プラスチックオムニウム

プラスチックオムニウムの企業情報

プラスチックオムニウム(Compagnie Plastic Omnium S.A.)は、バンパーやフェンダーなどの外装部品、燃料システム、燃料タンクを手がけるフランスの大手自動車部品メーカーです。

プラスチックオムニウムは、1947年にパリで設立されました。1962年、本国フランスに初の工場を設置。1972年にはスペインに同社初となる海外生産拠点を設置しました。

1986年には現在のAuto Inergy部門(自動車部品部門に含まれる1事業部門)の前身であるフランスの燃料タンクメーカー、Landry and Techni-Plaste Industrieを買収。
また、1995年には外装部品メーカーであるReydel Industriesを買収するなど、M&Aによる事業拡大を推進。なお、Reydel Industriesについては1999年にアメリカの自動車部品メーカーであるビステオン(Visteon)に売却しています。

2004年、ドイツの自動車部品メーカーであるヘラー(HELLA KGaA Hueck & Co.)およびベーア(Behr)(現:マーレベーア(MAHLE Behr GmbH & Co. KG))と、フロントエンドモジュールを製造する合弁会社、HBPOを設立。
2007年には、Yanfeng-SAICとの合弁会社、延鋒彼欧汽車外飾系統有限公司(YFPO:Yanfeng Plastic Omnium Automotive Exterior Systems Co., Ltd.)を設立しました。

2010年、樹脂製燃料システム最大手のイナジー・オートモーティブ・システムズ(Inergy Automotive Systems)を完全子会社化。
また同年、Peguform GmbH & Co. KG(現:Samvardhana Motherson Peguform(SMP))が保有していた、PSAプジョー・シトロエン(PSA Peugeot Citroen)向け工場を買収しました。

2011年にはフォード・モーター(Ford Motor Company)が展開していたアメリカの燃料システム事業を買収。同年、Plastal Polandを買収しました。
2012年にはロシアの自動車部品メーカーであるDSKと燃料システムを製造する合弁会社、DIPOを設立。同年、中国の自動車部品メーカーである北京海納川汽車部件股?有限公司(BHAP:Beijing Hainachuan Automotive Parts Co., Ltd.)と合弁会社を設立しました。

2014年末時点では、世界各地域に111ヶ所の製造拠点、21ヶ所の研究開発拠点を有し、約22,000人の従業員を抱えています。
事業体制は以下の2部門で構成されています。
・自動車部品(Automotive)部門
・環境(Environment)部門

現在は、中期経営計画の目標(2018年の売上高70億ユーロ)を達成するための施策の1つとして、中国事業の強化に注力しています。

売上等の推移(直近3年間)

売上高推移

連結
  • 801,588百万円

2015年度

  • 847,579百万円

2016年度

  • 1,069,734百万円

2017年度

  • ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。

従業員数推移

連結

2014年における売上高は、アジア地域と西ヨーロッパにおける自動車部品部門の売上高が増加したことが影響し、44億3,720万ユーロで前年比2.4%増となりました。
また、純利益は2億2,900万ユーロで前年比16.2%増となりました(※1)。

部門別の売上高は、

  • 自動車部品(Automotive)部品が48億8,250万ユーロで前年比4.9%増
  • 環境(Environment)部品が4億3,200万ユーロで前年比8.0%減

となりました(※2)。

※1 2014年12月期から合弁会社は全部連結もしくは比例連結から持分法に変更。
※2 合弁会社は全部連結もしくは比例連結。

プラスチックオムニウムは2014年末に発表した中期経営計画において、2018年の売上高を70億ユーロとする目標を掲げています。

事業戦略

事業方針

2014年末に発表した中期経営計画で、プラスチックオムニウムは2018年の売上高を70億ユーロとする目標を発表しました。地域別の売上比率の目標はヨーロッパが50%、北米が29%、アジアが18%です。

また、2018年までにバンパーのグローバルシェアを15%、燃料システムのシェアを24%に増加させる計画を示しています。

目標の達成に向け、プラスチックオムニウムは2014年から2018年末のあいだに、世界各地域における工場の新設と新製品の開発に17億ユーロを投じる方針を示しました。

計画発表段階における新設予定工場数の地域別の内訳は、アジアが12ヶ所、北米が5ヶ所、ヨーロッパが3ヶ所です。海外では、特に中国事業の強化に重点を置いています。

また、新製品の開発に関しては、外装部品の軽量化やSCR(Selective Catalytic Reduction,選択触媒還元)システムなどの製品開発を推進することにより、世界的な排ガス規制の強化に対応する方針です。2018年までにこれら新製品の売上高を10億ユーロ(売上高比率15%)に引き上げる考えを示しています。

