日本板硝子
日本板硝子の企業情報
日本板硝子は、東京に拠点を置く世界最大手のガラスメーカーであり、自動車用、建築用、高機能製品用の3つの事業を展開しています。ブランド名称は「NSG Group」。
自動車用ガラス事業では世界の主要完成車メーカーすべてにガラスを供給し、中でも補修用ガラスでは世界トップクラスのシェアを誇っています。
設立は1918年。コルバーン式製板法(溶けた硝子を垂直に引き上げて冷まし、成形する方法)による板ガラスの製造を目的として、アメリカのガラスメーカー、リビーオーエンスフォード社(Libbey Owens Ford Co.)から技術を導入し、日米板ガラス株式会社として創立されました。1931年に現在の社名に変更。
1919年、福岡県北九州市に日本初の厚板ガラス製造工場を設立。1941年に、徳永板硝子製造株式会社を吸収合併します。
1961年、日本初の前面展望電車である名鉄7000系電車(パノラマカー)にガラスを納入します。1964年、イギリスのガラスメーカー、ピルキントン社が開発したフロート方式(溶かした金属の上に溶かした硝子を薄く浮かべ板硝子を作る方式のこと)による板ガラス製造設備を舞鶴工場に新設。1970年に、日本安全硝子株式会社を吸収合併しました。
1971年、現地のガラス会社、トーメンとの合弁によりマレーシアン・シートグラス社(Malaysian Sheet Glass Berhad、MSG)を設立。マレーシア国内でのフロート板ガラス、型板ガラス、自動車用・産業用加工ガラスなどの製造・販売をスタートさせました。
1979年、日本硝子繊維株式会社よりガラス繊維の販売権を譲り受け、ガラス繊維の販売を開始します。
1986年、アメリカにユナイテッドL-Nグラス社を設立。翌1987年にはイギリスにNSGヨーロッパ社を設立します。1990年、リビーオーエンスフォード社に資本参加。
2002年、フランスのサンゴバン・ヴェトロテックス社(Saint-Gobain Vetrotex International)との合弁事業としてNSGヴェトロテックス社を設立し、日本板硝子が日本で展開していたガラス長繊維事業を譲渡。また、2004年にはガラス磁気ディスク事業およびNSGフィリピン社を、日本のガラスメーカー、HOYAへ譲渡します。
2006年、フロートガラスを開発したことで知られる大手のガラス製造企業、イギリス・ピルキントン社(Pilkington Group Limited)を買収。このことによって、世界トップのシェアを誇るガラスメーカーとなりました。
○事業内容
・自動車用ガラス事業
新車用および補修用のガラス製品をはじめ、特殊輸送機材用(バス、トラック、船舶など)ガラス製品の製造・販売。
・建築用ガラス事業
各種建築用ガラス、高機能用途ガラス、および太陽電池用ガラスなどの製造・販売。
・高機能ガラス事業
ディスプレイ用薄板ガラス、プリンター向けのレンズやライトガイド、またバッテリーセパレータやエンジン用タイミングベルトなどに使われるガラス繊維製品の製造・販売。
年収情報
平均年収781万円 / 自動車業界内の年収順位 4/64位
年収推移
自動車業界の平均年収 | 618万円 |
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推定生涯賃金 | 2億5070万円 |
年齢別年収シミュレーション
平均年齢 | 45.3歳 |
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平均勤続年数 | 21.2年 |
売上等の推移(直近3年間)
売上高推移
経常利益推移
- ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。
従業員数推移
日本板硝子の2015年3月期の決算は以下のとおりです。
- 売上高 6,267 億円(前年比 3%増)
- 営業利益 223 億円
無形資産償却と個別開示項目前営業利益は、コスト削減による効果を反映し、当期利益は252 億円(前年同期 224 億円)と黒字化となりました。
このうち、自動車用ガラス事業は、売上高3,140 億円(同2.9%増)、営業利益 94 億円(同16%減)でした。
自動車用ガラス事業の地域別では、事業売上高の46%を占めるヨーロッパでは、新車部門で前年並みに、補修用部門では、気候の要因などにより需要が減少しまし
事業売上高の17%を占める日本国内では、新車用ガラスの数量が堅調を示しました。補修用部門は前年を下回る結果となりました。
