豊田自動織機

豊田自動織機の企業情報

豊田自動織機(とよたじどうしょっき)は、愛知県に本拠地を置く、フォークリフトとカーエアコン用のコンプレッサー、繊維機械などの自動織機、産業用の車両の生産や自動車の受託生産などを行う機械メーカーです。
エアジェット織機(ヨコ糸を空気の力で通す織機で、従来の織機よりも高速運転が可能)をはじめ、フォークリフトやカーエアコン用コンプレッサーでは世界トップクラスの市場シェアを誇ります。

1926年、発明家・豊田佐吉が発明した自動織機を製造するため、豊田自動織機製作所が設立。1929年、精紡機(せいぼうき)の生産を開始しました。同年、イギリスの繊維機械製造メーカー、プラット・ブラザーズ社と自動織機の特許権を譲渡する契約を締結。

1931年、それまでの機械より紡績工程を短縮することができるハイドラフト精紡機を開発します。1933年、こうした開発により業績が向上したことを受けて、自動車制作部門を設置。翌1934年、初めての量産エンジンである乗用車用「A型」エンジンを、1936年、大衆乗用車「A型」の試作車を完成させました。

1937年に、従来、粗紡機(そぼうき)と精紡機で行っていたドラフト作業(糸の元となる繊維の束を引き伸ばして細くしていくこと)を一度に行える四線式スーパーハイドラフト精紡機を開発。また、同年に自動車制作部門を分離し、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)を設立します。

1950年代に入ると、自動車用エンジンの生産と自動車組み立て工場の操業を開始したほか、ガソリンエンジンやフォークリフト、航空機を地上で移動させるためのトーイングトラクターなどを次々と発売します。1955年に、車両部を新設。

1970年に、産業車両を生産する高浜工場を稼働。1971年には、スイスの織機メーカー、スルザー社(Sulzer)と、幅の広い織物を作ることができるグリッパー織機を製造する合弁会社、豊田スルザーを設立します。

1982年、自動車用ディーゼルエンジンを製造する碧南工場を稼働。1984年に車両事業部を自動車事業部に改称します。

1988年、アメリカで産業車両製造のため、トヨタ自動車との合弁でトヨタ・インダストリアル・イクイップメント・マニュファクチャリング(Toyota Industrial Equipment Mfg., Inc.)を設立。翌1989年に、アメリカでカーエアコン用コンプレッサーを製造するため、日本電装株式会社(現デンソー)との合弁でミシガン・オートモーティブ・コンプレッサー(Michigan Automotive Compressor, Inc.、MACI)を設立。これ以降、グローバルでの展開を推進していきます。

1999年、トヨタ自動車の小型車「ヴィッツ」の生産を開始。また、2001年にはトヨタ自動車のSUV「RAV4」(ラヴフォー)の生産を開始。この2車種は現在までトヨタ自動車の委託で豊田自動織機が生産を担っています。

2014年、それまでトヨタと共同で取り組んできたディーゼルエンジンの開発・生産を、今後、自社へ集約することを発表。これによって豊田自動織機は、自動車用ディーゼルエンジンの開発・生産分野において、より高い競争力を得ると同時に、効率的な事業体制の構築を目指すとしています。

○部門ごとの事業内容
豊田自動織機は、創業以来手掛ける繊維機械をはじめ、自動車、産業車両、エレクトロニクス、物流と事業領域を拡大しています。

・自動車部門
トヨタ自動車の委託による車両の組立や生産、また、エンジン、カーエアコン用のコンプレッサー(気体を圧縮して液化させることで温度を上げたり、液体を蒸発させることで温度を下げるなどの仕組みを持つエアコンの中心部のこと)、HV(ハイブリッド車)向けの電子部品、プレス金型などの開発・生産を行う。

・産業車両部門
世界トップクラスのシェアを誇るフォークリフトなどの産業車両や、搬送、保管、仕分けなどにかかわる物流機器やシステムを開発・生産・販売。

・物流部門
トラックによる貨物輸送や倉庫業務、物流コストの低減を目的として、物流関連の業務全般を一括して請け負っている。

・繊維機械部門
創業以来の事業であり、開発から生産、販売を一貫して行う繊維機械。手掛けるのは、大きく分けて、繊維の束によりをかけて糸を紡ぐ紡機(ぼうき)と、紡いだ糸をタテヨコに組み合わせて布を織る織機(しょっき)の2種類。中でも、織機の主力製品であるエアジェット織機は、世界シェア1位を誇る。

