メリトール

メリトールの企業情報

メリトール(Meritor, Inc.)は、アメリカに本社を置く電動・制動部品メーカーです。
主に中大型商用車向けのアクスル、ドライブライン、ブレーキシステムを手がけています。

2000年、メリトール・オートモーティブ(Meritor Automotive Inc)とアービン・インダストリーズ(Arvin Industries Inc)が合併し、アービンメリトール(ArvinMeritor, Inc.)が設立されました。
2002年、排気システムを手がけていたドイツの合弁会社、Zeuna Starker GmbH & Co. KGを完全子会社化。
2004年、本国アメリカのミシガン州デトロイトに技術センターを設置しました。

2007年、トランスミッションやドライブアクスルキャリア、ステアリングギア、ドライブラインの再製造を行っていたカナダのMascot Truck Parts Ltd.を買収。
同年、同社のエミッション事業をアメリカの投資会社であるワン・エクイティ・パートナーズ(OEP:One Equity Partners)に売却しました。

2008年にはルーマニアとメキシコに製造拠点を、中国の上海に技術センターを設置したほか、再生部品を扱っていたベルギーの会社、Trucktechnicを買収しました。
2009年、Gabriel Ride Control Products North America(Gabriel Ride Control)を、プライベート・エクイティ・ファンドであるOpenGate Capitalの子会社、Ride Control, Llcに売却。
同年、合弁会社であるGabriel de Venezuelaの株式51%と、三井製鋼の子会社との合弁会社であるMeritor Suspension Systems Company(MSSC)の株式57%を売却。
さらにIochpe-Maxion S.Aにホール事業を売却したほか、インドに技術センターを設置しました。

2011年、小型システム部門の売却が完了したほか、インテバプロダクツ(Inteva Products, LLC)にボディシステム事業を売却。
同年、現在の社名に変更。
2012年には、フランスのアクスル事業をルノートラック(Renault Trucks)に売却しました。

2014年9月末時点では、世界各地域に56ヶ所の拠点を有し、約9,050人の従業員を抱えています。
事業体制は以下の2部門で構成されています。
・商用トラック・産業用車両(Commercial Truck and Industrial)部門
・アフターマーケット・トレーラー(Aftermarket & Trailer)部門

上記のうち、商用トラック・産業用車両部門の売上高が全体の75%以上を占めています。

現在は、軽量化とエンジン回転数を抑制する部品を開発することで、商用車の燃費向上に寄与する製品に注力しています。

売上等の推移(直近3年間)

売上高推移

連結
  • 326,119百万円

2016年度

  • 370,591百万円

2017年度

  • 467,712百万円

2018年度

  • ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。

従業員数推移

連結

2014年9月期における売上高は、北米のトラック生産量の増加が影響し、37億6,600万ドルで前年比2.6%増となりました。
また、営業利益は2億1,700万ドル(前年は7百万ドル)、EBITDAは3億2,400万ドルで前年比16.1%増となりました。

部門別の売上高は、

  • 商用トラック・産業用車両(Commercial Truck and Industrial)部門が29億8千万ドルで前年比2.1%増
  • アフターマーケット・トレーラー(Aftermarket & Trailer)部門が9億2千万ドルで前年比5.6%増

となりました。

なお、メリトールは2013年に発表した3ヶ年の経営計画「M2016」で掲げていた、負債額15億ドル未満という目標を、2014年9月期に2年前倒しで達成しています。

事業戦略

事業方針

2014年8月、メリトールは収益改善を目的に、南米でのリストラ計画を発表しました。
また、2015年4月には本国アメリカのオハイオ州にあるヒース工場を閉鎖すると発表。同工場では路線バスや長距離バス、産業・軍用車両向けの加工や熱処理、ハウジング、ベベルギア、ヘリカルギア、シャフトなどの生産を行っていました。

メリトールのM&Aや他社との提携に関する動向は以下のとおりです。

  • 2014年5月、インドのブレークス・インディア(Brakes India)と、メリトールの「ELSA」エアディスクブレーキの製造・販売に関するライセンス・技術援助契約を締結。
    同契約は、すでに締結していたインド市場でのBフレームの油圧ディスクブレーキ、エアドラム、エアディスクブレーキの長期ライセンス契約を拡大するもの。
  • 2014年9月、アメリカとカナダで展開しているMascot事業を投資家グループに売却。
    Mascotはアフターマーケット向けトランスミッションなどを扱っているブランド。
  • 2015年7月、アメリカのノースカロライナ州にあるモーガントン工場の資産の大部分をサイプリス・ソリューションズ(Sypris Solutions)から取得したと発表。
    同工場ではメリトール向けトレーラー用アクスルビームなどを手がけていたほか、その他の顧客向けにライトビークル要部品を生産。
  • ダイムラー(Daimler)と2017年まで北米向けエアドラムブレーキ、ドライブライン、アクスルを供給する契約を締結。
  • ボルボ・トラック(Volvo Trucks)と、2021年12月までヨーロッパと南米向けにアクスルを、2019年5月までオーストラリア向けにアクスルを、2019年5月まで北米向けにアクスルとドライブラインを供給する契約を、それぞれ締結。

技術動向

2014年9月末時点で、メリトールは本国アメリカを含む世界7ヶ国に研究開発拠点を有しています。

下記は、メリトールの研究開発活動の一例です。

・トレーラー用横転防止装置にさまざまな機能を統合

ワブコ(WABCO Holdings Inc.)との合弁会社であるメリトール・ワブコ(Meritor WABCO)が、トレーラー用横転防止装置「Rollover Stability Support(RSS)1M」に、オートリフトアクスルコントロール、タイヤインフレーションデータマネジメントなどの機能を統合。
横転リスクの低減に加え、トレーラー用補助部品を制御・監視する機能を追加。