事業売上高の26%を占める北米市場では、新車の販売台数は引き続き増加しており、補修部門でも堅調な需要となり、売上高および営業利益は改善しました。
その他の地域ではおおむね営業利益は前年を下回り、中でも、南米では自動車用ガラス市場は低調となりました。
また、2016年3月期第3四半期(2015年4月~12月)の決算は以下のとおりです。
- 売上高 4,796億円(前年同期比3%増)
- 営業利益 166億円(同ほぼ横ばい)
このうち、自動車ガラス事業は、売上高 2,397 億円(同3.3%増)、営業利益 50 億円(横ばい)となりました。
地域別では、西欧の自動車用ガラス市場では回復傾向となりました。
日本国内は、乗用車販売台数は減少しているものの、販売数は前年の販売数を維持しました。
南米では市場が低調に推移、中でも乗用車販売台数が大きく減少しました。
事業戦略
事業方針
日本板硝子は2014年、「長期戦略ビジョン」と「中期経営計画」を発表しました。
<長期戦略ビジョン>
ガラス市場における成長分野であり、高度な形状や機能をもつ付加価値製品(Value-added、VA)。日本板硝子は、高機能ガラス事業だけでなく、建築用ガラス・自動車用ガラス事業でも多くの付加価値製品を生み出しているガラスメーカーとして、以下の目標を設定しました。
- ガラスのスペシャリスト企業として顧客から高い信頼を獲得する
- 世界中の顧客に独自の付加価値製品(VA)、サービスを提供する
- 事業構造を転換し、伝統的なビジネスモデルから、より高度な付加価値品(VA)開発に注力する
こうした目標を実現するため、2018年度までの4年間を重要なステップ期間として中期経営計画を策定しました。
<中期経営計画>(2014年4月~2018年3月)
○財務目標
- 売上高 6,700億円以上
- 無形資産償却と個別開示項目前営業利益 600億円
- BITDA(税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加算した値) 1,000億円
- ネット借入 3,000億円
- ROE(自己資本利益率) 10%以上
これまで取り組んできた、低稼働設備の除去や人員削減、固定費などの削減整理と組織改変などの施策によって、グループの収益性は回復しました。
引き続き、この方針による、変化あるいは多様化する世界経済の動向に適切に対処する体制を維持していく計画です。
また、2017年度以降、売上高に占める高付加価値製品の比率を2013年度の1/3から1/2まで高める計画です。
自動車用ガラス事業における取り組みとしては、ガラス自体が高い断熱性をもつソーラーコントロールガラス、紫外線・赤外線カットガラス、フロントガラス上に直接ドライバーに必要な情報を表示させるヘッドアップディスプレイガラスなどを高付加価値製品として強化する方針です。
合わせて、収益力の改善を図るため、既存設備の稼働率を最大化すると同時に既存の設備をアップグレードする計画です。
また、自動車エンジン向けに使用されるグラスコード(ガラスの長繊維を特殊加工し、繰り返し曲げたり伸ばしたりするために起こる疲労に耐えるよう開発された素材)の市場において、タイミングベルト(エンジンの吸気と排気を行うベルトのこと)としての搭載率を高めるなど、高度な先進製品部門においても成長を目指すとしています。
注力分野
・「Super UV cutガラス」の生産能力増強
2014年、日本板硝子は、自動車用ガラス分野で、需要の増加が続くSuper UV cutガラスの国内生産を増強したと発表。
Super UV cutガラスは、紫外線(UV)を約90%カットする強化ガラスの車内側の面に、さらに紫外線(UV)を吸収する膜をはることで、紫外線約99%カットを可能にした高機能なガラス製品。自動車のフロントドアを中心に使用される。
本製品は、トヨタ自動車「NOAH」(ノア)、「VOXY」(ボクシー)、日産自動車「DAYZ ROOX」(デイズルークス)、三菱自動車「eK SPACE」(イーケースペース)など国内生産車への搭載が進められている。
技術動向
○新製品開発
・世界最薄の自動車用合わせガラス開発
2013年、自動車ガラスのフロントウィンドシールドとしては世界最薄厚となる、車外側2.0mm+車内側1.0mmの合わせガラスを発表。従来品と比べ、23%の軽量化を達成している。
同製品は、2013年の東京モーターショーで発表されたトヨタ「i-ROAD」に採用されている。
・極薄ガラスペーパー(ガラス繊維不織布)の開発
