エバースペッシャー
エバースペッシャーの企業情報
エバスペッヒャー(J. Eberspaecher GmbH & Co. KG)は、ドイツに本社を置く、排気系システム・部品の大手自動車部品メーカーです。
エキゾーストシステム、ヒーターシステム、商用車エアコンシステムなどを扱っています。
1865年、メタルフレームガラスのメーカーとして創業。
1913年には、同社初となる海外子会社をオーストリアのウィーンに設置しました。
2004年、自動車用部品ビジネスを分離。
2010年、バス・長距離バス用エアコンの市場に参入しました。
2013年には、Shaanxi Wanfang Autoparts Co. Ltd.と合弁会社のEberspaecher Exhaust Technology Xi'an Co., Ltd.を中国に設立したほか、車載ヒーター・クライメートコントロールシステムを手がける合弁会社、OTEM ZAOの全株式を取得。
また同年、燃料噴射装置やポンプなどを手がける日本のミクニと合弁会社のエバスペッヒャー ミクニ クライメット コントロール システムズ(Eberspaecher Mikuni Climate Control Systems)を設立しました。
2014年末時点では、世界25ヶ国に65ヶ所の拠点を有し、約8,400人の従業員を抱えています。
現在は、欧州排ガス規制「Euro6」に対応する排気系部品、電動化社会に対応するための空調制御部品、電装関連製品などに注力しています。
- 01.売上等の推移(直近3年間)
- 02.事業戦略
- 03.部門構成・部門ごとの方針
- 04.エバースペッシャーの報道ニュース一覧
- 05.会社概要
売上等の推移(直近3年間)
売上高推移
経常利益推移
- ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。
従業員数推移
2014年末時点における売上高は、アメリカの排ガス規制「EPA2010」や欧州排ガス規制「Euro6」に対応した製品の売上増加が影響し、35億9,850万ユーロで前年比23.4%増となりました。
また、EBITDAは1億3,030万ユーロで前年比11.2%増となりました。
部門別の売上高は、
- エキゾーストテクノロジー部門(Exhaust Technology)が31億2,090万ユーロで前年比27.4%増
- クライメートコントロールシステム部門(Climate Control Systems)が4億2,830万ユーロで前年比0.3%増
- 自動車制御部門(Automotive Controls)が4,930万ユーロで前年比23.6%増
となりました。
上記のうち、エキゾーストテクノロジー部門の売上増加の要因としては、ドイツのヴィルスドルッフ拠点の量産開始による商用車向け製品の売上増加や、アメリカの顧客からの発注量の増加などが挙げられます。
事業戦略
事業方針
エバスペッヒャーのM&Aや他社との提携に関する動向は以下のとおりです。
- 2014年4月、日本の自動車部品メーカーであるカルソニックカンセイと共に、ルノー・日産アライアンス(Renault-Nissan Alliance)のサプライヤーグループ「Alliance Growth Partner(AGP)」に選出。3年にわたり、同アライアンスにマフラーを供給する予定。
- 2014年9月、自動車制御部門において車内の電子ネットワークの開発・製造を担っていた子会社、Eberspaecher Electronics GmbH & Co. KGを、産業向けコンサルタントや技術サービスを展開しているドイツの企業、Star Cooperation Groupに売却。 エレクトロニクス分野の戦略的再編の一環で、ティア1サプライヤーとして自動車メーカーへの直接納入を増加させることが目的。
- 2015年2月、Unipart Groupとの折半出資会社であるUnipart Eberspaecher Exhaust Systems Ltd.の合弁を解消。継続事業はEberspaecher Exhaust Technology UK Ltd.に統合。
注力分野
エバスペッヒャーは、欧州排ガス規制「Euro6」に対応する排気系部品、電動化社会に対応するための空調制御部品、電装関連製品などに注力しています。
○欧州排ガス規制「Euro6」に対応する排気系部品
ディーゼルエンジン用のSCR(Selective Catalytic Reduction,選択触媒還元)システムとDPF(Diesel Particulate Filter,微粒子除去フィルター)の需要拡大を見込み、グローバルな生産・開発能力の強化を行っています。
また、SCRとDPFを一体化させた製品を完成車メーカーに提案するなど、開発面にも注力しています。
2014年5月には、本国ドイツのヴィルスドルッフに新設した工場が、商用車用エキゾーストシステムの生産を本格的に開始しました。
○電動化社会に対応するための空調制御部品
特に電動車の暖房などに使用される高電圧PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーターの開発に注力しています。
フォード・モーター(Ford Motor Company)やフォルクスワーゲン(VW:Volkswagen)、リンスピード(Rinspeed)、日産自動車などの完成車メーカーのEV(Electric Vehicle,電気自動車)に採用されています。
○電装関連製品
2013年、車両全体に電力を安定供給するためのワイヤーハーネス関連製品を手がける事業部門を立ち上げました。
また、2014年12月には電装関連製品を開発する子会社のEberspaecher Controlsが、照明や空調制御部品をはじめとする製品の開発を行う拠点を、本国ドイツのランダウに設置しました。
技術動向
2014年末時点では、本国ドイツを含めて世界4ヶ国に10ヶ所の研究開発拠点を有し、約700人の従業員が研究開発活動に携わっています。
現在、エバスペッヒャーは各部門で以下の製品開発を強化しています。
・エキゾーストテクノロジー部門(Exhaust Technology)
乗用車用エキゾーストシステム、Euro6対応のディーゼルエンジン用DPF(Diesel Particulate Filter,微粒子除去フィルター)・SCR(Selective Catalytic Reduction,選択触媒還元)技術