プラスチックオムニウムのM&Aに関する動向は以下のとおりです。

  • 2015年12月、フランスの大手自動車部品メーカーであるフォルシア(Faurecia)の自動車外装部門を買収することで合意したと発表。同事業が手がけていたのはバンパーとフロントエンドモジュール。買収前の段階ではドイツ、フランス、スペイン、スロバキア、北米、南米に合計22ヶ所の製造拠点、約7,700人の従業員を保有していた事業。

注力分野

プラスチックオムニウムは、中期経営計画で掲げた2018年の目標売上高70億ユーロを達成するため、特に中国事業の強化に注力しています。

具体的には、2014年に5億ユーロだった同国の売上高を、2018年に10億ユーロに引き上げる方針です。
また、2018年までに中国の工場数を28ヶ所に増設し、同国市場におけるバンパーのシェアを26%に増加させる方針を示しています。

なお、2014年の段階で、プラスチックオムニウムの研究開発活動に携わる従業員2,000人超のうち、約500人が中国の拠点で活動しており、100以上のプログラムに取り組んでいます。

技術動向

2014年末時点で、プラスチックオムニウムは世界各地域に21ヶ所の研究開発拠点を有し、2,000人を超える従業員(全従業員の9%に相当)が研究開発活動に携わっています。

現在は、世界的な排ガス・燃費規制の強化に対応すべく、CO2やNOxの排出量を削減する以下のような製品の開発を推進しています。

  • 樹脂製テールゲートや複合材部品、炭素繊維部品などを用いた軽量外装部品
  • 可動式エアグリル「LightAir」など、エアロダイナミクスを向上させる(空力設計を最適化する)部品
  • SCR(Selective Catalytic Reduction,選択触媒還元)システム「DINOx」などの排ガス制御システム

また、HV(Hybrid Vehicle,ハイブリッドカー)・EV(Electric Vehicle,電気自動車)用パワートレインの開発を支援することも研究開発テーマの1つとしています。

下記は、プラスチックオムニウムの研究開発活動の一例です。

・SCRシステムの生産を開始

アウディ(Audi)の「Q7」や「A4」、フォルクスワーゲン(VW:Volkswagen)グループの新型プラットフォーム「MLBevo」向けにSCRシステムを生産。
このほか、2015年6月時点ではポルシェ(Porsche)、フォード・モーター(Ford Motor Company)、ゼネラル・モーターズ(GM:General Motors)、クライスラー(Chrysler)、ルノー(Renault)、日産自動車、トヨタ自動車などの完成車メーカーがプラスチックオムニウムのSCRシステムを採用。

・ガラス繊維強化の自己支持型熱硬化性樹脂フロアを開発

PSAプジョー・シトロエン(PSA Peugeot Citroen)と共同で開発した、これまでのスチール製アンダーボディに替わる製品。部品数が従来の30超から4つに減り、中型モデル用で8kgの軽量化を実現。既存の車体組立設備に対応し、スチールとの複合素材にも使用可能。

2014年のパリモーターショーにおいて、プジョーの「208 Hybrid Air」とシトロエンの「C4 Cactus Concept Airflow」が同製品を採用。

・軽量化フロントインパクトビームを開発

Hyundai Motor Europe向けに、従来と比較して43%軽量化したフロントインパクトビームを開発。鋼板を用いた部品と比較すると3.7kg軽量化。
引き抜き成形のガラス繊維と熱可塑性樹脂で覆った炭素繊維製リーンフォースメントを組み合わせることにより、性能を向上させたほか、コストの削減にも成功。

・トヨタ自動車の「品質管理優秀賞」を受賞

トヨタ自動車への燃料システムの供給に関して、「車体部門」で同賞を受賞。2014年は中国、タイ、インド、フランス、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカの現地拠点から130万基の燃料システムを納入。2015年からは、日本においてSCRシステムの供給を開始。

・「α-Alphatech」が稼働を開始

「α-Alphatech」は、フランスのヴネットに6,500万ユーロを投じて設置された研究開発拠点。従業員数は450人で、2014年9月に稼働を開始。

上記のほか、プラスチックオムニウムは以下の製品を開発しています。

  • エンジンの回転速度・温度によってシャッターが自動開閉する「アクティブグリルシャッター」。
  • 時速60kmを超えたときにスポイラーが下がることで車体の空力特性を最適化する「アクティブフロントスポイラー」。
  • 時速60kmでリアバンパーのサイドシャッターが開き、空力特性を向上させる「アクティブサイドシャッター」。

