWD:All-Wheel Drive)システムの需要増に対する拠点の増強などを推進しています。

売上等の推移(直近3年間)

売上高推移

連結
  • 1,390,461百万円

2013年度

  • 1,365,194百万円

2014年度

  • 1,407,856百万円

2015年度

経常利益推移

連結
  • 105,832百万円

2013年度

  • 110,043百万円

2014年度

  • 110,409百万円

2015年度

  • ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。

従業員数推移

連結

2014年における売上高は、69億8,200万ポンドで前年比2.2%減となりました。
また、営業利益は2億8,900万ポンドで前年比48.4%減となりました。

部門別の売上高は、

  • ドライブライン(Driveline)が34億4,400万ポンドで前年比0.8%増
  • 粉末冶金(Powder Metallurgy)が9億1,600万ポンドで前年比1.7%減

となりました。

ドライブライン部門については、等速ジョイント(CVJ:Constant Velocity Joint)の売上が約6割、それ以外の四輪駆動(AWD:All-Wheel Drive)システムなどの売上が約4割を占めました。
また、粉末冶金については南米市場が低調だったことが影響し、売上高が減少しました。

事業戦略

事業方針

GKNのM&Aや他社との提携に関する動向は以下のとおりです。

  • 2014年4月、ウィリアムズ・グランプリ・エンジニアリング(Williams Grand Prix Engineering)から、複合素材を使用したフライホイール式エネルギー貯蔵システムを開発・生産しているWilliams Hybrid Power(WHP)の全株式を取得。買収金額は1,330万ドル。
  • 2014年7月、イギリスの運輸事業会社であるゴーアヘッド・グループ(Go-Ahead Group)と、今後2年間で500台のバスに電気式フライホイールシステムを搭載することで合意。市街地での排出ガスを低減するのが目的。フォーミュラ1(F1)で使用された技術に基づいたシステムで、バスの減速時に発生するエネルギーを貯蔵し、そのエネルギーを加速時に利用するもの。はじめにロンドンとオックスフォードのバスに導入し、数年にわたってイギリス各地に展開する計画。
  • 2014年7月、ドイツの大手総合自動車部品メーカーであるコンチネンタル(Continental AG)との折半出資による合弁会社、エミテック(Emitec)の株式50%をコンチネンタルに売却。売却金額は4,600万ポンド。
  • 2014年11月、イギリスの大手バス・車体メーカーであるアレクサンダー・デニス(ADL:Alexander Dennis)と、今後2年間でイギリスの交通機関に250台の低公害車を導入することで合意。はじめにロンドンとオックスフォードのバスに導入し、数年にわたってイギリス各地に展開する計画。また、グローバル市場向けのシステムを共同開発することでも提携。
  • 2015年4月、華域汽車系統股份有限公司(HUAYU Automotive Systems Company Limited)との合弁会社、Shanghai GKN HUAYU Driveline Systems(SDS)が、ドライブラインシステム、四輪駆動(AWD:All-Wheel Drive)システム、ハイブリッドシステムなどの需要増に対応するため、5年間で8億5千万ドルを投資すると発表。
  • 2015年7月、中国の河北(かほく)省覇州(はしゅう)市にある覇州市宏昇実業有限公司(Hongsheng Industrial Co., Ltd.)と、鉄粉を生産する合弁会社を設立することで合意。設立後の新会社の規模は、金属粉末メーカーとしては世界クラス。

注力分野

GKNはドライブライン事業(特に四輪駆動(AWD:All-Wheel Drive)システム)の強化に注力しています。
2014年末時点で、GKNの四輪駆動システムの売上高は全体の約4割を占めていますが、SUV(Sport Utility Vehicle,スポーツ用多目的車)人気によるものだけでなく、セダンでも四輪駆動システムの需要の増加が見込まれていることから、GKNは今後の5年で四輪駆動システムの売上高が全体の約5割に高まると予測しています。

四輪駆動システムの需要増への対応策としては、1億ドルを投じたアメリカニュートン工場の大規模拡張工事や、中国の合弁会社であるShanghai GKN HUAYU Driveline Systems(SDS)を通じた8億5千万ドルの投資などが挙げられます。

技術動向

下記は、GKNの研究開発活動の一例です。


・電気駆動モーター用2速アクスル「eAxle」の生産を開始

BMWのハイブリッドスポーツカー「i8」向けに生産。2速化することによって、さまざまな速度範囲での走行性能が向上。なお、同製品の開発は業界初。

・A・B・Cセグメント車向け分離型四輪駆動(AWD:All-Wheel Drive)システムを開発

運転操作や道路状況に対応し、リアアクスルからの駆動部分の接続・切り離しが可能。ドライブラインの回転損失を低減することで、一定速度で走行するあいだの燃費を従来の常時四輪駆動システムと比較して最大4%向上するとされるシステム。中核となるクラッチシステムはランドローバー(Land Rover)の「Range Rover Evoque」に搭載されたシステムを改良したもの。なお、同システムの開発は業界初。