年収情報

平均年収795万円自動車業界内の年収順位 6101

年収推移

  • 778.9万円

2016年度

  • 790.5万円

2017年度

  • 795.3万円

2018年度

自動車業界の平均年収 618万円
推定生涯賃金 2億9685万円

年齢別年収シミュレーション

  • 573万円

25歳

  • 684万円

30歳

  • 795万円

35歳

  • 897万円

40歳

  • 924万円

45歳

  • 906万円

50歳

平均年齢 39.9歳
平均勤続年数 17.4年

売上等の推移(直近3年間)

売上高推移

連結
  • 1,675,148百万円

2016年度

  • 2,003,973百万円

2017年度

  • 2,214,946百万円

2018年度

単独
  • 1,252,797百万円

2016年度

  • 1,309,073百万円

2017年度

  • 1,358,871百万円

2018年度

経常利益推移

連結
  • 127,345百万円

2016年度

  • 147,445百万円

2017年度

  • 134,684百万円

2018年度

単独
  • 102,541百万円

2016年度

  • 114,056百万円

2017年度

  • 105,422百万円

2018年度

  • ※米国SEC基準会社・国際会計基準会社は、経常利益に当たるものがないため、税前利益を経常利益とみなします。

従業員数推移

連結
単独

豊田自動織機の2015年3月期の実績は以下のとおりです。

  • 売上高 2兆1,666億円(前年比7.9%増)
  • 営業利益 1,175億円(同9.2%増)
  • 経常利益 1,708億円(同23.7%増)
  • 純利益 1,152億円(同25.7増)

また、2016年3月期第3四半期 (2015年4月~12月)の実績は以下のとおりです。

  • 売上高 1兆6,945億円(前年同期比7.0%増)
  • 営業利益 995億円(同11.1%増)
  • 経常利益 1,622億円(同12.6%増)
  • 純利益 1,728億円(同70.1%増)

主力製品のカーエアコン用コンプレッサー部門は、北米や中国での販売拡大を受け好調な結果となりました。

自動車部門は、車両の売り上げでは「ヴィッツ」が減少したものの、2015年10月にHV(ハイブリッド車)「RAV4」を発売したことにより増収となりました。
エンジン事業は、「KD型ディーゼルエンジン」や「AR型ガソリンエンジン」の減少により減収となりました。

フォークリフト・トラック事業は北米やヨーロッパで増加し、売上増に貢献しました。
収益は、人件費や減価償却費の増加をはじめ、原材料の値上がりなどがあったものの、増収や原価の改善、為替変動などによって、いずれも増益となりました。
純利益については、子会社の株式売却に伴う特別利益898億円を計上したことなどで、70.1%の大幅増となりました。

事業戦略

事業方針

豊田自動織機は、2020年に向けた長期経営ビジョン「2020年ビジョン」を策定しました。

○数値目標(2020年度)

  • 連結売上高 3兆円超
  • 営業利益 2,000億円超
  • ROA(総資本利益率) 5%
  • ROE(自己資本利益率) 10%

事業別では、産業車両をはじめ、物流、繊維機械のソリューション事業とコンプレッサー、エレクトロニクス事業などの分野で高い伸びを想定し、注力する計画です。

注力分野

○ディーゼルエンジン事業の拡大

  • 2014年、それまでトヨタと共同で取り組んできたディーゼルエンジンの開発・生産機能を、豊田自動織機へ集約することで両社が合意。
    これによって豊田自動織機は、ディーゼルエンジン部門への専門性をさらに高め、より競争力のある開発・生産に取り組む。また、開発した技術などを自社製のフォークリフト用エンジン、産業機械分野への転用も計画。事業規模の拡大と開発の効率化を図るとしている。

○水素を使用した燃料電池事業の拡大

  • FCV(燃料電池自動車)「MIRAI」(ミライ)
    2014年にトヨタ自動車が発売した、水素と酸素から生み出された電池で走り、走行時、排出ガスやCO2を発生しないFCV(燃料電池自動車)「ミライ」。本製品に、酸素供給エアコンプレッサー(空気圧縮械)や水素循環ポンプなどを供給。