グローバル展開

2014年末時点で、プラスチックオムニウムは世界各地域に111ヶ所の製造拠点と21ヶ所の研究開発拠点を有しています。

製造拠点の地域別の内訳は、西ヨーロッパが43ヶ所、東ヨーロッパが13ヶ所、北米が15ヶ所、南米が5ヶ所、アジアが33ヶ所、アフリカが2ヶ所。

研究開発拠点の地域別の内訳は、西ヨーロッパが9ヶ所、東ヨーロッパが2ヶ所、北米が2ヶ所、南米が2ヶ所、アジアが6ヶ所です。

○新興国をはじめとした海外における取り組み

■中国での取り組み
  • 2013年3月、上海市に研究開発拠点を設置。また、2016年までに、研究開発活動に従事する技術者を450人に増員する方針。
  • 2015年4月、2015~2016年にかけて、湖北(こほく)省武漢(ぶかん)市、湖南(こなん)省長沙(ちょうさ)市、北京市、重慶(じゅうけい)市に4つの工場を新設するほか、武漢市、常熟(じょうじゅく)市、北京市、重慶市の既存工場を拡張すると発表。なお、2014年にも同国において4工場を開設。
■ロシアでの取り組み
  • 日産自動車、トヨタ自動車、フォード・モーター(Ford Motor Company)に燃料システムを供給する工場を設置すると発表。同拠点はプラスチックオムニウムがロシアに保有する3ヶ所目の工場。
■メキシコでの取り組み
  • 2016年と2017年に稼働を開始する2工場を設置すると発表。
    レオン工場ではゼネラル・モーターズ(GM:General Motors)とダイムラー(Daimler)に向けて燃料システムを、サン・ルイス・ポトシ工場では両完成車メーカーに外装部品を供給。
■イギリスでの取り組み
  • ランドローバー(Land Rover)の複数のモデルのバンパーを受注したことに伴い、2016年半ばに稼働を開始するバンパー工場をウォリントンに新設すると発表。
■アメリカでの取り組み
  • 2014年5月、2工場の建設を開始したと発表。
    フォルクスワーゲン(VW:Volkswagen)の工場に自動車用外装部品を納入する工場をテネシー州に、ゼネラル・モーターズの工場に燃料システムを納入する工場をカンザス州に設置。最終的な目標売上高は1億4千万ドル。
■日本での取り組み
  • 2015年11月、東京都に日本国内自動車産業向けの開発センターを設置したと発表。同拠点の機能は、樹脂モジュール部品、燃料・排ガス制御システムの開発や新技術の提案など。ホンダ、いすゞ自動車、日産自動車などの売上が伸びていることから、開発を現地化することによりビジネスを拡大するのが狙い。

部門構成・部門ごとの方針

プラスチックオムニウムは、以下の2部門で事業体制を構成しています。

  • 自動車部品(Automotive)部品
  • 環境(Environment)部品

上記のうち、自動車部品部門がプラスチックオムニウムの売上高の約9割以上を占めています。
なお、自動車部品部門は以下の2事業部品に細分化されています。

・外装部門(Auto Exterior)

プリプロピレンと複合材の外装部品・モジュールを製造しています。同社によれば、同社の塗装済みバンパーのグローバルシェアは約10%です。

・Auto Inergy部門(イナジー・オートモーティブ・システムズ(Inergy Automotive Systems))

樹脂製燃料システムの最大手メーカーである、子会社のイナジー・オートモーティブ・システムズが担当している事業部門です。同社によれば、同製品のグローバルシェアは約10%です。

また、プラスチックオムニウムが手がけている主要製品分野は以下のとおりです。

  • フェイシア
  • 車体構造部品およびエネルギー吸収システム
  • フロントエンドモジュール
  • フェンダーおよびフェンダーモジュール
  • リアクロージャーシステム
  • 燃料システム
  • テールゲート
  • アクティブグリルシャッター
  • アクティブフロントスポイラー
  • アクティブサイドシャッター

プラスチックオムニウムの報道ニュース一覧

会社概要

社名 PLASTIC OMNIUM株式会社
設立年 1998年9月
本社所在地 〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-10-1 虎ノ門ツインビルディング西棟12階
代表取締役 Laurent Burelle

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関係会社一覧

プラスチックオムニウムの関係会社一覧

  • HBPO
  • YFPO
  • BPO
  • Plastic Omnium Auto Exterior
  • Plastic Omunium Auto Inergy
  • GM.Ford
  • Renault
  • Fiat
  • PSA,BMW
  • Daimler
  • VW

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