・ポルシェ(Porsche)の「918 Spyder」向け製品を開発する技術パートナーに認定

ポルシェのプラグインハイブリッド・スーパーカー「918 Spyder」向けアクスル「eAxle」を開発するパートナーに認定。特別に設計された小型デフが常に最適なトルク配分を行い、引きずりによる損失を最小限にし、最大効率を実現する製品。

・四輪駆動システムなどの性能テストを実施

HV用四輪駆動システム、分離型四輪駆動システム「AWD Disconnect」、トルクベクタリングなどの性能テストを、スウェーデンの冬季試験場で実施。

・イギリスにエンジニアリングセンターを新設

イギリスのMIRA Technology Parkに、ドライブラインシステムの試験・開発を行うエンジニアリングセンター「GKN Driveline Vehicle Engineering Centre」を新設。試作品の取り付け、計装、試験車両の行動・軌道での評価を行うほか、独自のドライブライン、トルクシステムの開発も実施。

・完成車メーカーに四輪駆動システムを一式納入した初の自動車部品メーカーになったと発表

フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA:Fiat Chrysler Automobiles N.V.)のプラットフォームが、トランスミッションからホイールまで、あらゆるバージョンのドライブライン一式にGKN製品を採用。プロペラシャフト、リアディファレンシャルモジュール、サイドシャフトといったシステムの部品はすべてGKNが設計。

・2015年「Automotive News PACE Award」を受賞

デトロイトで行われた授賞式において、「Automotive News PACE Award」の製品部門を受賞。受賞した製品は、GKNのドライブライン部門の「EV(Electric Vehicle,電気自動車)用2速ギアボックス」。

・トヨタ自動車の品質賞を受賞

2000年から南米でトヨタ自動車に納入しているGKN Driveline Brazilが、「South America Supplier Quality Excellence Award」を2015年に2年連続で受賞。

・ボルボ・カーズ(Volvo Cars)「XC90」向け前輪駆動と四輪駆動ドライブラインを開発

ボルボ・カーズとの提携により開発された製品。四輪駆動ドライブラインに採用されたのは、軽量化・設置スペースの削減を実現したリアサイドシャフト用ボールプランジングジョイント「VLX」。さらに「XC90」には固定ジョイント「Countertrack SX8」とプロペラシャフト「VL」も搭載。

・新電気駆動システムを開発

イギリス政府の援助による、新型ハイブリッドパワートレインと電動パワートレインシステムの開発を目指して行われていたプロジェクト「Concept_e」において、GKNは1速および2速の「eAxle」を開発し、BEV(Battery Electric Vehicle)用パワートレインに統合。

・「eAxle」を開発

グローバルプラットフォームを採用したプラグインハイブリッド(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)車の組み立てを簡素化するシステム。ボルボ・カーズのプラグインハイブリッドSUV(Sport Utility Vehicle,スポーツ用多目的車)「XC90 T8 Twin Engine」に搭載。

・「Twinster」システムを開発

同製品は、フォード・モーター(Ford Motor Company)の「Focus RS」向けのトルクベクタリング四輪駆動(AWD:All-Wheel Drive)システム。片方もしくは両方のホイールにトルクを個別に配分することが可能で、車両の速度範囲全体にトルクベクタリング機能を提供できるシステム。

・軽量等速ジョイント(CVJ:Constant Velocity Joint)システム「VL3」を開発

後輪駆動車のプラットフォームを4kg以上軽量化できる等速ジョイントシステム。パッケージサイズを約7%縮小しても性能を維持することが可能。従来品のトルク容量が2,600Nmだったのに対し、同製品は3,300Nmまで増加。

グローバル展開

2014年末時点で、GKNは世界30ヶ国以上に拠点を有しています。製造拠点の部門別の内訳は、ドライブライン部門が22ヶ国に46ヶ所、粉末冶金部門が10ヶ国に34ヶ所です。
なお、ドライブライン部門については、ヨーロッパに21ヶ所、北米に9ヶ所、南米に4ヶ所、アジアに21ヶ所、オセアニアに1ヶ所、アフリカに2ヶ所の拠点を有しています。