○燃料電池フォークリフトの開発推進

  • 現在、豊田自動織機が開発に取り組む、稼働中にCO2などの環境負荷物質を排出しない環境性能を誇る燃料電池(FC)フォークリフト。燃料充填が素早く行え、充電や電池交換なしで連続稼働が可能なことから、従来の電動フォークリフトよりも作業効率向上に貢献する。
    さらに、外部給電機能を搭載しているため移動可能な発電機として使用できるなどのメリットがある。
    これまで数カ所での実証実験を進めている。

技術動向

○新エネルギー車向け製品開発

・FCV(燃料電池自動車)用エアーコンプレッサー新開発

2014年、高効率に空気を圧縮することが可能になったほか、空気が流れる道筋に消音構造を取り入れることで、低ノイズ、低振動化を実現したFCV(燃料電池自動車)用エアーコンプレッサーを新開発したと発表。
同年トヨタ自動車が発表したFCV(燃料電池自動車)「ミライ」に搭載。

・HV(ハイブリッド車)用4製品を新開発

2015年、豊田自動織機は、HV(ハイブリッド車)用電動コンプレッサー、DC-DCコンバーター、四輪駆動用リア走行インバーター、ACインバーターを新開発したと発表。
新開発のカーエアコン用電動コンプレッサーは、従来品よりも小型・軽量化を実現。冷房能力を30%向上するとともに、消費電力を8%低減。

また、HV(ハイブリッド車)用バッテリーの高電圧を低電圧に変換し、他の電子機器などに電気を供給するDC-DCコンバーターは、放熱性に優れた厚銅基板を世界で初めて開発。部品の集積方法を見直すなどで従来品に比べ体積で50%、重量で60%の小型・軽量化を実現した。

リア走行インバーターは、「プリウス」では初となる4WDモデルに搭載。HV(ハイブリッド車)専用バッテリーの直流電圧を交流に変換し、四輪駆動用のリアモーターに電力を供給する。新製品では車両に搭載する際の自由度が向上したほか静粛性も高めている。

さらに、HV(ハイブリッド車)用のバッテリーを家庭用交流電圧に変換する1500W ACインバーターは、ケースの構造を改良するなどで体積を30%小型化、車両搭載性を向上させている。
これらは同年発売されたトヨタの新型「プリウス」に搭載。

・新型のPHV(プラグインハイブリッド車)およびEV(電気自動車)用充電スタンド発表

2015年、PHV(プラグインハイブリッド車)およびEV(電気自動車)用の新型充電スタンドを日東工業と共同開発したと発表。
この新型充電スタンドは、通信機能やICカードによる利用者認証、課金、充電などの機能を持つ親機と、充電機能に特化することで低価格・小型化を実現した子機の2機種をラインアップ。

・スマホ向け「全国EV・PHV充電まっぷ」の利便性向上

豊田自動織機をはじめ、トヨタメディアサービス、日本ユニシスの3社が共同開発した、全国のEV(電気自動車)、PHV(ハイブリッド車)の充電器施設情報が検索できるスマートフォンアプリ「全国EV・PHV充電まっぷ」。
3社は2015年、この「全国EV・PHV充電まっぷ」とスマホ×カーナビ連携アプリ「NaviCon」を連携させると発表。

これまでは、「全国EV・PHV充電まっぷ」で検索した結果を、カーナビでドライバーが再検索する必要があったが、「NaviCon」との連携によって、カーナビに充電器施設情報をワンタッチで転送して画面表示するだけでなく、容易にルート探索ができるようになった。

○その他新製品開発

・クリーンディーゼルエンジン搭載のフォークリフト発表

2015年、最新のクリーンディーゼルエンジン(ガソリンよりも燃費が良く、かつ排ガス規制に対応したディーゼルエンジン)を搭載した、新型「GENEO」(ジェネオ)シリーズのディーゼル小型特殊自動車(1.5~3.0t)を発表。
これによって、1.5~8.0t積ディーゼル車の全ラインアップが「国内特定特殊自動車排出ガス規制2014年基準」へ適合した。

この新型「ジェネオ」シリーズは、クリーンディーゼルエンジンに加え、エネルギーのロスを低減するロードセンシング式パワーステアリング、高効率のトルクコンバーター(変速機の一つで、AT車で使用される)を組み合わせることで、世界トップクラスの低燃費・低排出ガスを実現するとしている。

・新型ターボディーゼルエンジンの生産を開始

2015年、トヨタ自動車の委託を受けて開発に参画していたGDエンジンの新型、2.8リットル直噴ターボディーゼルエンジン「1GD-FTV」の生産を開始したと発表。
この新型ディーゼルエンジンは従来製品に比べて熱効率や環境性能に優れるとしており、同年トヨタ自動車が発表した「ランドクルーザープラド」などに搭載された。