・Vantage Trailersの全製品にメリトール製部品が採用

下記はVantageのトレーラーに標準装備されたメリトール製品の一例。

  • MTAシリーズのエアサスペンション
  • リフトキット
  • PSI製のタイヤ空気圧調整システム「Meritor Tire Inflation System」
  • オートマチックスラックアジャスター
  • ホイールエンド部品

・パッカーから「Quality Achievement Award」を受賞

同賞はアメリカの大型トラックメーカーであるパッカー(PACCAR)が基準とする、不良品発生率50PPMを達成した自動車部品メーカーに送られる賞。
2013年にはメリトールが保有するアメリカとメキシコの計4工場が受賞(評価対象は2012年の実績)。

・「OnLane」がフレイトライナーにオプション採用

合弁会社のメリトール・ワブコが、「OnLane」がフレイトライナー(Freightliner)の「Cascadia」と「Cascadia Evolution」にオプション採用されたと発表。
同製品は路面表示や車線内の車両位置をモニタリングし、車線から外れたときにドライバーに警告するなどの機能を備えた車線逸脱警告システム。

また、歪曲した道で運転の不安定さ・運転技術の低下を検知するとドライバーに警告する独自機能「運転者注意力警告(DAW:Driver Alertness Warning)」も搭載。
なお、2013年12月には、前方監視用カラービデオ映像を撮影・保存するオプション機能も発表。

・北米トラック市場に燃費性能の高い空気処理システムを発表

同製品はエアドライヤー「System Saver 1200 Plus」とメリトール・ワブコ製のアンチロック・ブレーキ・システム(ABS:Anti-lock Breake System)に搭載されたソフトウェアを統合させたシステム。

・「14X」リアドライブアクスルの製品ラインを追加

2014年にギア比2.79とギア比2.85の製品を追加。カミンズ(Cummins, Inc.)とイートン(Eaton Corporation plc)のパワートレイン「SmartAdvantage」と組み合わせることでダウンスピーディングを実現し、長距離輸送車の燃費向上に寄与するとされる製品。

・IAA国際商用車ショー2014で新型ドライブアクスル「10X」を展示

当初はインドの小型商用車向けに設計されたものだが、最大積載量・燃費・道路の悪状況への適応度を高めた製品。

・日野モータース マニュファクチュアリングUSAから2014年「Excellence in Quality Award」を受賞

受賞したのは合弁会社のメリトール・ワブコで、日野モータース マニュファクチュアリングUSA(Hino Motors Manufacturing U.S.A.)から同賞を受賞するのは5回目。
2014年における納期厳守率100%の達成が評価されての受賞。

・「OnGuard」が中型トラックにも搭載可能になったと発表

同シリーズは2007年から展開されてきた、合弁会社であるメリトール・ワブコの衝突緩和システム。
なお、2016年から中型・大型トラック向けに販売される同シリーズの新製品「OnGuardACTIVE」は、静止物を検知するとドライバーに警告し、ブレーキを作動させることで事故の軽減・回避を行うシステム。

・スクールバス「Saf-T-Liner C2」に横滑り防止装置「SmartTrac」が採用

「SmartTrac」は、車両に横転や方向不安定性のリスクがある際に自動で介入する、メリトール・ワブコのアクティブセーフティシステム。
なお、「Saf-T-Liner C2」はトーマス・ビルト・バス(Thomas Built Buses)のスクールバス。

・ウォバッシュ・ナショナルから2015年「Platinum Supplier Award」を受賞

ウォバッシュ・ナショナル(Wabash National)に「SmartTrac」トレーラー用アンチロック・ブレーキ・システムや「InfoLink」データゲートウェイシステムなどを納入している合弁会社のメリトール・ワブコが、品質と納入実績を評価されて同賞を受賞。

・「Meritor Front Steer axle(MFS+)」を発表

同製品は新型の軽量フロントステアアクスル。総重量が1万2千~1万3,200ポンドで、これまでの製品と比較し、最大85ポンドの軽量化を達成。

・大型車向けドライブアクスル「13X」を発表

同製品はクラス6~7向けで、ギア比が3.90~6.50、アクスルの総重量が1万7千~2万1千ポンドのドライブアクスル。標準ディファレンシャルと組み合わせ、エアドラムブレーキ、油圧ディスクブレーキ、パーキングブレーキなどに対応。

グローバル展開

2014年9月末時点で、メリトールは世界各地域に28ヶ所の製造拠点を有しています。
海外では、カナダ、メキシコ、ブラジル、イギリス、ベルギー、フランス、イタリア、スウェーデン、トルコ、中国、インド、シンガポール、オーストラリアに製造拠点が設置されています。
また、研究開発拠点は本国アメリカのほか、イタリア、イギリス、インド、メキシコ、ブラジル、中国に保有しています。

○海外における取り組み

■イギリスでの取り組み
  • 2013年12月、トラック・バス向けのエクアディスクブレーキ「ELSA225H」をスカニア(Scania)から受注したことに伴い、イギリスのクンブランにある技術センターと生産工場を拡大。
    投資額は5,800万ドルで、エアディスクブレーキの生産能力を拡大するのが目的。

メリトールの報道ニュース一覧

会社概要

社名 メリトール・ジャパン株式会社
本社所在地 〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町25-15
代表取締役 Jeffrey Craig

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