○新興国をはじめとした海外における取り組み

■中国での取り組み
  • 2014年10月、江蘇(こうそ)省の丹陽(たんやん)市と儀徴(ぎちょう)市に生産拠点を設置・拡張し、中国事業を強化すると発表。
  • 2015年3月、完成車メーカーなどの顧客基盤を拡大するため、重慶(じゅうけい)工場の生産能力を約3倍に拡大。工場面積が25万8千フィートとなり、サイドシャフトの年間生産能力が210万ユニットに増加。2017年までに400人以上の従業員を雇用する計画。同工場の拡大により、GKNは重慶に拠点を持つ完成車メーカー向けに等速ジョイント(CVJ:Constant Velocity Joint)の現地生産も推進。
  • 2015年4月、中国において四輪駆動(AWD:All-Wheel Drive)システム一式の設計・開発・生産を実施した初めてのティア1サプライヤーになったと発表。上海汽車集団(SAIC motor Corporation Ltd.)のコンパクトSUV(Sport Utility Vehicle,スポーツ用多目的車)「MG GS」向けにAWDシステム一式、前輪駆動システムを納入。「MG GS」のプラットフォームはトランスミッションからホイールまで、GKNのドライブライン一式を採用。GKNはフロントおよびリアサイドシャフト、プロペラシャフト、パワートランスファーユニット、リアドライブモジュールを現地生産しており、電磁制御装置やハイポイドギアは日本から調達。
■タイでの取り組み
  • 2015年7月、フロント用・リア用のファイナルドライブユニット(FDU)やトランスアクスル向け電子ディファレンシャルロック(EDL)などを生産する四輪駆動システム工場を、ラヨーン県に設置。新工場の面積は4,800平方メートル。納入先となる完成車メーカーは、トヨタ自動車や日産自動車、三菱自動車など。
■トルコでの取り組み
  • 2015年5月、トルコ国内に拠点を有する完成車メーカーからの需要の増加に対応するため、エスキシェヒル工場の生産能力を拡大。工場面積は従来比で2倍以上となる6,300平方メートルで、ドライブシャフトの年間生産能力は180万ユニット。5年間にわたり従業員を70人増員する計画。主な納入先はトヨタ自動車やホンダ、ルノー(Renault)、フォード・モーター(Ford Motor Company)などの完成車メーカー。
■ポーランドでの取り組み
  • 2015年7月、ポーランド拠点の大規模拡張計画の第1フェーズとして、新工場の建設を発表。投資額は1,650万ユーロで、4年間にわたり従業員数を400人雇用する方針。新工場のフル稼働時の年間生産能力はプロペラシャフトが100万ユニット超。工場面積は1万4,280平方メートルで、同拠点の面積は従来比で1.5倍。納入先となる完成車メーカーはフォルクスワーゲン(VW:Volkswagen)、ポルシェ(Porsche)、ボルボ・カーズ(Volvo Cars)、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA:Fiat Chrysler Automobiles N.V.)、ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover)、メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)など。
■ロシアでの取り組み
  • 2014年1月、グローバル展開の強化を目的に、ロシアで自動車部品の製造を開始すると発表。等速ジョイントサイドシャフトを生産する工場をトリヤッチに建設。面積は5千平方メートル。
■アメリカでの取り組み
  • 2015年8月、ノースカロライナ州カトーバ群にあるニュートン工場の大規模拡張工事が完了。投資額は1億ドル。ドライブラインシステムの生産能力を拡大すべく、生産スペースを約25%拡張。同工場では、ファイナルドライブユニット、パワートランスファーユニット、クラッチなど、四輪駆動ドライブラインシステムを生産。また、2018年末までに従業員数を200人以上増加させる方針。
  • 2015年6月、ミシガン州のオーバーンヒルズに移転した米州地域本社の開所式を実施。移転自体は2014年12月に完了。同拠点は米州におけるドライブラインと粉末冶金の本社として機能。最新の試験・評価設備を備えているほか、ドライブライン製品や焼結金属製品のエンジニアリング設計用エリアを追加し、従来からエンジニアリング・試験用スペースを20%拡大。

部門構成・部門ごとの方針

GKNは、以下の4部門で事業体制を構成しています。

  • ドライブライン(Driveline)
    (主要製品分野:等速ジョイント(CVJ:Constant Velocity Joint)システム、四輪駆動(AWD:All-Wheel Drive)システム、トランスアクスル、eドライブシステム)
  • 粉末冶金(Powder Metallurgy)
    (主要製品分野:エンジン部品、トランスミッション部品、ボディー・シャシー部品、ドライブトレイン、フルイド技術、ベアリング、メカトロニクス)
  • 航空宇宙(Aerospace)
  • ランドシステム(オフハイウェイ)(Land Systems)
    (主要製品:電気式フライホイールシステム)

上記のうち、ドライブライン部門は世界22ヶ国に46ヶ所の製造拠点を、粉末冶金部門は10ヶ国に34ヶ所の製造拠点を有しています。

なお、GKNのドライブライン部門の日本法人であるGKNドライブラインジャパンは、等速ジョイントの日本国内のシェアを、2019年までに20%に引き上げる方針を示しています。また、2017年におけるリアのデフロックの生産台数を2014年比90%増となる110万台に拡大する計画です。

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会社概要

社名 GKN ドライブライン ジャパン株式会社
設立年 1949年9月15日
本社所在地 栃木県栃木市大宮町2388番地
代表取締役 立花 尚(代表取締役副社長)
資本金 7,663百万円

組織構成や技術開発状況など、ネットに掲載されていない情報 が聞ける。転職についても相談できる。

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