・クライメートコントロールシステム部門(Climate Control Systems)
燃料ヒーターシステム・補機、ウォーター予熱ヒーター、電気自動車用電動ヒーター
・自動車制御部門(Automotive Controls)
車載電力供給安定化システム、急速電力貯蔵システム
下記は、エバスペッヒャーの研究開発活動の一例です。
・リンスピード(Rinspeed)が暖房ユニットとPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーターを採用
100%バイオエタノールを燃料とする暖房ユニット「Airtronic E2」とPTCヒーターが、コンセプトカーの「microMAX」に採用。
・新型エアヒーター「Airtronic NG Commercial」を開発
エバスペッヒャーグループに属すEspar North Americaが開発。
オンロード・オフロードで使用される圧縮天然ガスエンジン・液化天然ガスエンジンを搭載した商用車向け製品で、1つのタンクから動力と熱を供給可能。
また、部品販売店や整備工場にとっての設置スペース・コスト削減にも寄与。
・フォルクスワーゲン(VW:Volkswagen)が第2世代高電圧PTCヒーターを採用
2014年5月、フォルクスワーゲンの新型「e-Golf」にエバスペッヒャー製の高電圧PTCヒーターが採用。同製品は「e-up!」にも搭載。
・燃料電池式補助動力ユニット(APU:Auxiliary Power Unit)を開発
ディーゼル燃料を効率的に電力に変換して車載用電化製品に供給できる、燃料電池式の補助動力ユニット。
エンジンから独立しており、電力発生時にジェネレーターへの負担をかけず、燃費を向上させ、排出ガスを低減させる製品。
・第3世代HV(Hybrid Vehicle)・EV(Electric Vehicle)用ヒーターを発表
体積と重量を3割減少させた次世代製品。2014年10月の段階では、高電圧PTCヒーターの生産開始時期は2016年を予定。
また、48Vのシステムに対応した、スイッチ内蔵のPTCヒーターも開発。
・子会社が「ACTIVE」プロジェクトに参加
子会社のEberspaecher Exhaust Technology UK Ltd.が、「ACTIVE(Advanced Combustion Turbocharge Inline Variable Valvetrain Engine)」プロジェクトに参加。
イギリス政府などから数百万ポンドが投じられる同プロジェクトは、フォード・モーター(Ford Motor Company)の1.0L EcoBoostエンジンに注力し、CO2を低減させる次世代炭素技術の導入を目的としたもの。
同社のほか、フォード・モーター、シェフラーUK(Schaeffler UK)、コンチネンタル(Continental)などの完成車メーカーや自動車部品メーカーが参加。
・「Busworld」で電気・ハイブリッドバス向けエアコンシステム・部品を展示
「Busworld」はベルギーで開催されるバスの展示会。
AC 230(ヒートポンプ付きルーフトップ型エアコンシステム)、バスのエアコンシステム向け新型コントロールユニット、AC 136 G4(電気バス向け電動型エアコンシステム)、AC 403 E G2(シティバスの運転席・乗員コンパートメント用エアコン)などを展示。
グローバル展開
2014年末時点で、エバスペッヒャーは世界25ヶ国に65ヶ所の拠点を有しています。
このうち、生産拠点の地域別の内訳は、ヨーロッパが21ヶ所、北中南米が10ヶ所、アジアが8ヶ所、アフリカが2ヶ所です。
また、研究開発拠点は本国ドイツのほか、フランス、アメリカ、中国に1ヶ所ずつ設置されています。
○海外における取り組み
■中国での取り組み
- 2013年12月、陝西汽車集団(Shaanxi Automobile Group)に属す陝汽万方汽車零部件(Shaanxi Wanfang Autoparts)と、商用車用後処理システムを生産する合弁会社を設立することで合意。
社名は埃貝赫排気技術(西安)有限公司(Eberspaecher Exhaust Technology Xi'an Co., Ltd.)。
部門構成・部門ごとの方針
エバスペッヒャーは、以下の3部門で事業体制を構成しています。
エキゾーストテクノロジー部門(Exhaust Technology)
(主要製品:エキゾーストシステム一式、触媒コンバーター、SCR(Selective Catalytic Reduction,選択触媒還元)システム、マフラー、マニホールド、電制制御EGR(Exhaust Gas Recirculation,排気再循環)バルブなど)
クライメートコントロールシステム部門(Climate Control Systems)
(主要製品:予熱ヒーター、補助ヒーター、電動エア・ウォーターヒーター、バス用エアコンシステム、特殊車両用HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)など)
自動車制御部門(Automotive Controls
(主要製品:ECU(Electronic Control Unit,電子制御ユニット)、バスシステム、電圧変換機、車載電力供給安定化システムなど)
上記のうち、エキゾーストテクノロジー部門の売上高が全体の8割以上を占めていますが、電動車の増加に伴う排気系部品の需要減が予想されるため、今後はクライメートコントロールシステム部門における製品開発を強化する方針です。
エバースペッシャーの報道ニュース一覧
- 2019.05.12 エバスペヒャー、メキシコに排気システム生産工場を建設
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乗用車・商用車向けの排気システム生産工場5月9日、エバスペヒャーは、乗用車・商用車向けの排気システム生産工場をメキシコ北部の都市サルティーヨに建設すると発表した...[もっと見る]
- 2019.03.07 エバスペヒャー、電気バス用の電動エアコンを納入
- 2019.03.03 エバスペヒャー、見本市にて救急車両向け熱管理システムを展示
- 2019.02.26 エバスペヒャー、シャルダ・モーターと合弁契約を締結
- 2019.01.18 エバスペヒャー、中国に研究開発センターを開設
会社概要
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