ガラスペーパーとは、平均繊維径1μm(マイクロメートル、1μm=0.001mm)以下のガラス繊維(マイクログラスウール)で作られる不織布のことである。高い空隙率(くうげきりつ、物質の総体積に対するすきま部分の比率のこと)、耐熱性、耐酸性、親水性などの特徴を持ち、主に鉛蓄電池の隔離板として使用される。
日本板硝子は2014年、ガラスペーパーの中で最薄となる20μmを実現し、シート化、ロール化に成功したと発表。これによって、従来のガラスペーパーでは難しかった、燃料電池電解質膜の補強材として提案することが可能になった。
現在、自動車や電子機器などの分野で幅広く使われる鉛蓄電池やリチウムイオン電池での使用を目指し、新たなガラスペーパーの開発を進めている。
・高耐性極薄グラスフレークを発表
2014年、樹脂などに加えることで、成型した際の反りを抑え寸法の精度を高める極薄ガラスフレーク(鱗片形状をしたガラス粉末)に、高い耐熱性などに優れたグレードを発表。
自動車エンジンや電飾部品など向けに販売する計画。
○研究開発
・エンジニアリングプラスチック(エンプラ)用ガラス製フィラーの共同開発発表
フィラー(充填剤)と呼ばれる物質を添加することで、強度や耐性を高めたり新たな機能を持たせることができるエンジニアリングプラスチック(エンプラ)。
2015年、自動車などの部品の軽量化、高機能化を目的としてその需要が高まるこのエンジニアリングプラスチック(エンプラ)用のフィラーを、日本電子硝子と共同で開発することを発表。
これまで、日本板硝子は、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)の寸法安定向上用のガラス製品などを、日本電子硝子は、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)強化用のガラス繊維製品などをそれぞれ開発。こうした2社の技術をもとに、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)のさらなる機能性向上に寄与していく考え。
グローバル展開
日本板硝子は現在、世界28カ国に主要な生産拠点を置いています。自動車用ガラス事業の拠点における主な取り組みは以下のとおりです。
・イギリス
2014年、日本以外で初めて、イギリス・マージーサイド州にあるNGF Europe(NGFヨーロッパ)の工場で高強度グラスコードの生産を開始。
高強度グラスコードは、自動車用タイミングベルトや電動アシストステアリング(EPS、自動車のハンドルのアシストに従来の油圧ではなく電気モーターを利用する技術のこと)の稼働ベルトにも用いられており、日本板硝子は、2018年に2012年度比1.5倍の需要拡大を見込むとしている。
・マレーシア
2015年、マレーシア・セランゴール州にある自動車用ガラス加工工場の生産能力を5割引き上げた。2014年に閉鎖したフィンランド工場から設備を移管し、成長市場での生産拡大を目指すというもの。
会社概要
拠点一覧
日本板硝子の拠点(研究開発・テストセンター含む)
国内拠点一覧 |
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海外拠点一覧 |
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関係会社一覧
日本板硝子の関係会社一覧
- NSG Holding(Europe) Ltd.
- NSG UK Enterprises Ltd.
- Pilkington Group Ltd.
他の完成車メーカー・部品メーカー情報
外資系自動車部品メーカー
- アメリカン・アクスル&マニュファクチャリング
- イリノイ・ツール・ワークス
- インフィニオンテクノロジーズ
- ヴァレオ
- 濰柴動力股份
- エバースペッシャー
- MRF
- マザーソン・スミ・システムズ
- オートリブ
- クーパー・スタンダード・ホールディングス
- クーパー・タイヤ・アンド・ラバー
- クノールブレムゼ
- クムホタイヤ
- グルーポアントリン
- ラインメタル・オートモーティブ
- コンチネンタル・オートモーティブ
- CIEオートモーティブ
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- ジョンソンコントロールズ
- ジョンソン・マッセイ
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