・小型自動車用固定容量型スクロール式コンプレッサーを開発

他の形式に比べ小型・軽量化され、高効率のメリットから特に小型車に広く使用される固定容量型コンプレッサー。
豊田自動織機は2015年、省燃費と静粛性にすぐれたスクロール式(うず巻き形をした固定スクロールと可動スクロールとで構成。可動スクロールが回転することで、固定スクロールとの間に吸入された冷媒が徐々に圧縮される構造)のコンプレッサーを開発した。
さらに、部品点数を削減し、機能部品を高精度化することで重量を5%軽量化することに成功。
2014年に発売されたダイハツの新型「Move」(ムーブ)に搭載。今後、販売拡大を目指す。

グローバル展開

豊田自動織機は現在、自動車関連では海外6カ国に主な生産拠点を置いています。拠点における取り組みは以下のとおりです。

・中国

2013年、中国・山東省に合弁生産会社、煙台首鋼豊田工業空調圧縮機((YANTAI SHOUGANG TD AUTOMOTIVE COMPRESSOR CO.LTD.)を設立。2016年にカーエアコン用のコンプレッサーの生産台数を250万台まで引き上げ、現地での販売シェアを現状の10%から15%に引き上げる計画。

・アメリカ

2014年、アメリカ・ジョージア州のカーエアコン用コンプレッサー生産会社、トヨタ・インダストリーズ・コンプレッサー・パーツ・アメリカ(Toyota Industries Compressor Parts America)が稼働。

・台湾

2014年、台湾のフォークリフト・工作機器メーカー、タイリフトのフォークリフト事業を買収。新興国の市場のニーズに合わせた製品の開発・生産・販売を強みとするタイリフトを子会社化し、豊田自動織機が重点を置く新興国向けの事業強化を図る狙い。

豊田自動織機の報道ニュース一覧

2019.10.13 豊田自動織機、自動車エアコン用電動コンプレッサーの中国生産を開始

中国の2拠店で生産自動車部品の大手サプライヤーである豊田自動織機は10月11日、同社初となる電動コンプレッサーの海外生産を、2020年初旬より中国で開始すること...[もっと見る

2017.06.09 豊田自動織機、コンプレッサー生産台数5億台突破
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2016.09.10 豊田自動織機、欧州生産子会社の節目を記念
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会社概要

社名 株式会社豊田自動織機
設立年 1926年11月18日
本社所在地 〒448-8671 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地
市場名 東証一部
代表取締役 大西 朗
社債格付け AA
資本金 80,400百万円

組織構成や技術開発状況など、ネットに掲載されていない情報 が聞ける。転職についても相談できる。

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拠点一覧

豊田自動織機の拠点(研究開発・テストセンター含む)

国内拠点一覧
  • 碧南工場(愛知県碧南市)
  • 長草工場(愛知県大府市)
  • 刈谷工場(愛知県刈谷市)
  • 東知多工場(愛知県半田市)
  • 高浜工場(愛知県高浜市)
  • 共和工場(愛知県大府市)
  • 安城工場(愛知県安城市)
  • 大府工場(愛知県大府市)
  • 東浦工場(愛知県知多郡東浦町)
海外拠点一覧
  • トヨタ インダストリーズ コンプレッサー パーツ アメリカ㈱
  • ミシガン オートモーティブ コンプレッサー㈱
  • 豊田工業(昆山)㈲
  • テーデー ドイチェ クリマコンプレッサー㈲
  • ティーディー オートモーティブ コンプレッサー ジョージアLLC
  • カスケード㈱
  • トヨタ インダストリアル イクイップメント マニュファクチャリング㈱

関係会社一覧

豊田自動織機の関係会社一覧

  • ㈱アイチコーポレーション
  • トヨタ インダストリアルイクイップメント マニュファクチャリング㈱
  • ミシガン オートモーティブコンプレッサー㈱
  • トヨタ インダストリーズヨーロッパ㈱
  • トヨタ マテリアル,ハンドリング ヨーロッパ㈱
  • トヨタ インダストリーズ ノース アメリカ㈱
  • トヨタ マテリアル ハンドリング オーストラリア㈱
  • ティーディー オートモーティブコンプレッサー ジョージアLLC
  • インダストリアル コンポーネンツ アンド アタッチメンツ㈱

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